〜天空に輝く"蛍"の光〜   作:やままん

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"ロストロギア"。

それは、異世界の遺物であり世界を動かせるといわれる遺物の名称だ。

時空管理局は"ロストロギア"の管理に重きを置いている。

そして……「聖王教会」と呼ばれる場所に「ある遺物」が保管されていた…ーーー。


6話 "アルテミスの弓"。

ユナが入局してから、数日が経った。

彼女はその実力から任務においては常に選抜メンバーに選ばれ、結果を残していた。

入局してから検挙した次元犯罪者の数は4名。うち、2名と交戦を繰り広げたが全て無傷で撃破・確保といった快挙を成し遂げている。

 

使う魔法の種類から「高町なのはの"再来"」といった異名で呼ばれ、徐々にその頭角を現していっている。そのうち、本人からスカウトが来るんじゃないか…フェイズはそう思っている。

 

「……ユナ。お前…「砲撃魔法」主体だったか…?。」

 

仕事終わり。帰路に着きながらフェイズは尋ねる。ユナは学校終わりにこちらに来たので、制服姿だ。

 

「ううん、元々は「ショートレンジ」主体の中距離が私の得意分野だよ?。」

 

「…だったよな。なら何故、「砲撃魔法」に切り替えたんだ?。まあ、お前ならその「希少技能」の恩恵でどのレンジでも最大ポテンシャルは引き出せるだろうが…。」

 

「憧れの人がいるの。」

 

小走りで少し前を歩きながら、ユナは目を輝かせる。

そして、フェイズはその"憧れ"の人物を思い出した。

 

「私、"なのは様"に憧れてるの!。前にも言ったと思うけど…もしかして兄さん、忘れちゃった?。」

 

…そうだった、コイツは「高町なのは」に異常なほどの憧れを抱いていたのだった。

部屋には、彼女の記事を切り取ったものをファイリングして飾っていたり、写真がいくつも飾ってあったり…事あるごとに、その"談義"を聞かされた思い出があったような……。

いつしか、俺は"地雷"と呼ぶようになっていた。そして今、俺はその"地雷"を久しぶりに踏んだという…。

 

「そう…だったな…まさかお前、局入りしたのはそれも目的じゃないだろうな?。」

 

ギクっとした反応…ユナは肩が少し上がった。…やはり、そうか……。

 

「…あの人は本局の最高戦力だから、なかなかお目に掛かれないぞ?。俺も実際、会った事はないからな。」

 

「むぅ……でも、いつかは会えると思うもん。だから、目一杯頑張るんだ!。」

 

「そうか、頑張れ。」

 

肩に手を置いて、さっさと歩くフェイズ。ユナはムスッとした顔で追いかけて。

 

「もう!相変わらず不愛想なんだから!だからモテないんだよ、兄さんは!。」

 

「別にそれで構わない。そんなことよりも俺は飛ぶことのほうが大事だ。」

 

「この"空オタク"!!。」

 

「はいはい、何とでも言え。それよりも飯に行くぞ、実家にちゃんと連絡しろよ?。」

 

「いーっだ!。兄さんに言われなくてもちゃんとするもん!!。」

 

ムキになって歩くユナを見て、フェイズは微笑を浮かべる。"天才"でもまだまだ子供だな…と思いながら。だからこそフェイズは彼女にあまり背負わせたくないと思う。

自分を追いかけて、管理局に入ったのだ。彼女の性格からすると、自分が置かれた状況を何とかしたいと思うのだろう。そして、「兄」である自分は「妹」にこんな思いをさせてしまった。"そうさせない"為に家を出たというのに。"天才"故に、期待の眼差しは常に浴びることだろう。そして、それに応えるように彼女は結果を出し続ける…"社会"の闇に呑まれないように気に掛ける必要がある…「兄」として。

 

フェイズは、そう思うのである…ーーー。

 

……それから、2週間後。

ブリーフィングにて05小隊に「とある任務」が告げられた。

 

「…聖王教会への出向…ですか…?。」

 

「ああ。「極東の旅団」から犯行声明が届いたらしい。内容は教会に保管してある"ロストロギア・「アルテミスの弓」"の引き渡し……応えなければ教会を襲撃するとのことだ。」

 

フェイズは、配られた資料を見ながら疑問に思う。

…犯行声明なんて手法、今更流行らない…それに、管理局の襲撃を突発的かつ、迅速に行う彼らの戦法からすると、事前に通達なんてありえないことだ…傭兵は用意周到だ。奇襲戦法に長けている…ましてや、"ロストロギア"なんてものが絡めばそれこそ本局のエースクラスが集まってくる……流石の彼らでも管理局のエースを相手に確実に強奪できるとは思ってはいないだろう…つまり、何か"裏"がある……フェイズはローレルの言っていたことを思い出す。

 

………………………。

 

「次は"本局"だ。」

 

………………………。

 

「…部隊長、意見よろしいでしょうか。」

 

「なんだ、アイオン二等空士。」

 

「本作戦は"ロストロギア"の防衛という重要な任務です。本局の魔導士は動かないのでしょうか?。」

 

それを聞いた部隊長の目が僅かながらに"濁った"。

 

「何を言う、本作戦を我々が実行し、防衛に成功すれば05小隊の名は本局にも轟く。それに、こちらにはアイオン准空尉という逸材が居る。傭兵如きに遅れは取らんよ。それに貴様はあの"遊撃隊長"と交戦して生きて帰っているのだろう?。ならこの作戦、我々が担う他ないだろう?。」

 

……フェイズは、部隊長のその発言に"怒り"が込みあがってきた。

 

(…俺の事はいい、しかし自らの出世の為にユナを利用するか……どこまで手柄が欲しいんだ…しかも、前回から「極東の旅団」といった強敵を前にして他の同僚たちは一瞬で戦意を失っている……この作戦においても皆、消極的だ……つまり、こいつ等がとる行動は一つ……。)

 

ーユナを頼りにして、強敵を押し付ける気だ…!ー

 

「……兄さん…?。」

 

「ならば本作戦は俺とユナで行きます。他のメンバーは待機でよろしいかと。」

 

それを聞いた同僚達が騒ぎ出す。…まあ、"建前"…だろうが。

 

「ユナちゃんはともかく、お前のような"落ちこぼれ"が役に立つのかよ!?。"遊撃隊長"と渡り合ったことだってまぐれだろうが!。」

 

「…背中を斬られたくらいで泣き喚く腰抜けが来たところで足手まといだと言っているんだ。」

 

「何を……!。」

 

一人の同僚がフェイズに掴みかかる。しかし、フェイズはその手首を取ってギリギリと握り締めた。

 

「あいででで!!。」

 

(……お前がユナに下心があるのは知っているんだ……それに、いざとなれば見捨てる気だろう?。ユナに強敵を押し付けて自分は逃げるんだ……目を見れば分かる………俺の前でそんな真似はさせん。分かったか…?。)

 

凄まじい気迫。他の誰かに聞こえないように"念話"で言う。その気迫に、かの同僚は何も言えずに握り締められた手首を必死に抑える。

 

その時、けたたましい警報が鳴り響く。

 

「…仕掛けてきたか、こんなに早いなんてな…悠長なことは言ってられない。啖呵を切ったなら結果を出せ、アイオン二等空士。くれぐれも妹の足を引っ張ってくれるなよ?。」

 

「……肝に銘じます。フェイズ・アイオン、出るぞ…!。」

 

バリアジャケットを身に纏い、一足先にフェイズは出る。

 

……………………。

 

「……ねェ、兄さん。なんであんなことを言ったの…?。」

 

並走しながら、ユナはフェイズに尋ねる。この感じは機嫌が悪い…そう思って。

 

「……そのままの意味だ。敵を前に萎縮するような者は早死にする。」

 

「嘘だよ兄さん。本当は誰にも傷ついてほしくないんでしょ?。あの部隊長さん、自分の事しか考えてないから。それに……私が利用されると思ったから…だよね…?。」

 

「……気付いていたのか?。」

 

「まあね。」

 

(…本音は戦力が「聖王教会」に傾いてしまった時、もしこれが"陽動"だとしたら厄介なことになる…本局を落とせば支援も来ない…だとすれば、畳みかけて"ロストロギア"の奪取も容易に済ませられる……傭兵の考えることだ…効率重視の戦い方をするはず…!。)

 

現場付近にたどり着いた二人。もうすでに戦闘が行われていた。

 

~聖王教会~

 

「もらったぁぁあ!!。」

 

一人の少年兵が、バリアを張る教会信者を双剣で切り裂く。

そのすぐ近くには、蛇腹剣を手にした女性が立っていて。

 

「さて、お宝はこの奥ね?。」

 

女性は教会の聖堂方面を見つめる。そこへ、1人のシスターが現れては何かを振り翳す。

女性と少年は難なく避けるが、その地面には小さな陥没痕が残っていた。

 

「へぇ、教会にはこんな手練れがいたなんてね…割と有名人じゃない?。ねェ、レオン?。」

 

「オレと同じ双剣か…いいね、ワクワクする!手を出すなよ、コイツはオレの獲物だ…エイリス!。」

 

「極東の旅団」…通称"暴れ馬"のレオン・クラインと"魔女"エイリス・ユミルの2人は目の前にいるシスターを見る。

 

シスター・シャッハ。

聖王教会きっての常駐シスターであり、「陸戦AAA」クラスの実力者…最後の砦ともされる彼女が2人を阻む。

 

「「極東の旅団」…"暴れ馬"と"魔女"のお二人ですね?。噂は予々聞いております。しかし、この襲撃は認められませんね。一般の方もいたというのに…。」

 

「文句は"遊撃隊長"に言ってくださいな。私達は彼の指令でここに来ているんだから。」

 

両者が睨み会う中、フェイズとユナもやってくる。

 

「時空管理局「05小隊」所属のフェイズ・アイオン二等空士です!。シスター、ここは俺達に任せてください!。」

 

「…わかりました、私は"アルテミスの弓"の防衛に回ります!。」

 

シャッハはその場から離れて聖堂の中へ向かっていく。

獲物を逃した獣のように、レオンは機嫌を損ねたがフェイズを見て目を大きく見開いた。

 

「あれ…あれあれあれェェ!?。はは、コイツぁついてるわ!。コイツ、"遊撃隊長"とサシでやり合った奴じゃんか!!。」

 

「ああ……噂の……。」

 

「……根っからの戦闘狂か……。」

 

「兄さん、コイツ等が「極東の旅団」!?。」

 

「そうだ、気を引き締めろユナ。コイツ等は…戦闘のプロだ。」

 

身構える二人。そして、レオンとエイリスも二人を見据える。

 

「おっし、なら俺はこの男とやる!。エイリス、邪魔すんなよ!?。」

 

「はいはい……なら、私と遊びましょうか…お嬢さん?。」

 

一瞬の沈黙……そして、両者は散開する。

 

ーフェイズVSレオンsideー

 

「さて……"遊撃隊長"とやり合った実力を見せてみろよ!?。」

 

レオンは爆発的な踏み込みでフェイズに接近。回避の為に空に上がるが、レオンは勢いを落とすことなく突撃してくる。

 

(……イノシシか、コイツ…!。)

 

振り下ろされた凶刃をセイバーモードで受けたフェイズ。顔を近づけさせて楽しそうな笑みを浮かべるレオンに思わず気押されてしまう。

 

「聞かせろ…これは"陽動"なのか!?。」

 

「おいおい、手の内を明かせるなんてバカのやる事だろ!?。」

 

力技で押し切り、フェイズを弾き飛ばしたレオン。空中で態勢を立て直すが、気付いた時にはもう懐に居た。

 

(速い!?。)

 

空中機動で避けたフェイズはライフルモードに切り替え、魔力弾を4発放って距離を離す。

その内の2発が直撃。黒煙を振り切って、汚れたバリアジャケットの埃を振り払う。

 

「……なら、質問を変える…"アルテミスの弓"を何故、狙う!?。」

 

「そんな細かい話、オレがいちいち答えると思うのかぁ!?。お前は俺と殺し合いをするんだ、話し合いなんて御免だな!?。」

 

(クソ…話にならんな…!!。)

 

ーアルテミスの弓ー

…聞いたことがある。ミッドの外気圏上のどこかに存在すると言われている「衛星砲台」の起動キー。

それが"アルテミスの弓"という。

しかし、それは「他次元世界」の遺物であり、解析もまだできていない代物…それを、彼らは狙っている。

目的は何なのか…それを使って、何をするのか……答えは彼らにしかわからない…。

 

ーユナVSエイリスsideー

 

「…何このお嬢ちゃん…強い…!?。」

 

「魔力順応」で、エイリスの攻撃を悉く無力化するユナ。

元々、中距離に長けている彼女はエイリスのレンジは得意分野だった。蛇腹剣による変幻自在な攻撃に対応していくユナを見て、思わず歯を食いしばる。

 

「もうやめてください!。」

 

「そう言って、はいそうですかと引き下がれると思う!?。」

 

蛇腹剣の切っ先が「蛇」の頭へと変化。そこから、膨大な圧縮魔力が籠る。

 

「受けなさい…ミストラル・カノン!!。」

 

頭上から細長い高威力の砲撃魔法が放たれる。

それを見たユナは冷静にーエクセリアーをエイリスに向ける。

 

(…迎撃しない?まさか……私を狙うつもりなの?。)

 

「…ーエクセリアー…お願い。」

 

「all light。」

 

銃型アームドデバイス「エクセリア」が「カノンモード」へと変化。自身の足元に魔法陣が展開される。

 

「ディバイン……。」

 

(…この魔力量……まだ"底"がある…!?。)

 

「カノン…!!。」

 

トリガーを引いたと当時に、巨大な砲撃魔法が放たれる。先に放ったエイリスの砲撃魔法はーエクセリアーを動かして薙ぎ払うように打ち消し、そしてそのままエイリスの頭上に向けて振り下ろす。

それはまるで……砲撃というより巨大な"光剣"のように。

 

(…っ……これは……一筋縄ではいかなさそうね……!。)

 

…聖王教会で"アルテミスの弓"を巡る戦いが繰り広げられている中…本局の前に一人の男が現れていた。

 

「…首尾は上々、さあて…"お祭り"を始めるとしますか……!。」

 

「極東の旅団」"遊撃隊長"ローレル・ランドルフ。

 

……ここから、激闘が始まる……ーーー。

 

…………………end。




管理局本局に現れたローレル・ランドルフ。
彼はたった一人でここに現れた。

相対するのは、管理局きっての近接戦闘のエース…「フェイト・T・ハラウオン」。
しかし、彼女は戦慄する…。

この男の……"真骨頂"に…ーーー。

次回
7話 "雷光"VS"遊撃隊長"。
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