透き通る世界で私は今日も刀を振るう   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今更だけどセツナはいろんな刀剣使いをモデルにしてます。

今回はいろんな意味でセツナ強化イベント。楽しんでいただけたら幸いです。


ペロロ様可愛いよペロロ様

「そうか、もうないか……」

 

 

 その日、私は護衛の休暇をもらってアビドスではなくブラックマーケットに来ていた。連邦生徒会の管理が及んでおらず、治外法権がまかり通る治安の悪いエリアで違法な物品の取引や不認可の違法倶楽部等が存在している、学校を追われた生徒たちが多くいる闇市だ。そこの、以前日本刀を格安で売っていた店まで私は来ていた。店主のロボットは、(-_-)みたいな表示を顔に浮かべて困っている。

 

 

「そもそも刀なんてこのキヴォトスでは美術品としての価値しかなくて、お客様が以前購入された奴は流れてきたやつでねえ。なんでも持ち主が次々と怪死を遂げる、命を吸い取る妖刀だとかで……」

 

「そりゃ格安なわけだ。あんたもすぐ手放したかったわけだ」

 

「そうさ。だから驚いているよ。お客さんが五体満足でその刀を持って戻ってくるとはねえ」

 

「刀なんぞに殺されるつもりはないね。何かないか?銃以外に武器になるならなんでもいいんだ」

 

「お客さんも物好きだねえ。うーん、なにかあったかなあ」

 

 

 ゴソゴソと乱雑に物が置かれているスペースを漁る店主。それを見つめていた私は、あるものに気付いて手に取った。

 

 

「これは?」

 

「それかい?さすがに売り物にならないと思って10クレジットで在庫処分しているものだけど……」

 

 

 それは、刃の途中からへし折れて欠けている刀と思わしきものだった。欠けていると言っても刃が30㎝はあって、ナイフよりちょっと長い程度の代物だ。

 

 

「10クレジットだな?これ買っていくぞ」

 

「本当に物好きだねえ。ガラクタを処分してくれるならありがたいよ。毎度あり」

 

 

 鞘はないからちょっと工夫しないといけないな。…確か手持ちに、救護騎士団からもらった包帯があったな。これで刀身をグルグル巻きにして……腰の後ろに引っ掛けて、よし。

 

 

「刀を投げた時の護身くらいにはなるだろう」

 

 

 鞘で何とかなりこそするが、安心感が違う。さっそく使うとしよう。……ん?

 

 

「あれ、セツナちゃんじゃん。今日は休むって言ってたのになにしてるのー?」

 

「そっちこそ勢揃いで何しに来たんだホシノ。トリニティなんか連れて」

 

 

 ブラックマーケットを歩いていたら、知らない顔のトリニティ生を連れたアヤネ以外の対策委員会と先生と遭遇した。おい先生。生徒をこんなところに連れてくるな馬鹿なのか。そう視線を向けると、視線を逸らされる。自覚はしてるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず人気のない場所に移動し、事情を聞いてみると、ヘルメット団から手に入れた武装の部品がブラックマーケットから流通したものと判明、ブラックマーケットに直接赴いて調査に来たらしい。アビドスはともかく、シャーレに所属している先生が来たら駄目じゃないか此処。

 

 

「で、そのトリニティは?」

 

「ん。不良生徒に絡まれていたので助けた。セツナの知り合い?」

 

「いや、知らない顔だ」

 

「はは……私のことなんか知りませんよね……阿慈谷ヒフミです。一応セツナさんと同じクラスなんですけど……」

 

「悪い。ろくに行ってなくてな。私も人の事を言えないが、トリニティがなんでここに?」

 

 

 同じクラスだったか。まともに行ったことないから知らなくて当然だな。そんなことを考えながら訪ねると、背負っていたぬいぐるみを前に出した。これは……!?

 

 

「このペロロ様の限定グッズがここで取引されていると聞いて……ですね。それで、この人たちに助けてもらったので、手伝いを……」

 

「ペロロ様……それ、ペロロ様っていうのか」

 

「いえ、本当はペロロという名前で様というのは私が敬称で呼んでいるだけでして……!」

 

「可愛いな!」

 

「でしょう!?」

 

「“セツナ?”」

 

 

 なんだこの可愛い生き物は。白く丸っこい鳥の様な姿に、焦点の合っていない目…!ヨダレを垂らしながら羽ばたいている姿は、懸命に生きている光景を想起させる……!なんだこれは。なんだこれは。

 

 

「それは、こんなところまで来る価値があるな…!」

 

「そうですよね、可愛いですよねペロロちゃん!」

 

「ですよね!まさかセツナさんとペロロ様の話ができるなんて…!」

 

 

 ノノミとヒフミが喜んでくれているが、ぶっちゃけヒフミがいい奴そうじゃなければ強奪してた勢いで欲しい。

 

 

「セツナちゃん、ゲテモノ好きだったり?」

 

「シーッ!ホシノ先輩、余計なこと言わない!」

 

「ん。ノノミと気が合っていて、なんか悔しい…」

 

《「あははは……」》

 

「“セツナの学生らしい姿が見れて私は嬉しいかな”」

 

 

 そのまま、ヒフミにペロロ様のキーホルダーを譲ってもらった。布教用らしい。生涯の宝にすると決めたぞ。

 

 

「ところでセツナちゃんは何でここに?」

 

「ん?ああ、私の刀はここで買ったからな。スペアを買いに来たんだ」

 

「ということはここに詳しかったり?」

 

「入り浸ってはいるぞ」

 

「ならちょうどよかった!私たちを案内してくれない?」

 

「それはいいが……ちょっと待て。隠れろ、特に先生」

 

「“え?”」

 

 

 先生を引っ張り、物陰に隠れると他の面々もそれに続く。視線を向けた先には、ブラックマーケットの最上位に当たる治安機関「マーケットガード」が現金輸送車を護送している光景が見えた。

 

 

「奴らは闇銀行の手先だ。先生なんか見られたら最悪攫われるかもしれないから注意しろ」

 

「現金輸送車を護送してるみたい…?」

 

「ちょっと待って、KAISER LOANってあれ……カイザーローン!?」

 

《「うちに集金に来ている銀行員……まさか」》

 

 

 護送された現金輸送車が闇銀行の前で止まり、車から降りたロボットの銀行員が、アタッシュケースを闇銀行の人間に手渡す光景を確認する。

 

 

「お待たせしました。今月の集金です」

 

「ご苦労様。では、こちらの書類にサインを」

 

 

 対策委員会が言うには、今朝方渡した今月分のお金が入っているらしい。なるほどね。

 

 

「…案内するまでもなく大当たりみたいだな。突っ込むか」

 

「え。ちょっ、セツナさん!?」

 

「ん。私たちも……」

 

「待って、シロコちゃん。ここはセツナちゃんに任せて、私たちは作戦を練ろう」

 

 

 刀を手に飛び出した私にシロコがついてこようとしていたが、ホシノが止めていた。それでいい。一人の方が動きやすいからな。

 

 

「さすがに制服そのままだとばれるか」

 

 

 駆け出してすぐに、路地裏に入り込み駆け抜けていく。同時に、カツアゲしていた不良生徒二人と哀れなミレニアム生徒を発見。跳躍と同時に抜刀し、不良生徒二人の意識を刈り取って着地する。

 

 

「ほら、どこへでもいけ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「さて、借りるぞ」

 

 

 上着とスカートを拝借する。後者は本当に申し訳ないが、犯罪していた報いだと思ってほしい。奪ったそれらを装着し、担いでいたカバンからワレワレヘルメット団のヘルメットを取りだして被る。これでどこからどう見ても刀を手にしたヘルメット団だろう。カバンはトリニティの制服と一緒にここに隠しておくか。

 

 

「行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たち便利屋68(シックスティーエイト)は、前金は決して受けない。成功報酬だけをもらうのをモットーとしている。だけどそのため、アビドスに敗北したため資金がなくなり、融資を得るべく闇銀行に来たのだが……財産も信用もないと言われ、断られてしまった。暴れるわけにもいかないので大人しく引き下がろうとしたその時、それは現れた。

 

 

「邪魔するぞ」

 

「あなた、なにを…ぐえっ!?」

 

 

 入ってくるなり、その異様な格好に止めようとした銀行員を叩き伏せ、刀を肩にかけた、フルフェイスのヘルメットにチンピラが来ているような制服を着た人物。そのまま止めようとするマーケットガードを刀の一閃で薙ぎ払い、倒れた胴体に刃を突き立てるその姿は、まるで……

 

 

「あーっと……理由らしい理由はないな。あ、そうだ。悪いことやってるらしいなぁ。なら痛い目見ても文句言えないよな?」

 

「ふ、ふざけるなぁああああ!」

 

 

 群がるブラックマーケットを、次々と的確に刀を振るって斬り伏せていくその姿は、まるで、本物のアウトローのようだった。




実は妖刀だった愛刀。新武器「ガラクタ」。セツナにぶっ刺さったペロロ。特に理由もない暴力が闇銀行を襲う!…濃いね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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