無双ゲーの無双される側に転生したので、ネームド達を避けつつ生きていき…たかったなぁ?   作:ムクロウ

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ペースを上げると言ってこの始末よ…
ちゃいますねん
まさかこのタイミングでリアルが忙しくなるとは思ってなかったんですよ!(言い訳)

では本編どうぞ


急募・裏ボスから逃げる方法

 

鬼人

 

響きこそ格好良いかもしれないが、

ようは半人半魔、鬼のなり損ないの事だ。

 

その実態は全ての能力面で鬼を下回る

鬼の劣化版と言える性能だ。

 

これを知れば『鬼薬』が

どれだけピーキーか伝わるだろう。

 

一瞬しか効果が出ない癖に、

3回使えば人類の敵認定。

更にはその状態もただの劣化版と

あんまりな性能である。

 

ちなみに半人半魔になるには

それなりに強い魔物の

重要な部位を複数喰らう必要があり、

そのことはほぼ知られていない。

 

しかしここに一つの疑問が生まれる。

鬼人が大した事ない存在なら、

何故人類の敵などと呼ばれているのか。

 

俺がそうであるように

鬼人は人としての知性を保ったままである。

人としての思考を持った魔物を

即座に人類の敵として分類するのは早計が過ぎる。

つまり、危険と断じるに値する何かがあるのだ。

 

それは鬼人が半人半魔である、という点だ。

もっと具体的に言えば、

半人半魔の持つある特性が危険視されるのだ。

それを一言で言い表すのならば

 

 

あらゆる状況への適応、となるのだろう。

 

 

………………

 

 

「…知ってる天井だ」

 

体を布団から起こす。

ワァ…凄くデジャヴを感じる。

昨日…一昨日か?と全く同じ状況である。

 

何故俺は毎度死にかけるのだろう?

最初の方はちゃんと安全マージン意識してるのに。

この世界は野蛮な魔物か戦闘狂しかいないのか?

 

とまぁ、そんな事はさておき。

なーんか隣が暖かい。

何でやろなぁ…?(現実逃避)

 

「ハァ…」

 

大きくため息を吐く。

あのさぁ…

心配かけたことは申し訳ないけどさぁ…

 

「勝手に添い寝は心臓に悪いんだよ…」

 

俺の隣では現在進行形で最強(シオン)が寝顔を晒している。

…にしてもマジでコイツ顔が良いな。

後そろそろ離して、柔肌が擦れる度に

理性がゴリゴリと音を立てて削られてる。

 

「んぅ…」

 

…思わず頭を撫でてしまう。

これはアレだ。

あくまで精神を落ち着ける為だから。

 

「ハァ…」

 

流石に長居し過ぎたな

 

そろそろこの家を出る算段を付けよう。

 

 

………………

 

 

坐禅を組み、思考を深くする。

 

無論この家の環境は完璧だ

 

強敵が無限に湧く狩場

世界で1番安全な住居

そして世界最強の守り手

 

あぁ、なんて理想的な住居だろう。

…まぁ、何が言いたいかというと

 

()()()()()ってことだ。

 

今回の巨首樹海蒼龍(アズラリィギガルヒュドラ)との一戦でハッキリした。

あまりにもこの環境は(ぬる)過ぎる。

命の保証がある程度保証された状態で

どこの誰が頂きにまで至れるとほざくのか

 

と、俺がこの家を出る理由は明確だが

これを説明した所でシオンは俺を離さないだろう

アイツからしたら悠久の孤独を癒す唯一の存在だ

外に出す事さえ嫌がっているだろうに

あろうことか家を出ていくなど許す筈が無い

 

つまり、脱走することになる。

あのシオンから

正真正銘ぶっちぎりの世界最強から

 

「無理ゲー!クソゲー!

 0秒にも満たねぇ即確保しか見えねぇ!」

 

まぁ愚痴を叫んでも状況は変わらない

 

まず勝利条件は俺がこの家を脱出し、

シオンに即座に連れ戻されることが無いことだ。

最低でもシオンの手が届かない場所に

追跡されていない状態で向かわなければならない。

 

だが、今回俺が再び死に瀕した影響で

俺への庇護はより強くなっているだろう。

その状態で脱出はまず不可能だ。

 

おそらく俺に付けられた庇護は

魔力を利用した感知とかだろう。

ならば付け入る隙はある。

 

「今日はアレを狩りに行こう」

 

そろそろ欲しいと思ってたんだよね。

 

「朝ご飯出来たわよ?」

 

「あぁ、今行く」

 

()()()()()()

 

 

………………

 

 

「ご馳走様、洋食も美味かったよ」

 

「どういたしまして、

 時間だけは無駄にあるから

 料理は暇つぶしに丁度良いのよ」

 

シオンの用意したフレンチトーストを完食し、

早速聞きたいことを聞いていく。

 

巨首樹海蒼龍(アズラリィギガルヒュドラ)はどうした?

 アレは俺の獲物だから、

 出来れば手を出さないで欲しいが」

 

「安心して、アレには何もしてないわ。

 貴方を焼いたのは万死に値するけど、

 きっと貴方は止めると思ったから」

 

それは有難い

殺し損ねたまま死なれるなんざ

無念で無念で堪らなくなっちまう

 

「俺が持って帰ったアイツの首は?」

 

「結界の外に落ちてたわよ?

 かなり大きかったから、

 私の魔力で保護して外に置いてあるわ」

 

よし!わざわざ持ち帰った甲斐がある。

後でアレも回収しに行こう。

と、そういえば謝罪しないとな。

 

「すまないシオン。

 お前が創ってくれた銃を壊してしまった」

 

「良いのよ。

 元から魔法の産物は使い捨て、でしょう?」

 

「それはそうだが、だとしてもだ。

 誰かに貰ったものを壊したら申し訳ない。

 それが普通の感性だろう?」

 

「そう?私物を貰ったことが少ないから…」

 

うーん、この超越者め

相変わらず人付き合いだけは苦手だなコイツ

 

「そういや俺をどうやって見つけたんだ?」

 

「普通に結界に反応があっただけよ?」

 

「いや、夜霜丸とかあるじゃん」

 

「それはあまりにも異質過ぎて、

 私からも貴方からも独立してるわ。

 正に妖刀、怖くなるくらいよ」

 

ラッキー!それだけが気掛かりだった!

危うくメインウェポンを失うとこだったぜ!

 

「今日はどうするの?」

 

「また狩りに出るよ。

 その前にちょっと戦利品を『加工』するけど」

 

今回の狩りは遠距離武器が必須だ。

刀が振るえないことは残念だが、

目的の物の為だ。致し方ない。

 

「へぇ…加工、ね。

 あの龍の首は中々難儀な素材だけど、

 一体どうやって?」

 

「秘密だ。

 ちょっとミステリアスな方が男は魅力的だと

 どこかで聞いたんでな」

 

暗に見るなという意思を込める。

俺的にコレは切り札の一つに当たる。

絶対とまでは言わないが、

そう簡単に知られたい事でも無いのだ。

 

「ふぅん…どこの女に聞いたの?」

 

アレェ?また別の地雷を踏みつけたかぁ?

 

「いやぁ…それはだなぁ…」

 

「…ねぇヒリュウ?今夜は私と(しとね)を共に…」

 

「思い出した思い出した!

 育ての親の神父様に聞いたんだった!」

 

ごめん神父様。

俺まだ猛獣に喰われたくないんです。

例え喰われた先が極楽でも、

きっと俺が目指す先はそこには無いから

 

「…まぁいいわ。

 そういうことにしてあげる」

 

「ハハハ…」

 

さっさと逃げよ

 

 

………………

 

 

「うわぁ…デケェ…」

 

結界の外に出て、龍首を確認する。

こんなにデカかったっけ?

ぶった斬るのに夢中で分かんなかったな。

 

「よっ!」

 

試しに軽く刀を振うと、

甲高い音を立てて弾かれる。

 

「硬っ!?よく切れたなこんなもん!?」

 

魔力循環をしていないとはいえこの硬度

即座に鬼角解放(魔を喰らえ)を使ったのは英断だったらしい

こんなもん人が切るもんじゃ無い。

 

「まぁ切るなんて霞んで見えることを

 今からするんだけども」

 

まず龍首に掌で触れる。

そしてそこから魔力を流し込んでいく。

 

「流石龍、魔力の通りが桁違いに良い」

 

既にこの首は死んでいる為、

魔力が抜けた状態の素材である。

そういった物には自身の魔力を流すことで、

加工しやすくすることが出来るのだ。

まぁ別に

 

「ただの加工はしないんだけどさ」

 

瞳に魔力を集中させる。

世界の輪郭が一瞬ボヤけた後、

視界の所々に光るモヤが現れる。

 

魂視

鬼の権能の中でもかなり特殊な力だ。

 

これは魔力でも命でもなく、

生物の自己の核である魂を見る。

 

転生者()は知っている。

魂こそが自らが自らたる所以だと

己の自我は肉体でも頭でもなく、

魂にこそ宿っている。

 

この首は死体なれど、

意識とは自我、即ち魂に由来する。

なので薄らとはいえど、

魂の名残のようなものが見える。

その名残が濃い部位にこそ、

重要な力が眠っているのだ。

 

「喉の辺りか」

 

刀を喉元に当てると、

今度は抵抗はあれどしっかり切れる。

どうやら角を使わずに済むらしい。

 

「へぇ…炎袋があったのか」

 

喉元から出てきたのは、

樹木の体に似合わない黒い内臓

コレは蒼炎(ナパーム)を溜めておく部位

()()()()

 

「いただきます」

 

そう言って齧り付く。

少し残っている蒼炎が逆にいいスパイスだ。

 

「んん…良いね。

 ピリ辛なレバーって感じだ」

 

今度は目元に刀を突き立て、

眼球をくり抜き、喰らう。

 

「割とクリーミー?」

 

お次は根本付近に近づく。

 

「おっ、あったあった」

 

切断面を覗き込むと、

明らかに色が違う部分がある。

 

「どんな龍にも逆鱗は存在するからな」

 

色の違う部分…逆鱗を切り取り、

それもまた喰らう。

 

「ん〜…マグロの血合に近いかも」

 

良いオヤツになった。

やっぱ鬼の本能的には、

何かしら狩った生き物を食いたくなる。

歯が頑丈だから大体なんでも食えるし

 

「ご馳走様でした」

 

喰そうな部位は食ったし、

後は夜霜丸にあげるか

 

夜霜丸を龍首に突き刺す

 

「お前の分だ。存分に喰え」

 

刀身から禍々しい黒いオーラが滲む。

龍首が黒く染まっていき、

先端から朽ち果てていく。

 

別にこれで夜霜丸が強くなったりはしないが

夜霜丸は意思を持った妖刀だ。

毎度助けてもらっているのだから

これくらいはしてやらなきゃな。

 

戦闘で使えたら便利そうだが、

生憎と俺の魔力の染み込んだものしか

食べようとしないからなぁ…

 

さて、無論俺は美味しいからというだけで

龍の首を回収した訳ではない。

 

半人半魔が人類の敵たる所以を見せよう。

 

「シィィ…」

 

全身が頬の辺りまで樹鱗に覆われる。

口元の牙はさらに鋭く変化し、

喉の奥が蒼い光を放つ。

 

「ガァァァァッ!!」

 

咆哮

周囲一帯を震わせ、

小動物が一斉に逃げ去る。

 

半人半魔の恐ろしい部分は、

キャパシティの限り他の種族を取り込める点だ。

場合によっては存在するだけで

世界を汚染する厄災へと変わってしまう。

故に半人半魔は人類の敵と言われているのだ。

 

まぁ、この事実を知ってるのは

作中でも帝国の女帝ただ一人なんだけどな。

 

「魔力器官である龍の心臓は喰えなかったが、

 充分に強力だな」

 

そう言いつつ、姿を元に戻す。

基本的に半人半魔は

最初に取り込んだ種族をベースに、

他の種族の取り込んだ特徴を

追加で発現するという形を取ることになる。

 

「キャパシティ的に後は取り込めて一体だな…」

 

キャパシティは適性によって変わる。

俺の場合は鬼と龍という

強力な種族を取り込んだこともあり、

残りのキャパシティは一つ程度だ。

 

「木偶龍の力は切り札…というよりも、

 手札の一つとして隠しておくべきか」

 

思ったよりも変身に体力を使わないから、

使用するとなった時のリソース管理を

あまり考えなくても良さそうな事は安心したけど。

 

特に魅力的なのは再生力の向上と

樹鱗による防御能力だ。

 

この世界において防御力を高める人間は少ない

この世界の一般的な強さとは

より速くより強い攻撃を放てる事だ。

 

何故なら多少防御が高くするより

武器や防具を固めた方が強いからだ。

 

身体強化魔法の強化内容も、

防御を上げるのは土と氷のみで

他の魔法は皆攻撃や援護、速度特化だ。

回避した方が強いという考え方である。

 

そんな世界において

攻撃を喰らっても回復する再生力と

刀を弾き返すような防御は

意表を突くのに最適な能力と言える。

 

…まぁシオンにはあんまり関係ないけど

再生力向上はまだしも、

樹鱗は簡単にぶち抜かれる未来が見える。

 

なら限られたリソースを

なんでシオン相手には使えない能力獲得に

使用したのかって?

そりゃ主目的が違うからさ

 

「ここをこうして…」

 

掌から小型の樹木を生やして、

魔力を利用してその形を整形していく。

 

「出来たっ!」

 

そうして出来上がったのは一丁のライフル

形は黒銃と同じくモシンナガンに似た形状

木製ながら高い強度と耐火性の優れもの

 

しかも今回で形を覚えたから

即座に作り出す事が出来る上、

魔法じゃないから持続力もある。

後は弾丸だ。

 

「圧縮した蒼炎(ナパーム)を氷魔法で作った外殻で覆って…」

 

非人道兵器・蒼炎(ナパーム)入り炸裂弾の完成だ

どっちも俺の魔力が含まれる為、

短時間ながら氷を溶かさないように出来るのだ。

 

ちなみに俺の蒼炎(ナパーム)も魔法ではなく、

俺自身の骨を燃料にして生み出している。

絶賛骨を焼きながら再生中である。

 

後、刀は銃と同じ方法では創らない。

何故ならこの方法は

繋がった一つのものを創ることには向いているが、

鞘と刀という二つの異なるものを

一気に創り出すのには向いていない。

生成速度の面において氷刀(エッジ・オブ・クレバス)に軍配が上がる。

 

ついでに言えば木製で

切れ味を出すのは難しいのだ。

まぁ"鳴神"に切れ味は関係ないけど

 

龍撲(りゅうぼく)、とでも呼ぶか」

 

龍撲と名付けたライフルを構えて、

山の頂上付近の木を狙う。

さてさて、精密度はどんなもんかな

 

「…」

 

トリガー

 

蒼炎の爆発により銃口から吐き出された弾丸は

蒼い軌跡を残しながら音速を超えて飛翔し

 

「ヒット」

 

狙った木を根本から吹き飛ばし、

周囲の木々を蒼炎で包む。

 

「やべっ…狙う場所間違えたな」

 

まぁそのうち自然の魔力で消火されるか

 

精密度も威力も良好、これなら実戦で使える。

今回の目標は空を飛んでるからな。

流石に空飛ぶ相手に

神通力頼りの近接戦は勘弁したい。

 

「これなら狩りにいっても大丈夫だけど、

 その前に…」

 

いくつか木を圧縮した小さな玉を

腰巾着に詰めておく。

 

「偽装用アイテムの完成〜」

 

これを使って龍撲を作ってるように

見せかける事で、

俺自身が木偶龍の能力を持っていると

思わせないようにする。

 

これにて準備は整った!

 

「楽しい楽しい鷹狩りといこうか!」

 

 

………………

 

 

「割と登ったはずなんだが…」

 

今俺は蓬莱山を頂点付近目指して登山中だ。

道中の魔物は少しだけ龍の気配を出しておけば

木偶龍だと勘違いして寄ってこないしな。

 

「アイツはレアモンスターだからなぁ…

 しばらく待つ必要があるか」

 

ある程度登って、

空が見える崖の上で空を眺める。

 

…俺の体からシオンの魔力を感じる。

おそらくはマーキングの類だろう。

まずはこれを落とさなきゃ

脱走なんざ夢のまた夢だ。

 

「良い天気なのは良いんだが、

 いかんせん何もいないのがなぁ…」

 

早めに出てくれると助かるんだが

 

…体内にまで染み込んでるな

こりゃ簡単に落とせない

シオンは相当心配したらしい…

ちょっと心が痛むな

 

空はどこまでも青い

 

…アイツは元気かな

 

「ん?」

 

今俺は何を考えて…

 

「kyururu!」

 

「?」

 

肩の方から音がしたので横を見ると

凡庸な小鳥が肩にとまっている。

確かコイツは…

 

「kyuiii!」

 

小鳥が体から炎を吹き出して…!?

 

「ッ!?シィィッ!」

 

咄嗟に手刀で小鳥を切り落としながら飛び退く。

 

「クソッ…!?不死鷹(フェニーク)の野郎!」

 

肩が焼け焦げている。

火傷を再生させながら小鳥だったものに向き直る。

 

「PyuIIiii!!」

 

既に小鳥の擬態を解き、

炎で出来た鷹の姿を現している。

 

不死鷹(フェニーク)は幻惑能力を持っている。

先程判断が遅れたのは精神干渉を受けていたからか

ったく、この世界の敵は見た目詐欺が多過ぎる。

制作陣の性格悪いから仕方ないけど

 

にしても確実に手刀で仕留めたんだが

流石は不死鳥、元気いっぱいだ。

 

「そりゃテメェを待ち焦がれちゃいたが、

 待ち合わせの常套句くらい言わせろよ」

 

腰巾着から一粒玉を取り出し、

一瞬でライフルを形成する。

 

「俺も今来たとこだってさぁ!」

 

トリガー

 

「Pyiii!?」

 

氷の弾丸は残光を残しながら突き進み

炎鷹を蒼い爆発で吹き飛ばす。

 

「Pyuooo!!」

 

即座に爆煙から炎が上がり、

炎鷹が空へと舞い上がる。

 

これが不死鷹(フェニーク)最大の特徴 不死属性

不死殺しなど特定の手段以外では殺せず、

無限に復活し続ける。

 

「とりあえず5殺だな。

 今は2殺だから、後3回か」

 

「PyuRIIiii!!」

 

炎鷹が叫び声を上げ、

大量の魔力が空中で収束する。

 

「…来い!」

 

空に幾つもの光点が現れ、連続して光線を放つ。

 

空中に飛んで初弾を躱し、

次弾以降を空を蹴って飛び越える。

 

「炎で復活する癖に攻撃は光、

 インチキ臭ぇなオイ!」

 

上下が反転した視界で炎鷹を捉え、

龍撲(ライフル)を構えて狙う。

照準補正

 

トリガー

 

「PyIiii!?」

 

背中から炸裂弾を喰らい、

焼き焦げた残骸が地上に落ちていく。

 

「…Pyuaaa!!」

 

だが途中で炎を上げて復活、

こちらに向かいながら光線を乱射する。

 

「当たんねぇんだけどなぁそれ…」

 

こちらに当たるものだけを

氷鏡(ミラー)で逸らしつつ、落下に任せ距離を詰める。

相手を正面に捉え

 

トリガー

 

「Pyuii!!」

 

いい加減向こうも殺され慣れたのか

爆発に包まれた瞬間に復活し、

そのままこちらに突進してくる。

 

だがそれが1番の悪手だ!

 

「"鳴神"」

 

抜刀

 

「Pyugiii!!」

 

一閃

 

納刀したままの夜霜丸を引き抜き、

"鳴神"で一刀両断する。

 

炎鷹も意識が追いついていないのか、

復活せずに落ちていく。

 

「さて、これで5殺。条件は満たしたな」

 

落ちていく炎鷹を見下ろす。

 

「いつまで寝てんだ焼鳥、

 ご自慢の不死も頭の病気には効かねぇのか?

 さっさと飛びやがれ鳥頭」

 

「…PyuGyaaa!!」

 

一段と高く炎が上がり、

ブチギレた炎鷹が空へと舞い上がる。

 

さぁ、呼べよ。

 

「PyiGyaaa!!」

 

炎鷹が叫ぶと同時に、

淀んだ魔力が空に収束していく。

 

それら全てが一気に燃え上がる。

 

「やっとか」

 

「「「Pyuooo!!」」」

 

炎が収まり、群れが姿を現す。

 

「テメェ一人じゃ勝てねぇって分かったもんなぁ?

 じゃあ呼ぶよなぁ…仲間を」

 

視界一杯に広がる不死鷹(フェニーク)の群れ

そう、五回殺す事で不死鷹(フェニーク)は仲間を呼ぶ

 

あのアイテムはレアドロップだ。

確率を考えるなら、

この特性を活かさない手は無い。

 

「さて、テメェらを殺すだけなら出来るが

 このままじゃ殺し切れない」

 

当たり前だがコイツらは全部不死属性持ち

特殊な手段を用いる以外で殲滅は出来ない。

 

「ならどうするかって話だが」

 

あるんだよ。

俺にも特殊な手段って奴が

 

詠唱、開始

 

「『消えない傷、迫り来る罪、終わらない絶望』」

 

光線の一斉掃射を躱しながら(うた)を紡ぐ。

 

(うた)を進めるほどに(夜霜丸)が震え、

紫紺と濃紺の鼓動が脈打つ。

 

「『痛みは繰り返し私を苛む』」

 

少しずつ被弾が増えていく、

詠唱中は納刀出来ないし、魔法も使えない。

神通力による回避にも限界はある。

 

「『朽ち果てた信念、腐れ落ちた心、

  崩れ去った思い出』」

 

光線の軌道を読み、切り払いながら空を歩く。

 

まだ修練が足りず、集中しなければ発動出来ない。

光線が肩を掠め、足を削ぎ、血が流れる。

 

あまり傷は負いたくない。

コレは俺自身も対象だからな。

 

「『差し伸べられし手は既に振り払われた』」

 

夜霜丸が一際鼓動する。

 

「『夜闇は優しく私を殺す(ナイトメア・マーキネス)』」

 

(うた)が紡がれ、闇が覆う。

夜霜丸から暗い青紫の波動が全方位に放たれ、

薄暗い球形の領域を形成する。

 

「…速攻だ」

 

尚も光線を放ってくる炎鷹の群れの動きを

今までの行動から統計して予測する。

 

龍撲を構える。

 

掃射(ショット)

 

「「「PiGyaaa!?」」」

 

炎鷹が落ちていく。

だが、その死体は炎に包まれ…

 

()()()()()

 

「「「!?」」」

 

「驚いたか?驚いたよなぁ。

 不死殺しの気配はしない、

 不死属性ごと破壊する絶対者の気配もしない。

 ならどうやって?ってとこか?」

 

不死鷹(フェニーク)は臆病者だ

自分を完全に殺せる存在には近づこうともしない

 

「この領域、夜霜丸の能力は至極単純だ」

 

龍撲を構えながら、嘲笑う。

 

「範囲内の()()()()

 この領域において、生物の安寧は訪れない」

 

範囲は半径15mの球形

めちゃくちゃ広いわけじゃないし、

制御が甘く俺自身も治癒が無効化される為

そう簡単には使えないピーキー技だ。

 

血が溢れて視界が揺らぐ。

…あぁ、楽しくなってきた

 

炎鷹達が怯え、ジリジリと退こうとする。

 

「…Pyuii…Gyii!?」

 

翻って逃げようとした瞬間ソイツを撃ち抜く。

 

「オイオイ、まだ新技お披露目の途中だぜ?」

 

復活しない仲間を見て、

さらに炎鷹達が震え上がる。

 

「逃げるなとは言わねぇけどよぉ…

 逃げた奴から殺すぜ。俺は」

 

また逃げようとした奴を撃ち抜きつつ、

炎鷹達を見回す。

 

「生き残りたきゃ俺を殺せ。

 俺は一人、お前らは数十、簡単だろ?」

 

全ての方向から殺意が叩きつけられる。

 

「さぁ、戦争を始めようか」

 

…薄暗い領域で、蒼い爆発が煌めいた。




ちょっと裏話

半人半魔の代償
それぞれの種族を取り込むことには代償が伴う。

その種族としての特徴を強くすればするほどその代償は悪化する。

現在のヒリュウの代償は

鬼…万物への食欲、性格の獰猛化(戦闘狂)

龍…性格の傲慢化、???

???…???、???
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