オールドアクションゲーム二次創作   作:dwwyakata@2024

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2、忍びの本分

じゃじゃ丸が出向くと、知鯰の者、幼なじみである外世子は遅いと言った。元から小柄な外世子は、精一杯足を突っ張って、視線を高くしようと滑稽な努力をしている。幼い頃は外世子の方が背が高かったのだが、中学くらいに逆転した。

 

それ以降だ。変なライバル意識を持たれるようになったのは。あるとき、決定的な事件が起きて、それからは心に壁が出来た。

 

「状況は聞いていたでしょう? なんで遅れたのよ」

 

「お庭番の一族で、色々と問題が起きていてな」

 

じゃじゃ丸の一族は、かって江戸時代、諜報を担当したお庭番と呼ばれる集団に属していた。

 

この集団は、現在では「忍びの者では無い」という定説が強まっているが、実際には諜報を司る関係上、かなり忍びの一族との関連性が深かった。当然、じゃじゃ丸の一族のような、精鋭忍び集団も含まれていた。特殊能力持ちも、その中にはいた。

 

知鯰の一族は、初代である鯰太夫なる人物が一度抜け忍になり、それ以降激しい争いを幕府側と繰り広げた経歴がある。最終的に鯰太夫は幕府側に自分の力を認めさせたが、どちらかと言えばダークサイドの立場を維持し続け、明治維新の際には真っ先に明治政府に荷担した。

 

お庭番に所属した数々の集団は、明治以降も解散したと見せかけて、政府麾下にその精鋭を温存し続けたのだが。

 

やはり、鯰太夫からの因縁は、未だに根深い。

 

彼らの長老達の合同会議は、知鯰の者達を毛嫌いしていて、政府の命令があっても共同作戦の際には毎回問題を起こすのだ。よくしたもので、知鯰の者達も、それに対しての反発を隠さない。

 

「またー? おじいちゃん達、どうして仲が未だに悪いのよ」

 

「数百年分の因縁だ。 ましてや明治維新の時に、双方共に大きな被害を出したことを考えると、な」

 

「ふん、そんなの、戦争だからでしょ」

 

確かにその通りだが、そう割り切れないのも人間だ。

 

外世子は地図を広げてみせるが、どうも上手く探索が出来ていないらしい。確かに図は、滅茶苦茶な様子だ。

 

「見てよこれ。 よっぽど中にいる奴、性格がひねくれているんだわ」

 

「何か法則性は」

 

「今、解析中。 泡が動いているとか、偵察装置が壊れているんじゃないかとか、そういった可能性も調べているけれど、このままじゃあ入ったフィールド探索者を無駄死にさせるだけよ」

 

「……」

 

小型の偵察装置を実用化したりしている辺り、知鯰の実力は信頼出来る。ましてや外世子は、一族の中でも屈指の学者だ。

 

ただし、流石に全てが独自開発の技術ではないらしい。

 

「入り口近辺だけでも、調べられないか」

 

「あんたが直に入るって事?」

 

「これでも本職だ」

 

「……」

 

腕組みして唸る外世子。

 

科学的なアプローチをして駄目なら、本職であるじゃじゃ丸が出向くだけだ。隠密と生還は、忍びの専売特許である。

 

「無茶はしないでよ」

 

「分かっている」

 

今の時点で分かっている空間のつながりの図を渡される。

 

非常に煩雑な上に、同じ空間の穴でも、毎回どこに出るか分からないと言う状況だが。それでも、無いよりはマシだろう。

 

忍びの仕事は、情報を扱うこと。

 

それは当然、敵地からの生還も含まれる。

 

「では、行ってくる」

 

「……好きにすれば?」

 

つんと、そっぽを向かれた。

 

時々外世子は何を考えているか分からない。ただし、学者として信用できるのは、確かだ。

 

鉄条網の先に出向く。

 

歪んでいる範囲が広い。フィールドは拡大していないというのが、せめてもの救いか。

 

足を踏み入れる。

 

不意に、辺りの景色が変わる。

 

其処は、和風の屋敷だった。朽ちかけた障子。たたみは痛んで、カビが生えている。

 

木張りの床は手入れがされておらず、彼方此方に穴が開いている。そして、今入るのに使った空間の穴は、既に消え失せていた。

 

なるほど、まるで食虫植物だなと、じゃじゃ丸は思った。

 

天井はかなり低い。古き良きJ国の屋敷。というよりも、これは殆ど、おばけ屋敷と言うべきか。

 

不意に、辺りの温度が下がりはじめる。

 

どうやら、出迎えらしい。

 

真っ白い、骸骨のように痩せた女が、闇から抜けるようにして現れる。殺意を籠もった目を向けてくるその女は。

 

じゃじゃ丸がその退治を本職としている、あやかしに間違いなかった。

 

雪女と呼ばれる妖怪だ。普通は雪山に現れる存在なのだが、何故此処に出現する。どう見ても、山中にはない、普通の屋敷だが。

 

左右を見回す。

 

屋敷から出られそうな場所はない。というよりも、外の光景さえ、見えない。よほど屋敷が広いのか、それとも。

 

いずれにしても、戦うほかはないだろう。

 

手裏剣を投擲するのと、相手が動くのは同時。中間点で、手裏剣がはじき返される。おそらく、瞬間的に冷気を結晶化して、手裏剣を迎え撃ったのだ。

 

だがその時には、じゃじゃ丸は相手との距離を、必殺の間合いにまで詰めていた。

 

雪女が顔を上げたときには、もう遅い。

 

その額にじゃじゃ丸の蹴りが叩き込まれていた。そして、破邪の力も。

 

のけぞった雪女が、悲鳴を上げながら頭を抑えるが、既に妖怪にとって致命的な力は、全身に廻っている。

 

その体は灰になり、散り散りに裂けていく。妖怪としての、死を迎えたのだ。

 

これが、じゃじゃ丸のフィールド探索者としての能力。

 

破邪の力を、直接相手に叩き込むことが可能だ。忍者としての様々な技に加えて、この能力があるため、一族は古くから珍重されてきた。

 

すぐに、その場を離れる。

 

地図を見ながら、気配を消す。無言で周囲を探っていくが、どうやら外に出る方法はないらしい。どこまでも、ひたすら同じような構造の部屋が続いている。

 

しかも、時々歪んで見えるのは、おそらく空間が歪んでいるから、だろう。

 

蠅が飛んできた。

 

偵察用の機械か。

 

「あーあー。 聞こえる?」

 

「しっ」

 

気配を消している最中だ。周囲には、ざっと確認できただけでも、七体の妖怪が徘徊している。

 

いずれも人間を殺すのに充分な力を持っている相手ばかりだ。

 

音量を下げると、外世子が機会を通じて言う。

 

「その歪みは入っちゃ駄目。 解析も出来ていない」

 

「……」

 

地図を見るが、外世子は自分にしか分からないように書いているからか、どうも良く分からない。

 

咳払いすると、外世子は言う。

 

「一つ試して欲しい事があるんだけれど」

 

「何だ」

 

「フィールドが、どうも一つ一つの泡のような空間で成立しているってのは、話したわよね」

 

「ああ」

 

その先なんだけれどと、外世子がわずかに声のトーンを殺して言う。

 

解析の結果、どうも泡の一つずつに、八体の妖怪がいるらしい事が分かってきたのだという。

 

何となく、それでぴんと来る。

 

それは、聞いたことがある。確か、初代の。おそらく、外世子もそれに気付いている。

 

「空間の歪みには入らないで、その空間の妖怪を全滅させてみて」

 

「敵の支配権を排除する、というわけか」

 

「そう。 ひょっとすると……ううん、何でも無い」

 

今の時点で、妖怪どもは密集せず、ばらばらに行動している。

 

それならば、各個撃破が可能だ。

 

会話を切ると、気配を消す。

 

まず、一番近い奴からだ。

 

障子はどこも破れているが、家屋の死角はどこにでもある。天井でも良いし、物陰でも良い。

 

忍者の使う術で、火遁とか水遁とかいうものが有名だが、あれは逃げるために、それらを利用するというものなのだ。

 

つまり、忍者は隠れることを、敵地では主な目的とする。

 

一匹目の背中を捕捉。

 

雪女だ。同じようにがりがりに痩せていて、背丈も高いとは言えない。無音で近づくと、背後から蹴りで破邪の力を叩き込む。

 

悲鳴さえ上げず、雪女は消える。

 

再び、影に紛れる。そして、一匹ずつ、妖怪を屠っていく。

 

奥に、三匹固まっている。他は全て片付けた。一番奥に、少し豪奢な着物を着た雪女がいる。

 

手前にいる二匹は、おそらく見張りだろう。

 

奇襲を仕掛けようにも、丁度奥の間のようになっている。調べてみたが、天井板には外れる場所がない。

 

畳も鉄のように融着していて、少なくともじゃじゃ丸の手持ち装備では、無理だった。

 

効くか分からないが、試してみるほか無いか。

 

閃光手榴弾を用意する。

 

フィールドにいる怪物には、銃弾が効かない奴もいる。妖怪と呼ばれるタイプは、殆どの場合、銃弾が効くが、しかし効果は薄くなりやすい。爆発の破片で殺傷する通常の手榴弾も、効きづらいとみて良い。だから、閃光手榴弾を使う。

 

音もなく、三匹の妖怪が隠れている間に、手榴弾を放り込む。

 

閃光が炸裂した。

 

飛び込み、顔を押さえている二匹を瞬時に蹴り倒す。破邪の力を込めているから、即死だ。

 

奥にいる一匹は、タイミングを合わせて顔を覆ったからか、平然としている。

 

ゆっくり、構えを取る。

 

喝。

 

雪女が叫ぶ。同時に、天井からも床からも、氷の刃が降り注いでくる。無音のまま走る。何カ所か、体をかすめる刃。

 

手裏剣を投げる。

 

相殺される。

 

だがその時には、体ごとぶつかるようにして、じゃじゃ丸は雪女に蹴りを叩き込んでいた。

 

奥の壁に突き刺すようにして、雪女に破邪の力を叩き込む。白い血を大量に吐いた雪女は、解けるように消えていった。

 

「お……!」

 

側を飛んでいた蠅型の偵察装置を通して、外世子の声が聞こえてくる。

 

声のトーンが露骨に嬉しそうで、良いことがあったのはすぐに分かった。

 

「入り口近辺の電波状態が改善されてる。 ちょっとまって。 あ、これはやった!」

 

「……」

 

「出てこられるよ。 一度戻って」

 

蠅型の偵察装置に導かれるようにして、戻る。

 

此処は敵から奪取した領土、とでもいうべきなのだろうか。無数の泡状の空間が連なっているのなら、やっとこれで第一歩、という所か。

 

空間の歪みに踏み込むと、いつの間にか外に出ていた。

 

右腕と左足股を掠った氷の刃で、傷が出来ている。すぐに直る程度のものだが、妖怪が付けてきた傷は、厄介な後遺症をもたらすことが多い。

 

幸い、今回は専門家が来ている。後で診てもらう方が良さそうだ。

 

「お疲れ様。 少し休んで」

 

「手当たり次第に敵の領土を潰して行けば、それでいいのではないのか」

 

「ううん、そんな風に安易に考えるのは危険よ。 解析するから、ちょっと待っていてね」

 

悠長なことだ。

 

昔から此奴はこうだった。だが、計画的に何事も進めていたから、若くして学者として大成したとも言える。

 

一度、プレハブの宿舎に戻る。

 

次にフィールドに入るときは、おそらくスペランカーと川背と、一緒にはいることになるだろう。

 

既に、人員は揃っているようだった。

 

最深部には、おそらくニャルラトホテプがいる。下劣な奴だと聞いていたが、フィールドの中身を見て、それが真実だと確信できた。多分、外世子もすぐに気付くはずだ。彼奴も、知鯰の一族の者。過去のことについては、一通り知っている筈なのだから。

 

無言で、医師の所に行く。

 

今は、傷を癒やしておかなければならない。

 

 

 

仮眠を取って、起き出す。

 

軽く身繕いしてから、黒装束を着込む。これは顔を見せるわけにはいかないからで、街にいるときは普通の格好をいつもしている。もっとも、じゃじゃ丸は服のセンスが妙だとかで、いつも外世子にぶちぶち文句を言われるのだが。

 

この間買い物につきあわされたときも、ずっとそんなことを言っていた。

 

来ている医師は知り合いだ。顔を出すと、早速検査結果を教えてくれた。

 

「怪我の方は別に問題が無いな」

 

「何か他に問題が?」

 

まるでドジョウのような顔をした脂ぎった中年親父である医師は、口に咥えた禁煙用シガレットを揺らしている。

 

彼は政府お抱えの医師で、じゃじゃ丸のような特務の者を専門で治療する人間だ。特殊能力者同士の戦いや、魔術で受ける傷についても詳しい。

 

「無理が出始めとる」

 

「……」

 

「お前の叔父さんよりは遅いが、このままだと、四十を過ぎた頃には、松葉杖が必要になるぞ。 戦闘ではあくまで影働きに徹して、とどめは他の奴に任せるんだな」

 

「分かった。 善処する」

 

医務室を出ると、外世子にばったり会う。

 

ばつが悪そうに視線を背ける。さては、今の話を聞いていたか。

 

「だから、言っているのに……」

 

「この仕事をしている以上、仕方が無い事だ」

 

それに、じゃじゃ丸には、この能力があっている。

 

影から接近して、一撃必殺。

 

剣も銃器も効かない相手にさえ、通じる必殺の技。これ以上、しのびにとって都合が良い能力はあるだろうか。

 

「なんで俺にそんなに構う。 俺が廃人になっても、お前には嬉しいだけでは無いのか」

 

「っ、知らない!」

 

ぱたぱたと小走りで外世子は行ってしまう。本当によく分からない奴だ。

 

会議室に入ると、むすっとした外世子が、フィールド探索者達に、説明をはじめていた。

 

「なるほど、泡状の空間にいる妖怪を斃せば、制圧できると」

 

「しかし、それ自体が罠になっている可能性もあります。 何しろ、狡猾なことで知られるニャルラトホテプです」

 

「え? 確かに異星の邪神の気配はありますけれど、ニャルラトホテプであるという事は解析できたんですか?」

 

スペランカーに言われて、明らかに動揺する外世子。

 

それはそうだろう。他の人間からすれば、どうしてそうだと分かったか、理解不能なのだから。

 

「それなら、攻略に時間が掛かる事もありますから、今のうちに増援を集めた方が良いのでは?」

 

「え、ええと……」

 

「待って」

 

川背が提案するが、いち早く様子がおかしいことに気付いたらしいスペランカーが制止する。

 

以前、川背がスペランカーに心酔する原因になった事件に、じゃじゃ丸は居合わせたことがある。

 

その時と同じだ。

 

スペランカーはアホとか陰口をたたかれているが、実際には高い判断力を持っていて、特に人の心理には妙に敏感に反応する。おそらくは天性に備わった素質なのだろう。

 

「ええと、知鯰さん。 貴方は何かしらの理由で、あのフィールドの最深部にニャルラトホテプがいる可能性が高いって、知ってしまったの? それならば、どうして増援を呼ぼうとしないの?」

 

「……」

 

「分かった。 それならば、それ以上は追求しないよ。 それで、どうするの? 私達だけで、攻略は可能なの? もしも、可能じゃないのなら、私もこれ以上は擁護できないよ」

 

スペランカーは、此処にいるメンバーの中では、経験といい実績といい、今や一番手と言って良い。アーサーやMのような大御所クラスが此処にいたのなら、話は別だが。

 

彼女の発言を遮ることは、あまり褒められた行動ではない。

 

それに、元々異星の邪神に対する策として、スペランカーが来ているのだ。彼女の発言は、もっともだとも言える。

 

「ニャルラトホテプへの路が出来れば、貴方は、勝てますか?」

 

「川背ちゃんが側にいるし、何とかなると思う」

 

「それならば、勝てるように、して見せます」

 

「無理はしないで。 私に出来る事なら、何でもいって」

 

スペランカーが席を立つ。

 

川背がしばらく此方を見ていたが、やがてスペランカーの後を追っていった。

 

壇上で大きなため息をつく外世子。

 

誰もいなくなったところを見計らって、声を掛ける。

 

「どうするつもりだ」

 

「支配権を得た空間を調べていたのだけれど、電波も通じるし、殆ど通常空間と同じになっているの」

 

それは、妙だ。

 

つまり泡状の空間そのものは維持されているが、中身は通常空間に戻った、ということなのか。

 

罠の可能性が高い。

 

敵を倒せば進んでいけると思わせておいて、とんでも無いトラップが仕込まれていると考える方が自然だ。

 

ましてや相手はニャルラトホテプ。

 

罠の正体さえ分かれば、食い破ることも出来るだろう。しかし、今主力が内部を進むのは、危険すぎる。

 

「やはり、俺が出る」

 

「……それしか、ないの?」

 

「忍びはもとより消耗品だ」

 

どんなに有名な忍びであっても、ちょっとした油断で簡単に死ぬ。戦いによって受けた傷で、あっという間に再起不能になる。足、腕、指、いずれも失ったら、もう忍びとしてはおしまいだ。

 

一子相伝というようなやり方で、技を継いでいないのもそのためだ。

 

当主が前線に出るようなやり方では、いずれ必ず血が絶えてしまうからである。それだけ、事故が多いのだ。

 

じゃじゃ丸の名を継ぐのも、直系の子孫ではないことが決まっている。

 

「構造上、キーになっている奴のことはわかりきっている。 支配地域を広げて、奴を見つけるしか、方法がないだろう」

 

「鯰太夫……私のご先祖ね」

 

そう。鯰太夫の城である。

 

このフィールドは、初代じゃじゃ丸が戦った、鯰太夫の造り出したおぞましき闇の城にそっくりなのだ。

 

ニャルラトホテプは、明らかにそれをもして、このフィールドを造り出した。

 

今はまだ、意味さえも分からない。

 

「スペランカーに相談しろ」

 

「え?」

 

「彼奴は頼りになる。 スペランカーを味方に付ければ、彼奴のシンパも一緒になって動いてくれるはずだ」

 

一族の恥を、外に漏らすわけにはいかない。

 

知鯰の一族にとっても、鯰太夫の名はタブーになっているのだ。それから陰ひなたに生きなければならなくなった元凶にて、野心と感情に任せて安易な行動に走った男。その恐るべき技術と能力で、幕府を大混乱に陥れた大悪人。

 

知鯰の一族は、その出自をずっと隠し続けているという。勿論、政府にとっては暗黙の了解だ。彼らは始祖の行動のために、ありとあらゆる手段を使ってでも、意地汚く生きるような事を強いられてきたのである。

 

また、今では、それは恥だけでは済まなくなってきている。表に出すわけにはいかない闇の事件と、直結しているからだ。本来なら増援を呼ぶべき所だろう。だが、今は出来ないのだ。

 

しかし、どうして助け船を出したのか。

 

結局の所、じゃじゃ丸も幼なじみが苦労しているのを、見過ごせないのかも知れない。

 

場合によっては親兄弟でも切り捨てる忍びだと言うのに、随分甘いことだ。

 

結局の所、じゃじゃ丸はプロであっても、心身ともに忍びにはなりきれていないのかも知れない。

 

アキレス腱は抱えるな。

 

そう教えられて育ったというのに。

 

いつの間にか、外世子はその場にいなくなっていた。

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