呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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今回、風紀のモブが異常な行動をしてますが気にしないでください



第2章 エデン条約までのアレコレ
16 引き摺られて救急医学部


「さて、帰ってきたぞ……。ゲヘナ学園」

 

 俺は今普通に登校している。アビドスでの決戦が終わり、黒服との関係も一旦はひと段落したので行ける時は行くようにしている。女子ばっかりなのもキツイけどなんだかんだ言って楽しい。

 騒ぎばかりでゲンナリすることもある。それでも気さくにしてくれる子もいるし、ここでよかったと思っている。多分他の学校に行けば揺らぎそうではあるけども。

 

「見つけた!!!!!!!!」

 

 突如大声が学園に響く。すごく聞き覚えのある声だ。

 

「あ、やべ……」

 

 その声を認識したと同時に今の状況を察する。わかっていたことなのについさっきまで忘れて学校生活を楽しもうとしてしまっていた。

 声の主はこちらに凄い勢いで走ってきている。赤いストッキングに赤い手袋と所々に赤が目立つ。顔はすんごく怖いことになってる。級友の火宮チナツさんだ。

 

「待ちなさい!!!」

「放課後に行くって!!」

「逃げ出した人にそんな猶予を与えるとでも?」

「その節はほんっっっっとうにっ!すいませんでしたっ!!!」

 

 鬼の形相で迫る火宮さんを見て思わず俺は逃走してしまう。逃げたところでこうなってしまえば授業どころではないから詰みなのだが、反射的についやってしまった。

 幸いにも俺の方が足は早い。火宮さん単体を撒くならなんとかなりそうではある。

 

「こういう事もあろうかと……ピィー!!!!」

 

 追いかけっこで俺に敵わないと見たか、火宮さんはどこからかホイッスルを取り出し勢いよく吹く。口ぶりからして何か事前に用意しているようである。

 こういう時の笛は何かは決まっている。合図だ。何か作戦があってその合図に使われているのだろう。

 

「「「「ホォッ──!!」」」」

 

 合図を機に突然俺の目の前に4人の風紀委員が出現する。本当に突然でどこから来たのかわからない。お前ら忍者か何かか。

 4人はそれぞれ持ち物があり内訳としては、タイヤ2つ・手錠1つ・首輪1つだ。手錠以外変なものでしかないのは気のせいだろうか。

 

「アタッ!」

「アタッ!」

「カチャッ!」

「アコッチャッ!」

 

 4人は順序よくそれぞれの得物を嵌めてきた。まずはタイヤの2人が上から来て綺麗に俺の腕を封じる。それに続いて手錠がはみ出た手首を捉える。最後にリード付きの首輪を嵌められて完成だ。

 タイヤ2つで腕を塞がれ手錠に首輪も嵌められた。あまりにも惨めな姿を学園中に晒すことになる。これって何かのハラスメントにならねえかな?犯罪になるかな?

 

「捕まえたよチナツちゃん!」

「ええ、皆さんご協力いただきありがとうございます」

「いいって!普段から頑張ってるんだからこれくらい手伝わないとね!」

 

 完全に拘束されて地べたに張り付くことになった俺をよそに風紀委員の子達は喜んでいた。皆んな火宮さんと仲がいいのかやり取りだけは微笑ましかった。やり取りだけは。

 俺はといえば拘束されて背中を地面に向けて倒れてしまっている。幸いなのはタイヤのお陰で少し身体が浮いて地面に擦り付けられないことぐらいか。

 

「では、セナ部長のもとに運びましょうか」

 

 火宮さんは俺が大人しくしてるのを見て、首輪のリードを片手にキメ顔だ。俺は今火宮さんの足元にいる。

 そのお陰で思わぬトラブルが発生してしまう。正直眼福だと思った自分を恥じたい。何かと言えば──、

 

 

 

 

 

 ──見えてしまっているのだ。

 

「火宮さん。せめてものお願いとして顔を下にしてくれませんか?」

「……目を瞑って何を……言って…………、っ!?」

 

 心の中でごちそうさまでしたと唱えた後に目を瞑り、例の事を指摘する。なるべく直接言う表現は避けてお願いをするように。

 火宮さんは気がついたのか言葉が段々恥ずかしがってる声になっていった。今凄くいい表情してそうだ。

 

「おぉい!ゴラァ!!」

「何見てんだ!?」

「テメェさっきガッツリ見たよな!?」

 

 風紀委員の子達は意味に気づいたのか俺の顔面を軽く蹴りながらガンを飛ばす。割と痛くてしょうがない。

 

「そ、そこまでにしてあげようよ……一応怪我人だし本人に悪気はないんだよ」

 

 だが、4人目の風紀委員の子が静止をかけてくれた。声からして覚えが正しければ火宮さんが握るリード付き首輪をつけてきた子だ。

 

「その通りです。ですのでこの辺でやめておきましょう」

 

 火宮さんは肯定して俺をゆっくりと裏返してくれた。これでもう酷くなることはないだろうと思ったが、ここで首輪をつけた子が屈んで俺の耳元で何かを囁き始める。何故だか知らないが嫌な予感しかしない。

 

 

 

 

「ところで……チナツちゃんは何色だった?」

「そんな質問するぐらいなら俺の鼻血をなんとかしてくれない?」

 

 やってきた事と言えば質問なのだが、その内容がとにかく酷い。暴行を止めてくれた子がしてくる質問がこれってマジ?

 

「へえ?つまり鼻血が出るぐらいエッチな赤色だったの?うへへ……」

「想像力が逞しすぎるだろ」

 

 もう暴走してるのか鼻血というワードから色の推測までする始末だ。色んな意味でこの子には勝てそうにない。

 

「……怪我人1人追加です」

 

 聞こえていたのか火宮さんは自慢の愛銃を取り出し首輪の子に銃口を向ける。明らかに怒っている感じだ。2、3発撃ち込んだ後は俺と同じような拘束をされていた。これを怪我人追加と表現するのも中々クレイジーだ。

 

「あ、あはは……」

「私達はこれで……」

「ごゆっくり……」

 

 残りの風紀委員の子達は流れがおかしくなってきたのを察してか逃げるようにその場から立ち去る。その反応をしたくなる気持ちはすごくわかる。ただ今は俺を見捨てないで欲しかったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 引き摺られて、救急医学部の部室にて……。

 

 

「で、これはどういう事ですか?チナツ?」

 

 困惑する氷室部長の姿があった。無理もない事だ。

 

 背中に大怪我をした1人の脱走患者を捕まえるはずが、2人に増え、どちらもタイヤ・手錠で拘束されており、リード付き首輪で火宮さんに引きずられてきたのだ。地獄絵図以外の何者でもない。

 

「……何も……、聞かないでくれ……」

 

 俺は現実逃避をするほかなかった……。




ちょっと更新ペースが落ちてきた……
週一を目標にしてたけど維持出来るかな?

更新時間はいつが良いでしょうか?

  • 22時〜0時ごろ
  • 7時ごろ
  • 19時ごろ
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