呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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気がつけば評価がたまってきて念願の赤評価です
それに合わせてビックリするほどお気に入り数が伸びてます

これも皆さんが気長に読んでくださったおかげです
これからもちょくちょく更新していきますのでゆっくりご覧ください


14 衝突、ホムラと対策委員会

「さて、色々と説明しようか」

 

 ホムラはアヤネを抱えながらこちらを見てそう言った。余裕綽々としており、勝つのは自分だと言わんばかりだ。

 アヤネをゆっくりと抱えて「ごめん」と言ってゆっくりと黒い幕の元へ歩いて行く。説明するなんて言ってやることだろうか。

 

「アヤネちゃんを離せ!!」

「少し待ってくれ」

 

 セリカは親友の扱いを見て本気で怒っているのか今にも撃ちたそうだ。それでも撃たないのは不用意に親友に当てないという理性があるからなのか。

 一方でホムラは軽い感じだ。セリカが撃たないのをわかっているのだろう。ゆっくりと黒い幕に近づいていく。すぐそこに来たらその場で足を止める。

 

「この黒い幕は帳、と言ってね。結界の1種さ」

「結界?」

 

 突然何を言うかと思えば結界などと聞き慣れない言葉を口にする。そういうのは漫画やアニメで見るようなものだ。カイザーの新兵器の類だと言われた方がまだ納得できる。

 

「そ、今回はヘイロー持ちは内側からは出られるけど外側からは入れない結界。ヘイロー持ち以外は出入り自由だよ。だからこうしてポイってな」

 

 ホムラはそう言って自身で言う結界の外にアヤネを放り出す。ポイってな、なんて言ってるが優しく降ろして転がして出してあげていた。

 敵に対して妙に優しいような気もするがどういうことだろうか。私には彼の目的というか意図が読めない。

 

「一応言っておくけど……命が惜しい、なんて思ったらこの結界から出て行くんだ」

 

 仮面で顔こそ見えないが声色はどこか穏やかで、気迫に満ちたものは感じない。言ってるそのももは内容は物騒だが……。

 

「舐めてんじゃないわよ!!」

「そりゃそうだよね……」

 

 この警告をセリカは拒否し、愛用のARを発砲する。怒りには満ちているがしっかりと狙っている。ホムラが逃げていても銃を追わせ続けている。

 

「ん」

 

 そしてシロコがホムラの逃走先に銃口を向ける。セリカの弾を避けていたら今度はシロコの弾が当たるように誘導していた。

 

(ナイス!セリカ!シロコ!……ならノノミは)

 

「ほっ!」

 

 こちらの意図に気付いていたのかホムラはシロコが発砲する直前に大きく跳躍する。地上にいても2人に蜂の巣にされるのだから逃げるなら上空になる。

 

「ノノミ!今だ!!」

「はい!」

 

 だがそれも3人目がいれば無意味なものだ。このままノノミの攻撃を当てればホムラは大ダメージを受けるだろう。

 一方でホムラは右手を右方向に向けてこちらを真っ直ぐ見ていた。全く慌てた様子などは感じられない。想定内ということだろうが、空中で避けるのは至難の業なんてどころじゃない。

 

「残念だったね」

 

 ホムラは右手から勢いよく炎を噴出し、その勢いで左へと移動していた。ノノミの弾丸は空を過ぎていき、ホムラに当たることは叶わなかった。

 

「燃えろ!!」

 

 移動中に今度は両手に炎が出ており、それを放つ。3人の間を縫うように放たれたそれはお互いが見えなくなるほど高く燃え上がった。

 

「シロコ先輩!ノノミ先輩!大丈夫!?」

「はい!私はなんとか……炎が高く燃え上がっていてお2人も先生も見えませんが……」

「こっちもノノミと同じ。分断されたね」

 

 結果として炎で3人は分断された。壁のように燃え上がる炎は視界を塞ぎ、お互いの位置をわからなくさせている。先程のような連携を取りづらくするのが目的と見える。

 私はシッテムの箱の画面を見て、次の攻撃の予測を立てる。ホムラは私と同じくキヴォトスのヘイロー持ちより耐久力は低いだろう。フルアーマーなので多少は頑丈だがそれ込みでも低耐久なはずだ。そんな人は誰を一番嫌がるのか。

 

「ノノミ!右にいるよ!!」

「え!?おっとっと……」

 

 答えは一度に撃てる弾数の多いノノミだった。既に拳を振り下ろしていたホムラがおり、ノノミはギリギリで躱す。拳は空をきり、ノノミには当たらなかったがかなりの勢いだ。当たればただではすまなかったであろう。

 しかし、拳を降らなかった手には拳銃が握られてありしっかりとノノミを捉えていた。

 

「しまっ……」

「"焔"」

 

 それに気づいた時には既に遅く発砲される。拳銃の威力ならば大した事はないがどうも嫌な予感がする。

 予感通りなのか銃弾は途中で一気に加速してノノミに直撃する。物凄い速度で当たっており、通常の拳銃よりも威力は高めだった。

 

「うぐっ……」

 

 ノノミは弾に押されて結界ギリギリのところまで吹き飛ぶ。危うくリングアウトになるところだった。

 もし、彼の言うことが本当ならば一度でも弾き出されれば生徒達はもう挑戦権すら与えられない。ホシノの救出に力を注いでいる彼女達にとってそれは悔しいものだ。

 

「これで君もリングアウトだ」

 

 そこに追撃と言わんばかりに導火線のついた爆弾を投げつける。導火線に自分の能力で火をつけてから投げるので、モーションは取り出して投げるだけとかなり簡略化されている。

 爆弾はノノミの前に落ち、その瞬間に爆ぜる。爆風が彼女を襲い、そのまま結界の外へと弾き出してしまう。

 

「わっ!?とっと……出てしまいました……。本当に出入りができないのでしょうか?……わっ!?」

 

 結界の外に出されたノノミはすぐに戻ろうとしたのか結界に触ったようだ。その結果バチっと音がしてノノミが驚いていた。その様子は見れないのでどうなったのか不安が走る。

 しかし、ホムラの言う通り結界はヘイロー持ちを外部から侵入させないようになっているらしい。

 

「あとは……おっと!?……いってえな!もう!!」

「くそっ!!」

 

 ノノミを追い出して無防備になったところをセリカが撃つ。ホムラは反応が遅れたのか弾が少しあたり、掠った腕からは血が流れる。戦闘続行には問題なさそうではあるがようやくダメージを与えられた。

 そうこうしているうちにシロコが炎から脱出し、セリカの近くに駆け寄る。気づけば少しのダメージでノノミの離脱と苦しい状況だが、まだ戦える。

 

「片方が撃ち続けて、もう片方がリロードの合間をなくすんだ!攻撃の手を緩めずにいくよ!」

「わかったわ!」

「ん、了解」

 

 今はいる生徒でなんとかするしかない。数が優っている内に消耗戦を仕掛ける。正確には彼のスタミナを削ぐ。

 火炎放射やそれらの操作が出来るといってもそれは無限ではないだろう。彼の異常なほどの身体能力だってそうだ。稼働させ続ければいつかは限界が来る。

 

「……くっ!うわっと!?」

 

 実際に段々と彼の余裕がなくなっているように感じる。いつかは限界があるのだとこれで確信が持てる。

 

「ちっ!」

「先生!あいつ遮蔽に入ったわ!」

 

 これ以上は堪らないと見たか、ホムラは近くにあった遮蔽に転がり込み休憩を図る。それではこの作戦の意味がない。早めに炙り出して再度走らせないといけない。

 

「シロコ!」

「わかってる!」

 

 ならば遮蔽を破壊するのみ。シロコに指示をした時にはすでに彼女はグレネードを投擲していた。あと数秒で彼がいた場所で爆発が起こる。

 コロコロとホムラの近くに落ち、爆発が起こる。ヘイロー持ちの子には大きな怪我を伴う物ではないが彼はそうではない。ここまでしないといけない相手なのはわかるがいいものではない。彼がいた付近は爆煙に包まれていた。

 

「ゴー!!」

 

 こちらにいるのは突撃銃2名。ならば視界が塞がれているうちに挟撃する。アヤネもノノミもいない状況では今しか彼を制圧するチャンスはない。

 2人もそれをわかってか全速力で爆煙が舞う場所へ向かう。リロードを済ませていつでも撃てる準備は整っている。

 

 爆煙も薄くなったところで周りを見ているとボロボロなホムラが見えてきた。煤を被っているだけで他の外傷は隠れる前と同じだが、衝撃は防げなかったようである。

 

「強かったけどここまでね。さあ観念してキーを渡しなさい!」

「これ以上抵抗しなかったら私達も何もしないから……お願い」

 

 セリカはホムラに銃口を向けてキーを渡すように指示する。彼女の左側に立つシロコも同様に銃口を向けている。2人ともこれ以上はホムラの命を取る行為に繋がりかねないためかキーを渡すように願っていた。

 

「……君も学生なんじゃないか?高校生に見えるけど……。お願いだからここで終わりにしないかい?何なら保護だって──」

 

 私も同じ気持ちだった。これ以上の戦いは命の奪い合いになってしまう。子供と子供の命のやり取りなんて私は望まない。

 

「先生……ごめんなさい。そしてありがとう。その言葉はすごく嬉しいよ」

 

 だというのにホムラは拒絶する。心の底からお礼を述べているだろうに私の手を取ってはくれなかった。彼の手は代わりに地面に触れていた。

 

 

 

「"火柱"」

「うわっ!?」

 

 次の瞬間にはセリカの目の前で炎が地面から噴出する。突然の光景にセリカは驚愕し、一瞬膠着してしまう。

 その一瞬の隙にホムラはセリカの右側に回り込み、殴りかかろうとしていた。

 

「セリカ!危ない!!!」

 

 それに気づいたシロコはセリカを下がらせ前に出る。銃を構えるが間に合わない。撃つよりもホムラの拳がシロコに直撃する方が一歩早い。

 

「あっ……ぐぅ……」

 

 シロコの鳩尾に拳が直撃し、かなりの威力だったのか悶え苦しむ。膝が地面につき倒れ込んでしまった。

 

「シロコせんぱ──」

 

 セリカがシロコを心配して声をかける。だがそれを言い切る前に彼女にホムラの拳が迫っていた。

 

「ごめん」

 

 ホムラは申し訳なさそうな声色で喋る。もうセリカに当たる直前のことであった。負ける、その言葉が私の頭の中をよぎる。セリカはシロコの方を向いたばかりに反撃が間に合わない。

 

 

 そして、ホムラの拳は──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────空を切った。

 

 

 

「え?……あ、あぁ……」

 

 セリカは驚き、その後に戦慄する。それと同時に辺りに鉄の匂いが漂い、黒い幕がバラバラに崩れ落ちる。

 

「クソッ!!」

 

 悔しさと後悔が滲み出てしまった。ホシノを、生徒を救いに来たのにこれでは何の意味があるのか。

 

 

 

 

 

 ──ホムラは背中から血を流し地面に倒れ込んでしまっていた。




悪いことをして上手くいくわけないよね

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