呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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ゴズにゃんは取り敢えず全属性insaneクリア
こいつをミメシスしたマエストロは何やってんだよ
てか、ミメシスって何だよ?

今回は長めです


18 ゲマトリアとの会合

 今日は退院日だ。やったぜ。

 

 

 氷室部長から直々に退院してもいいと昨日聞けた時はすごく嬉しかった。流石に寝てるだけは退屈だ。

 

「では、お大事に」

「ご迷惑をおかけしました」

 

 氷室部長は淡々と退院を通知し、俺は迷惑をかけたことをお詫びする。思えば黒服とアビドスの件でこっそり抜け出して、戻ってきたら捕まって入院と酷い流れだ。

 外を見れば夕日が綺麗で、もうそろそろ夜になる。呪霊の時間がもうすぐで来る。

 

 氷室部長に軽く頭を下げてお礼をした後、俺は散歩に出かけようと校舎を出た。

 

 のだが……。

 

 

 

 prrrrrrrr!prrrrrrr!

 

 

 突如としてスマホに電話が届く。見計らったようなタイミングなので大体誰かはわかるが一応画面を見る。

 

 『腐れピータン』と書いてありため息をつくしかない。仕方がないので電話に出る。

 

「ただいまおかけになった電話番号はお出になりません。諦めて電話をお切りください」

『もう一度黒板の音鳴らしましょうか?』

「共倒れするじゃん」

 

 まるでアビドスに向かうことが決まった時のようなやり取り。というかほぼ同じだ。

 黒服から電話がある時は決まってめんどくさい。何を言ってくるかわからない。

 

『戯れもここまでにして本題に入りましょう。あなたに朗報と言うべきでしょうか……。呪霊の事でお話があります。今から指定の場所に迎えますか?』

「すぐに行く」

 

 今回は少しばかり有益そうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────黒服の隠れ家

 

「よく俺を招待する気になったな?いつでも裏切るであろう奴なのに」

「まあ、それはそうですが色々と研究も捗っていますので互いに利がある内はお互い様かと」

 

 指定の場所に行くと黒服が出迎えてくれた。ゲヘナとトリニティの狭間付近に建てられているものだった。おそらくはいくつかある隠れ家の一つ程度だろう。

 

「それじゃあ、俺たちっていつ爆発するかわかんない爆弾だな」

「違いありません」

 

 黒服に案内されながら皮肉にもならない比喩を呟く。黒服も軽く返しており、すっかりとこんなやり取りが板についた。どうも俺と黒服は早くも腐れ縁らしい。これほど切りたい縁はないだろう。

 

 ある程度歩いたところで黒服が部屋のドアを開けて入るように手招きする。見た先には呪霊と見間違うほどの異形のものがゾロゾロと座って待っていた。

 

「うは〜、こりゃまた……。この人達が残りのゲマトリア?」

「ええ、計4名です」

 

 この人たちが残りのゲマトリアであることはなんとなく察した。2つの頭を持ったマネキンのような人、首がなく後ろを向いている人の絵を抱える人、顔には複数の眼があり赤い肌に白いドレスを着た恐らく女性の人、以上3人が座っていた。黒服は4名と言っていたことから、最後の1人は後ろを向いている絵そのものだろう。

 

「初めまして、だな。呪術師とやら」

 

 その中でマネキンの人が立ってこちらに向かってきた。タキシードを着こなすマネキンにしては不気味だ。見ている側からすれば服屋にショッピング中にマネキンが動く怪奇現象みたいだ。

 歩く度に木が擦り切れるような音がするが、本人は気にせず歩いている。もうそういう生命体なんだろうか、とさえ思えてくる。

 

「初めまして。俺は火野浩介」

「私はマエストロという。以後お見知り置きを」

 

 一先ず挨拶をしておく。丁度いい機会なので探りを入れたい。ゲマトリアって結局何がしたいのか、どういう組織なのかわかりもせずに情報なんて盗めないだろう。

 

「ふむ……まずは自己紹介から行きましょうか。故あって後ろ向きで挨拶する無礼はお許しくださいませ。私はゴルコンダ、私を持ってくださる男はデカルコマニーです。以後お見知り置きを」

「そういうこった!!」

 

 続いて自己紹介を買ってくれたのはなんなら見た目が一番謎かもしれない大男。絵画の中にいて後ろ向きっていう視界から得られる情報があまりにも煩雑。しまいには絵画を持つ男は大声で相槌を打つだけ、面白人間かなんかだろうか。

 

「では、ベアトリーチェ……あなたも──」

「必要ないでしょう。あのような子供を貴方が招くとは理解できませんね」

 

 最後に一番わかりやすく異形な女性になったが、彼女は拒否。感じの悪い方だ。他のゲマトリアは一応、物腰は柔らかいのにこの女性は威圧感すら感じさせる。名前はベアトリーチェ、ということがわかっただけ良しとするほかない。

 

「ハァ……、おっと失礼。では、浩介さん。こちらにおかけください」

 

 黒服はベアトリーチェの態度に辟易としてるのか大きくため息が出てしまう。中々苦労しているようだ。心なしか他のメンバーの空気感も悪い。

 

(もしや、こいつってゲマトリアって組織のウィークポイントになり得る?)

 

 一応組織としてあるからにはああいったものは亀裂の原因になり得る。呪術総監部のような既に巨大な組織で利権が複雑に絡むような組織なら大ダメージが限界だが、ゲマトリアがもしこいつらだけならこれは巨大な楔だ。

 

「では、話に入りますが……皆さん私の渡した資料は事前にご確認されたでしょうか」

 

 なんだかナチュラルに黒服が仕切っており、気づけばプロジェクターを起動させている。資料には全員目を通していたようで全員が頷く。

 

(なんかこれ……企業の会議みたいだな……。レジュメも用意してるし……)

 

 なんだか話が堅苦しそうで少し気分的に縮こまってしまう。いきなり正式メンバーでもない自分を参加させるようなものではないだろうに。

 

「皆さんもご存知の通り"呪霊"という存在がポツポツと最近出てきています。偶然にも退治の専門家である浩介さんがいるので被害は特にありません」

 

 黒服は全員がプロジェクターに目を向けているのを確認したら話を進めていく。

 

「神秘とは真逆の恐怖そのものというべき存在です。発生要因にある程度仮説を立てられまして、それによって暫くは呪霊が少なくなることも想定されます」

「……どういうこと?」

 

 黒服から話される内容は衝撃的だ。呪霊の発生が少なくなる、とは何を根拠に言っているのか。そもそも仮説ってことは確定ではない。

 

「生徒達からは極少量ではありますが、神秘が漏れ出ています。特に活動の維持には問題ない程度に。老廃物の排泄と同じようなものです。しかし、ここに生徒達の感情によって中には排泄後恐怖に反転するものがございます」

「え?何その設定……」

 

 黒服は突拍子のないことを言い始めた。驚きはするが薄々予想していたことに黒服もたどり着いている。俺よりも呪霊の知識がないのにだ。あまり気取られたくないから発生要因まで教えた覚えはないのだ。

 

「ただ、それが集積し呪霊になるにはそれなりの量がいるようでして……。そもそも全てが反転するわけでもなく効率もそこまでよくないようです。言ってしまえば水も栄養もないのに微生物が増殖出来ないのと同じ事です」

 

 つまり黒服の言いたい事はほぼ最後の例えの通り、エサが少ないから増えにくいということ。正直その通りなら非常にありがたい。

 

「ふむ……それは残念。もう少し観測したかったところですが……」

「私としてはもうそれなりに観察はできた。後は私の作品に昇華できないか模索するのみだ」

「そんな事で呼び出しを?」

 

 ゲマトリアの面々の反応は多種多様だ。発言内容からしてやはり相容れないことだけはよくわかる。なんならベアトリーチェの言うことが一番理解できる。マエストロに至っては昇華出来ないか模索すると言っていてこれまた不穏。全員漏れなく失敗して欲しい。

 

「おや、マダム。貴女はアリウス自治区に蔓延る呪霊に手をこまねいていたのでは?」

「既に粗方対処済みです。暫くは湧かないのであればどうでもいい事です」

 

 だが、黒服から聞き捨てならないセリフが聞こえてきた。アリウス自治区がどこにあるのかわからないが、そこで呪霊が湧いたらしい。

 ベアトリーチェは淡々と返し、呪霊に対してさほど興味がなさそうである。話の流れからしてアリウス自治区という場所はベアトリーチェが支配しているのだろうか。

 

 

「全く……大事な時期なのに……幸いにも主戦力には欠けはありません。寧ろ使えない"穀潰し"だけ掃除出来てよかったのかもしれませんが」

 

 

 こいつは何を言っている?

 

 

「……ベアトリーチェさん。穀潰しとは?」

 

 わかりきっているのに聞いてしまう。怒りが底から湧き上がり沸騰しそうなほど感情が迸る。

 

「文字通りです。病人や怪我人、裏方まで上手く出来ない木偶の坊達のことです」

 

 ベアトリーチェはごく自然に回答してくれた。濁りがなくそれが当たり前かのように。これだけでこいつの性根は分かりきった。

 

 

 

 

「絞り上げるほどの価値のない子供ほど要らないものはない。子供はただ大人に搾取され続けるそん、ざっ!?ぶっ!?」

 

 

 

 

 

 我慢ならなかった。

 

 

 

 

 

「おい、クソババア。お前一回黙れ」

 

 気付けば呪力を拳に纏わせ殴っていた。

 

 こんな腐った煮凝りが一つの自治区を統括してるなんて事実が信じられない。

 

「この……、黒服の私兵風情がっ!!」

「勘違いもここまで来ると滑稽だな。遺言はそれだけか?」

 

 

 

 

 駄目だ。こいつは生かしてはおけない。

 

 

 

 

 ──殺す。

 

 

 

 

 

 

 パンパンっ!

 

 

 

 誰かの両手が叩かれる音がする。やった人物は黒服だった。戦闘態勢に入っていた俺とベアトリーチェは黒服を見て動きを止める。

 

「本当はもっと話したいことがありましたが……今回はここまでに致しましょう」

 

 殺伐とした空気からして会議どころではなくなったため、お開きにすると宣言。出来ればここで全員仕留めたいのだが、如何せん黒服以外が未知数すぎる。

 気づけば俺は残りのメンバーに囲まれてしまっている。何かしら手立てがあるのだとしたら不味い状況だ。大人しく拳を納めることにする。

 

 

「では、解散としましょう」

 

 俺が拳を納めたのを確認して、解散を宣言。それを聞いたメンバーはそそくさと帰って行った。何やら嬉しそうな様子である。

 ベアトリーチェも口から血を流しながら会場を後にする。俺を睨みつけながら出ていっており、怒りの大きさが伺える。

 

「火野浩介っ!貴方は必ず殺す!」

 

 いっそ清々しいほどの殺害予告をかまして帰って行った。隠密どころではなくなったが、あれだけでも仕留めないといけない。目標は固まった。

 

 

 

(まずはベアトリーチェ、お前から呪ってやる)




ベアトリーチェの台詞は原作だともっと酷くて書こうにも書けない…

以下は今回のゲマトリア

・黒服(腐れピータン)
折角の顔合わせが台無し。でも少しスッキリしてる

・ベアトリーチェ(クソババア、腐った煮凝り)
浩介絶対殺す

・マエストロ
呪力というか力の操作方面で興味津々。あれを完成に近づけるのが早くなりそうで楽しい

・ゴルゴンダ
様子見

・デカルコマニー
そういうこった!!!

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