便利屋68とかいうセツナの天敵。楽しんでいただけたら幸いです。
翌日。廃ビルに戻ると、武装の整備をしていたワレワレヘルメット団が歓迎してくれた。
「いやあ、本当に無事でよかった!セツナさん!」
「フユ。お前、私がやられたらすぐ逃げたと聞いたが?」
「い、いやあ……セツナさんがやられた相手に勝てる気しなかったわけで……ノゾムとか説得するの大変だったゾ……」
目を逸らしていたが誤魔化せないと思ったのか、言い訳をつれつれと並べるフユ。……まあ、負けた私の方が悪いしなあ。
「ま、いい。私はお前たちにとっては客将だ。あそこで見捨てるのは正しい判断だよ」
「いや、本当にすまない……」
「こっちこそ、負けてお前らの作戦を台無しにしてすまなかった」
「おっ、やっぱりセツナさん無事だったやん。ふふーん!賭けは私たちの勝ちみたいやなレイラ」
「いやいや、敵に拿捕されて無傷で帰ってくると思わへんよ!?」
「逆張りするから負けるんですよ先輩」
「私で賭けするなお前ら」
なんかフユの背後で勝ち誇るノゾムとショウコ、泣いて台パンしながら悔しがるレイラがいたのでツッコむ。楽しそうだなお前ら。
「ちなみに私は無事じゃない、に賭けてました」
「お前もかフユ。まあ今回は挨拶に来ただけだ。実はな……」
アビドスの用心棒になったことを伝えようとしていると、花火の様な、微かな銃撃音がどこからか聞こえた。
「今のは……」
「アビドス高校の方からだな。私たち以外のヘルメット団はやられたと聞いていたが誰が襲撃しているんダ?」
「……そうだフユ。私、アビドスの用心棒することになったから」
「へー、そうなんですか。……はい?」
「お前たちと敵対したくないから依頼とやらは断ってくれると助かる。じゃ、行ってくるな」
「あ、ちょっと!」
止めるフユたちを振り切って、途中の部屋であるものを回収して屋上まで駆け上がり、手すりも何もないそこで刀に手をかけ前傾姿勢をとる。見据える先には、砂に埋もれたビル群。……ここからなら、こっちの方が早い。
「はあああああああああ!」
駆け抜けながら、それを放り投げ、すれ違いざまに居合斬り一閃。それ……消火器は外からの強烈な圧力に破裂し、大爆発。姿勢を整えたことで斜めに打ちあがった私を空に舞い上げる。そのまま抜刀。刀を振るいながら一回転することで風を巻き上げ、それに乗ってさらに打ち上がって、隣のビルの屋上に着地。跳躍して回転斬りを繰り返すことで、屋上を伝ってアビドス高校に急ぐ。
「……技名とか考えた方がいいか?」
そんなことをぼやいていたら、到着した。アビドス高校に一番近いビルの屋上。そこからひょこっと顔を出すと、傭兵と思われる生徒たちと、対策委員会が銃撃戦を行っていた。いや、それだけじゃない。傭兵に混ざっているのは……便利屋68の四人か。そりゃそうか、ゲヘナの生徒がこんなところまで来る理由と言えば、何か用があるとしか思えない。仕事だったんだろうな。それで、アビドスと気づかず仲良くなってしまったってところか。
「……奢りはしたが、今はアビドスの用心棒だからな。私も仕事はさせてもらうぞ」
ビルの端から宙返り。抜刀してビルの壁面を斬り裂いて瓦礫を作り上げながら、一緒に落下する。その下には、対策委員会目掛けてロケットランチャーを撃とうとしていた傭兵生徒がいた。
「頭上注意だ」
「え。ぎゃぁああああああ!?」
「「「「!?」」」」
傭兵生徒を押しつぶし、そのまま飛び出し、抜刀と納刀を繰り返して傭兵たちの首に一撃与えて意識を奪っていく。便利屋68と傭兵たちは乱入者に驚き、対策委員会は私に気付いたのか嬉しそうな声を上げる。
「それ以上は、ダメだよ?」
「っ!?」
そのまま全員無力化しようと動いていたら、なにかが飛んできて迎撃しようと刀を振るって、後悔する。それは、バッグいっぱいに詰められた爆弾だった。爆発に巻き込まれ、吹き飛んだ先で体勢を立て直しながら飛んできた方向を見て見れば、ムツキが次の爆弾を放り投げようとしていた。
「させるか!」
「うわっ、はやっ……カヨコちゃん!」
「仕方ないか……」
さすがに厄介なので一瞬で懐に飛び込んで斬撃を叩き込もうとしたら、強烈な発砲音と共に衝撃波が襲ってきて、怯んだところを吹き飛ばされる。カヨコか。
「え、え、なんで!?私たちの恩人、トリニティだからアビドスには加勢しないはずじゃ…!?」
「それは理想だって言ったよね社長。やっぱり、噂のトリニティの狂剣……御剣セツナだったんだね」
「あはは!傭兵たち一気にやられちゃった!アルちゃん、どうする?」
「やりますか?やりますね?お任せください…!」
「ちょっと待ちなさい、ハルカ…!」
アルは混乱している様だったが、鬼気迫る表情を浮かべたハルカがショットガンを乱射しながら突撃してくる。私に当たるスラッグ弾だけ斬り落とし、ショットガンと刃を鍔迫合うも、いつの間にか仕掛けられていた手榴弾が足元で爆発。咄嗟に宙返りして回避しながら唐竹割するも、ショットガンを盾に防がれる。
「うちのハルカに……なにしてるのよ!」
「っ!?」
すると、激高したアルがスナイパーライフルを手にして狙撃。咄嗟に身を捩って弾丸を斬り落とそうとするも、なんと弾丸が光り輝いて爆発。特殊弾…!?予想外の爆発に怯んだところに、腹部にハルカのショットガンの銃口を叩き込まれ、ゼロ距離射撃が放たれ、蹲る。こいつら、判断が早いし爆発物を扱うのに躊躇がない。相当場数を踏んでいるな…!
「ごめんなさい、ごめんなさいアル様!アル様の手を煩わせてしまって……アル様の邪魔をするなら例え恩人だとしても、こ、殺します……」
「そこは奢った分ぐらいは見過ごしてくれたら嬉しかったんだけどな?」
私の頭にショットガンを突きつけるハルカにそんなことを言ってみるもどうしようもないなこれ。と、諦めかけた時。頼りになる大人の声が聞こえた。
「“ノノミは斉射で、セリカと一緒に援護射撃!シロコとホシノは突撃してセツナを助けるんだ!アヤネは回復の準備を!”」
「「「「「了解(だよぉ)(しました)!」」」」」
すると銃撃の雨が降り注ぎ、ハルカが怯んだところに飛び込んできたホシノが盾で視界を妨げ、続いたシロコがその影から銃撃。ハルカは咄嗟に回避し、そこにドローンが飛んできて回復キットを落としてきた。アヤネか。
「用心棒なのにかっこ悪いところを見せたな……」
「気にしなくていいよ~明らかに相性悪そうだったし」
「ん。私たちがいる。一人で突っ込まないで」
「突っ込まないと何も始まらないんだがな…!」
なにせこちらはショットガンよりも攻撃射程が短い刀だ。近づかないと話にならない。……だがシロコが言っていることも確かだ。ここは……
「先生!指示してくれ!私みたいなピーキーでも、扱えるならな!」
「“っ! ああ、任せてくれ!厄介なのはこちらを混乱させてくるカヨコだ!セツナは彼女から狙うんだ!ホシノはハルカを引きつけて!シロコはムツキの動きを見張って!セリカはアルの牽制!ノノミは…”」
「傭兵さんたちの殲滅ですね!わかりましたぁ!」
ガトリング斉射が、次々と傭兵たちに炸裂していき、私は納刀してその中を駆け抜ける。妨害しようとしたハルカはホシノが文字通り盾となり、爆弾入りカバンを放り投げようとしていたムツキは、シロコのドローンから放たれたミサイルランチャーで行動させない。
「私を狙うか…!」
「悪いな、先生の指示だ!」
手にしたハンドガンを連射し、適格に私を狙うカヨコだったが、私は抜刀と納刀を繰り返してそのすべてを叩き斬りながら接近。カヨコはたまらず地を蹴り、後退しながら刃で首を狙う私に銃口を突きつける。さっきのか、同じ手は喰わない…!
「覚悟して」
「ああ、覚悟はしたさ!」
放たれる前に、刀を横に構えて刺突。刃先が銃口に突き刺さり、カヨコが驚きに表情を歪める中、銃身が破裂。双方吹き飛ばされ、砂山に叩きつけられる。
「どうだ、攻略してみせたぞ……」
「やられた……ごめん、社長」
「…カヨコ。あとは任せなさい」
そして倒れそうになるカヨコを受け止めた人物を見て、私は刀を握りなおす。セリカの銃撃を掻い潜ってきたか。真打登場、だな。
「恩を仇で返すことになるけど……容赦しないわよ。真のアウトローをなめないで」
「そうしてくれると私も後腐れがなくて助かるよ」
陸八魔アルの構えたスナイパーライフルの銃口と、私の振るった刀の刃がかち合い、衝撃と共に弾け飛び、身構える。あの風紀委員長のいるゲヘナでアウトローを名乗るやつだ、楽しめそうだ。
セツナの弱点=爆発物(たまに利用する)
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