偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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エデン条約編第一章スタートです。

ただし、活動報告に上げた通り現在執筆時間を取るのに中々苦労している状態です。
それに加えエデン条約編第一章のさわりの部分を考えた程度というのもあり投稿頻度はかなり遅くなると思われます。

また今回からはかなり独自設定、独自解釈が強くなるので苦手な方はご注意ください。
それでもよろしければこれからもよろしくお願いします。



エデン条約編 第1章
探究者


時刻:不明。

 

場所:不明。

 

─────────

 

天井に配置されたライトから漏れる微かな光に照らされる廊下にて、コツコツと何者かの歩く音が響き渡る。

その靴音を奏でる者の正体は長身の男。

 

上下黒のスーツ姿、揺らめく頭に不気味な笑顔を貼り付けたその人物は迷うことなく目の前に現れた扉に手をかけた。

 

「おっと、既に皆さんお揃いでしたか。遅れてしまい申し訳ありません」

 

その男...黒服は部屋の中にいた存在に気づき声を上げる。

 

「問題ない、我々も集まったばかりだ」

 

そんな黒服へ始めに声をかけたのは彼と同じスーツ姿の男、マエストロ。

双頭の木人形の外見をしている彼は黒服の方を向きながらギシギシと軋む音を立てている。

 

「マエストロの言う通りです、まだ話し合いは始まっていませんのでお気になさらず」

 

「そういうこった!」

 

その隣に立つのは厚手のロングコートを見に纏いステッキを携えた男、ゴルコンダとデカルコマニー。

本来頭が存在する場所には何もなく黒い煙が噴き出ており、片腕には後ろを向いた様な男の頭が描かれた絵画を抱えている。

 

「ふんっ...」

 

二人に比べ不機嫌そうに鼻を鳴らしているのは白いドレス姿に赤い肌を持つ女、ベアトリーチェ。

彼女は腕を組みながら扇子を口元に当てている。

 

三人は黒服と同じこの世界の探求者である集団『ゲマトリア』の一員であり、そんな彼らはこうして定期的に集まり会議を開いていた。

 

「では全員揃った所で始めましょうか、まずは互いの進捗を」

 

「私の方は色々と準備に時間を要していましてね、お恥ずかしながらまだ報告に値する”作品”は出来ていません」

 

「私は既に”複製”の手配は出来ている。ベアトリーチェ、貴下の計画は今どうなっている?」

 

「何も問題はありません、以前あの学園に鼠を一匹潜り込ませるのには成功しました。あとは時が来るのを待つのみ、そうすれば私はあの領地で更なる力を持つことが出来ます」

 

「流石マダムですね、領地の生徒の支配は順調な様です....黒服はどうですか?アビドスの一件から手を引いたとは聞いていましたが、あれから何か動きは?」

 

ゴルコンダは皆の話を聞きながら黒服へ問いかける。

 

「ええ、進捗と言えるものはありません。ですが...クックック...あれから暫く観察を続けていましたがやはりあの方はとても興味深いと改めて理解出来ました」

 

「シャーレの先生か....私がまだ直接対峙していないというのもあるが、その者が本当に神秘を超える存在だというのはにわかに信じがたい」

 

「私も同意見です、ですが黒服がそこまで言う人物というのは大変興味はあります。いつかお会いしたいものですね」

 

「そういうこった!」

 

「一度ゲマトリアへ勧誘をしてみたのですが、その時は取り付く島もない状態だったもので泣く泣く断念しましてね。あの方が仲間になっていただければ我々の探究も更に上の段階へ向上する事でしょう」

 

マエストロ、ゴルコンダ達は黒服の口から飛び出した”シャーレの先生”という存在に各々反応を示しながら会話を続けていく。

 

「.........」

 

だがそんな中一人無言で佇んでいたベアトリーチェは突然机をバンッと叩き

 

「くだらない、そんな事を話すために私をこの場に呼んだのですか?」

 

吐き捨てる様にそう三人へ言い放った。

 

「シャーレの先生など必要ありません。黒服、お前はその者に随分と夢中になっているようですがキヴォトス最高の神秘を得られなかったのは事実、何故悠長にしていられるのか理解に苦しみます」

 

「クックック...これは手厳しい。しかしベアトリーチェ、貴方もシャーレの先生を”見れば”その意味が理解できるかと」

 

「遠慮させていただきます。それと、貴方達の話を聞いて気分が悪くなってきたので少し出ます。その者の話を続けたいのならば勝手に進めていなさい」

 

「「「........」」」

 

そう言ってパシッと扇子を強く閉じ、黒服を押し除ける様にして部屋を出ていくベアトリーチェ。

残された三人は彼女が出て行った扉を見つめつつももすぐに向き直り口を開く。

 

「全く、変わらないな」

 

「まあまあ、彼女の考える”探究”は元より我々とは違いますから」

 

「ゴルコンダの言う通りです、互いに全てをわかり合う必要はありません。彼女は彼女なりの、私達には私達なりのやり方があるのは当然でしょう」

 

「ひとまず話し合いを続けましょうか」

 

「そうですね、では今後の動きについて......」

 

 

 

 

 

 

 

それからどれほど経っただろうか。

三人による話し合いがやがて終わりを迎えようという最中、不意に彼らの背後から扉が開く音が聞こえてきた。

 

「おや、マダムお帰りで」

 

ゴルコンダの声に二人も振り返ると、そこには先程部屋を出て行ったベアトリーチェが佇んでいる姿があった

 

「.....ええ」

 

「ベアトリーチェ、何かあったのか?」

 

「...いえ、何もありません」

 

「......そうですか、では改めて続きを...」

 

「いえ、本日はここまでにしておきましょう」

 

戻ってきたベアトリーチェの態度を不思議に思いながらも話し合いを進めようとするゴルコンダ達、それに待ったをかけたのは黒服だった。

 

「今回集まった理由はあくまでお互いの確認程度、本格的な会議はまた後日ということで。どうやらベアトリーチェも体調が優れないようですので」

 

「そうか、ならば私もこれで失礼させてもらう」

 

「ええ、皆様方とお会いできて良かったです。では次の機会に」

 

「そういうこった!」

 

「........」

 

こうして探究者達は各々の仕事に取り掛かるべく、その空間から順に姿を消していったのだった。

 

 

 

「................」

 

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