無双ゲーの無双される側に転生したので、ネームド達を避けつつ生きていき…たかったなぁ? 作:ムクロウ
結果は解号式が一位!
キーワード式も人気で、魔法式もなんだかんだ100人くらいはいたので、その辺りも加味して見ました!
これからも機会がありましたら、ご協力よろしくお願いします!
『グラトニー・ジェル』
それは負けイベントのボスとして名を馳せている。
初期から中盤に差し掛かる辺りにしては
80とかなりの高レベルで、
尚且つ魔力を吸収し自身を強化する能力を
常時発動している正にクソボスだ。
シオンの
素の攻撃は全て魔法攻撃となる。
その為『グラトニー・ジェル』とは相性最悪で、
カラクリを知らなければ敗北は必至である。
本来なら主人公達が帝国軍と戦って、
その余波により地下の研究所にいたコイツが暴走。
そのまま広場に這い出てくるってのが
原作での流れのはずだ。
ちなみに負けた後、
その研究所にいたとある化け物によって
『グラトニー・ジェル』はワンパンされる。
今回は逆にソイツのせいで
『グラトニー・ジェル』が暴走し、
俺の影響で変化していた状況により
『アマルガム・ジェル』となっている。
レベルは多分140くらい。
侵食能力と適応能力が追加され、知能がある。
まさに悪魔的強化と言えるだろう。
これがゲームなら台パン物だ。
…まぁ人のことを言えた立場ではないがな。
…………………
こちらに無数の触手が向かってくる。
何度も斬り裂かれたソレは、
既に鋼鉄以上の硬度と
タールのような粘度を持っている。
「シッ!」
それらを一息に斬り裂く。
鋼鉄程度の硬度なら俺の
ただ数が多い上に再生するのが厄介だ。
コレでは近づくことが出来ない。
「フハハハハッ!どうした!
私を殺すのではなかったのか!
羽虫のように飛び回るだけでは殺せんぞ!」
「喧しい上に汚ねぇ口だな。
姿だけじゃなく中身までヘドロたぁ世も末だ」
触手の勢いが増す。
だがまだ遅い。蓬莱山の魔物の方が速い。
「おいおい器が小せぇなぁ!?
体ばかり大きくなっても小悪党のままじゃ
宝の持ち腐れもいいとこだぜ!
おっと悪い、宝じゃなくてゴミだったなぁ!」
「減らず口を!
「事実だからな!」
キレた『
魔法を使い始めた。
ヘドロが浮かび上がった後に20本程の槍を創り、
一斉に飛んでくる。
「ご自慢の汚泥がそのままじゃ効かないから
加工してみたってか!芸がねぇな!」
それら全てを斬り飛ばし、
こちらに飛ぶ飛沫まで夜霜丸が凍てつかせる。
このチートみたいな刀無けりゃ
とっくに致命傷を負ってる。
「ホント、シオンには感謝だな」
「戦闘中に考え事とは愚かだな」
背後に回っていた触手が心臓を狙い…
それをノールックで両断する
「そりゃ余裕だからな」
コイツは身体能力とスペックは高いが、
戦闘経験のない雑魚だ。
オレがアイツを殺しきれないのは事実だが、
アイツも俺を殺せない。
殺せるような手札を持ってないからな。
故に千日手…
「とはならないんだよな」
俺側にはまだ手札は残っている。
使うと被害が出たりデメリットがあったりするが
使えないほどではない。
本気で殺すことだけ考えれば、
コイツは瞬殺できるのだ。
「なんだその見下した目は!
私は人間など軽く超越した…」
「"雷切"」
一刀
うるさい頭を剣圧を飛ばして斬る。
無論再生し始めるが、
その顔は怒りに染まっている。
「実力差も分からないのに
超えれるものなんてたかが知れてるな」
「きさ…」
「"雷切"」
一刀
再び頭部分と胴体部分をお別れさせる。
「確かに純粋なスペックならお前の方が上だが、
使い方がまるでダメだ。
赤子が聖剣を振り回しても
ゴーレムや龍は倒せないだろう?」
「くっ…」
おっ、喋らなくなったか。
まぁ再生もタダじゃない。
オレの疲弊より先に
リソースが尽きたら不味いもんな。
研究者として屈辱を味わってでも
斬られない可能性が高い方を選ぶのは正解だ。
「さて、そろそろ終わりにしよう」
「何?」
俺の剣技がどの程度通じるかは分かった。
剣技自体は通じてるが、有効打になってない。
今俺に足りないのはその剣を
コイツへのダメージに繋げる手段だ。
そろそろ、相棒をちゃんと使おうか。
刃が上を向くように構え、
峰側に左手を添える。
「
刀身から
「さぁ、第二ラウンドだ」
………………
「能力の解放?」
「そうよ」
俺が夜霜丸を受け取って名前を付けた後、
シオンはこの話をした。
「その刀は普段は
冷気を纏ってるだけの普通の刀よ」
「充分おかしいな」
なんだよ冷気を纏った刀って
「でも、その子の力はそんなものじゃないの。
"傅け"この一言を言うことで
真の能力が解放されるわ」
「なんでそんな回りくどいことを?」
そんなことせんでも普段から使えればいいのに
「危な過ぎるのよ」
「今更?」
こんな超兵器渡しといて?
「破壊力だけならともかく、
その子の能力は無差別過ぎるの。
主人以外の全てを認めようとしないから」
…それお前のヤンデレが移ったんじゃ
「あら、何か考えたかしら?」
「何でもありません、マム」
「よろしい」
怖いって、何で分かるんだよ。
「まぁとにかくそういうことね。
実はもう一段階あるけど、
そっちの言葉は自分でお願いね?」
「え〜…」
………………
「…なんだ、それは」
「何って、夜霜丸だが?」
何を馬鹿なことを聞いてるんだコイツ?
「そうではない!
凄まじい威圧感を放つそのオーラはなんだ!?」
あぁ、そういうこと。
「本能でコレがお前の天敵だと
理解しているようで何よりだ」
「何を…」
「斬れば分かるだろ」
そう言いながら、高速で接近し
「フッ!」
斬
相手の腕を斬り飛ばす。
「無駄なことを…何!?」
再生しようとするも、
切り口から
再生が始まらないどころか、
逆にその部分がどんどん失われていく。
「戦闘中に考え事とは愚かだな?」
「っしまt」
斬
咄嗟に顔を庇ったもう片方の腕も斬り落とす。
切り口から再び黒氷が生える。
黒氷は光を反射して青く輝き、
その様子は夜霜丸の刀身とよく似ている。
「ぐぅ…!?何だコレは!?」
「さぁな、自分で考えろ」
必死に黒氷を壊そうとする
『アマルガム・ジェル』を見下す。
さて、夜霜丸の真の能力は
『触れた箇所に耐久力に優れ、
魔力吸収・熱吸収能力を持つ黒い氷を生み出す』
というものだ。
これは魔法ではない為魔力を使わず、
『アマルガム・ジェル』に吸収もされない。
耐久力は折り紙付きで、
シオンが本体ならともかく、
破壊するのはほぼ不可能に近いと言うレベルだ。
さらには『アマルガム・ジェル』は
半分魔力体の生物であり、
魔力吸収は生命力を奪われるのに等しい。
「貴様ぁ!」
おっと、肉体ごと黒氷を切り離して再生したか。
「死ね!」
叫びながら触手を伸ばしてくるが
「学習しろよ、無駄だ」
全て刻み、刻んだ破片と切り口が黒氷に包まれる。
「ハァ…ハァ…」
「どうした?随分と息が荒いな?」
まぁこの辺りの温度が急激に下がってるせいで、
生物は動きづらくなってるからだけど。
吸収能力は生えた対象から、というわけではなく
常時周囲から無差別に吸い上げ続ける。
例外は使用者自身のみだ。
その為長時間使うと周りへの被害が甚大だ。
任意で溶かせるが、
戦闘中にそこまで気にする暇は無いので
速攻で決めるべきだろう。
「"雷切"」
「グゥッ!?」
『アマルガム・ジェル』の体の至る所に
斬撃が奔り、黒氷が生える。
"雷切"は"鳴神"と比べて威力に劣り、
"雷雲"と比べて手数に劣ると使い所が無かった。
だが、それらにはない特徴があることを
魔物の群れに殺されかけた時に気づいた。
"雷切"はどんな体勢でも放つことが出来た。
また隙が少なく、連発も出来る。
さらに死闘を繰り返した結果、
気付いた時には剣圧が威力を持ち
間合いの外側を斬り裂いていた。
射程は大体5m前後。
まさかほとんどの魔法よりも剣技の方が
リーチが長くなる日がくるとは思わなかった。
また、何故かは全く不明なのだが
"雷切"の剣圧には夜霜丸の能力が乗る。
おそらく魔法破壊効果が悪さをしているのだが、
便利なのであまり気にしていない。
「ウ…ウォォオオオ!」
『アマルガム・ジェル』は雄叫びを上げながら、
体に生えた黒氷をその部位ごと切り離す。
「頑張るな〜」
「ハァ…ハァ…」
予想以上の粘り具合だ。
このまま適応されても困るし、
そろそろ仕留めよう。
「"雷切"」
八刀
再び剣圧を飛ばしつつ、高速で接近する。
侵食や触手は黒氷への対処に手一杯で使えない為、
近づく際の障害はもう何もない。
そのまま懐に入り、
人なら心臓がある場所に刀を突き刺す。
「何を」
「
氷爆
突き刺した刀を中心に、
黒氷で出来た巨大な蓮華が花開く。
「ギャァァッ!?」
その花は爆発的な勢いで魔力を吸い上げ、
『アマルガム・ジェル』はどんどん縮んでいく。
解放状態の夜霜丸を持っている時に魔法を使うと
何故か魔法としての効果はなくなり、
代わりに魔法によって違う性質の黒氷が生える。
その速度は通常の約7倍。
元々の吸収速度はあまり速くはないが、
7倍ともなるとかなりやばい。
コレらの力は強力だが、
こちらの魔力をバカ喰いするのが難点だ。
「グ、ォォオ…」
「っておいおいマジかよ。
流石にしぶといにも程があんだろ」
『アマルガム・ジェル』は極限まで魔力を吸われ、
瀕死の状態になりながらもなんとか
「こうなっては仕方ない…!
せめて貴様を道連れにしてやろう!」
『アマルガム・ジェル』が何かを呟く。
その体に魔法陣が浮き出る。
あれは確か
自分の知性を犠牲に能力を強化するつもりか!
「"雷切"!」
即座に剣圧を飛ばして魔法を破壊しようとしたが
一瞬早く魔法が起動し、
『アマルガム・ジェル』が
東京ドームの半分以上を占めるほどに巨大化する。
「…面倒なことになった」
俺は飲み込まれる前に飛び退きつつ、
顔を顰めながら思考する。
アレにはもう知性がない。
実際先ほどまではあった人型の部分がなくなって、
蠢くヘドロの塊のようになっている。
あの程度の相手なら俺は死なないが、
あのデカさは殺しきるまで相当時間が掛かる。
その間に出る被害を考えると、
かなり不味いことになっているだろう。
「…仕方ない」
使っても使わなくても被害が出るのなら、
まだ被害が少ない方を使うべきだろう。
『アマルガム・ジェル』から視線を外し、
戦闘開始からずっと感じていた気配の方を向く。
「いるんだろ、出てこい」
「は、はい!」
出て来たのは何の変哲もない一般人だ。
大体20代前半くらいの男性で、
右手にはカメラを持っている。
おそらくは配信でもしてるんだろう。
今のオレの姿は鬼だし、
本能を解放してるから紅の魔炎が吹き出し、
さらに夜霜丸からも
めちゃくちゃ恐ろしい為、
膝が完全に震えている。
「今からこの辺りの連中に避難を呼びかける。
危険性も範囲も
さっきまでとは比べものにならないから、
さっさとテメェも逃げとけ」
この研究所はかなりデカく、
大体東京ドームより二回りほど大きい。
その為黒氷の影響の外に隠れて居られたようだが、
アレを使うと安全な場所など無くなる。
「で、でもどうやって逃げれば…」
「そこの棚にある道具は空間転移の魔道具だ。
数は少ないが、それで安全な場所に飛べ」
研究所なだけあって、
そこら中に色んな魔道具が転がっている。
責任者は皆ヘドロの中だし、
何に使おうが構わないだろう。
「っと危ねぇ!」
「ヒッ!?」
唐突に一般人に伸びて来た触手を
斬り飛ばす。
「コレに懲りたら、
危険地帯からはさっさと逃げること、
分かったか?」
「はい…すいません…」
ちゃんと反省してるなら大丈夫そうだ。
「あぁ、そうそう」
「な、なんでしょう?」
魔道具を発動しようとする男に声を掛ける。
「帝都の北東に孤児院あるだろ?」
「ありますが…」
「そこに伝言を頼む」
ここまで騒ぎが長引くと軍が出てくるからな。
流石に顔を出すことが出来ないので、
伝言だけ頼んでおくことにした。
「"死なずの兵隊、未だ進む"と言っといてくれ」
「は、はい?」
「頼んだ、ぞ!」
「えっ、ちょ待t」
聞き返してくる男を無視して
魔道具のスイッチを押し、
危険地帯から脱出させる。
次に俺は別の魔道具を拾う。
コレは確か超強力な拡声器だ。
ここは地上まで300mはあるが、
これなら穴付近には声が届くだろう。
「死にたくないやつは!
今すぐに中央広場の付近から避難しろ!
全力でな!」
拡声器を使いながら
落ちているグレネードを拾い上げ、
全力で上に投げて地上付近で爆発させる。
コレで逃げたい奴は逃げた。
死にたがりは死ねばいい。
その辺りまでは面倒を見れない。
「…よし、これで懸念事項は片付いた」
ゆっくりと向き直ると、
『アマルガム・ジェル』は大穴から出ようと
壁を登っていた。
「おいおい大人しいと思ったら逃走中かよ。
まぁ天敵がいたら野性の獣は逃げるか」
どうやら黒氷に恐れをなしたらしい。
確かに身体スペックは向こうが上で、
俺が追いつくのは難しい。
だが、逃すわけないだろ?
夜霜丸を地面に突き立て、柄を握る。
頼むぜ?相棒
「
今だけは、俺達の時間だ
「
ヒリュウの秘密その①
好きな花 紫苑