「あれ、やっぱり電話が繋がりません...」
「アルハ、電話番号って合ってるよね?」
「はい、アビドス本校で間違いないかと」
電話の前で顔を見合わせる2人、テラとアルハはここ2日ほどアビドスと連絡をとっていた。否、とろうとしていたが正しいだろう。早朝から夕方まで、一度も電話が繋がらないのだ。
それもそのはず、彼女らが電話をかけているのはアビドスの本校、その五年も前の電話番号なのである。
「もうアビドス行っちゃわない?滞在期間やばいよ」
「ですがテラちゃん、他の自治区に無断で入る行為は...」
「う〜ん、私個人で行く分にはあまり問題にならないんじゃない?」
「はぁ...テラちゃん一人じゃ交渉なんて出来ないでしょう?私も着いていきますよ」
「やったー!じゃ、早速いこっか!」
...それから2日後、アビドスに遭難者が2人増えた。
「終わった...私たちここで死ぬんだ...」
「死ぬ時は一緒だよ、テラちゃん...」
砂漠対策はした。食料も倍近く持ってきた。そんな彼女達の敗因といえば、情報不足だろう。アビドスの砂漠化は五年前より十倍以上広がっていた。
「何で?地図によるともうアビドスの校舎が見えてもおかしくないのに...」
「一面砂漠ですね...」
「五年前、ここら辺は市街地だったはず...」
「何があったらここまで砂漠化するんですか...自然災害にしてもこれは...」
「...アビドスは天災に負けた、ってことなのかな。もう人一人残ってなさそう。どうしようアルハ...」
どうしよう、というのは自分達のことだけではないだろう。ポラリスという特殊な学校が成り立っているのは、今までずっと滞在契約を守ってきた信用があるからだ。その信用を失えばきっとポラリスを受け入れる学校は激減、居場所を失い廃校となるだろう。
「...無理を承知でトリニティに」
瞬間、遠くで爆発音。
「!」
「戦闘...!?ってことは人が!」
「向かうよアルハ!」
辿り着いた先では、一小隊ほどのグループが戦闘を行っていた。相手はキヴォトスの不良集団といえば彼女達、ヘルメット団である。しかしその装備はグレネードやライフル銃など見慣れた物の他、彼女らでは入手が困難な戦車などもあった。
「加勢しよう!アルハ、指揮とサポートお願い!」
「了解ですテラちゃん!」
「ホシノ先輩!戦車、目標地点に入りました!」
「おっけ〜、あとはおじさんに任せちゃって♪」
戦車一両、爆砕。
「セリカちゃん奪還作戦、順調です〜」
「本当、無事でよかった。先生もありがとう」
「!みなさん、遠方から増援を確認!数は...およそ200人!?」
「うへぇ...さすがに撤退かな。出来ればここの基地も潰しておきたかったんだけど」
さすがにこの数の増援は厳しいか。撤退準備を始める彼女達の元に、2人の星が降り注いだ。
「ドローンに追加の反応!?今度は2人、こちらへ向かってきてます!」
「今度は何よ、もう!」
『こちら遭難者!戦闘を確認したため助太刀にきたよ!』
『支援します、そちらの所属と身分は?』
「は、はい!アビドス高校1年、対策委員会の奥空アヤネです」
『りょーかい!私はテラ、アヤネさん伏せて!」
そう聞こえたと同時、アヤネの頭上を薬莢の軌跡が走った。テラがSMGを連射しながら頭上を飛び越えたのだ。
「ミニガンの方、強化します!射撃準備を!」
「強化?よくわかりませんが、全弾発射です〜」
いつもであれば数発当てなければダウンさせられない弾丸が、一発で立っていた地面ごとヘルメット団を吹き飛ばす。強化を受けたノノミの足元では、青く発光する粉塵が役目を終えたかのように消えていった。
しばらくして...
「な、なんだこいつら!情報にないぞ!」
「くそ、撤退!撤退だ!」
「「「おぼえてろよ〜!」」」
そんな捨て台詞を最後に、戦闘は終わった。敵被害、戦車9台と武装ヘリ2台。こちら、被害なし。
「ヘルメット団、撤退を確認...私たちの勝利です!」
「ん、助太刀に感謝」
「助けてくれてありがとう、ところで君達は...?」
「あぁ、わたしたち...は...」ドサッ
「」バタッ
砂漠で彷徨って2日間、その上戦闘まで行った彼女達の体力は底を尽きていた。一度気が抜けたら倒れるのも必然だろう。
「うへぇ〜、気絶しちゃってるよ。どうする?先生」
「とりあえずアビドスに連れていこう。話はそれからだね」
紆余曲折あったが、こうして無事(?)彼女達はアビドスにたどり着いたのであった。
こんにちは、misoranです。アニメ9話に対策委員会編3章の更新と、最近はアビドスの供給がすさまじいですね。嬉しすぎて五体投地したくなります。ホシノォォ!
そして物語ではやっと対策委員会が本格的に出て来ました。が、このお話はブルアカ本編にあまり介入するつもりはありません。少なくともどの章も本編と同じ結末にはする予定です。過程も大して変わらないように作りたいと思っています。生徒たちの青春はあまり捻じ曲げたくないのでね。
それではお読みいただきありがとうございました、闇銀行より感謝を込めて。