「やあ、待っていたよ」
まるで工場の様な広々とした空間...エンジニア部の作業室に訪れた私達はさっそくウタハ達の歓迎を受けていた。
「君がさっき電話で話してたアリスかい?初めまして、私はエンジニア部の白石ウタハだよ。何やら武器が無くて困ってるそうじゃないか」
「そうなの、でも折角なら一番良い武器を揃えてあげたくって!」
「ふむ、確かにここには私達が作った色々な武器があるからね。それに武器というのは使用者にとって一番と言っていい程大切なものだ、であれば私達の元に来たのは素晴らしい選択だね」
ウタハはそう言って奥の空間に手を向けた。
「あっちにこれまで作ってきた試作品が沢山ある、どれでも気に入ったものがあれば持っていって貰って構わないよ」
「本当!ありがとう先輩!アリス、早速行こう!」
「はい、『宝探し』クエストの開始です!」
ウタハの許可を得た彼女達はアリスを連れて奥へと走っていった。
私はそんな四人を微笑ましく見ていると、不意にウタハが隣に立ち口を開いた。
「...先生、彼女....アリスの事なんだが.....」
ウタハは目を細め、楽しそうに武器を一つ一つ確認していくアリスを見ながら私にだけ聞こえる様に呟いた。
「...うん」
「やはりそうだったのか....」
私はただ一言そう答えただけだったが、ウタハは私の意図を汲み取ったのか自身の考えに確信を持った様に頷いていた。
「...ウタハは一目見ただけでわかったの?」
「今まで私は数えきれない程の機械や部品を見たり開発したりしてきたからね、直ぐに気がついたよ」
「成る程、流石ウタハだね」
「別に大した事じゃないさ....先生が把握しているのなら私からは何も言わないでおくとするよ、それが彼女達の為にもなるんだろう?」
「ありがとうウタハ、助かるよ」
「戦闘経験なら心配ありません、これまで人類を27回に渡って救い魔王軍とも46回交戦し、三桁を超える程のダンジョンを攻略してきました。経験値と職業レベルは足りている筈です!」
「そ、そっか...それは、凄いね」
「アリスちゃんそういう事じゃなくて...」
「ではこちらはどうでしょう!これは多人数相手を想定した拳銃でそれぞれ色んな方向に弾を発射する事が可能になっていて....!」
私とウタハがひっそりと話している内にヒビキやコトリも加わり随分と武器選びが盛り上がっていたらしい、彼女達の楽しそうな雰囲気が遠くからでも伝わってくる。
「そういえば、先生は武器などは持たないのかい?」
「え?」
不意にウタハはそんな事を尋ねてきた。
「流石に戦闘には参加しないにしろ時折物騒な事案が起こる事も珍しくない、用心するに越した事はないしよかったら先生も一緒に選んできたらどうだい?」
「心配してくれてありがとう。でも....私には必要ないから遠慮しておくね」
「そうか、一応護身用として持っておくのも悪くないんじゃないかと思ったんだが...」
「確かにシャーレとして活動していると危ない事も多いけど....例え危険な目にあっても武器を使っての解決は出来るだけ避けたいんだ」
「生徒同士、あるいは学園に所属していない不良の争いを止める時に武器を向けられる事もあるんじゃないのかい?」
「...まあ実際そういう時もたまにあったけど、それでもだよ。何処の学校でも、何処にも所属してない子だとしても、私にとっては皆同じ生徒だから....彼女達に対して私が銃を向けるなんていうのは絶対にやっちゃいけない」
「それだと正しく生徒に向き合えなくなってしまう、”大人”と”子供”の話し合いの場に銃は必要ないからね」
ウタハは目を瞑りながら私の話を静かに聞き終えると頬を緩めて頷いた。
「...うん、やはりシャーレの先生というのは噂通りの人物だったね」
どうやら上手いこと彼女に試されていたらしい、私は苦笑しつつウタハと共にアリス達の元へと向かおうと彼女達の方を改めて見てみると
「し、信じられません...」
「ま、まさかこのレールガンを持ち上げるなんて...」
アリスが何やら見覚えのある巨大な武器を背中に抱えている光景が視界に映っていた。
確かあれは....かつての世界でもアリスが愛用していた...
「ん?あれは以前作ったレールガン....凄いな、あれを軽々と持ち上げるだなんて」
ウタハもアリスを見て驚きと感心の表情を浮かべている。
「えっと、これがBボタンでしょうか?」
「あ、ちょっと待って!」
「不味い、先生伏せるんだ!」
「えっ」
焦った様子のウタハに手を強く引かれ地面に両膝がつく直前
「.....っ、光よ!!!!!」
「あ、せ、先生!?」
アリスの口から何度も聞いた覚えのあるセリフが飛び出すと同時に部屋全体に轟音が響き渡り、私はその衝撃の余波で見事に後ろへと吹き飛ばされたのだった。