〜天空に輝く"蛍"の光〜   作:やままん

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幼き頃からずっと、戦ってきた。
無茶を繰り返し、死にかけたこともあった。

だから、私の下で頑張る子には無茶をして欲しくない。

でも、私は…守るためなら…ーー。


16話 白き星、高町なのは。

『機動六課』による「先兵狩り。」

各方角に4つの分隊が分散して行うこの作戦は、東西南北の方向に現れた件の魔導兵器を撃退し、"センチネル"とのコンタクトを図るための半ば強引とも言える作戦だ。

 

この行動が、吉と出るか凶と出るかは分からない…しかし、明確な敵意を持って侵攻して来ている以上、何が理由でやってきたのかを把握しなければならない。

 

できれば、争いという方向に持っていくことはよろしくない事だ。

他星の侵攻というのは類を見ないもの…科学力はこちらを遥かに凌駕している上に、"魔法"までもが解析されてしまっている…つまり、こちらの術式体系は全て情報が揃っていると言ってもいいだろう。

それが、単なる魔導兵器に組み込まれているのだから、まともに相手をすれば並大抵の魔導士の比ではなく、大袈裟に言わずともそれは「エース級」そのものを相手にしているようなものだ。

 

ローレルからの話によると、魔導兵器自体はミッド製である事。そして、ウイルスプログラムに擬態した超極小のナノマシンが寄生するための“宿主"が管理局に沢山あるのだから、彼らは自らが赴く事なくミッドチルダそのものを制圧できると考えているらしい。

 

保有戦力そのものが"敵性勢力"へと化けてしまうのだからとても恐ろしい事だ…だが、対策はある。

 

『速戦即決』。

 

向こうが成長する前に叩き込めば勝機はある…そして、ナノマシンだけでは対処出来ないと踏んだ"センチネル本隊"を炙り出すことが出来れば、この作戦は成功とも言える…。

 

彼らの正体と理由を知る為に、少女達は"空"を舞う…ーーー。

 

 

〜ミッド北部・山間部〜

 

「…ここで、目撃された魔導兵器は全部で「3体」。このモデルは本局と直接取引を行っているメーカーのモデルなので、ある程度の情報は出揃っています。」

 

輸送機で現場に向かう「スターズ分隊」のなのは、スバル、ユナの3人は映像に浮かぶ3体の魔導兵器の確認を行っていた。

 

「みたいだね…これも、捜索願いの出されていたモデルだよ。ある程度の自律稼働機能はあるらしいけど、ここまで精巧なプログラムは組んでいない…こちらから停止信号を遅ればすぐに機能を停止させる緊急停止機能があるらしいんだけど、それも受け付けないときてる…これは、"当たり"だね。」

 

「兄さんから受けた情報によると、1体でもかなり厄介なのにそれが3体もあるなんて……。」

 

不安がるユナにスバルは…

 

「問題無いよ!こっちにはなのはさんが付いてる!だから、この狩りは必ず成功するよ!。」

 

「アハハ…すこし、買い被りすぎだよスバル?。でも…うん、私の教え通りにやればきっと大丈夫。無茶はしないこと、これは約束であり命令だからちゃんと頼んだよ?。」

 

「「はいッ!!。」」

 

(…言っても、私が"そうしよう"って考えてるんじゃ、説得力無いよね……でももし、この2人の命が危険に晒されたその時は………。)

 

『found the target(目標を発見しました)。』

 

なのはのデバイス「レイジングハート」がそう告げる。

その瞬間、こちらに向けて一筋のレーザー光が向かってきた。

 

「来たッ!。全員、飛び降りて!!。この輸送機はオートパイロットだから私達しか乗ってない!!。」

 

なのはの指示の元、ユナとスバルは飛び降りる。

 

「うわわわッ!!。」

 

「スバルッ!!。」

 

ユナはスバルの身体を支えてそのまま滑空。なのはもそれに続く中、いくつものレーザー光が横切っていく。

 

(正確にこの位置を把握してる…何処…!?。)

 

バリアジャケットを纏い、敵の特性から長時間活動用の「アグレッサーモード」で対応。ここで純戦闘用の「エクシードモード」は得策ではない…敵の位置が掴めない以上、無闇な攻撃は彼らの成長を促してしまうからだ。

 

その中で、僅かな魔力探知に引っかかった一機を発見。

 

(スバル、そっちに地上用の魔導兵器が一体居る!頼める!?。)

 

(わかりましたッ!。)

 

念話での指示に従い、その地点の地面めがけて拳を突きつけた。

捲き上る砂埃の中、センサーアイの光が見える。

 

「いたッ!そこかッッ!。」

 

ガツンと、鈍い音がする。そこに現れたのは、巨大な盾を構えた防御型の魔導兵器。そして、それに呼びかけられたのか後方から両手が剣に変化した近接型が接近する。

 

「連携ッ!?。」

 

「シューティング・ビットッッ!!。」

 

4基の遠隔操作型デバイスを展開したユナは、その掛け声と共にビットから赤いビームを放つ。

 

「ティアナのように上手くは行かないかもしれないけど、私が援護するよスバルッ!。」

 

「頼りにしてる、ユナッ!。」

 

2人は一気に飛び出し、スバルはユナに背中を任せて肉弾戦で攻める。そして、ユナにスバルの攻撃を横から邪魔をしようとする防御型に注意を払い、ビットによる妨害攻撃でスバルを援護する。

 

(うん、訓練通り……じゃあ、私は……。)

 

全部で三機。

つまり、残りの一機はどこかに隠れている……。

 

相手が魔導兵器なら、その動力部は魔力によるもの…だから、探知にさえ引っ掛かれば何とでもなる。

そう考えて、精神を研ぎ澄ます。だが……。

 

「待って……これ…もしかして……!。」

 

その時、攻勢に入っていたスバルとユナの叫び声が聞こえる。

 

「きゃあああああ!!。」

 

「何コイツ……"魔法"が通らないッ!?。」

 

防御型がその巨大な盾から何かしらの"力場"を形成。ユナとスバルの魔法を込めた攻撃が全て掻き消されていた。

 

「…AMF!?。」

 

AMF…「アンチ・マギリンク・フィールド」。

魔力結合を解除し、その魔法を無効化する力場の事を指す。

その力場は魔法を行使する"魔導士"にとっては致命的なものであり、特にユナのような純正な魔法攻撃主体の魔導士は攻略が困難なものとなる。

 

それに、この高等魔法防御は魔導兵器に装備なんてされていない代物…それに加え、これは高等技術であるが故に展開出来る魔導士も限られたものしかいないとまでされる…それが、目の前にいる魔導兵器が行使しているという事は……すでに"成長"した後だということだ。

 

そして、最後の一体…AMFの影響で魔力探知に引っ掛からなかった個体がなのはの背後に姿を現す。

 

「な…なのはさん!?。」

 

「!!!。」

 

間一髪、空中で急旋回して回避したが脇腹を掠ってしまう。そして、そこに姿を現したのは蜂型の魔導兵器。尾針を射出させ、なのはにダメージを与えていた。

 

「……………。」

 

白いバリアジャケットが朱に染まる。

それをジッと見ながら、なのはは目を閉じた。

 

(……あの防御型を突破しないと…このフィールドがどの範囲かなんてまるでわからない……仕方ない…。)

 

「レイジングハート。「エクシードモード」であの防御型に仕掛けたいの。何分が限度?。」

 

『Please consider your opponent's ability and keep it within 「4 minutes.」(相手の能力から考察して、「4分」以内にしてください)』

 

「4分か…ちょっと、厳しいかな…!?。」

 

そう言うなのは。

その直後、膨大な魔力と共にその姿を変えた。

 

純戦闘用「エクシードモード」。

これまでずっと、前線を張り続けてきた姿…彼女が彼女たる強さの象徴。

その姿を見たユナは言葉を失った。

憧れのあの姿……フェイズを追いかけると共にもう一つの目的でもあった彼女との出会い。

 

それが今、目の前で。

 

「……少しだけ、君の"技能"を借りるね?。」

 

その瞬間、とてつもないスピードで駆け抜けるなのは。三機の周りを飛び、移動しながら砲撃魔法を連射する。

すると、AMFの力場が分かるかのように打ち消される部分が見えた。効果範囲は防御型のみ…完全ではなかった。それが分かるだけでも大きい。

 

「こうやるのかな……マニューバーAG!!。」

 

フェイズの高機動射撃攻撃パターンを使って防御型に集中砲火するなのは。

狙ったのは足元の地面。抉り取るように地面が崩落し、防御型は体勢を崩した。

 

『Master。That attack pattern is not recommended(マスター。その攻撃パターンは推奨しません)』

 

「…うっ……そう…みたいだね……。」

 

胸を押さえて呼吸を整えるなのは。

使ってみたが、やはりこれは無謀そのものだ。これを、微弱な防御魔法のみで使うのだから身体の負荷は相当なもの…掛かったGの影響で一瞬だけだが意識が飛びそうになった。

 

しかし、相手の態勢は崩せた。こうなれば…ゴリ押しでなんとでもなりそう。

そう思ったかの彼女は、周辺に残存する魔力を収束させて砲撃体制に入る。

 

「みんな、離れて!。」

 

ピンク色の魔力光が戦場を照らす。

 

防御型崩落した地面に落ちていき、展開していた「AMF」は解除されていた。

だが、他の二機は即座に彼女の"魔法"を解析し、撃たれる前に近接戦に入ろうとする。

 

「く……!。」

 

動こうとするユナ。

しかし、なのはは首を横に振る。

 

「大丈夫、"チャージ"は済ませたから。」

 

「え……まさか……!。」

 

「まとめて一気にッ!。」

 

展開していた魔法陣が光り輝き、両手でレイジングハートを構える。

そして………。

 

「―――スターライト・ブレイカーッ!!。」

 

超極大砲撃魔法が放たれる。

周囲の空間が揺れるほどの威力…その光の中へと消えていく二機の魔導兵器は一瞬のうちに爆散。

そして、放出しながら横なぎに振り切って態勢を崩した防御型も撃破。地面はまるで巨大な重機に抉り取られたような跡が残った。

 

「す…すごい…これが「スターライト・ブレイカー」…。」

 

感心するユナ。しかし、なのははそのまま力無く地面に向かって落下し始めた。

 

「え……!?。」

 

「ッ………!。」

 

急いで飛び出したユナはなのはを受け止める。

受けた脇腹の傷が大きく開き、血が止めどなく溢れ出した。

 

(…あの大技と兄さんの戦術を使った影響で傷口が開いたんだ……。)

 

べっとりと付く血……スバルとユナは急いでその場から立ち去る。

しかし、残骸の物陰から"光学迷彩"で姿を消していた人物が姿を現して、去った方向を見つめながら。

 

「………見つけた。」

 

…マスクを付けた男が、大破した蜂型魔導兵器の尾針を回収。

そこに付いたなのはの血液を採取し、計器で何かを測る。

 

「…それにしても、紛い物だが「AMF」とやらも使い勝手は良さそうだ。効果範囲は本来のものとは比べ物にならないほど脆弱だが、研究の価値はある。やはり、この星の"魔法"とやらは興味深い…それに、ようやく見つけだした…あの小娘の秘めたるもの。それこそ、我々が求めていたものだ…。」

 

マスクの中の眼光が鋭く輝く。

 

ー最上の「サンプル」……ーー

 

………………………end。




スターズ分隊が戦闘を終えた直後に現れた謎の男。
それは、なのはを見て「最上のサンプル」と呟いては消えていく。

その頃、東部を担当している『ファイアフライ分隊』は嵐の降りしきる海上にて件の魔導兵器と交戦中だった。

焦りを募らせるティアナ。しかし、魔導兵器はそんな彼女に狙いを定めて…ーー

次回
17話 私の"価値"。
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