呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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水着ミユが可愛すぎる
固有1に出来ないかなー


9 アビドスとブラックマーケット②

「うーん……見つからないですね……」

 

 阿慈谷さんが自身のスマホと睨めっこしながら探し物をしていた。スケバン達を倒して撤退した後はマーケットを散策しながらお目当ての品の情報を探していた。

 アビドスはどうやらヘルメット団が使ってた廃番戦車から自分達の敵の情報を掴みたいらしい。出所がわかればそこから辿っていっていつかは諸悪の根源にぶつかるだろうという考えだ。

 しかし、阿慈谷さんがいうように見つかっていない。というよりも初めからないんじゃないかと思えるほどだ。

 

「ブラックマーケットでここまで見つからないとは……。聞いてた話と違うな」

「ん?どういうこと?」

 

 思わず呟いた事に黒見さんが問いかけてきた。

 

「聞いてた話によればブラックマーケットでは違法な物だろうと隠したりなんかしないらしいんだ」

「はい。その通りです。ここは色んな企業が法のグレーゾーンを突いて利益を得ています。開き直っているのかここの人達は自分達のやることをそこまで隠しません」

「公然の秘密とでも言うのかな?」

「はい。そうです。先生」

 

 俺が聞いてた内容をざっくりと話し、それを阿慈谷さんは深く話し込んでくれた。流石は闇市と言うべきか一般の社会では想像のつかないことが起こっているようである。

 先生は複雑そうな顔で聞いていた。大人として生きているからには何かしら心当たりがあるのだろう。それか先生として生徒にこんな闇を見せることになっているのが嫌なのか。

 

「なので、普通は少し調べれば過去に売ってた情報ぐらい出そうなんですがあまりにも……。普通ここまでやります?って感じです」

「う〜ん……これじゃあ埒があかないねえ」

「「「『……』」」」

 

 ある程度情報に整理がついてわかったことは何もわからない。これでは雰囲気が悪くなるだけだ。全員が沈黙してしまう。

 

「あ〜……、取り敢えずあそこに鯛焼き店がありますし少し甘いもの食べてから考え直しません?」

 

 空気が悪くなったのを感じて少しでもよくしようと近くにあった鯛焼きの屋台を指差す。生地の焼けた匂いとたっぷり入った餡子がおいしそうだ。

 

「いいですね⭐︎私がお金を出します」

「え?ノノミ先輩カード大丈夫?」

「限度額なんて知りません⭐︎」

「ノノミちゃん……そこまでお金遣いが荒いなんておじさん悲しいなー」

 

 十六夜さんがどこからともなくゴールドカードを取り出し満面の笑みを浮かべる。仲間との会話から破滅のカウントダウンが聞こえてきそうだが聞こえなかったことにした方がよさそうだ。

 

「ううん。私が食べたいからいいんですよ⭐︎みんなで食べましょう!ねっ?というわけで鯛焼き7人前くださ〜い!」

「毎度あり!!」

 

 そう言って十六夜さんは景気良く人数分の鯛焼きを注文し、すぐに支払いをしていた。善意の行動なのでとやかく言わずに礼を言って素直にいただくのがいいだろう。苦言を呈するのは身内の役目だ。

 身内の方もなんだかんだ言ってお礼を言って2つある袋から鯛焼きを受け取っており、笑顔で頬張っていた。

 

「じゃあ、俺もいただこうか。いただきます」

 

 パクリ、と一口頭から鯛焼きを齧る。熱々でパリッとした生地は程よい食感を伝えてきて噛むだけで幸せになりそうだ。それに合わせて粒餡が滑り込み、甘味も同時に脳を刺激してくる。考え事をした後に食べる甘味はやはり堪らん。

 

「アヤネちゃん悪いね〜。こっちは美味しそうなおやつを頂いちゃってさ」

『いえ、私は市販のお菓子をちょくちょくつまんでいますので。今度皆んなでスイーツでも食べに行かせてください』

「いいわね!大将が良い店教えてくれたからそこにいこ!」

「え?大将さんからのおすすめですか?ちょっと意外なところから来ましたね」

「お、何々?先生も気になるなぁ!」

「うーん、先生はその時空いてるかな?」

「そこは開けるんだよ。大人はそういうものなの。ホシノ!」

 

 気づけば空気感はおやつタイムだ。こういう場面を見ると女子高生の戯れなんだろうか。正直自分にはよくわからないことだが、楽しそうなのはよくわかる。

 阿慈谷さんは「ここに紅茶があれば……!」などと変わった感想を言ってはいるが満足はしているようである。トリニティは紅茶が好きなのかな。

 

 そうやって他の様子を見てたら自分の分の鯛焼きは全て食べてしまっていた。

 

(それにしても……阿慈谷さんが調べてくれた販売ルート、それに保管記録の全てにヒットしないなんてな。いくら何でも一企業が出来ることのラインを超えてないか?……カイザーにとってアビドスはそれほど価値のある土地ということか?)

「浩介。何か気になることでもあるの?」

 

 先程調べた情報から何か推察できないか考えを整理してると、表情に出てたのか砂狼さんが声を掛けてきた。彼女も既に食べ終えたようである。

 

「あぁ……、さっきも言ったけどここの奴等は開き直って半端な物は隠したりしない。ってことは隠してあるものは──」

「──重要度が高いってこと?」

「恐らくな。もっとも、戦車の記録隠しは序の口だろう。戦車使う相手に対して少しでも悟られまいとするためのものかな」

 

 そういって俺は空になった袋をくしゃっと丸める。手にずっと持ってても仕方ないのでゴミ箱を探す。普段なら術式で焼却するけど、アビドスに対して正体バレのキッカケになりかねないので自粛中だ。

 

『皆さん!そちらに武装した勢力が接近中です!』

 

 ゴミ箱を探してる最中に奥空さんの通信が届く。内容は緊張感のあるものでそれを聞いた全員が目つきを険しくする。

 

『幸いにも気づかれた様子はありませんが……、まずは身を潜めた方がいいと思います』

 

 その言葉を聞き、全員は声を出すこともなく近くの隠れられる場所に身を潜める。この行動の早さは感心ものだ。

 

「あれは!?マーケットガード!?」

「やばいの?」

「ここの治安部隊でも上位です!さっきの不良生徒達も相手を続けていたらあの人達が来て仲良く捕まるところでした……」

「ん、了解」

 

 阿慈谷さんが恐る恐る確認しながら説明してくれる。ブラックマーケットに詳しいのか簡潔にまとめられており、理解度の高さが伺える。本当にトリニティのお嬢様なのか怪しくなってきた。

 

「何か大きなトラックを護衛してるみたいですね。現金輸送車でしょうか?」

 

 マーケットガードは現金輸送車を護衛していた。現金を輸送するなんて正直言って今時ならあり得ない行動だが、犯罪都市ならではだろう。

 デジタルでのやり取りは何かと足がつく。アナログなら最悪の場合は物理的に消せるので重宝してるということか。

 

 そして、現金輸送車から人が出てきた。止まった場所は見るからに銀行であった。何の変哲もない光景、この銀行にとっては当たり前の日常なのだろう。

 

 

「見てください……あの人……」

「あれ……?な、なんで!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員!?」

「あれ。ホントだ」

 

 ただ、アビドスの反応は予想外のものだった。

 

「えっ!?ええっ……?」

「どういうことだ……?」

 

 阿慈谷さんと俺はただただ驚くしかない。アビドスの借金の事は黒服から聞いていることだ。驚いたのはその返済先がブラックマーケットに構えていることだ。

 

 嫌な予感しかしない。そう感じるには充分だった。

 

 

「あの銀行は……闇銀行です」

「「「「「『!?』」」」」」

 

 一同揃って驚愕しているところに最初に口を開いたのは阿慈谷さんだった。そして飛び出てくる闇銀行という単語に更に度肝を抜かれる。

 

「ヒフミ。知っている事を教えてくれないかな?」

 

 その中で比較的冷静に動いていたのは先生だった。ただ、顔は険しい。何となく察しはついてはいるのだろう。

 阿慈谷さんは先生の言葉を聞いて意を決したのか黙って頷いていた。

 

「聞いた話だとキヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです……」

 

 そして、語り始めた。

 

「横領、強盗、誘拐など。様々な犯罪によって獲得した財貨が違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われています」

 

 内容はあまりにも酷いものであった。普段ならよくある犯罪集団の話と掃いて捨てていただろう。

 しかし、アビドスの人達にとってはそうはいかない。自分達が頑張って稼いだお金で返済したのに、それを資金源に犯罪をしていたのだから。

 

「そんな……」

「私達が支払った現金がブラックマーケットに流れていた……」

「じゃあ、私達は今まで犯罪資金を提供してたってこと!?」

 

 ムゴい話にも程がある。呪いよりも悍ましい悪意そのものだ。

 絶望する者、憤慨する者、それぞれが感じているであろうものを言葉にするのも憚られる。

 

『気になって確認してみましたが、輸送車はオフラインになってて何も情報がつかめません』

「だろうね。……」

 

 淡々と情報を集める者もいたが声と雰囲気からして怒りが伝わってくる。

 

 俺だってそうだ。こんなことされて許せるわけがない。

 

 

「あ、さっきの銀行員が記録してた書類!あれがあれば何かわかるかも」

「確かにな。だがどうする?もう書類は銀行の中だぞ。奪うにしたって大規模なことやらねえと無理だろ。例えば──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──銀行強盗とか」

 

 阿慈谷さんが言ったことに賛同はしつつも、現実的に無理だ、そう表現するつもりでオーバーな言葉を選んだ。しかし、その言葉選びはこの場では恐ろしいほど致命的であった。

 

ぽんっ!

 

「ん?どうした?砂狼さん?……あれ?なんで……嬉しそうな顔をしてるんです?」

 

 誰かが肩に手を乗せたのを見て振り返ると何やら物凄く興奮した砂狼さんがそこにいた。さっきまで「私達が支払った現金がブラックマーケットに流れていた……」なんて言って浮かない顔をしてた人と同一人物には思えない。

 

「聞こえたよね!?ホシノ先輩!ここは例の方法でいこう!!」

「なるほどあれかー、あれなのか」

「あ……!!そうですね、あの方法なら!!」

「なに?どういうこと?……私が想像してるあれじゃないよね?」

 

 俺の発言を聞いて大興奮してる砂狼さんは他のアビドスメンバーにせがむ様に声をかける。あれあれ言っているがもう何をしたいのか丸分かりだ。

 

「ま、まさか……」

 

 ドン引きする阿慈谷さんを尻目にアビドスメンバーはそれぞれのカラーの覆面を被り出す。なんであるんだよ。

 レスラーのような覆面を被ったまま、砂狼さんは俺と阿慈谷さんの前に立つ。

 

 

「ん。これからここにいる6人で銀行を襲う」

 

 

 聞きたくない言葉をサラリと言われてしまう。心なしか目がとても輝いている。

 

「デスヨネー……って!?ナチュラルに俺達まで含むな!!!」

 

 聞き捨てならない言葉に思わず声を荒げてしまい、手に持っていたくしゃくしゃの鯛焼きの袋を落としてしまう。

 

「というわけでさ、ヒフミちゃんと浩介君には……」

「こちらを被っていただきま〜す⭐︎」

 

 そして、いつの間にか俺達の後ろに回っていた小鳥遊さんと十六夜さんが鯛焼きの紙袋を被せてきた。ご丁寧に穴を開けて番号まで振っている。俺の番号は6番だ。

 

「ふむ……浩介のはしわくちゃなだけでヒフミと大差ないから何か付け加えるか」

「いらねえしやらねえよ」

 

 いつの間にか先生も悪ノリしてるのかしたり顔で俺を見ていた。なぜ乗り気なのだろうか。先生なら犯罪は止めて然るべきではないのか。

 俺の悪態も無視してどこから調達してきたのか、2本の角のような物を取り付けた。

 

「ほら、No.6だから某特撮のあれっぽくしてみたよ。ヒーローは好きかい?」

「まあ……好きだよ。出来ることなら今、ヒーローとして悪徳な先生にストリウ⚪︎光線を撃ちたいな」

「あわわわわっ!?」

 

 もう滅茶苦茶だ。呪霊退治に来たはずなのにいつの間にかアビドスとトリニティの子と一緒に闇銀行を襲撃するなんて予想できただろうか。いいや、できない。してたまるか。

 

「それじゃ、先生。例のセリフを」

 

 一通り準備を整えたというか整えさせられた俺達をよそに砂狼さんが先生に何かを促す。それにつられて先生はタブレットを取り出して闇銀行を指さす。

 

「銀行を襲うよ!」

 

 その台詞は終わってるって……。

 

『ふう……、では覆面水着団。出撃しましょうか』

 

 通信越しに見える奥空さんは0と書かれた覆面を被っていた。真面目そうなのにこういうノリは好きらしい。

 完全に俺達は空気に呑まれるしかない。言いようもない感情でしどろもどろになりそうだ。

 

「わぁ……、ぁ……」

「モウナントカナレー」

 

 故に気付けば阿慈谷さんと俺は碌な言葉も喋らずに奇声を発するだけだった……。




浩介はウルト⚪︎シリーズしか知りません

ブルアカの銀行強盗の流れは今見ても笑う

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