無双ゲーの無双される側に転生したので、ネームド達を避けつつ生きていき…たかったなぁ? 作:ムクロウ
Aルートとの分岐点は空亡がどれだけ力を使ったか。
ヒリュウの人格はAルートは善人の性質が大きく、
Bルートは狂人の性質が大きくなっていきます。
発狂は狂人にとって最も縁遠い行為である
俺の作り出したこの魔法には、
明確な弱点がいくつか存在する。
一つ目、
併用しようとすると脳が焼き切れる。
魔力循環が魔法じゃないからこそ併用しているが、
これが人間のままなら身体強化魔法と併用できず
二つ目、
これは氷雷という概念に
黒氷という概念を混ぜるという行為が
異次元の難易度を誇っているからだ。
第一開放なら夜霜丸がなんとか調整して
黒氷を混ぜないようにしてくれるが、
第二解放だとそこまで細かい調整は出来ない。
そして最後、自身の肉体すら凍てつかせる。
これは純粋に俺の練度不足であり、
氷雷を纏うという行為に制御が追いつかず
肉体にも影響を及ぼしてしまっている。
また本来雷魔法の身体強化は
神経部分の強化が真髄であり、
反応速度と思考加速の強化倍率が
他の強化より非常に高いのが特徴だ。
だが俺の氷雷はまだそこまでの制御が出来ず、
神経に使用すると脳ごと凍りつくので、
まだ凍りついても問題ない
身体の強化のみとなっている。
とまぁ散々酷評したが、
氷雷による身体強化は普通の雷魔法よりも強力だ。
そのメリットがあるだけで
ある程度の問題は帳消しとなる。
特に今回の戦いにおいては
デメリットを享受してあまりあるメリットだ。
さぁ、殺し合おう。己の全てを賭けて
………………
霞む視界の中で剣を振るう。
どれぐらい打ち合っているのか?
何十?何百?何千回かもしれない。
刀を握る腕が凍りつき、
音速を超える速度に氷が耐えきれず砕ける。
その度に激痛が奔るが、
今はそれすらも遠のく意識の気付け代わりにして
空亡へ全神経を向ける。
「"雷切"!」
斬撃
凍てつく斬撃を乱れ撃つ。
防がれても避けられても撃ち続ける。
今の俺の遠距離攻撃はこれしかない。
凍りついた体が悲鳴を上げるが関係ねぇ!
手数がねぇなら撃ち続けろ!
対処方法確立されたらそれで終わりなんだよ!
「シィッ!」
「ガァッ!?」
足の止まった空亡をぶった斬る。
凍てついた体が瞬時に再生するのを見ると
内心嫌な汗が流れる。
余裕なんて有りはしない。
氷雷の制御は常に紙一重!
知覚速度を強化できないから
技の型すら維持するのは綱渡り!
「チィッ!?」
空亡の視界に入らないよう、
空中を足場に縦横無尽に跳び回る。
体が音速を超え、嫌な音が鳴る。
虚勢だっていい貼り続けろ!
俺が動けなくなるのは時間の問題だ!
それを悟られるな!
どこまで無理をしてでも限界を越え続けろ!
練度が上がっていると誤認すれば
アッチから勝負を着けに来る!
時間は俺の味方だと思わせろ!
それしか俺に勝ち筋はない!
精神体が摩耗して死が近づいた影響で
少しハッキリとした意識で思考を回す。
戦闘開始から結構な時間が経ってる!
鳴神をぶち込みたいが…
「
古神奉納 "
「"雷雲"!」
切る
黒い光を切り捨て
聖なる呪いを断絶し
無数の刃を斬り払う
攻撃が激し過ぎて近づけやしない!
黒い光線を切り飛ばしたと思えば、
地面から迫り来る呪いの茨を叩き斬り、
舞い散る刃の花吹雪を打ち払い続ける。
城塞のごとき鉄壁とは言うが、
攻撃が攻城兵器よりもエグ過ぎる!
そもそも俺のタケミカヅチ流は
再生能力持ちの化け物とは本来相性最悪だ!
実際『アマルガム・ジェル』相手に
俺の剣技は対して通用してなかったしな!
「見えてんだよ!」
背後から迫っていた茨を氷雷が捉え、
即座に両断する。
切断した全てが粉雪と化して舞う。
美しい光景だが、下手すりゃ俺もこうなる。
「…おいおいコレも斬るのかよ。
流石に強くなり過ぎだろうよ」
「テメェがそれを言うか!
さっきからポンポン新技繰り出して来やがって!
総動員にも程があんだろ加減しろ!」
急加速し空亡に斬りかかる。
それを血で出来た剣で受ける空亡。
氷雷によって凍りつくはずの血は、
逆に氷雷を燃やし始める。
見せつけるかのように出しやがって!
こちとら持ち札3枚だぞ!?
山札から無限ドローするテメェとは
選択肢の幅が違げぇんだわ!
「まぁいい…そろそろ本気で殺す」
マズッ!?
「
全力で飛び退いた瞬間、
すぐ目の前の地面が腐り落ちる。
「…おいおい、性根が腐った覚えはないぞ」
「綺麗な薔薇には棘がある…
と言ってもコレはやり過ぎだろうとは俺も思う」
腐り落ちてグズグスになった中心で
鮮烈な美しさを誇る真紅の薔薇。
触れたもの全てを腐り落とす災厄の呪いだ。
「行け」
空亡の声と共にそこら中に荊が生える。
それらはこちらに急速な勢いで伸び、
腐り落とす薔薇を咲かせ続ける。
「殺意が高いなおい!」
防御という選択肢を即座に捨て、
空中を跳んで三次元機動で避ける。
「俺に勝ち星を譲るとかさぁ!
そういう気はねぇのかよバカ兄貴!」
「悪いが俺も本気なんでな!
お前が強くなり過ぎる前に仕留める!
このタイミングで止められなきゃ
一切止まらないのがお前達の共通点だ!」
赤薔薇の荊が高速化してこちらに迫る。
どうやら誘導されていたらしく、
逃げ道が全て荊で潰されている。
「クソッタレェ!」
これは避け切れない。
それならば!
狙うは赤薔薇じゃなくその手前!
抜刀!
「"鳴神ィィィ"!」
一閃
俺のすぐ側の空間を荊が通過する。
そのまま真っ直ぐに突っ込み、
包囲網から脱出する。
「っマジか!?」
赤薔薇を直接切れば刀が腐る。
それでも赤薔薇自体は切れるだろうが、
これは無限に生えてくる。
だから俺はその間にある空間を斬り、
軌道をずらしして荊の猛攻を躱した。
「っちょっと掠ったか!」
完全にずらし切ることは出来ず耳に掠った。
体全てが腐り落ちる前に
「ぐっ」
右耳を切り飛ばす。
ここは精神世界である為、
肉体の欠損は精神の消耗だ。
大半が欠損しても死にはしないが、
気絶することは免れない。
そしたら肉体の主導権は空亡が握るだろう。
「曲芸はいいが、荊は消えてないぜ?」
「知ってんだ、よ!」
痛みに顔を歪める暇もなく、
再び三次元機動に移り赤薔薇を躱す。
さてどうする。
割と詰みというかなんというか、
現状打つ手が無い訳だが。
いや、一応解決策はある。
だがコレをやるとシオンに怒られるというか
泣かれるのであまりやりたくは…
…なんで俺ここまで来て
そんなこと気にしてんだろ?
うーん、やっぱアレか?
理性的に振る舞うのがあんま良くねぇなやっぱ。
よし、シオンのお叱り覚悟で禁止事項を破ろう。
足を止める。
「…?どうした?」
「やめだ」
「あん?諦めt」
「まともなフリは、もう止めだ」
前にしゃがみ込み、地面に左手を突く。
右手の夜霜丸を逆手に構え、
歪なクラウチングスタートの体勢を取る。
タケミカヅチ流には三つしか技がない。
故に俺最大の課題は常に手数不足だ。
修行中にも何度もそれで追い詰められた。
技を作るか?
いや、形を無理に崩せば逆に弱くなる。
なら、考え方を変えよう。
タケミカヅチ流は
なら、解釈を再定義して
「…タケミカヅチ流
「…泣かれるから止めたろ、それは」
「あぁ、だから怒られる為にも…」
空亡を睨みつける。
「テメェを超えて行かなきゃなぁ!」
「そうかよ!」
空亡が放つ光線や荊、それらが
「
「っ…
「"雷雲"!」
切り刻む
顔を、肩を、腕を、脚を
視界に写る全てを細切れにする。
万象一切我が身に触れず
最初は俺はコレを防御と捉えた。
だが少し思った。
動く前に切る 考える前に
触れることを可能とするあらゆる要素を刻む
そうすれば結果は同じだ。
「ブッ!?ガッ!?テメッ…このっ!?」
刻め刻め刻め刻め刻め!
「"玲瓏"!」
その拳をギリギリで躱す。
頬が切れ肉が裂けるが無視して刻め!
細切れの肉片は即座に凍てつき粉雪となる。
「ガァァァァアアアッ!」
殺す!
殺す殺す殺す殺す殺す!
「いい加減に…しろっ!」
空亡の右腕が変形し、巨大な顎に変わる。
「
それが閉じようとした瞬間
「ル゛ァ゛ッ!」
その上顎に被せるように刃を突き刺す。
そこに起点に棒高跳びの要領で
加速して間合いを詰め
「カ゛ア゛ァ゛ッ!」
「ぐぅっ!?」
そのまま刀を横薙ぎに振るう!
「っ
吹き飛んだ空亡が放つ荊の迷路を
「"雷切ィ"!」
剣舞
刃を合わせてすり抜け続ける。
直接は触れず、
氷雷と赤薔薇がぶつかり合う際の反発力で
体を最低限逸らしつつ加速する。
万象一切我が身を捉えず
一回目に俺が選んだのは遠距離からの連射だった。
攻撃を受けない位置から放つことで
相手の攻撃が自分を捉えることはなくなる。
2回目である今俺が定義した"雷切"は
攻撃に捉われないようすり抜けるというもの。
攻撃に斬撃を入れつつ受け止めた勢いを利用して
体を逸らしつつ流れのまま加速する。
理論上は相手が攻撃すればするほど加速できる。
「グゥッ!?」
無論練度は普段使っている方が高い。
故に逸らし切れず体の端々が掠って腐るが
「チィッ!」
広がる前にその部分を切る。
切り口が氷雷で内部から凍てつき、
腐食を隔離してくれる。
「シィィィィッ!」
前に!前に!前に!
斬る!流す!加速!
その繰り返しだ!
傷が腐る側から凍てつかせろ!
ボロボロになるのなんざいつものことだろうが!
そうして…
「…grrrrRAAAA!」
辿り着いたぞこの野郎!
「めちゃくちゃだコイツ…!?」
反応する前に!
「"雷雲"!」
切り刻む!
動作を 呼吸を 瞬きを 鼓動を
全てを置き去りにして斬り続けろ!
「ガッ!?クソッ…テメッ!?
またかこのヤロッ!?」
仕方ねぇだろうが!
俺だって"鳴神"でぶった斬りたいが
獣の型と普通のタケミカヅチ流は解釈違いで
同居してくんねぇんだよ!
獣の型はまだ"鳴神"は未完成だ!
山での修行中に覚えた技だが
普段使いしねぇし禁止されてたから
練度不足なんだよ!
「っ"地鳴"!」
地を揺さぶる威力の蹴りが放たれ
「ッォオ!?」
ギリギリで躱した俺はその衝撃波を受けて
大きく吹き飛ばされる。
「っハァ…ハァ…
好き勝手やるじゃねぇかお前…!」
「ハァ…ハァ…
テメェこそ何距離取ってんだ殺すぞ。
殺してやるってんだから大人しく殺されとけ」
「殺意が剥き出し過ぎるんだよ!」
「うるせぇ死ね。殺す」
…獣の型が禁止された理由は二つだ。
一つはあまりにも攻撃一辺倒過ぎて
体のことを全く考えない剣技だからだ。
普通に考えて相手の攻撃を起点に
体を加速させるなんざ体が持つわけがない。
今も腕はミシミシ言ってるし
掠った傷がズキズキと痛む。
それでも、いやだからこそ
「いい気分だ!開放感が凄いねぇ!
景気付けに殺してやるよ空亡ィ!」
そのまま再加速。
空亡に刀を叩き付けて再び切り結ぶ。
「カカカッ!
戦闘狂部分を隠そうともしねぇのかよ」
「テメェが容赦ねぇんでなぁ!
お行儀よく隠すのなんざ辞めちまったよ!」
…理由二つ目は簡単。
思考がより狂気に傾き始めるから。
この剣技は修行の極限状態で生み出している。
それ故に技の解釈には
戦闘狂としての成分が多分に含まれ、
使用すればその時の狂気が
心の奥から湧き出してくるのだ。
「そうか、よ!」
そう言いながら左腕を掴まれる。
「カカッ!捕まえたぁ!」
「ハハッ!んなもん…」
俺は腕を
「拘束とは呼ばねぇなぁ!?」
「おまっ!?」
そのまま俺の腕を掴んだ空亡の腕を
切断する。
当然空亡は再生するが、
俺は左腕は無くなったままだ。
「考えなしにも程があんだろ!?
今更そんな何の意味もねぇ…」
「考えならあるぜ?」
空亡に右手に持った右腕を見せる。
「…まさかお前!?」
「そゆこと、いただきまーす」
そうして空亡の腕を喰らう。
この行為は自殺行為に近い。
俺達の肉体は精神体であり、
魂そのものでもある。
それに別物を入れようものなら
本来死んでしまう。
だが空亡は俺自身だ。
故に
「… 豌玲戟縺。謔ェ縺ッ!?」
魂が変質するだけとなる。
俺の口から漏れた意味不明な言語と共に
切り飛ばした傷口から鱗と鋭い爪を持つ左腕
左の肩甲骨辺りからは翼が生える。
歯と喉に違和感を感じるあたり、
その辺りも変異しているのだろう。
「サいきン食っテバっかダな」
「…No.3を持っていかれたか」
「そうラしイな」
少しイントネーションが変だな。
まだ変異した体に慣れてない。
咳払いしつつ調節する。
「…そこまでの魂の変化は現実にも影響が出る。
もう元には戻らんぞ」
「んなこと分かってんだよ。
どうせここで負けたらテメェが体を奪うんだ。
今更多少の変化なんざ気にしやしねぇよ!」
そういいつつ、
再び左手を地面に付けて構える。
「さぁ、第二ラウンドと行こうぜ」
別に傷が治ったわけでも無いのでボロボロだが
いつものことだからな。
気にすることでもない。
「ハァ…」
空亡はため息を吐くと右手を空に向ける。
「No.1971」
右手が光り輝き、光が収まった時には
「…ゲッ、それかよ」
機械類の付いたベルトが握られていた。
それを腰に付けると同時に叩く。
「変身」
空亡の和服を覆うようにして
金属で出来たスーツが着用される。
顔部分は口元を隠す程度まで覆われた。
「お前がそれ着るのはズルだろ」
「お前が取り込んだNo.3は
俺の手札の中でも屈指の強さだ。
これぐらいしなきゃ勝てねぇよ」
そうして空亡も構えを取る。
「「…」」
一時の静寂が世界を満たす。
ふと、舞っていた粉雪が一つの氷塊へ向かう。
それが頂上に当たると同時に氷塊に亀裂が走り
壊れる
「「ッ!」」
激突
今回ヒリュウや空亡が使った技達はAルート側でも使えます。
使わなかった理由は使う場面が無かっただけです。
スランプ気味ですが書きたいものは書けたかなぁ?
少し不満は残りますが今回はコレで満足しておきます。
後一応彼らが使った能力達の名称を置いときます。
No.3『ジャバウォック』
No.85『藤花ノ命』
No.459『暴食の寄生主』
No.1971『英雄の装具』
No.2832『薔薇の戦姫』