透き通る世界で私は今日も刀を振るう   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。めでたく評価に色が付きました。ありがとうございます。低評価ももらったけど私は元気です。……いやまあ、刀使いの大暴れを見たいってのはわかるししょうがないね。

タイトルからして誰かわかる件。楽しんでいただけたら幸いです。


ふふふふふーうふふふふふふふふふーくははははははははははははっ~!!

 帰路に、つく。ビル一棟崩壊させたのは、やりすぎたか。でも自分なら助けられると思った。自分の言う事なら、聞いてくれると思った。……過去に、あの刀を持っていた人間がどうなったかの記録を黒服に見せられて、私に選択肢はなくなった。フラッシュバックしたのは、砂漠で見つけたあの人の倒れている光景。

 

 

「……無理して強く在ろうとする姿が、やっぱり重なるんだよねぇ」

 

 

 月を見上げながら、思い出す。己の唯一の先輩。道しるべ。無鉄砲で、包容力に溢れた非常に大らかかつお人好しな性分で、「幾ら利用されようと人助けを止めるべきじゃない」「どんな理不尽を受けようと争いに慣れるべきじゃない」と言い切る程な善性の持ち主。……セツナちゃんとは似ても似つかないけど、でもどこか彷彿とさせる。

 

 

「……今の私は、あの時の先輩みたいに、上手くやれてますかね……?ユメ先輩。貴女なら、セツナちゃんを説得できたのかな……」

 

 

 自分では、あの刀を取り上げることはできない。そんなことを無理やりにでもしたら、セツナちゃんがどういう行動をするかわからない。最悪、対策委員会全員を敵に回してでも取り返そうとするだろう。そんな光景、見たくない。

 

 

「…大丈夫。対策委員会の用心棒はクビにしたから、カイザーには関わらない……セツナちゃんが死ぬことにはならない」

 

 

 セツナちゃんがそう簡単に負けるとは思わないが、カイザーは強大だ。彼女が死ぬとしたら、カイザーを相手にしたときだ。刀一本……いや折れた刀も持ってたけど……で挑むにはあまりにも無謀すぎる。これから私がしようとしていることを、彼女は絶対認めようとしないだろう。だから、ここで決別するのが一番いいんだ。

 

 

「……さようなら、セツナちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。ホシノに真意を問い質そうとアビドスに向かう準備をしていた私は、ある人物に呼び出されてティーパーティーの生徒会室を訪れていた。

 

 

「……失礼します」

 

「ようこそ。よく来てくれました、ごきげんよう。御剣セツナさん」

 

 

 扉を開けると、そこには一人の人物が椅子についてロールケーキをいただいているところだった。私を呼び出した件の人物……ミカと同格のティーパーティーの一人、桐藤ナギサ様。ミカともう一人、生徒会長の権限を持つ“ホスト”である百合園セイア様は不在の様だ。

 

 

「何の用……ですか」

 

「そう畏まらなくてよいのですよ。アビドスでのことはヒフミさんから聞いています。アビドスの生徒たちに協力しているんだとか。非常に素晴らしい行動です。トリニティの生徒として誇らしい限り。……しかし、先日のゲヘナとのいざこざはいただけませんね」

 

「やっぱりそれか」

 

 

 畏まらなくていいと言われたので自然体で話す。この人は特にエデン条約に対して熱心だったはずだ。エデン条約の確約前にゲヘナと問題を起こさないでほしいという話だろう。

 

 

「お言葉だが、あれはあちらが不当にアビドスで活動していたから対応しただけだ。原因はあちらにある」

 

「そうだとしても、ゲヘナに対してトリニティ生が戦闘を行う。その行為自体が問題なのです。そもそも、以前からわざわざゲヘナの学区に侵入して風紀委員会と一戦を交えたこともあると報告で聞いています」

 

「それは……そう、だが……」

 

 

 それに関してはぐうの音も出ない。すると、空気が変わったのを感じた。ナギサ様の目が笑ってない。咄嗟にさりげなく刀に手をかける。

 

 

「何か理由があるのだとか弁明があれば、こうする必要もなかったのですが……今は大事な時期。拘束させていただきます。ツルギさん」

 

「きひひひひひひいっ~~きゃははははは!」

 

「っ!?」

 

 

 瞬間、バルコニーから飛び出してきた黒い影のばら撒いた散弾を、刀を抜いて斬り弾く。バルコニーに降り立ったのは、狂った様な笑顔が特徴の恐ろしい風貌の人物。キヴォトス全体でも最高峰の個人戦闘力を有し正義実現委員会の長も務める、人呼んで『歩く戦略兵器』剣先ツルギ…!

 

 

「うふ、きぃへっへっへっへ……。また、会ったなぁ……御剣セツナァ!さあ!暴れる時間だ!破壊だ!破壊してやるぅぅ!!!!」

 

「ツルギさん。この部屋を破壊しないでくださいね」

 

「かか、かかかかか、しゃあ!!」

 

 

 ナギサ様の言葉に頷きながら、私に接近して二丁のショットガンを棍棒の様に振り回し、咄嗟に横に防御した刀ごと吹き飛ばされ、バルコニーからトリニティ校舎の中庭に着地すると落ちてくるツルギ。同時に、複数の視線。周りを見れば、正義実現委員会に中庭中を取り囲まれていた。ご丁寧なことに、静山マシロを始めとしたスナイパーまで屋根に配置している。私一人のために豪華なこった。大方、ツルギと一騎打ちさせながら援護射撃で追い詰めるという作戦か。…以前ぶちのめした相手が作戦引っ提げてくるのは悪い気がしないな。

 

 

「いーひひひひひひ!戦いだぁ。卑怯とは言ってくれまいなァ?」

 

「あんたとは正真正銘一対一で戦いたいんだがな?」

 

「ふふふふふーうふふふふふふふふふーくははははははははははははっ~!!私もだァ!」

 

 

 まるで獣を思わせる前傾姿勢で駆け抜けるツルギ。散弾を放ちながら銃口で突きを繰り出し、私は転倒して転がって回避、立ち上がりながら咄嗟に銃口を斬り上げることで斬り弾き体勢を崩して頭頂部に刀を叩き込もうとするが、狙撃が放たれ咄嗟に回避したことで攻撃しそびれる。ハスミか…!さらに続く、受けてはならないと直感させる一撃。こっちはマシロだな。厄介な。

 

 

「けっへっへ……げへへへへ……。足りねぇ……まだ足りねぇなぁ!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 体勢を立て直したツルギが荒々しく放った前蹴りが腹部に突き刺さり、蹴り飛ばされる。そのまま両手のショットガンを乱射、散弾で全身を打ちのめされる。

 

 

「ふっふっふっふっふ……死ねぇ!!」

 

「ちいっ!」

 

 

 そのまま脳天に振り下ろされたショットガン二丁を、頭の上で刃に手を添えた刀で受け止める。この程度で負けてたまるか!

 

 

「ぎゃぉう!?」

 

 

 刀で受け止め押し合いながら、足払い。転ばされたツルギは目を丸くし、振り下ろす時間も惜しいので、倒れたところに鳩尾に柄底を叩き込む。そこに、仲正イチカを始めとした地上部隊の掩護射撃。私は納刀して宙返りして回避。狙撃も叩き込まれるので、刀で斬り払いながら着地。この場を突破するべく、脚に力を込めて脱力するように上半身をを大きく前傾させ刀に手をかける。

 

 

「……行くぞ!」

 

「っ!気を付けるッス!…!?」

 

 

 まず、地上部隊の司令塔であろうイチカの背後に強襲。まるで瞬間移動したかの様な速さに面食らっているうちに首に一撃叩き込み、再び地面を蹴り移動。次々と、正義実現委員会を叩きのめしていく。今までも前傾姿勢からの踏み込みは利用していたが、それとはまるで違う動きに面食らう正義実現委員会。

 

なにも無駄にトリニティで過ごしていたわけじゃない。図書委員会の委員長、古関ウイに協力を依頼し、古書館で集めてもらった古武術の書かれた書物。その一つにあった、身体を大きく前傾させ、重力を利用して素早く移動する古武術の技法。「縮地」と呼ばれる多くの武術、武道が追い求める歩法の極致。単純な素早さでは無く、足捌き、体捌き、呼吸、死角など幾多の条件が複雑に絡み合う事で成立する、瞬時に相手との間合いを詰める技術だ。スナイパーには見えているだろうが、地上にいる限り見切ることは…!?

 

 

「……やっぱり一筋縄じゃ行かないか、ツルギ」

 

「いひひひひひひひ……あぁぉ!!くすぐってぇじゃねぇか!」

 

 

 鳩尾に全体重を乗せた一撃を受けてなんでピンピンしてるんだ、とツッコむべきだろうがツルギの場合は別だ。彼女の一番の脅威は、再生能力とも言うべき治癒力。そのタフさは、キヴォトスでも一番だ。倒しきるには、文字通り必殺の一撃でも叩き込む必要がある。以前の私はそれができず敗北した。だが今は…!

 

 

「お前らは離れてろ、邪魔だァ!かぁはははははは!行くぞォ……!」

 

「こいつはどう…だ!」

 

「無駄だぁ!!

 

 

 まるで刀でも握るかのように両の手にショットガンを握り、突撃してくるツルギ。咄嗟に引き抜いた包帯を巻きつけた「ガラクタ」を投擲するも、ノータイムで弾かれ回収する。小手先はダメだよな!弾丸をばら撒きながら振り回されるショットガンの打撃を、わざと体勢を崩して回避。切っ先を地面に突き刺し、それを基点に跳ね上がるようにしてハイキックを顎に叩き込み蹴り飛ばす。

 

 

「んん-ふはははは!もっと、もっとぉ!!」

 

「少しは脳が揺れてくれよ」

 

 

 すぐに上半身を脱力、前傾姿勢をとる。同時に、ぶれるように体を揺らし、加速。ツルギの死角に入り込み、一撃を左腕に叩き込む。反射神経だけで反撃が叩き込まれるが、その時にはすでに反対側に移動。すかさず斬撃を叩き込み、死角に入り斬撃を叩き込むのを繰り返す。

 

 

「っは……ぐおおおおおぉっ!!」

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 

 とにかく、無理やりにでも隙を作り出す。そのために猛攻を叩き込む。一方的に叩きのめされるツルギ。しかしすぐに回復の兆しを見せ、食らいついてくるのを、頭上から、下から、距離をとって一撃、とパターンを変えて叩き込む。一瞬でいい、隙さえできれば…!

 

 

「うくぁぅぁぅぅ……!そっちかぁ!」

 

「っ!?」

 

 

 するとツルギは両手を交差してショットガンを構え、乱射しながら回転。咄嗟に動きを止めてしまった私を捉え、横蹴りを叩きこんできた。肺から息が強制的に排出される。中庭を横切って蹴り飛ばされ、地面をバウンドして転がっていく。

 

 

「うぅぅえぁぁうぉぁ……ひゃはぁ。終わりだァ!」

 

「………お前がな!」

 

 

 だがしかし、蹴り飛ばされた勢いのままに受け身を取り、前傾姿勢で地面を滑るようにして構え、停止。ここしか、ない。そのままその場でズザザザッ!と何度も滑って脚を動かし、加速して中庭を一気に駆け抜ける。斬撃ではなく、両手で握った刀を突きの構えで、叩き込む。

 

 

「来い!ぬぅはははははははは!」

 

「うおおおりゃああああっ!!」

 

 

 そして、渾身の突きがツルギの交差して振り下ろしたショットガンと衝突。凄まじい衝撃波と共に、砂煙が充満して私たちは双方弾き飛ばされる。勝ったかどうかはわからない。だけど、スナイパーの視界からも隠れたこれはチャンスだ。私は砂煙に紛れるようにして、その場を後にするのだった。




ホシノの独白、実質的なトリニティとの敵対の2本立て。ツルギが書いてて楽しかったです。この実ブルアカでもトップクラスに乙女なのが本当に好き。最後の一撃はFGOの沖田さんの無明三段突きをイメージしていただければ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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