無双ゲーの無双される側に転生したので、ネームド達を避けつつ生きていき…たかったなぁ? 作:ムクロウ
ツバキ・アケボノ
原作においての初登場は、
前にも言った通り『グラトニー・ジェル』だ。
主人公達が負けた後、
穴から出て来たツバキが拳でワンパン。
そのままどこかへ行ってしまう。
まぁこれは主人公を助けたのではなく、
『グラトニー・ジェル』が
帝都を破壊したから命令されただけだ。
次に出会うのは終盤で、
主人公が辿り着いた時
ツバキはシオン(
本気の殺し合いをしている。
そこでルート分岐が発生しており、
何もしていない状態だと、
そのままツバキは死んでしまう。
とあるクローン兵を仲間にしていると
シオンに支配の解除方法を教えて
ツバキを救える。
この時既に研究所は
『グラトニー・ジェル』の暴走により
完全に崩壊している為、
今回のような事態にはならないのだ。
その後はツバキは操作キャラに加わる。
彼女を一言で表すなら『脳筋』である。
魔力だけなら
魔法がとことん苦手なのだ。
魔力循環による身体強化の倍率が異様に高い為
殴る、蹴るがメインの攻撃手段となり、
その戦闘能力は作中でも屈指の実力者だ。
ちなみにこんな彼女が捕えられた理由は
酒に睡眠薬を盛られたからだ。
鬼は三大欲求にとても正直であり、
睡眠薬や媚薬の類は非常に効果的だ。
そのまま制御装置を埋め込んでしまえば、
後はどうとでもなるというわけだ。
…何故か女として求められた事は無かったらしい。
多分研究所の連中はユニコーンだったんだろう。
ちなみに帝国貴族とかが
そういう行為をすることはない。
何故なら帝国の女帝がそれらを嫌っており、
また諜報能力に長けているからだ。
…なんか頭痛がする。
何か引っ掛かりを覚えるような?
とにかく俺はそんな化け物と瀕死で戦うのだ。
…まぁどうにかなるだろう。
後が怖いが、な。
…………………
顔面を破滅が掠める。
一瞬前に俺が居た空間を暴力が蹂躙する。
刀で受け流せば、
受け流した腕が鈍く痺れる。
「どうしたぁ!
威勢が良かったのは最初だけかぁ!?」
「口より先に手を動かせよ!
結局俺に一発も当てられてない癖に
イキるのは情けねぇぜ!?」
「言うじゃねぇか死に損ない!」
「お互い様だろ!」
空中での近距離戦闘。
状況は依然として劣勢。
笑っちまいそうなくらいに最悪だ。
実際笑いが湧いてきて仕方ねぇ。
「ハハハハハッ!最っ高だぜ!」
ツバキの繰り出した蹴りを
片手で乗り越えるように受け流し、
受け流しきれない衝撃を使って
横倒しのまま回転。
「そらよっ!」
擬似ラインハルト流"旋風落とし"
強烈な回転の力をそのまま叩きつけるようにして
ツバキに斬り落とす。
「チィッ!?」
ツバキは咄嗟に身を捻るが、
蹴りを受け流した直後の為避けきれず
腕に掠り、黒氷が生える。
「随分とアクセサリーが増えたな。
久しぶりのデートで浮かれたかよ?」
「女がせっかく着飾ってやってるのに
ナンセンスなやつだな」
「そいつぁ失敬、黒色がよく似合ってるぜ?
俺みたいなモブに付けられたことを除けばな!」
ツバキの全身には至る所に刀掠った傷があり、
その全てから黒氷が生えている。
逆に言えば直撃は当てられてない。
何発かデカいのぶち込めれば
救う為の道筋が整うんだが…
ふと後ろを見る。
戦闘しながらかなりの距離を移動したが
まだ戦闘の余波は俺がいた森にまで
届いてないらしい。
「アタシだけ貰ってるのも悪いからな!
お返し…だ!」
魔力球を大量に創り出し、
一斉に蹴り込んでくるツバキ。
「"雷切"!」
八刀
その全てを剣圧で斬り飛ばす。
"雷切"の魔法破壊能力はもちろん剣圧にも乗る。
「…おいおい、お前のどこがモブだよ。
シオンですら刀ぶつけて相殺したんだぞ?」
「知らねぇなぁ!
俺に魔力での遠距離攻撃をする奴が悪い!
今度はこっちの番だ!
詠唱とともに円刃を4つ生み出し、
ツバキに向かわせる。
「"夜雀"!」
四撃
その全てをツバキが叩き壊す。
「そっちこそ黒氷を簡単に砕くんじゃねぇ!
シオンですら厳しいんだぞ!」
「そりゃアタシだからな!」
そのまま拳を突き込んでくる
「あぁそうかい!納得したよ!」
全力でそれを躱し、距離を取る。
「どうした!今更ビビったんじゃ…」
「俺はさ」
「…?」
言葉を遮られて不思議そうなツバキに
嗤ってみせる。
「タイマンだ、なんて言ってねぇぜ?」
「何を…ゴァッ!?」
聞き返そうとしたツバキの頭が跳ね上がる。
顎に相当な衝撃を受けたようにふらつく。
「"雷切"ッ!」
「グォッ!?」
その隙を逃さず剣圧を飛ばし、
袈裟懸けにツバキを切り裂く。
大きな黒氷が生える。
「サンキュー、サーシャ」
後方に向けてグッドサインを送る。
1.6km先の森にて、光が瞬く。
俺があのコテージの位置が分かったのは
原作でもあそこに入るシーンがあるから。
帝都から脱出した後のレギン達の隠れ家として
あのコテージは利用されている。
こんだけ派手な戦闘をしてれば、
絶対に支援は来る。
だから俺は鬼眼を使って
森の3人の魂の動きをずっと探っていた。
ぶっちゃけ魔力はもう切れてるから、
この援護はかなりありがたい。
「…っ随分なご挨拶だな?おい」
黒氷を砕いて動きやすくしつつ、
ツバキが青筋を浮かべながら話す。
流石鬼、人間と違って頭ぶち抜かれても
魔炎の防御で大した傷にもなってねぇ。
「気に入ってくれたかよ?
渾身のサプライズだぜ?」
「あぁ気に入ったよ。
だが二度目はいらねぇな!」
そういうと、
森目掛けて魔力球を飛ばす。
「"雷切"」
それを剣圧で切り裂くが
「そうするよなぁ!」
「チィッ!」
それに合わせて放たれた蹴りを間一髪で躱す。
この場面を見せられたサーシャは
援護を飛ばせないだろう。
さっきの奇襲以上の効果は出せないし、
それ以上に自分を庇う俺に被害があるからだ。
「こっからは正真正銘タイマンだ!」
「いいぜ!乗ってやるよ!」
ツバキはそのまま後ろ回し蹴りを放つ。
それを体を仰け反らせて避け、
顎目掛けて蹴りを入れる。
「おっと!」
簡単に躱されるが、
その隙に下側に回り込みつつ納刀。
「"鳴神"」
躊躇なくぶち込むが
「危ねぇっ!?」
これも発動を見切られ躱わされる。
「"裏燕"!」
そのまま裏拳が飛んでくる。
俺は"鳴神"の後隙から復帰するも
躱しきれない為
「ッ…まだっ!」
強引に角で吸収した魔力で
黒氷の薄壁を何重にも作り、
その上で夜霜丸を防御に回す。
それらは破壊されるものの蹴りの威力を落とし、
「グッ!」
体が吹き飛んだものの
命まで吹き飛ぶ事はなくギリギリ耐える。
「ゴフッ…!」
吐血するものの、体はまだ動く。
「ハハッ…ハハハハハッ…!」
笑みが溢れる
鼻につく自分が焼ける焦げたような匂い
命が、魂が焼き焦げる感覚
ここでもう終わってもいいと、
本気で思える事なんてそうあるものじゃない。
「感謝しなきゃな…運命に…!」
2回も全てを投げ出す機会を与えてくれたことを!
「アンタ…ヤバいね…
どんだけ狂ってるのさ…」
ツバキが俺の表情を見て
冷や汗を流しながら引き攣った笑顔で言う。
「おいおい、冷めた事言うなよ!
こちとらまだまだ足りねぇんだよ!
ついてこれねぇってなら…」
瞬速
ツバキの後ろに一瞬で回り込む。
「死ぬだけだぜ?」
「…ッ!?ガゥッ!?」
ツバキはその速度に付いてこられず斬られ、
右の掌が宙に舞う。
他の傷と比べても大きい黒氷が生える。
「チッ、ミスったか」
足が破裂した衝撃で太刀筋がズレた。
本当は右腕を根本から切り落とすつもりだったが
無茶苦茶な踏み込みをした影響で
足の方が耐えきれなかったか。
「痛ぇな…ってお前!?」
手に生えた黒氷を砕き、
掌を生やしつつ振り返ったツバキが
思わず目を見開く。
「ヒリュウッ…!?」
シオンが思わず悲鳴を上げる。
まぁ気持ちは分かる。
俺の右足は今つま先から二の足まで
骨が剥き出しになっている。
ここまで肉体が無くなると
視界が霞む。
今にも死にそうで
まさに消えかけのロウソクだ。
…だから最終手段を使うことにした。
「気分…悪いと…思うけど…よ」
「「?」」
「我慢し…て…くれよ」
そうして俺は
「ンア…ムグッ…」
「「!?!?!?」」
切り落としたツバキの掌を喰らう。
「な、何をしてるのヒリュウ!?」
「お、おいおい腹壊すぞ!」
何故かツバキまで心配してるが、これで
「ッ…!ガァァァアアッ!」
角が疼き、血が騒ぐ。
心臓が波打ち、目の前が真っ赤に染まる。
傷口が熱を持ち、高速で再生する。
その代償のように罅割れが広がる。
「っあぁ…やっぱ原液はヤベェな。
一瞬理性持ってかれかけたわ」
ある程度持ち直して首を振りつつツバキを見ると
血の気の引いた表情をしている。
「お、お前まさか…」
「ん?あぁ、気づいてなかったのか?
そうだよ。俺は鬼人だ」
「…ってことは私を食ったのか!?
今のだけじゃなくてか!?」
「そうだな。なんならお前の肉体は
違法薬物として世界中に広まってる」
「最悪じゃねぇか…!?」
頭を抱えるツバキ。そりゃそうだ。
俺だって自分の肉体がパック詰めされて
売られてるなんて考えたくもない。
「あぁもういい!仕切り直しだ!」
「そうだな、続けようか」
今の俺は死にかけよりは少し回復している。
鬼としての最悪のデメリットを不完全ながら
クリアしたことにより、
俺の肉体はギリギリのところで命を繋いで
戦闘を続行出来そうだ。
ツバキの方もまだ元気そうだが、
内部はかなりキテるだろう。
互いにこれが最後の一撃となる。
「「…」」
どちらともなく同時に構える。
俺は居合の構えを、あちらは掌底を構える。
一瞬の間
抜刀 一歩
「"鳳掌"」
「"鳴神"」
一閃 豪撃
全てを打ち砕く一撃をその上から両断する。
そのまま首に到達し…
斬
「ッ…ツバキ…」
シオンが悲痛な声を漏らし、俯く。
"鳴神"を喰らったのだ。もう生きては…
(すまん、シオン…
ってアレ?」
「え?」
シオンが顔を上げると、
腕は真っ二つだが、生きたままのツバキがおり
「なんで斬られてない…?」
腕を再生しながら
ペタペタと自分の首を触っていた。
「ツバキッ…!」
「うぉっ!?危ねぇぞシオン!
アタシは操られて…」
思わず抱きつくシオンを慌てて離そうとするが…
「…あん?操られて…ない?」
いつまで経っても、
ツバキの体はシオンを殺そうとしない。
「斬りたいものだけを斬り、
他の物には傷一つつけない…
ってのが理想だが、
流石に死にかけの極限状態でも
頭を通る瞬間だけそれを成すのが限界か。
速度も遅ぇし、やっぱ雷欲しいな…」
そうぼやきつつ、納刀する。
「何を…」
「テメェの頭に繋がってた魔力を
爆発装置の因果ごとぶった斬った」
理屈としては簡単で、
夜霜丸の黒氷が吸い込んだ魔力を分析し
異物となる魔力を発見。
それを認識した状態で
制御装置と魔力の因果を切り裂き、
相手に情報収集や制御権、爆破の隙を与えないまま
ツバキの支配を斬ったのだ。
「まぁとにかくそういうことだから
お前は自由!適当に救ってやった!
今からシオンに怒られて反省して…」
俺はポカンとしてるバカどもに笑いかける。
「さっさと幸せになってろ!」
そう言い残して、さっさと地上に降りる。
旧知の仲だ。
話したい事だっていっぱいあるだろう。
邪魔するべきじゃない。
それに…
ーーカラダヲヨコセ
「ッ…!」
もう、限界だ。
………………
「…もう、ヒリュウはいつもそうやって…」
私は少し恨みがましい目線を
ヒリュウの背中に向ける。
横を見れば、
熱に浮かされた表情でヒリュウを見るツバキ。
あぁ、これは堕ちたな。
同じ人を好きになった身として分かる。
というかあそこまでされて
惚れないほうがおかしい。
「ねぇツバキ」
思った以上に低い声が出てしまった。
ビクッと震えたツバキが、
恐る恐るといった感じでこちらに振り返る。
「し、シオン。これはだな…その…」
「あぁいいわよ。言い訳はいらないわ。
好きなんでしょ?ヒリュウのこと」
そう言うと、ツバキは顔を真っ赤にする。
こんな表情、
長い付き合いの私でも見たことがない。
全く、ヒリュウは人を助けてるはずなのに
罪深さが上がっていくのは何故なのだろう?
そう思いつつ、
ツバキの
あまり知られていないことなのだが、
白い髪は自分以外の何かから
強い干渉を受けている証だ。
ヒリュウのあの髪も、
ウィルカとかいう子もそうだろう。
「あのね。別に私は怒ってないのよ?
ちょっと嫉妬はしちゃったけれど、
やっぱりアナタは親友だから」
「シオン…」
少し涙ぐむツバキ。
小さい頃はよく泣く子だった。
「だからね。提案なんだけど」
「?」
「私の家に帰ったら、
彼、一緒に襲っちゃいましょ?」
「うぇっ!?な、何でそうなった!?」
驚くツバキに話を続ける。
「だって彼、絶対他にも堕としてるし、
コレからも増えるに決まってるわよ?
だったら早めにマーキングしといて、
牽制するなり
序列決めるなりしとかなきゃでしょ?」
「…独占とか考えなかったのか?」
考えなかった訳じゃない。
というか今でもとても独占していたい。
だけど…
「それはヒリュウの生き様を、
私の大好きな人の生き方を縛ってしまう。
あの太刀筋を曇らせるのは、
例え私自身だとしても許せないのよ」
「…変わったな。お前」
「恋をするってこういうことよ?
貴方も分かったでしょ?」
「…まぁ、そうだな」
少ししんみりした雰囲気で、
もう一度ヒリュウの方を見ると
「…あら?」
既に姿はどこにも無かった。
「…ねぇツバキ。
ヒリュウどこに行ったか知らない?」
「ん?…本当だいねぇ。いつの間に…」
「…なんでいなくなったのかしら?」
別に離れておくだけでいいはずなのに…
何をそんなに急いでいるの?
「…ハッ!?
おいシオン!一つ聞きたい事がある!」
「な、何!?」
何かに思い当たったのか、
ツバキが冷や汗を流しながら聞いてくる。
「アイツは今回私の手を食ったが、
それらしいことを前にもしてたか!?」
「い、いえ、してないわよ?」
アレは私も驚いた。
でも、何故そんなことを?
「…ヤバい…!ヤバいぞ…!」
ツバキの顔色がどんどん悪くなる。
「な、何がダメだったの!?」
「いいか!?鬼人になるっていうのはな!
ーーーーーー!」
…その話は、私にとって最悪の真実だった。
「彼を探さなきゃ…!」
「急げ!間に合わなくなるぞ!」
お互いに別々の方向へ加速する。
「ヒリュウ…!」
………………
「ハァ…ハァ…ハァ…」
罅割れが広がる
砕けた『自分』が剥がれ落ちる
『俺』が壊れていくのが分かる
ーーハラガヘッタ
「ぐぅっ…!?」
失った左目の虚の中から
別の何かがこちらを覗いている
「畜…生め…」
ツバキの肉を摂取したのがいけなかった。
アレがなければ、まだ抑えも利いただろう。
だが、もう遅い。
壊れる 壊れる 壊れる
認識が 意識が 肉体が
俺で なくなる
俺は『オレ』に
表が裏に
あらゆるが剥き出しになっていく。
「…ハッ」
思わず自嘲する。
偉そうなことを言って、結局この様か
罅割れは大きくなり、
ドス黒い何かが外に這い出てくる。
ーーオマエハオレデ、オレハオマエダ
頭から声が響く。
もう抑えられそうにない。
俺の鬼としての本能
ーーミチルマデ、クワセロ
・ツバキの装置について
ツバキの装置は魔力を通じて相手の行動に制限をつけたり、ある程度強制させることができ、今回は「帝国所属以外の強者を殺す」と「帝国に故意に危害を加えない」という命令が下っていた。
・ヒリュウの秘密 その③
実は圧倒的に女顔(綺麗寄り)