仕事に色んなソシャゲ、他の趣味をやってると中々時間が取れないですね
「ふぅ……」
全てを燃やし尽くしたのを確認した俺は領域の中で反転術式を回す。万が一、解除して術式が焼き切れた状態で待ち伏せされたら今の怪我では逃げきれない。呪力の消耗は激しいが焼き切れた状態で回復しながら逃げるよりはマシだ。
「ゆっくりと解除……ゆっくりと……」
印を結び深呼吸をしながら領域を解除する。外殻が剥がれ落ち現実の世界へと戻っていく。元に戻って周りを見渡してみても心配していた伏兵は見当たらない。
「さて、他の皆んなはどうなってるのかな?」
今は他の地域で先生の指揮の元、例のタワー破壊に勤しんでいるはずだ。このタワーから人々の精神によくない影響を及ぼす怪電波みたいなものが流れているらしい。
何やら他にも色々あるようだがアレは存在するだけで世界を危機に陥れる。破壊は急務だが個人的には別の理由で急いで欲しいと思っている。
「多くの人の負の感情が渦巻く……今回の件が片付いてもその後に地獄が待ってるな。こりゃあ……」
呪術師としてはこれから起こり得ることを想像するだけでも嫌になる。俺にとってはこの件は終わってからが本番だ。とはいえだ、解決しないと壊滅なので後もクソもない。
「ま、なんとかなるか……」
*******
『ゲヘナの皆んな、街の防衛お疲れ。本当に助かったよ』
シャーレの先生が画面越しに頭を下げながら感謝していた。正直こっちとしては一人で色んなところの指揮をしてくれたのがありがた過ぎる。いくらシッテムの箱っていうオーパーツがあるとはいえ思考するのは一人の人間ならば処理しきれないはずだ。それだけの相手の質も量もあった。
それになんかD.U.でペロロジラ?っていう物理的に巨大な敵が出てらしい。それを絶賛指名手配中のカイテンジャーっていう奴らが所持するロボットを敵の技術を流用して一度限りの巨大化させて倒した……下手な呪術より訳のわからないことしてるなあ。
だが肝心なものがまだ終わってない。色彩とやらについてこちらはまだ何も掴めていない。
「……大事な話があるんじゃない?」
先生と話しているのは一部の万魔殿と風紀委員、そして俺。俺を除けばゲヘナの幹部達だ。それだけ集めて褒めるだけで終わるとはとても思えない。先生の性格ならそういうのは皆んなに言うはずだ。
『まず……敵の拠点は見つけた』
「キキキ、なるほど。今度はこちらから攻勢を仕掛ける訳だ」
「なるほど。メンバーの選出……先生はゲヘナから誰か連れて行きたいのね?」
まず、と言って切り出したのは敵の拠点を見つけたということ。羽沼議長はそれを攻撃作戦の話と判断、空崎委員長はゲヘナから誰か連れて行きたいと考えたようだ。まあそうなるよな。
『その拠点なんだけどね。……キヴォトスの上空75,000メートルにあるんだ』
「「「は?」」」
思わず俺達は素っ頓狂な声を出してしまう。先生から切り出されたのは途方もない数字だった。先生はだいぶ渋い顔している。そりゃそうだ。
『いや、行くこと自体は目処がついている。本当にメンバー選出の話をするだけだよ。私が言った人を連れて行っていいか聞きたいんだ』
あ、行けるのね。
「……ところで誰を連れていくんだ?」
行けるとなれば後は代表を誰にするかだ。ここにいるメンバーの誰かは確実に行くことになるだろう。
『浩介と美食研究会だよ』
なるほど、俺と美食研究会の皆さんか。俺であれば戦闘能力も最低限あるし、反転術式による医療機器や薬品に依存しない怪我の治療も出来る。美食研究会なら普段テロリストとして活動することで培った破壊工作のノウハウを活かせ──。
「いや、待てい!」
「先生、どうして美食研究会を?」
「そこはヒナじゃないのか!?」
「え?どういうこと……?」
「浩介はともかく美食研究会!?」
俺達は美食研究会が選ばれたことに総ツッコミを入れてしまう。ここにいるのはどちらかというと美食研究会に苦しめられている側なので納得いかないメンバーもいるだろう。
『ごめんね……今回はあまり人数は乗せられないんだ。パイロットになる子達は沢山いるし、それで人員が埋まってしまうから戦闘要員は色んな役割をこなせる子や元からチームを組めている子を選ぶしかないんだ』
反発や疑念が生まれることは先生もわかっていたのか理由を説明してくれる。色んな役割をこなせるは俺か?美食研究会は元からチームを組めている子か。
「でもよ、それなら美食研究会の枠は風紀委員会から代表者を選べば良くね?確かにチームとしての練度は高い方だけどさ」
『それなんだけどね……風紀委員の子達を上に回すと下が疎かになるからね』
俺が疑問に思ったのは態々美食研究会を選ぶことだ。それこそ風紀委員会から選りすぐりを選べば良い。チナツや銀鏡先輩と俺とかでいいはずだ。奴らのチームとしての練度は高いのは認めるがな。
だが先生からの回答だと風紀委員会から選べなかったという感じだ。下が疎かになるから、いやそれって。
「なるほど、まだタワーが出てくる可能性があるのだな?先生?」
『その通りだよ。マコト。ゲヘナではヒノム火山近辺みたいでね。私は今回は上の指揮に集中する以上、下で対応するメンバーは既に完成されている風紀委員会にやってもらうしかないんだ』
「そこで白羽の矢を立てたのが風紀委員会に属さずかつ戦力として期待出来る浩介と美食研究会だったわけね」
「羽沼議長や空崎委員長を抜いたままタワーが出たらそれこそ終わりか……仕方ないな」
そもそも出るような事態になったら滅亡に変わらないって?それでも抵抗できるとできないでは雲泥の差だ。
『ごめんね。浩介、無茶なことを頼むことになっちゃって……君の他者回復は流石に外すのはリスクが高いからね』
「別に良いよ。じゃあ、準備するから集合場所を教えてくれ。向かうから」
『ありがとう。場所は────』
***先生指定の場所へ移動***
「アビドス砂漠にこんなデカブツがあったとは……」
集合場所に指定されたのはアビドス砂漠のとある地点というかPMCの基地だ。初めはなんでって思ったのだが来てみれば巨大な船らしきものがある。聞けば宇宙戦艦らしい。……ヤ◯トか何かか?
「あら、同じ学園にいるはずなのにお会いするのはお久しぶりですね」
「あ!浩介も来たんだ!」
「ふふ、浩介くんも宇宙食を食べてみるのはいかがでしょう?」
「ねえねえ!宇宙食ってミント味とかないのかな!?」
宇宙戦艦に圧倒されていたら久々に聞く四人組の声。ここまで来れば誰のことかは猿でもわかる。
「美食研究会……流石に真面目に戦うんだよな?」
「ええ勿論ですとも。勝たなければ美食は疎か大事な人たちと一緒に食卓を囲むことすら出来ません。今回はなんとしても勝たならないことは重々承知してますわ」
正直不安だが今日はいつにも増して真剣なようだ。それにしても大事な人たちと食卓を囲むことすら出来ない、ときたか。案外ここが黒舘先輩の根っこなのだろうか。そうだとすると彼女の信念も深みを感じられる。
「……」
……死んだ目をした愛清先輩がいなければ、ではあるが。
「愛清先ぱ──」
「聞くな」
「……ウス」
どうしよう。勝てる気が一気に失せたぞ。
アリス「ケイ、あれはなんなのでしょうか?」
ケイ『私達では救えぬ者です。放っておきましょう』(フウカに哀れみの視線を向けながら)
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