〜天空に輝く"蛍"の光〜   作:やままん

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ローレル・ランドルフ。
「極東の旅団」の"遊撃隊長"と呼ばれた男。

年齢「18歳」の若い青年…しかし、この青年は戦闘に関してはとてつもないポテンシャルを持っている。

ー戦闘は「センス」だー

そう……フェイズと同じく人より劣る彼だからこそ、"常識"が通用しない…ーー。


7話 "雷光"VS"遊撃隊長"。

…本局。

現れたローレルの襲撃はすぐに通達された。僅か2分で出撃した陸戦・空戦魔導士の一部隊を戦闘不能に。そして隠密行動を取る素振りすらなく、派手に動き回る。

その状況を、はやては監視モニターで見ていた。

 

「……報告された敵性勢力の数は一人…流石、噂に違わぬ実力や。ここに来るのも時間の問題かもしれへんな……。」

 

深刻な顔をしたはやて。ローレルはまだ入口ゲートの前にいるが、その気になればここまでやってくる可能性もゼロじゃない。

 

(どないする…私が出て追い払うか?でも……彼と私じゃあ"相性"が悪すぎる……。)

 

自らのデバイス「夜天の魔導書」を見るはやて。"広域型"の彼女ではローレルのような"一騎当千"の魔導士を相手に分が悪すぎる…詠唱中に迎撃を食らうのは見えているうえに"1対1"で戦えるほど効率の良い魔法は撃てない…。

そんな事で頭を悩ませていた彼女の前に一人の女性がやってくる。

 

「私がでるよ、はやて。」

 

金髪の女性…彼女を見たはやてはコクリと頷く。

 

「…よかった。ここにいてくれたんやね?"フェイトちゃん"。」

 

フェイト・T・ハラウオン。

なのは・はあてと同じく管理局の誇るエース。そして、執務官である。

彼女は"近接・中距離"を得意とする魔導士。

そして、ローレルのようなタイプの魔導士と戦うには一番適しているとも言える。

 

「わかった、私は有事に備えて色々と準備をする。彼の目的が何なのかは全く分からへんけど"アルテミスの弓"の件も重要や。いくらかの戦力はそっちに回すさかい、よろしく頼むわな?。」

 

「うん。任せて…なのはの留守を狙ってかもしれないけど私がなんとかする…!。」

 

……………………………。

 

「…さて、そろそろ"本丸"を目指しますかな…?。」

 

倒れる魔導士達を見ながら、ローレルは「グロリアス」を担いで歩き出す。すると、その脇に雷撃が横切っては前方をじっとりと見る。

その魔法を放った本人を見て、ニヤリと笑みを浮かべながら心が躍る感覚がした。

 

「これはこれは……とんでもねェ大物が釣れたもんだ。一介の傭兵相手に大袈裟なんじゃねェのか?。」

 

「…「極東の旅団」"遊撃隊長"ローレル・ランドルフ……時空管理局襲撃の現行犯で身柄を拘束します。抵抗はしないで大人しく従ってください。」

 

「バルディッシュ・アサルト」を構え、ローレルに睨みを利かす。しかし、当の本人は嬉しそうに。

 

「抵抗はするぞ?。その方があんたと遊べるんだろ?。こんなに面白いことはない…あんたほどの大物とはそう簡単に刃を交える機会を得られないからな…この状況を楽しませてもらう。」

 

そう言って、先手を取ったローレル。爆発的な踏み込みで一気に距離を詰めた。

 

(速い……でも、見える…!。)

 

振り翳してきた攻撃をフェイトは簡単に受け止める。ジリジリと、互いの刃がぶつかり合って火花を散らせる中、彼女はローレルに問いかける。

 

「どうして貴方達は管理局を襲い続けるんですか!?持ち出されたデバイス等は何に!?。」

 

「この状況で尋問か?まぁ、それがあんたらの仕事だもんな?。いいぜ、特別に教えてやる。」

 

力技でフェイトを弾き飛ばし、グロリアスの切先を彼女に向けながら。

 

「あんたらも知ってるだろうが…数ヶ月前、ミッドの外気圏上に突然転移反応があったろ?。そして、未確認の"戦艦"らしき物体を検知した…それは、2日ほどで姿を消したがどの「管理世界」の技術体系でも何でもないもの…加えては、「管理外世界」のものとも言い難い代物だ。」

 

「知っています…でもあれは……。」

 

「"異星文明"…つまり、"異星人"の兵器だってこったろ?。その見解はビンゴだ。大当たりだよ、ありゃこの世界の宇宙からやってきた"異星勢力"だ。」

 

「…なんでその事を詳しく知ってるんですか!?。傭兵という事は誰かに雇われてこんな所業を!?。」

 

「酷ェ言い草だな、まるで俺達が金の亡者みてェに。まぁそこはあんたらに教える義理も無い。ただ…雇い主は居ないってことだけは明かしてやるよ。これは紛れもなく俺達の意思だ。あんたらじゃ"勝てねェ"って思ってんだよ。さて…お喋りはここまでだ。続きをやろうぜ?。俺があんたを相手にどこまでやれるか試してみてェんだよ!。」

 

再度、突撃。まるで戦いを楽しむかのような彼の攻撃はフェイトにとっても不快なものだった。力をこんな風に扱うなんて…そう思って。

 

「…それでも、貴方達のやってる事は許されるものではありません!。バルディッシュッッ!!。」

 

「sonic form、active。」

 

高機動重視の「ソニックフォーム」へと変化。フェイズ顔負けの高機動戦闘による攻め手でローレルと対峙する。

 

「おいおい、またスピード重視かよ!?。」

 

「はああああ!!。」

 

洗練された連撃。それに加え、射撃魔法による攻撃の猛襲はローレルに確実なダメージを与えていく。

 

「…ぐうっ…っうう…痺れるねぇええ…!!。」

 

その時、フェイトのバルディッシュ・アサルトが変化。大剣型の「ザンバーフォーム」へと切り替わる。

 

「これで……!。」

 

よろけたローレルを捉え、バインドを掛けてそのまま袈裟斬り。防御魔法を瞬時に展開していたがその威力は凄まじく、斬撃の威力から吹き飛ばされて壁に激突した。

 

「……勝負ありです。抵抗はここまで……。」

 

「…いやぁ……効くわ〜、マジで。」

 

ガラリと、崩れた壁の中から起き上がったローレル。フェイトの連撃の殆どを受けたその身体はボロボロだった。頭から血を流すも、痛みを全く気に介さないその佇まいはフェイトを以てしても"恐れ"すら感じさせる。

 

「さっすが管理局のエース…そんじょそこらの局員とは違う上にこれまで仕事をしてきた中でぶち当たった敵の誰よりも強ェ。認めざるを得ないな……純粋な"魔法戦"では全く歯が立たねェ。でもまぁ、大体分かったわ……多分、"勝てる"。」

 

その一言を告げられた瞬間から、ゾッとした感覚に襲われるフェイト。次の瞬間、いつの間にか右腕にバインドが掛けられていた。

 

「っ……!?。」

 

一瞬、気を取られるもその拘束力は話にならないほどにまで弱く、簡単に振り解けるもの。しかし、ローレルにはそれで"十分"だった。

 

「このレベルの戦闘で一瞬でも気を抜くとよォ…?。」

 

「なっ…!?。」

 

いつの間にか懐に入られた。まずい、これは避けられない。

そう思った直後、ローレルはフェイトの腕を掴んだ。

 

「死ぬんだわな!?。」

 

突然、身体が反転。そのまま地面に叩き付けられた。

その衝撃で呼吸が乱れて視界が朦朧とする。何をされたのか全く分からない。

 

「…合気道って知ってる?。ま…アナログな戦法なんてもう忘れられてるだろうけど。でもこれ、結構使えるんだよなぁ…何せ…。」

 

気付いた時には白刃が喉元にまで迫っていた。

 

「マジ強ェ奴ほどよく引っかかってくれるんだよ…そう、魔法戦に滅法強ェ奴ほど…な…?。」

 

フェイトは歯を食いしばって首を動かし、白刃を回避。そして、ローレルの背後に展開させた魔力弾から電撃を放った。

それを受けたローレルはダメージを受けて思わず仰け反る。

その隙を逃さないフェイトは距離を取って、「サイズフォーム」へと変化。片手で横薙ぎに振る動作を取る。

 

「クレッセントセイバーッッ!。」

 

射出された魔力の刃が回転しながらローレルに向かってくる。ここで彼が取る行動は右手に持つグロリアスで弾くか回避行動に移るはず…しかし、その行動は全く予想だにしないものだった。

 

「よいしょおおおお!!。」

 

左腕を差し出してその刃を腕で受け止めた。持てる魔力の殆どを左腕に集中、防御魔法を局所的に固めて盾としていた。だが、それでも刃はしっかりと腕に食い込んでいる。そこから、血が流れ落ちるも突き刺さったまま突撃してくる。

 

「なっ…!!?。」

 

「んだよ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして。あんたが相手をしてるのは傭兵だぜ?。こんくらい、いつも通りなのさ!!。」

 

グロリアスをぶん投げるローレル。自らデバイスを手放したその行動は予想がつかない。真っ直ぐに進んでくるそれを避けたフェイト。しかし、その直後から一直線上に伸びた"チェーンバインド"が彼女の横を通り過ぎる。

 

「3秒あれば十分なのさ!!。」

 

「しまった…!?。」

 

気づいたときには遅かった。それは投げられたグロリアスの持ち手に巻き付き、ある程度の魔法による「遠隔操作」で軌道を変えたグロリアスの刃が背後に迫ってきていた。

 

「アンカースラッシュ…!!。」

 

勢いよくチェーンバインドを引いたと同時に消滅。そのまま回転したグロリアスがフェイトの背中を激しく切り裂いた。

 

「あああああッッ!!?。」

 

「悪いな、あんたの放った「クレッセントセイバー」だっけ?。それを真似させて貰ったわ。少々、手の込んだ工程だがなかなか悪く無ェ。」

 

地面に突き刺さったグロリアスを回収。地面に落ちたフェイトにゆっくりと近寄る。

 

「わかったか?。あんたらは俺らのような"泥臭い"戦い方をする奴らにゃ滅法弱ェのさ。あんたらの戦い方は"綺麗すぎる"。本来ならそれがセオリーなんだろうが、俺のように才能も無ェような落ちこぼれ魔導士にゃそんな器用な事は出来ねェ。ほら。」

 

フェイトにバインドを掛ける。しかし、それは3秒持たずとして自然消滅した。

 

「これが限界なのさ。魔力を乗せた大技なんてものを放ったその時にゃ、隙だらけとなる。だからこうして簡単な魔法だけを使って後は力任せにやるってだけなのさ。その結果、俺が立っていてあんたが地面に這いつくばっている…それに、一度"見た"相手の技を俺は"再現"出来るのさ。少々、手の込んだ真似をしないといけねェから一度きりくらいにしてるけど…。」

 

立ちあがろうとするフェイトの首を掴んで壁に叩きつけるローレル。辺りは火災で煌々と燃えている。

 

「やめときな、勝負ありだ。俺も相当なダメージを負ったが、あんたに喰らわせた一撃を見りゃ得な買い物をした。」

 

「っ……まだ…勝負はついて……!!。」

 

右手に魔力を篭らせたフェイトは抵抗しようとするが、ローレルは自分の懐に手を入れてあるものを取り出し、それをフェイトの口に突っ込んだ。

 

「んむっ…!?。」

 

「ソーダ味のキャンディ、嫌いだった?。あと、俺はこれを届けに来たんだよ。たこ焼き味キャンディ。八神はやてに渡しといてくれよ?。」

 

そう言って、手を離したローレル。突然の事でフェイトは頭の中の整理が付かずにその場に座り込む。そして徐に、ローレルは端末を取り出して連絡を入れた。

 

「こちらローレル。作戦は"成功"だ。ここにゃ、高町なのはは居ねェ。ついでにフェイト・T・ハラウオンを抑えておいた。八神はやても俺の襲撃で対応に追われてるし…増援は雑魚しか来ねェ。一気に畳み掛けろ。"ヴォルケンリッター"とかその辺りがそこに居ねェって事は同じように他の支部に仕掛けた"仲間"が引き付けてるはすだ。」

 

それを聞いたフェイトは血の気が引いた。

 

(…まさか…彼がここに来たのは彼自身が"陽動"!?。本局に私達が居ることを知って自分が抑えに来た!?。マズイ…聖王教会側の戦力が……!!。)

 

……………………………。

…ローレルの通信を聞いたレオンとエイリスは不敵な笑みを浮かべた。

 

「「了解、リーダー。」」

 

その様子を見ていたフェイズはローレルの"作戦"の全容を理解した。

 

(…奴め……こっちが"本命"だった!?。本局の襲撃は陥落ではなくて主力をこっちに向かわせない為の…仮に、奴を無視したとしても本局に甚大なダメージを与えられる…どっちに転んでも奴らの"優勢"に変わりはない作戦だった…!?。)

 

…"アルテミスの弓"を巡る攻防戦…佳境を迎えることに。

 

…………………………end。




フェイトを抑えたローレルは聖王教会側に一気に勝負を仕掛ける。

なのは、そしてヴァルケンリッターという主戦力が無いまま勝敗の鍵はアイオン兄妹に掛かっていた。

フェイズは覚悟を決める…生きるか死ぬかの「大技」による逆転に全てを賭けて。

次回
8話 エンド・ブレイカー。
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