VSアビドス。楽しんでいただけたら幸いです。
青い空……をよぎる砂嵐。白い雲……を淀ませる砂煙。照りつける太陽……を反射して熱を溜めている砂塵。うん、くそみたいな天気だな!それでも、ワレワレヘルメット団が警護してくれているおかげで他のところよりも襲撃を受けることないアビドスは、集中して鍛錬したいときに便利だ。
「こんな至近距離からこんだけ撃っといて当たらんこと、あります!?」
「銃口の向く先を観察していれば、当たらないさ!」
今日は焦眉ショウコとの手合わせだ。サブマシンガン二丁で撃ちまくりながら格闘戦を仕掛けてくるショウコの攻撃を、刀で銃身を打って逸らしながら刃を連続で叩き込んでいく。超至近距離の戦いができるこいつは練習相手にちょうどいい。特に美甘ネルと再度対決した際に負けないにも、練習しておくに越したことはない。
「あいたあ!降参!降参ですぅ!ショウコは死にましたー!」
「死ぬな。次やるぞ」
「勘弁してくださいー!?」
そんな、ワレワレヘルメット団の面々と手合わせを繰り返していたある日の事だった。
「はあ?アビドス高校を強襲する?」
「ああ。クライアントからの指令でな。だから我々はここを離れないといけない」
そう宣うのは、ワレワレヘルメット団のリーダーを務めるコートのやつこと久留米フユ。言ってることがわけわからんが、名前も明かしてない依頼人から大金と共にアビドス高校を襲うように指令が下ったとのこと。なんだその怪しさしかない話は。
「だけど、同じ仕事を受けた他のヘルメット団は返り討ちにされ挙句に本拠地を叩かれたらしい。我々も負けるつもりはないが万が一ということもある。そこで……」
「私の力を借りたいと?刀しか振るえないぞ」
「たった一人で我々を壊滅に追いやったのに?」
そう言われてはぐうの音も出ない。そんな怪しさMAXの案件とか関わりたくないのだが……アビドスと言えばあれか、ちょっと前の、盾持ちのちっこいの。………そう言えば結局負けたんだったな。
「わかった。だが私が相手するのは盾持ちのちっこい……ホシノとか呼ばれていた奴だけだ」
「小鳥遊ホシノか?それはありがたい。タンクの奴がいなければ現実的になる」
「ええー!私が相手するって話やねんで!?」
「いや、タンクのノゾムがいなくなったら辛いで…?」
「仕事が楽になるならええんとちゃいますか」
本部ノゾム、内海レイラ、焦眉ショウコが続く。お前らほんと仲良しだな。すると、頭が切れるフユがアビドス学校付近の地図を広げ、丸を書いていく。
「我々が正面から突っ込んで陽動するから、セツナさんは横から強襲してくれ。そうすればおのずと混乱し、小鳥遊ホシノとの一騎打ちにも持ち込めるだろう。ただ、敵にはシャーレの先生がいるらしい。迂闊に傷つけたら連邦生徒会が動くかもだから危害を加えたらだめだ」
「シャーレの先生って今噂の“大人”やねんな?」
「ふふーん!関係ないわ!先生を入れてもたったの6人や!そのうち一番強いのをセツナさんが相手してくれるんなら問題ないやろ!」
「でもカタカタヘルメット団の奴らが返り討ちにあったんなら油断したら駄目とちゃいます?うちら、セツナさん一人に負けてるし……」
「セツナさんレベルがそう何人もいてたまるか。どうしたんです?セツナさん」
「いや、先生がいるなら私の存在がばれるのは面倒だなと思って……ヘルメット、貸してくれるか?」
「多分その刀でばれると思うが……わかった」
予備のヘルメットを貸してもらい、フェイスカバーを下げる。図らずも初戦と同じ格好だな。まあいい。私だという確証さえ隠せれば、あの人に迷惑も掛からないだろう。
「うへへー。昨日の今日で騒がしいねー」
「本拠地潰したはずなのに、別のヘルメット団!?なに、派閥でもあるのあいつら!?」
「はははははは!ワレワレヘルメット団をカタカタヘルメット団と一緒にしないでもらおう!」
「なにヘルメット団なんですかー!?聞こえませんでしたー!」
「ワレワレヘルメット団だ!」
「ん。我々ヘルメット団なのはわかったから、名前は?」
「だーかーらー!ワレワレヘルメット団だー!!!」
なんかフユが遊ばれてる。いや、ワレワレヘルメット団って名前字面だけだとそうなってしかたないぞ……おっ、ノゾムとショウコが戦闘員を引き連れて突撃を始めた。それをホシノと砂狼シロコ、あの時ホシノの元に駆け付けていた黒見セリカが迎え撃つ、のをビルの屋上から眺める。…今か。
「すぅうう……よしっ」
刀を納めた鞘を左手で握り、飛び降りるようにして、壁面を走って駆け抜ける。異変に気付いた先生の指示で後方の十六夜ノノミがガトリング銃をばら撒いてくるも、当たりそうな弾丸は抜刀して斬り弾いて地表にしゃがみながら着地。
「また会ったな、小鳥遊ホシノ…!」
「っ、この間の…?」
抜刀を、盾で受け止められ、弾かれる。その後ろで、私の参戦に気付いたノゾムがショットガンを撃ちながら突進、黒見セリカと銃を鍔迫合うのが見えた。
「うへっ。今忙しいのが、見てわからないかなぁ?あの時みたいに好きにヘルメット団薙ぎ払っていいからさ~」
「残念ながら今回はワレワレヘルメット団の味方だ!」
至近距離で放たれたショットガンを、イナバウアーしながらスライディングして回避。近づいて足払いの斬撃を叩き込み、転倒させて立ち上がり、その首を狙うが、弾丸で弾かれる。確かに決まったと思ったんだがな。
「ん。ホシノ先輩に手を出すのは、許さない」
見れば、何処からともなくドローンを浮かべてミサイルランチャーで戦闘員を薙ぎ払った砂狼シロコが、今度はこちら目掛けてミサイルランチャーを発射しながらアサルトライフルを手にして砂地を駆け抜ける。
「ふっ!」
ミサイルを横から斬り払うことであらぬ方向に斬り飛ばし、真正面から突撃してくるシロコに唐竹割を叩き込むが、その直前にシロコは直進するドローンを掴んで加速、タイミングをずらしながら弾丸を叩き込んできた。
「ぐっ!?」
「備えあれば憂いなし。シンプル」
「そう、だな!」
腰から抜いたハンドガンを構え、突きつける。それにより、一瞬硬直するシロコの顔に、水鉄砲が炸裂。フェイクのために用意していたモデルガン型水鉄砲だ。怯んだシロコの顔に、立ち上がりながら柄を炸裂させ、弾かれ反転した刃を右肩に叩き込む。
「ぐっ!?」
痛みに顔をしかめながらも、左手でドローンを掴んで離脱するシロコと入れ替わるように、復活し盾を拾ったホシノが突撃。虚を突かれ、ショットガンの銃口による刺突が腹部に突き刺さってえづく。咄嗟に刀を振るうも、明かに弱っていて盾に簡単に弾かれてしまった。
「今度こそ、顔を拝ませてもらうよ~!」
「させ、るか!」
それだけは今回だけはだめだ!突きつけられたショットガンの銃口に、頭突き。ひび割れて顔の一部が見えてしまうも、安いもんだ。頭突きの衝撃で痺れたのか顔をしかめるホシノに、素早く十字斬り。盾を持った腕を打ち、顎を斬りつけて脳を揺らす。やった…!そう思ったのだが。
「うへ~。奇跡はそう簡単に起きないんだよ」
なんと、ホシノは盾を取りこぼした脱臼していると思われる左手を遠心力で振るい、その小さな体躯を活かした強烈なアッパーを顎に叩き込んできた。あまりの衝撃で視界が回り、ヘルメットが吹き飛ばされ転倒する。やばっ、顔が割れたのも不味いが、意識が……。
「確保~!」
そのまま、ショットガンの衝撃が腹部に叩き込まれ、私は意識を手放したのだった。
シロコとホシノの連携に敗北。シロコのドローンかなり使い勝手良いと思う。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。