「久しぶりの地上の空気はどうでした?テラちゃん」
「砂で口がじょりじょりしたよ〜」
ポラリスに帰還し、エアロック内の気圧調整を待つ二人はアビドスでのことを振り返っていた。
「砂漠で遭難した時はどうなるかと思ったけど、アビドスにまだ人が残っててよかったね〜」
「五年前の面影はもうありませんでしたけどね...あの時よくしてくれた人たちは無事なんでしょうか?」
「懐かしいね〜、私がアルハと知り合ったのもあの時だったっけ?ユメお姉ちゃん、元気してるのかな?」
「ユメさんはあの時一年生だったから...もう卒業してるのかな?」
「...そっか、もう五年もたってるんだもんね。時間が経つのは早いなぁ」
そうして10分ほど経った頃、エアロックの扉がようやく開いた。
「あ〜長かった!最新のに買い換えない?このままじゃ人生の三分の一をエアロックで過ごすことになっちゃうよ」
「...時間が経つのは早いんじゃなかったの?はぁ...」
「まあまあ、それと皆への報告はわたしがしとくからアルハは先にシャワー浴びてきていいよ〜」
「それじゃあお言葉に甘えて、ありがとねテラちゃん」
アビドスに向かってからの三日間、身体を拭きはしたがちゃんとシャワーを浴びたりなどは出来なかった2人である。テラはシャワーを譲って生徒会室へと向かった。
「たっだいま〜!2人共元気してた?」
「丁度今、元気じゃなくなりましたよ...」
「お疲れ様っすテラ先輩...って汗臭っ!先シャワー浴びて来たらどうすか」
「ごめんね〜?でも先に報告したいことがあってさ。滞在契約の話」
そう言うと2人の顔が真剣なそれになる。なんたってポラリスの命運を握る契約の話なのだ、いくら幾度となく結んできたものでも緊張はするだろう。
「結果から言うと...」
ゴクリ、と。そんな音が聞こえた気がした。
「...検討させて、とのことです」
「それは...?」
「まだ契約を結べたわけじゃないけど、手ごたえありって感じ!」
「おおっ!さすがテラ先輩!」
「...ところで何でそんな臭いんですか、それになんか埃?っぽいです先輩」
「あー...それは後でいい?必要な報告はしたし、そろそろわたしもシャワー行きたいな〜って」
そろそろアルハも来る頃だろうと、テラは生徒会室から出る。直前、何かを思い出したかのように振り返りシオンに尋ねた。
「そうだ、後で『脳みそ』使いたいから手伝ってほしいんだけど」
「...分かりましたよ、後呼んでください」
話していたらちょうどアルハも来たようだ。後の説明をお願いして、テラはシャワー室に向かった。
「...うわぁ、これはダメだぁ。年頃の乙女からはしちゃいけないニオイがしてるよ...」
身体を洗っている途中、興味本位で自分を嗅いでみたテラは酷く後悔した。
「そういえばアビドスの方達にも距離をとられていたような...き、気のせいだよ...ね?」
はぁ、とため息。そういえばあの『先生』とかいう大人、嫌な顔一つせずに送ってくれたけど私達相当臭かったよね...変態なのかな?それとも、
「あれが大人の余裕ってやつなのかなぁ」
テラが待ち合わせの場所に着くと、シオンが警戒しながらも出迎えてくれた。
「それで、何ですか調べたいことって。
プラニスフィアとはこの学院に存在する大型演算装置およびその中枢管理AIのことで、ポラリスはこの装置を学院内の物資管理やオートパイロット、大規模な実験のシミュレーションなどさまざまなことに利用している。
「そうね〜、シオンは『シャーレ』、あるいは『先生』って知ってる?」
「『シャーレ』?そういえば噂で聞いたことがあるような...確か連邦生徒会が作った組織だとか何とか」
「それ以外に情報は?例えばどういう組織なのかとか」
「分かりません...ところで、どうして急にそんなことを?」
「んとね、アビドスに行った時[シャーレの先生]を名乗る大人に会った。悪い人には見えなかったけど...学校間の政治に口を挟めるくらいには、権力があると思う」
「なるほど、つまりシャーレについて調べるってことですね...って!それぐらいならわざわざプラニスフィア使う必要ないじやないですか!」
「じっくり調べたいのはシャーレだけど、他にもいくつか調べておきたいこともあるの。手伝って〜?」
「はぁ...まあ良いですよ。その代わり、絶対に変なことしないで下さいね。テラ先輩」
「...」
「変なことをするな」と言った途端にテラの様子がおかしくなったが、自分がしっかり見張っていれば問題ないだろう。そう思い、学院で唯一『プラニスフィア』にアクセスできる場所、資財管理室へとテラを招いた。
...結果から言うと、シオンの負けだった。
キヴォトスにも所謂「黒板消しトラップ」というものが存在する。ドアを開けたら黒板消しが降ってくる、不愉快極まりないアレだ。もっとも、シオンに降って来たのはとんでもない爆弾だったが。
「あ、こんにちはシオンさん。テラさんもいるってことは迫撃砲の件ですか?」
「いや、ぼくたちはシャーレについて調べに...いや待って迫撃砲の件って何?」
なんとなく嫌な予感。そういえば少し前に、隣にいる厄介な生徒会長が最新のなんとか迫撃砲とやらを欲しがっていたような...まさか。
「?シオンさんと話しあった結果、うちにv12自動迫撃砲を配備するって。言ってましたよ?テラさんが」
「先輩、変なことするなってぼく言いましたよね!?何しでかしてくれるんですか!?とにかく取消!注文は取り消しして!」
「いや実はもう届いてて、組み立て終わっちゃったから返品も出来ないんですよね...あ、でも安心して下さい、費用は
「安心出来るかぁ!部費の横領ですよ先輩!」
「横領じゃないよ使うかもじゃん!」
「かもじゃなくて、使う物だけ買おうって前言いましたよね!それなのに相談もせず...ただでさえ部費カツカツなんですよ!?」
いつもうるさい二人のドタバタは、しかし一つの声によって静まり返ることとなる。
「!お二人とも、これを。シャーレの先生、その最新の目撃情報です」
「ここは...ブラックマーケット」
「40分前の投稿ですか...テラ先輩、この人たちは」
「うん、アビドス対策委員会の方々。それと...あれはトリニティ?」
「ブラックマーケットに何の用でしょうか...とりあえず調べてみます」
「ありがとね後輩ちゃん。そうだ、迫撃砲のお礼も兼ねて今度お茶でもどう?」
「テラ先輩が反省部屋から出たら二人で行って来たらいいんじゃないですかね」
「だそうですよテラさん。あまりシオンさんを困らせないであげて下さいね...っと。これは...」
大画面に映されたのはSNSにアップされた一つの画像。酷くブレているそれを解析すると、どうやら闇銀行にて撮影されたものらしいが...
「...テラ先輩、これって」
「顔は覆面でわかんないけどさ。この服、そうだよね!?」
...爆弾が降ってきたのは、シオンだけではなかったようだ。
「なぁ〜んでアビドスが銀行強盗してるのさ!!?」
ん、銀行を襲う。どうもmisoranです。最近暑い日々が続きますね、皆さんどうか熱中症には気を付けてお過ごしください。私は寒がりなのでこれくらいの方が過ごしやすいのですが...
さて、ブルアカの方はというと私ついに総力戦のINSANE処女をビナー君に捧げました。すごく...大きかったです(ダメージが)
それではお読みいただきありがとうございました、ブラックマーケットより感謝を込めて。