透き通る世界で私は今日も刀を振るう   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。MCUではキャプテン・アメリカが好きです。盾と徒手空拳だけで敵を制圧するの本当に好き。というわけで今回登場するキャラにはまるのもしょうがないことなのだ。

敗北後のセツナのお話。楽しんでいただけたら幸いです。


貴女にだけは問題児と言われたくない

 目覚めると、見覚えのある天井。アビドス校舎の保健室だった。もう夕方か。腕を上げると、傷口にガーゼがテープで貼り付けられていた。窓ガラスに映された頭にも包帯が巻かれている。…そうか。私は……また、ヒナに、負けたのか。銃に嫌われているとはわかっていたがここまでとは。子供の頃から付き合ってきた呪いみたいなもんなんだがな……。

 

 

「…なんで、ゲヘナに連行されてないんだ……?」

 

「おじさんたちがアビドスの管轄ってことで預かることにしてもらったからだよ」

 

 

 視線を向けると、入り口からホシノが顔を出す。なんかデジャヴだな。そう言えば、あの戦いの場にホシノはいなかったか。あのあと騒ぎを聞きつけたホシノが到着、事前通達なしの他校自治区に置ける無断兵力の運用及び他校生徒との衝突という風紀委員会側の非と、風紀委員会の公務を妨害したのはアビドス側の非で、痛み分けということでヒナの命令で風紀委員会は撤収していったらしい。なんか誤魔化してる感じがするが、今は信じるしかないだろう。

 

 

「感謝してよねー。エデン条約の事まで持ち出して何とか引き留めたんだからさ」

 

「……そうか、ゲヘナは今……」

 

「エデン条約のためにもトリニティとは揉め事は起こしたくないはず、ってね。まあそのトリニティのセツナちゃんが自分から首突っ込んでちゃ世話ないけどさ」

 

 

 そうか。エデン条約、ゲヘナとトリニティの和解のための条約。それがあるから、私のやったことは……。横の台の上に置かれていた刀と「ガラクタ」、水鉄砲を回収しながら立ち上がる。こうしちゃいられない。

 

 

「帰る」

 

「え?このまま泊まっていってもいいけど……」

 

「昨日も慈愛の怪盗から刀を取り返すために帰ってなくてな。いい加減帰らないと……友人を心配させる」

 

「……そっか、ちゃんといるんだね。友達が。それも、セツナちゃんのことを心配してくれる友達が」

 

「お前も、シロコたちを心配させるなよ。なにしてたんだ?」

 

「ちょっとね。あの子達には迷惑かけないから大丈夫だよ」

 

 

 去り際の、そう言うホシノの笑顔が頭の片隅に引っかかったが、私はそのままアビドス校舎を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アビドス郊外の駅から電車に乗り、トリニティ学区まで戻った私は夜になり始めた帰路についていた。ミカに会うのは……明日だな。こんな傷だらけの姿を見せたらそれこそ心配かける。一晩もすれば治るだろうから、それまでは自宅で……

 

 

「―――救護が必要な問題児を発見しました。救護騎士団、参ります!」

 

「っ!?」

 

 

 バチバチバチ、と帯電する空気を感じて、咄嗟にその場から飛び退いた瞬間、アスファルトに罅を入れるほどの衝撃でショットガンとライオットシールドを手にした蒼い髪と翼の天使が舞い降りてきた。

 

 

「やはり貴女は戦闘不能にさせてでも救護するべきでした。御剣セツナさん」

 

「蒼森ミネ団長……貴女にだけは問題児だと言われたくないが」

 

 

 トリニティの部活の一つ、救護騎士団の団長、蒼森ミネ。170㎝近い長身と何事にも動じない落ち着いた態度は頼り甲斐を感じさせるが、今はそれが恐ろしい。この人は「ブレーキの壊れた救急車」とも称され、「怪我の治療よりも元凶を取り除くべし」という信条が高じて「戦闘で怪我人が出るなら最初から戦闘不能にすればよい」という思想を掲げる武闘派であり、自らが先陣に立って“無力化”した敵の治療を他の団員に任せるのが基本スタイルだ。つまりこの人は、私を殴り倒してでも治療しようと連行しようとしている。

 

 

「『救護』が必要な方を誰一人、逃がさない。当然のことです!」

 

「余計なお世話だ!」

 

 

 シールドを構えて突撃してきたのを、咄嗟に引き抜いた刀を下に構えて受け止める。相変らずのでたらめなパワーに押されそうになるのを、刀の先端をアスファルトに突き刺してつっかえ棒にすることで押しとめる。そのまま刀を足場にして腕の力のみで身体を持ち上げ、スカートが捲れるのも気にせずサマーソルトキックを叩きこむ。

 

 

「ぐっ……この程度…!」

 

「ああ、だろうな!」

 

 

 サマーソルトキックを叩き込んだ勢いでミネ団長の頭を踏みつけにし、刀を引き抜いて跳躍。空中から唐竹割を叩き込む。しかしそれは、手にしたショットガンを棍棒の様に振るったミネ団長に殴り飛ばされることで防がれ、私はアスファルトに叩きつけられるが受け身を取って回転して衝撃を殺し、何とか着地する。

 

 

「誇りと信念を、胸に刻み!」

 

 

 そして帯電したミネ団長が跳躍してライオットシールドの下部を勢いよく振り下ろしてきて、咄嗟に跳躍して退避するも、吸い込まれるようにして引き寄せられ、シールドバッシュが炸裂。

 

 

「あがっ……」

 

「好機!制圧します!」

 

 

 顔に叩き込まれて怯んだところに、足払いを駆けられて転倒。右の太腿を踏みつけられてショットガンを突きつけられて腹部に散弾を叩き込まれ、右腕にライオットシールドを押し付けられる。利き腕を使わせないことで刀を封じたか……だがな、左手にはまだ、鞘がある…!

 

 

「諦めなさい。大人しく救済を受けるのです」

 

「悪いなミネ団長……ここで連行されるわけには、いかないんだ!」

 

 

 ミネ団長の側頭部を鞘で殴りつけ、太腿から足が離れたところに足を振り上げて背後から蹴りつけ、脱出。即座に納刀して踵を返し、前傾姿勢で駆け抜け、逃走する。このままミネ団長と戦っていたら、騒ぎになる…!もう手遅れかもしれないが!

 

 

「どうしてわからないのですか…!貴女を、心配する人間もいるんですよ!」

 

 

 そう言いながら驚異の脚力でアスファルトに罅を入れながら追走するミネ団長。脚力には自信があったんだがな…!

 

 

「知っているさ!たった一人だけ……!だから、心配をかけさせたくないんだ!」

 

 

 言いながら立ち止まって振り返り、「ガラクタ」を抜刀し、包帯に結んで投擲。振り回してミネ団長を牽制する。どうか、諦めてくれ。

 

 

「一人ではありません!私も、貴女を心配する一人なのですから!」

 

 

 しかしミネ団長はアスファルトにライオットシールドを突き刺すと、それを足場に跳躍。「ガラクタ」の斬撃を宙返りで回避し、包帯をキャッチ。そのままライオットシールドの傍に着地すると包帯を引っ張り、逆に私が引き寄せられてたたらを踏む。

 

 

「こんなことのために、包帯を渡したわけじゃありません…!」

 

「がああっ!?」

 

 

 そのまま引き寄せられるままにライオットシールドを引き抜いたミネ団長のシールドバッシュを全身で受けて、殴り飛ばされ刀を手放しながら宙を舞う私の体。そのまま壁に叩きつけられ、よろよろと立ち上がりながら右手に巻いたままの包帯を引っ張って「ガラクタ」を手に取る。

 

 

「まだだ、まだ負けてない……」

 

「もう、無理じゃんね。ミネちゃんからは、逃げられないよ」

 

「…ミカ?」

 

 

 今一番聞きたくなかった声が聞こえて、振り向くと、友人がそこにいて。ずんずんと有無も言わさず歩み寄り、涙を目じりに溜めて拳を振り上げるミカ。その勢いに、私は死を覚悟する。

 

 

「私、怒ってるんだから!」

 

「まっ……!?」

 

 

 衝撃が突き抜け、背後の壁の表面が吹き飛ぶ。私の眼前すれすれで止められた拳に、へなへなと腰が抜けて崩れ落ちる。そしてその拳は中指を立てて軽いデコピンを浴びせると、そのまま頭頂部にぐりぐりと押し付けてきた。

 

 

「セツナちゃ~ん?昨日帰ってこなくて、心配したんだからね~?モモトークにも出ないで~!」

 

「うあぁあああっ!?」

 

 

 ぐりぐりぐり、と加減して押し付けられる拳に、彼女が私を大事にしてくれていることがわかって。ああ、そんなに怒らせたんだなと、甘んじて受けるしかなかった。




何もトリニティにいるのは敵だけじゃない。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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