オールドアクションゲーム二次創作 作:dwwyakata@2024
闇色の地面。
多分、汚染とか、腐敗とか、そう言うことではないだろう。魔王が、己に都合がよいように、環境を書き換えていると見るべきか。
沖田ののは、五機合体し、真の能力を解放したウィングギャリバーを操りながら、自分のようだと思った。
闇。闇そのもの。
現代社会に生きる、闇の人間。どうしようもない環境に産まれて、どうにもならない能力を持っていて。それが故に、さらなる深い闇の中、踏み込んでしまった愚かな人形。
それが私だと、ののはいつも思っている。
光は、欲しい。
しかし、それ以上に。今は好奇心が強い。
闇の外には、何があるのか。
風の翼を駆りながら、ののは闇の外に、思いを馳せる。
早期警戒の網を張りながら、武田クライネは願う。
一刻も早くこの戦いを終わらせることを。
お爺ちゃんと一緒に暮らしたい。
お爺ちゃんには、健康であって欲しい。
多分、お爺ちゃんは、あまり世間一般では立派だと思われていない。孫への接し方も、女の子の育て方も分かっていない。
知っているのは、体の鍛えかた。心の鍛え方。
だから、クライネにも、知っていることだけで接した。
柔道を芯から仕込み、一緒に走り込み、離島で毎日四キロ泳ぎ、そして山ごもりまでしたことがある。
でも、それを嫌だと思ったことはない。
きっと、孤独の方が、もっと辛かっただろうというのは、何処か本能で知っていたからだ。
学校にも、最近は行っている。
最初は容姿で避ける者もいたが、今では柔道部で、大事にして貰っている。
一生懸命頑張って、報われることは少ないのかも知れない。
だが、今は。
お爺ちゃんのためにも、クライネは全力で、世界に戦いを挑む。
修復が、終わった。
やっと、これで五分。戦いの度に派手にぶっ壊してくれる一には少し有馬伊佐実も辟易していたが。しかし、今なら分かる。
根本的に、自分は世話好きなのだ。
たくさんいる兄弟達を守って、今まで生きてきた。育児放棄した母と、まともとはとても言えない父の群れ。暗がりに連れ込まれそうになったことさえある。身を守るために、何時しか男の子っぽい仕草と格好が身についていた。
でも、荒れることはなかった。
そんな暇さえなかった。
自分が手を抜けば、幼い弟妹たちが、みんな死んでしまうのだ。男と腰を振って、慰謝料を取って贅沢をすることしか考えていなかった母は。年老いてからも、育児などと言うことが出来る訳もなかった。
最初から腐りきっていた心が、不意に綺麗になる訳もない。
昔、悪事を働いたことを自慢げに風潮しているような輩は。
年を経てからも、根本的に精神が変わっていないのだ。文字通りの屑が、ただ年だけを経た。それは子供よりもタチが悪い、怪物と言っても良い存在だ。
そんな怪物から、子供達を守らなければならない。
そのままであれば、心が壊れてしまったかも知れない。
だが、有馬は平気だった。
悪魔の中にあった、唯一の良い部分が。有馬の中に根付いていたのかも知れなかった。
「みなさん、起きてください」
声を掛ける。
さあ、そろそろ決戦だ。
ゆっくり、土方琴美は精神を研ぎ澄ませていく。
強くあらねばならなかった。
たらい回しにされる日々。厄介者として罵られ、何か失敗すれば殴られることもあった。それでも、背中にはもっと幼い、病弱な弟がいた。
だから、立ち上がることが出来た。
泣くのは、小学生低学年の頃には止めていた。
家事は全部自分で覚えた。
剣道に撃ち込んだのも、武器を使えれば、それだけ身を簡単に守れると思ったからだ。
虐めは弱いモノに対して行われる。
だから、圧倒的な強さを見せつければ。少なくとも、弟が虐められることはなかった。いつしか恐れられるようになっていた。それで良かった。周囲で恐れられる珍走団を木刀一本で壊滅させてからは、その傾向はより顕著になった。
有段者の養父を剣道で叩きつぶしたのは、中学二年の時。
琴美の体をいやらしい目つきで見つめていた養父は、それ以降何も言わなくなった。
バイトを始めたのも、その頃からだ。
容姿が大人っぽかったこともあって。近所で、唯一同情的な目で見てくれているコンビニでバイトを始めて。だが、家事の類を怠ったことはない。
嫌がらせのように続く、不幸の日々。
弟は強くなろうと必死になってくれていたが。しかし、それでもどうにもならない事もある。
高校三年になって、やっと巡ってきたこの戦いは。琴美にとっては、好機だった。
弟を連れて、自立できる。
この戦いをこなせれば、自衛隊幹部への就職だってあるだろう。或いは、沖田のように、フィールド探索者というのもありかも知れない。特殊能力習得の当てなら、無いことも、無いのだ。今いる「家族」が屑でも、「先祖」には偉大な人物もいて、その遺産を偶然見つけもした。
いずれにしても、弟と一緒に自立すれば。その能力を得るために、修練する時間だって出来るだろう。
「まもなく、接敵します」
武田の声がする。
土方は、一言だけ応えた。
「承知した」