これから忙しくなって中々書けなくなる可能性もあるので、今必死にストック分をつくってます
「先生が居ない?」
そんな思わぬ報告を受けたのは丁度時刻が昼を過ぎた頃だった。
『うん、なんかセミナーの子から聞いたんだけど、ミレニアムに送られた書類の件でシャーレに行ったら誰もいなかったんだって』
モモカからの通信を聞きながら、私はあまりの事態に頭をおさえる。
『まあシッテムの箱がなかったみたいだからどっか出かけてるんじゃない?』
「...ちなみにそれはいつ頃ですか?」
『昨日だよー。メールとかしても一向に反応ないし既読もつかないらしいから居なくなったのはもっと前だと思う』
「もっと早く教えてください....かなり大事じゃないですか」
連邦捜査部シャーレは様々な学区で起こる問題を解決する組織であるため外出も多く、それ自体は別に珍しい事ではない。
だが2日程何も連絡をよこさないというのは流石な今までなかった。
『どうするの?一応他の学校の子達には仕事で忙しいだけだから大丈夫って言ってあるけど』
「...とりあえず最優先で先生の痕跡を探してください、私の方でも探してみます」
これまで様々な問題を解決してきたシャーレの評判は報告書を見る限り中々良い。
それゆえシャーレの先生という存在はいまや大きなものになりつつあり、もしこれで先生が失踪したとなればキヴォトスは混乱に陥る可能性も充分考えられる。
(それこそ連邦生徒会長と同じように....)
頭に浮かんでくる嫌な想像を振り払い、なんとか冷静さを保ちながらモモカに指示を伝える。
こちらからも先生宛に何度も連絡を入れてみたが反応は無し。
結局その日は作業の方もまともに手につかず、眠れぬ時間を過ごすこととなってしまった
だが事態が進展したのはそれから翌日の事。
”私は元気だよ”
「は?」
不眠と心配からくるストレスで気分が最悪な中、突然そんなメールが私の携帯に届いた。
もちろん差出人は件の先生。
まったくこれっぽっちも困った様子もない簡素な文章、おまけに呑気に自撮りまで添付されている。
その写真の先生の周りには制服を身に纏った少女達が写っており、その能天気さが余計にリンの神経を逆撫でしてくる。
『あ、先生の追跡できたよー。なんかアビドスに向かってたみたい』
「........ええ、たった今私も先生からのメールで無事を確認しました」
『え、そうなの?なーんだ良かった良かった』
モモカと話している最中も先生から連絡が届き、”今からシャーレに戻るから安心してね”というこれまた軽すぎる文面。
高ぶる気持ちをぐっと抑え、とりあえず先生の無事を確認できたから良しと自身を納得させる。
「それにしてもアビドス、ですか.....」
元々マンモス校であったアビドスは、砂漠化の影響で住民や在校生徒の数も激減してしまい、今では数人レベルで学校を運営...正確にはなんとか維持している程度。
先生は今まで特にアビドスについては触れていなかった筈だが、今回無断で失踪まがいの事を起こしてまでアビドス自治区へと訪れている。
これまで何か知らない地区の事になると必ず連邦生徒会への質問や連絡は欠かさなかったのだが、何故急にそんな行動を....?
「...考えても仕方ないですね」
変に悩むのを止めた彼女は頭を冷やすため、コーヒーを淹れに椅子から立ち上がった。
次の日、ニコニコと笑顔を浮かべ呑気にやって来た先生を見て1時間程説教をする事になるのは別の話。