多分次のメイン回からストーリーの話に入っていくと思います。
後評価をいただいた事に気付きました、ありがとうございます。
返信できてはいませんが、感想の方もちゃんと見ています。
うっかりアルの名前を...そして先程指揮の為とはいえ他3人の名前も口にしてしまうという間抜けすぎるミスをした私は、現在必死に頭を回していた。
シロコ達とは違いわざわざ彼女達を調べようとする理由はあまり無いだろうし、そもそも何故私がブラックマーケットに居たのかを正直に話すと不味い。
今後間違いなくこの4人はシロコ達とも関わるだろう。
その際、アビドスにやって来たばかりで何も知らない筈の私がカイザーグループについて調べていたと万が一シロコ達に伝わってしまえば、彼女達が私に不信感を覚える可能性がある。
「実は....君達便利屋68のファンなんだよ!」
「.......へ?」
追い詰められた私は、彼女達のファンだったという強引な理由で現状の打開を試みた。
「どんな依頼も華麗にこなすアウトロー中のアウトロー集団...噂で聞いた時からずっと気になっていてね。優秀な仲間達にそれをまとめる敏腕社長、たまたま君達がブラックマーケットに来ているって噂を耳にしてつい私もやって来ちゃったんだ。さっきの戦闘も噂以上に強くて格好良かったよ、いやぁ本当に今日はついてるなぁ」
もはや自分でも何を言ってるのかわからないぐらいに言葉を捲し立てる。
こういうのは相手に考える隙を与えない事が重要、
昔ユウカに散財したレシートがバレた時に言い訳をしていた経験が役に立ったようだ。
ムツキが何故かニヤニヤと笑いながら私の話を聞いているのが気になるが、引き続き頭に浮かんだ内容をペラペラと喋っていく。
「..........」
だが先程から目の前のアルが無言を貫いているのが少々気になる、チラッとアルの様子を見てみると彼女は顔を俯かせてプルプルと小刻みに震えていた。
流石に怪しすぎたか...!
そう思った次の瞬間、ガバッと勢いよく顔が上がり
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!そう!そうよ!わかってるじゃない!!!」
アルは眩しいくらいに目を輝かせ、頬がとれてしまうのではと思うくらい口元をにやけさせていた。
「あ、アウトロー中のアウトロー....!ふふっ!敏腕社長...!格好いい...!まさかそんな風に見られていたなんて!まあ?別に想像通りだったし?そこまで驚きも喜びもないけれど?面と向かって言われて少し、ほんの少し気分が良くなっただけで、当たり前すぎて全ッ然嬉しくなかったけれど?」
「あーアル?」
「あちゃーアルちゃん完全に自分の世界に入り込んじゃってるね」
「はぁ...普段言われ慣れてないからって単純すぎでしょ、社長」
「や、やっぱりアル様は凄いんですね!」
なんとかこの場が収まればいいな程度だったのだが、どうやら盛大にアクセルを踏みすぎてしまったらしい。
しばらくしてようやく現実に戻ってきたアルはハッとした顔を浮かべてビシッと私に指を指す。
「貴方、中々わかってるじゃない。それにさっきの指揮も的確だったわ....そう、今貴方の目の前にいる私達こそが孤高のアウトロー...便利屋68よ!」
謎の決めポーズをとるアルだったが、それと同時にアルのお腹から可愛らしい音が聞こえてくる。
「こ、これはお腹が空いたとかじゃないから!」
「アハハっ!アルちゃん顔真っ赤!」
「なら、今回助けてもらったお礼もしたいし何か奢るよ。丁度美味しいって噂の店を知ってるんだ」
「別に空腹だとは言ってないけれど!お礼といううなら乗ってあげるわ!....ふふっ、このアウトローである私達を満足させられるかしら」
なんだかんだ先程の事が有耶無耶になりそうでそっと胸を撫で下ろした私は、手持ちの残高をこっそり確認しながら4人を引き連れブラックマーケットを後にした。
「ここって....」
「ラーメン屋?」
やって来た場所はかつての世界から私がよく知る店、柴関ラーメン店。
初めて来た店に緊張気味のアルの代わりに先に店内へと足を踏み入れる。
「らっしゃい!...お、見ない顔だな、ここは初めかい?」
「ええ、大将のラーメンが美味しいと聞きまして」
「そいつは嬉しいね、まあ適当に座ってくれて構わねえよ」
大将に言われるがままテーブル席へと向かい、私に続くように彼女達もそれぞれ席に着く。
「じゃあ私は柴関ラーメンで」
「...何がいいかよくわからないし私もそれにするわ」
アルの言葉に3人も頷いたため柴関ラーメンを5人分注文し暫く待つ。
その間アルが私に便利屋の理念を語ったり、ムツキ達からの質問をなんとか誤魔化しながら答えたりと暇をする事なく過ごす事が出来た。
「へいお待ち、柴関ラーメン5人前!今日はバイトの子が休みでな、時間かかっちまった」
何か店に違和感があると思ったのだが、セリカが居なかったからか...でも今回は居なくて正解だったかもしれない。
やってきた大盛りのラーメンを見て目を輝かる4人を横目にそんな事を考える。
まあいずれは出会うだろうし、その時に改めて話せば大丈夫だろう。
「じゃあ皆、食べようか」
「「「「「いただきます!」」」」」
店内に5人の元気な声が鳴り響いた。
「ふぅ、とっても美味しかったわ」
「あ、ありがとうございました!」
「うんうん!私も気に入っちゃった♪」
「まあ悪くなかったね」
どうやら4人ともここを気に入ってくれたようで、私も自分の事のように嬉しくなる。
「今日は本当にありがとうね、君達のお陰で助かったよ」
「別にあれくらい私達にかかれば大した事じゃないわ!なんたって私達は最高のアウトロー集団だもの!」
すっかりアルはこちらを信頼してくれたのか、それともあの時私が言った言葉を気に入っているのか、やたらとテンションが高くなっている。
「そうだね、またいつか会う事があったら今度も君達の話をたくさん聞かせて欲しいな....それじゃあまたね、アル達も帰りには気をつけて」
「うん、バイバーイ♪」
ドヤ顔を続けるアルに、90度の礼をしているハルカ、澄ました顔をしているカヨコ、ニコニコと手を振っているムツキ。
彼女達らしい姿を見て帰路に着く。
そして途中で報告書作成という作業を思い出した私は、足取りが重くなるのを感じつつシャーレへと戻っていった。