オールドアクションゲーム二次創作 作:dwwyakata@2024
緑の草原。
青い空。
ああ、これが空気というものなのか。
此処は、アトランティス。
アトラク=ナクアは、力を失った。代わりに自由を得た。
此処は邪神のゆりかごとして作られた土地。もはや邪神の手を離れた土地でもある。
まだ、力は回復しない。回復しても、せいぜい身を守るくらいまでがせいぜいだろう。
テレパシーで意思を伝えることは、できるようになっていた。
自分を頭の上にのせているのは、赤い髪の人間の子供である。魔術の心得があるらしく、妖精にまとわりつかれている。空を飛ぶことも出来るようだった。
「素晴らしい。 空のなんと青き事よ。 草の緑色はいと目に優し。 風はこうもかぐわしかったのか。 わらわは、もう何もいらぬ。 もう何も求めぬ」
「アトラク=ナクア様」
歩み寄ってきたのは、半魚人の長老だ。
手を出されたので、その上に移る。
「また、お知恵をお借りしたく」
「やれやれ、スペランカーに頼り切っているというのは本当らしいな」
「情けない話ですが。 あの方は、我らの支柱なのです」
「ふむ、悔しいがあの強さは認める。 最初はわらわに怒りを抱いていたようだが、本質を知った後は、どれだけわらわに殺されても、わらわに対する態度も、考えも変えなかった。 真の強さというのは、ああいうのをいうのだろう。 それで、何を教えれば良い」
どうしてだろう。
長老について歩いてくる子供が、にこにことほほえんでいる。
「どうした、何がおかしい」
「ママの事、褒めてくれたから」
「おまえの血縁的な母親では無かろう」
「うん。 でも、あの人がわたしのママだって、決めてるから。 あ、内緒だよ。 いつか、わたしの口から、ママになってくださいっていうんだから」
頬を赤らめる子供。ほほほと、目を細めて長老が笑う。
もう一度、蜘蛛神は空を見上げた。
宇宙の中心にいる邪悪は、ただ「閉じ込められ、世界を滅ぼす」という「要素」のためだけに、アトラク=ナクアを作った。そして「慈悲深く」も、感情をわざわざ与えた。
知っていたのだ。閉じ込められることで、狂気に犯されると。
それを、あいつは、スペランカーは壊した。
結果として、アトラク=ナクアの、邪神としての力は永遠に失われた。だが、それでもう良かった。
「そろそろ目覚める頃だろう。 行ってやれ。 おまえの顔を見れば、あいつも喜ぶはずだ」
「えっ? うん!」
ぱたぱたと、子供が駆けていく。浮遊する妖精が、それに続いた。
「この世界には、まだまだ災厄が来る。 だが、あの者がいる限り、或いは」
「……」
長老は応えない。
既に、それを確信しているからかも知れなかった。
(続)
今回例の蜘蛛の有名な邪神に登場いただいたのは、バイナリィランドの主要な敵が基本的に蜘蛛だからです。
ファイヤーボールなどの敵もいますが、やられると何故か蜘蛛の巣に捕らわれます(笑)
まあそれ以上に厄介なのは、自機を強制的に左右反転させる鳥の敵だったりするんですが……
今回もクトゥルフ神話を織り込んで、話をくんでいます。
楽しんでいただければ嬉しいです。