薄汚いガキを拾ったんだが? 作:ス、スカ
「────おい、ガキ。落ち着いたか?」
空から雪が降ってきて辺りが真っ白になるほど積もった頃、一人の少女と男がすたびれた校舎に居た。
「あーあ、さっきの戦闘で完全ロボットスーツがぶっ壊れてやがる」
「…………」
男はこれ高かったのにな、と言葉を続けながら一人のボロボロの少女を見据える。男は雪が降るほどの寒い中で少女が薄いボロボロの服を一枚着ている事と、何よりその暗く光の灯っていない瞳に目が行った。
「………ガキ、名前は?」
「………シロコ。
男はそうか、と言葉を続けながら、目の前で弱々しく地面に座り込んでいる少女の前に佇む。
「それでお前は何処の学園所属だ?」
「……分からない。気づいたら、ここに居た。名前以外……分からない……」
「自分の電話番号とか知り合いとかもか?」
男の問いかけに少女はコクリと頷く。数ある下衆な大人たちの嘘を見て来た男から見ても、これは嘘を言っているようには全く感じなかった。
「所謂、記憶喪失ってやつか?」
「…………多分」
少女は男の問いかけに再度コクリと頷く。男はそれを聞いて顔を顰める。
「参ったな。……こーいうのはヴァルキューレに預ければいいのか?」
男は困ったように頭を軽く掻き、再度少女を見据える。
「………はあ。とりあえず歩けるか?」
「上手く力が入らない」
少女は立ち上がろうとするが本当に力が入らないようで、パタンと座り込んでしまう。
「……………ほれ」
「………?」
男はそんな少女を見かねたのか、ため息を吐きながら少女の前に膝を突いてその大きな背中を見せる。
「おぶってるやる」
「………何処に行くの?」
「とりあえず、ここから一番近い俺の家だな。こんな寒い中でずっとこうやって外に居るのは風邪を引いちまうだろ?先ずはお前の身なりを整える。………因みに言っておくが、俺はお前みたいなガキに興味はないから安心しろ」
「…………ん、分かった」
少女はその大きな背中に身を預ける。少女にとってそれはとてもとても大きくて、とても居心地が良かった。
「あったかい」
それが私、
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「────おい、ガキ!学校の時間だ!」
朝日が昇り、雲一つない晴々とした快晴の中、アビドス郊外にある、とあるマンションの一室から大きな声が響き渡る。
「……ん、まだ眠い」
「おい!また寝ようとするな!!」
もういい時間だと言うのに、今だにベッドの布団に包まって寝ている少女、砂狼シロコを、とある男が布団を飛っぺ剥がして叩き起こす。
「………桐生はもっと優しく私の事を起こすべき」
「甘ったれた事言ってるんじゃねーよ」
そんな乱暴な起こされ方にシロコは不満を持ったのか、とある男こと桐生龍に抗議をする。
「それともあれか?やっぱりヴァルキューレの所に行くか?」
「ん、やっぱり桐生が一番」
ヴァルキューレの所に行くのがよっぽど嫌なのかシロコは急にテキパキと自分の身支度などを整えていく。実際の所はシロコは桐生の元から離れたら、このだらけた生活が出来なくなってしまうと危惧した為に行動しただけだが。
「弁当はもう用意しておいたぞ」
「何処にあるの?」
「いつもの棚の上だ」
「分かった」
「歯磨きはしたか?」
「ん、した」
「なら早く学校に行って来い」
「ん、ありがとう。………それじゃあ行ってきます」
「ヘイヘイ、行ってらいってら」
弁当を手に取り、玄関を開けたシロコが桐生に振り返り『行ってきます』と言い放ち、桐生もそれに適当ではあるが返事を返す。
「………さて俺も仕事に行くか」
桐生はシロコが完全に出て行ったのを見送った後、近くの棚に置いて合った大きなスーツケースらしき物を手に取る。
桐生はそのまま取っ手部分にあるスイッチを強く押し込むと、先程まではスーツケースみたいだった物がどんどんと変形していき、桐生と桐生のヘイローごと覆っていくように手足や胴体、そして頭に部品が装着されていく。
完全に部品が装着され、先程まで普通の男だったものが、近代的なロボットを思わせるような風貌に変わる。
『さて仕事に行きますか』
桐生は靴を履き玄関の扉を開けて、仕事をする為に職場に赴くのだった。
▼▼
〜〜シロコと一緒に生活する事になるまでの流れ〜〜
「おかわり」
「俺の飯がそんなに美味いか?」
俺は先程、おぶって家に連れてきたガキが腹を鳴らしていたので、飯を軽く作り出すと、よっぽど腹が減っていたのかそれを一瞬にして平らげてしまった。
「別におかわりはしてもいいが、それが食い終わった後はヴァルキューレの所にお前を連れて行くぞ」
「なんで?」
「なんでって、そりゃあお前を保護して貰う為だな」
「…………」
ガキが不思議そうな顔をして此方を見上げてくるので、俺は正直に答える。だがしかし、この時の俺の選択は失敗だった。
「嫌だ」
「何がだ?」
「私は桐生の所に居る。だからヴァルキューレの所なんかに行かない」
「は?」
先程まで弱々しかったガキは何処に行ったのかと思う程、ドヤ顔でガキそう言い張った。
「ヴァルキューレの所に行って保護して貰えれば知人が見つかるかもしれないぞ?」
「どうせ居ないから平気」
「こんな質素で小さな部屋じゃなくて、もっとマトモな部屋に住めるかもしれないぞ」
「私はそれでも平気」
「もっとマトモな飯が食べられるぞ」
「桐生のご飯の方が美味しいから平気」
「一回しか食った事ねぇだろ」
「ん、これから毎日食べるから」
「……何か合った時にヴァルキューレが守ってくれるかもしれないぞ」
「桐生は強いし、きっと守ってくれるから平気」
「……………」
先程出会ってから数時間しか経っていないのに、その俺への信頼と信用は一旦何処から来るのか俺は不思議でしょうがない。
中学三年生であろう女のガキと二十歳の男である俺だ。前世の世界だったら問答無用でポリスメンだろう。因みに俺にそう言った趣味はない。
「とりあえずそれ食い終わっ「嫌だ」…いくぞ……」
「嫌だじゃない。行く「嫌だ」……ぞ」
「い「嫌だ」せめて喋らせろ」
俺はなんとかこのガキを説得しようと試みるが、ガキは頑なに首を縦に振ろうとはしない。
「もし私を無理矢理ヴァルキューレの所に連れて行ったら、襲われて身体を弄ばれてあらぬ事をされたって言うから」
「…………」
唐突に巨大な爆弾が落とされた。もしそんな事をされでもしたら社会的に俺は死ぬ。この世界で平穏に暮らす事もままならなくなる。
「………一週間だけだからな」
「ん……!」
因みに桐生はシロコに抗えずにもう既に一年近く暮らしている。
続くかは謎!気分が乗ったら書くかも?
良かったら誤字報告とかよろしくお願いします!!後、評価も……
因みに軽く設定公開
名前 桐生龍
年齢 二十歳(現時点での場合)
気づいたらこのキヴォトスに転生していた男。最初は訳も分からず混乱していたが、一、二年と時間が経ちキヴォトスに慣れてしまう。このキヴォトスでは自分以外男性が居ない為、ロボットスーツを着て正体を隠しながら暮らしている。因みにヘイロー持ち。
原作知識などは一切持っていない。
ロボットスーツ時の姿はカイザーPMC理事と似たような姿をしている。