呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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今回は先生視点です。

ブルアカ3.5周年、皆さんはどうですか?
私はフェス限が揃ってホクホク
シュン姉さんも取れて対抗戦に革命は起こるし、6%は偉大


13 戦いの幕

 早くしなきゃ。そう思っているのは私だけでは無いはずだ。今、私達はカイザーPMCの基地に来ている。

 トリニティはヒフミがなんとかしてくれて砲撃による支援をしてくれた。ゲヘナの方はチナツが凄い剣幕で浩介捜索を願い出たりイオリと色々あったけど、大きな戦力を貸してくれている。

 

 ホシノを助ける為に皆んなが協力してくれている。これを無駄にするわけにはいかない。してしまえば、今までの信頼・友情・実績・思い出全てを無に帰してしまう。

 

「先生!見えました!!中央の研究施設です!!」

 

 全力で走ってる中、アヤネが自身のタブレットを見ながら目的地の方を指さす。黒服の言う通り研究施設がそこには鎮座していた。

 

「あそこにホシノ先輩が……!」

「行きましょう!」

「うん!」

 

 残りのメンバーもホシノの救出が見えて来て、希望を露わにしていた。唯一の3年生として引っ張って来たわけではないが、共にいてくれて共に同じ目標を達成するための仲間。誰一人として彼女達にとって欠けてはいけない。

 私はこの子達のあるべき姿に戻したい。もしホシノがいなくなるとしたらそれは無事に卒業してこの4人に見送られる未来以外私は絶対に認めない。

 

「だけど……!」

 

 障害はある。黒服が用意した刺客だ。その人がキーを持っていると言うのだ。私達はそれを奪わなくてはならない。

 この事は彼女達にも話してある。だからなのか希望は見えてても油断はしていない。まだ大きな壁が残っている。

 

 そして、研究施設の前に着くとまずはアヤネが施設の制御盤の前に立つ。

 

「刺客はまだいないみたいですし……このまま私が開けます!」

 

 アヤネがやる気十分といった感じで意気込んでいる。確かに彼女の言う通り開けられるならそもそも刺客と闘う必要性すらない。闘う時間だって惜しいだからこの手を試さない理由はない。

 アヤネの提案に私は無言で頷く。そして残りの子達に護衛を任せて刺客に備える。現状だとベターな手だろう。

 

 

 そう思っていた──、

 

 

 

 

 

 

 

「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え」

 

 

 私達に不可思議な呪文のような台詞が聞こえてくるまでは……。

 

 

 

 

 

「なに……?」

「空が……暗く……?」

「何よ!?この遮光カーテンみたいなやつ!?」

「先生……これは?」

「私にも何が何だか……」

 

 全員困惑していた。呪文にもそうだが、何かゾッとするものを感じる。それと同時に凄い早さで研究所を中心に黒い幕のようなものが降りてきていた。やがてそれは地面にたどり着き、半円が研究所と私達を覆うようになっていた。

 

 

 

 

 

 

「久しぶり、になるのかな?アビドス対策委員会の皆さん」

 

 聞き覚えのある声に全員がそちらに振り向く。どう考えても刺客がやったものだ。

 そしてその刺客らしき人は左手の中指と人差し指を引っ付け親指を広げたままこちらを見据えていた。まるで何かしらの術を発動しているかのようだ。

 

 

「あなたは……最初に便利屋と一緒に私達を襲ってきた仮面の人!?」

 

 アヤネが驚いていると、仮面の人は近くに寄ってくる。

 

「あんたが例の刺客ね!さあキーを──おっ……ぐぅ……」

 

 セリカが銃を向け威嚇をしていると突然腹を抱えて痛み出す。その位置付近にはいつの間にか刺客の拳があり、それに殴られたというのが見てとれた。

 

「すまない……。なるべく早く終わらせようか」

「この!!」

 

 シロコが発砲するも、刺客は難なく躱し距離を取っていく。たまに拳銃を撃ってくるが牽制程度だ。

 

 

「いつまでも刺客や仮面の人なんて呼ばれても困るし、自己紹介しよう。俺はホムラ。黒服に雇われたろくでなしだ」

 

 ある程度距離を取ったら拳銃をしまい、余裕があるのか自己紹介までし始める。移動速度が異常だ。走ってる人の速度ではない。

 

「あれ以来出てこないから意識から外れてたよ。まさか君が黒服の手下なんてね」

「シャーレの先生。すまないと思っている。だけど俺も借金をかけられててね……。お互い譲れないんだから力で終わらせようか」

「話し合いは?」

「応じないよ」

 

 仮面の人改めホムラはヘイローもなく、がっしりとした体型をしている。恐らくは男だと思われる。キヴォトスに来て色んな子を見たがその中でもとびきり異彩を放っている。

 

「だったら……押し通る!」

「先生!指揮をお願いします!」

「皆さん!私がロックを開けてみせますのでそれまでなんとか……!!」

 

 私と彼?のやり取りの後にシロコとノノミがやる気を漲らせて前線に立つ。黒服の実験で何が起こるかわからない以上、今は目の前を敵を倒すしかない。

 アヤネは変わらずロックの解除をしようと奮闘している。彼女を守り通せば私達は実質的に勝利する。

 

「へえ?奥空さんはそんな事まで出来るのかい?なら……」

 

 ホムラはアヤネに気付いたのか右手を広げて彼女の方へと向ける。拳銃でもなく手のひらを向けて何になるのか。魔法が使えるわけでもないのに──。

 

 

「……え?」

 

 

 ──ホムラの手のひらから炎が出ている。

 それこそ魔法のように。無から炎を生み出しているかのように。彼は何も特別なことではないと言わんばかりに謎の力を行使している。

 

「っ!!アヤネ!!そこから離れるんだ!!!」

 

 私はアビドスに来てから一番大きな声を出しているだろう。その炎はどう見たってアヤネに向けて放たれようとしている。

 

「アヤネちゃん!!」

「ん。させない」

 

 私の声を聞いて気付いたのか最初に動いたのはノノミだった。愛用のミニガンを使い、弾幕を貼ろうと構える。シロコもすぐさま発砲しており、攻撃の阻止を試みていた。

 

「……なんてな」

 

 だが、ホムラは既に回避行動を取っていた。右手にはまだ炎を宿しながら今度はシロコ達の方へと振り向く。最初から攻撃のターゲットはアヤネではないようだ。

 右手を左の肩の方まであげたと思えば、それを勢いよく振り切る。一見意味のない動作ではあるが、彼がやるとまるで違うものだ。

 

「なっ!?」

「炎が広がってこちらに向かってきてる!?」

 

 何故なら炎が横に広がり、割と早い速度でシロコ達に接近してきたのだ。さっきの動作は薙ぎ払いといったところか。

 などと悠長に考えてはいられない。キヴォトス人の耐久力が高いとは言え直で焼かれたりなんてしたら危ないだろう。

 

「大きく動いてもいい!炎の範囲外に出るんだ!走れ!!!」

 

 まずは生徒の安全確保だ。回避するように指示を出して逃げてもらうしかない。セリカは幸いにも範囲外にいる。私が担いで離れる必要もない位置におり、なんとかなりそうだ。

 問題は大きく動かされて、陣形が崩されることだろうか。彼女達の力を最大限発揮するために指揮をするには配置も重要なファクターだ。

 

「よっ……と……。あ、危なかったですね」

「まさか火炎放射器を隠し持っていた?でも……」

 

 2人は何とか避け切っており、炎の範囲外にいた。そして、2人がいた跡は黒く焦げており当たればただではすまない。

 焦げはかなり先まで続いており、黒い幕のようなものに当たるところで消えていた。恐ろしい程の射程距離を誇っていることがこのことからよくわかる。

 こんな攻撃をするホムラの次の行動を見逃すまいと、彼が居た場所に目を向ける。しかし、既に彼の姿はどこかに消えていた。キョロキョロと見渡し、探していると最悪の光景が待っていた。

 

 

 

 

「うっ……」

「気を抜いたな。奥空さんがフリーだぞ」

 

 どこかと居たかと言えばアヤネがいた場所であった。攻撃されたのか倒れている。こっちは発砲音すら聞いていないのにアヤネはあっさりと倒されていたのだ。

 

「うっ……ぐっ……あんた……よくもアヤネちゃんを!!」

「起きたか、黒見さん。安心してくれ。少しすれば君と同じように回復するさ」

「そういう問題じゃない!!!」

 

 気づけばダメージが回復したのかセリカがゆっくりと立ち上がり、アヤネが倒された事に激昂する。その目つきは来たばかりの私に対して向けた少し棘のあるぐらいのものではない。本気で怒りを浮かべていた。

 

 

「絶対に許さない!!一発ぶち込んであんたからキーを奪ってやる!!!」

「ホシノ先輩が待ってる。だからそこを退いて」

「あんまり邪魔をすると痛い目に会いますよ!」

 

 セリカが怒りの一言をぶち撒けるのに呼応して、残り全員がセリカのもとに集まる。ダウンしたアヤネを除いてもまだこちらは3人、向こうは1人。数の差は圧倒的だ。

 

 だというのに──、

 

 

「その言葉、挑戦と受け取った。受けて立つ!」

 

 

 

 彼からは何とも不気味な力を感じ、緊張がいやでも走らざるを得ない──。




浩介くんは帳を降ろしています
どんな足し引きでどんな効果を出しているかは次回説明します

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