呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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呪術廻戦が残り5話……
なんだかんだ言って楽しみにしていた作品が終わるのは寂しいです

今回は何事もなくタイトル通りの集団とわちゃわちゃします
というかイブキ回


20 万魔殿

 先生がギックリ腰になって数日が経過した。先生は予定通りトリニティへ行って、仕事をするらしい。動きが面白いことになっていたがそれは黙っておくことにしよう。

 何はともあれ平和な日常を過ごしていた。ある時は美食研究会と風紀委員の戦いに巻き込まれ、ある時は温泉開発部の爆発を目の当たりにしたりした。ごくごく当たり前のゲヘナの日常だ。

 

「いや、やっぱ辛えわ」

「キキキ、まあそう言うな」

 

 そして、俺は現在とある集団の手伝いに駆り出されている。面だけはいい性悪生徒会長に捕まってしまったのだ。彼女の名前は羽沼マコト。一応選挙で生徒会長になったらしい。

 

「はいはい。2人とも手を動かしてください」

「頑張ってー」

 

 やっている事は前回のシャーレと殆ど変わらない。ゲヘナではエデン条約が迫っている事から生徒会組織である万魔殿は大忙しだ。

 

「棗先輩に丹花ちゃんか」

「浩介、進捗はどうですか?」

「はいよ」

 

 棗先輩、万魔殿の2年生である棗イロハは俺が処理した書類を見て確認する。俺には何故か書類仕事を任された。生徒会のメンバーでもないのにやっていいことなのか疑問に思う。

 

「浩介〜肩車して〜」

「はいはい。ほら、おいで」

 

 その間に丹花ちゃんが肩車をせがんでくる。お気に入りのお姉さんが仕事してるので構って欲しいのだろう。

 腰を低くして俺の肩の上に丹花ちゃんを座らせ、ゆっくりと立ち上がる。一気にはいかずゆっくりとやる事で反応が良く、うわぁ〜と楽しげな声を出してくれた。

 

「お兄ちゃんっていっつもこんな風に見えるの?」

「そうだよ。どう?楽しい?それとも怖い?」

「すっごく楽しい!!」

 

 喜んでくれて何より。この子は万魔殿で非常に可愛がられており、大切にされている。因みに俺よりも成績はいい。本物の飛び級天才のようだ。

 

「ふむ……完璧です。最近は忙しくて……こうして手伝ってくれるだけでも助かります。あと、イブキをそろそろ降ろしてください。危ないので。羨ましい……私も身長が欲しい」

「出てるって。本音出てますよ、先輩」

 

 丹花ちゃんを肩車してるのが羨ましいのだろう。そういう事が出来そうなのは身長的には羽沼会長ともう1人の3年生ぐらいだ。棗先輩はお世辞にも身長は高くない。

 

「じゃあ、そろそろ降ろすよ〜」

「え〜?ヤーッ!」

「あっ、ちょっとそのままで。まだ降ろさないで」

 

 そろそろ降ろそうか、と思って腰を低くしたら誰かに呼び止められる。丹花さんはもうちょっと高いところを満喫したいのか嫌がってるところなので中腰のままその人の方は振り向く。

 デジカメを片手に笑顔でこちらを見ていた。議会の書記の元宮チアキさんだ。丹花さんが俺の上で決めポーズを取るのをカシャカシャ撮っていた。

 

「うん。これならいい感じに万魔殿新聞のネタに使える。題目は……『火野議員ついに万魔殿入り』ってことで」

「なりませんよ。元宮先輩。しかもサラッと議員呼びしてるし……」

 

 彼女は生徒会新聞も作っているためか、ネタに使えそうだと大喜び。すぐさま否定しないと話がややこしくなる。何故誘おうとするのだろうか。

 

「むう……いけずぅ」

「いけずー!」

 

 断ると元宮先輩は唇を尖らせ、わざとらしく拗ねる。本当に来ると思っていたのだろうか。丹花ちゃんは言い方からしてそこまで気にしていない感じだ。

 

「はいはーいそろそろ降りましょうね〜……うおっ!?」

「ヤーッ!!」

「駄目ですよ、イブキ。浩介はアスレチックじゃありません」

「よっ!浩介くん!上腕二頭筋にジャングルジムを建ててんのかーい!」

「元宮先輩はなんでボディビル選手権の煽りみたいなこと言ってるの?」

 

 気付けば真面目な生徒会の仕事の雰囲気から完全に脱していた。仲のいい集団の戯れでしかない。なんだかんだ言って楽しいが。

 とはいえこれ以上は危ない。丹花ちゃんは腕にぶら下がるような状態なため、ゆっくりと足を曲げて段々地面に近づけていく。そうする事で安全に彼女の足を地面につける。

 

「終わっちゃったー……」

 

 彼女はしょぼんとした表情をする。その様子に少し申し訳なさを感じてしまう。

 

「丹花ちゃん、また今度肩車してあげるから今は許してくれる?」

「うん!約束だよー」

 

 丹花ちゃんに目線を合わせてなるべく優しく声をかける。次の機会がある、と伝えることで少しは納得したのか彼女は明るい表情をしてあっさりと機嫌を取り戻す。

 

「イロハ、議長印がいるものは見終わったぞ。浩介、この資料を見てくれれば今日の手伝いは終了だ」

 

 ほのぼのとしたやり取りを終えたらこの場の一番のお偉いさんは次の資料を手渡してきた。少ない量で本当に終わりが見えてきたかのような量だ。自分の書類をテキパキと処理し、部下にも指示を飛ばしていた。

 

「了解しました」

 

 俺は書類を受け取って作業台へと移動する。正式メンバーでもないため任される仕事は大した物ではないが、議会が持つ膨大な仕事をこれで少しは肩代わり出来ているのだろうか。少しでも楽になってくれたのなら幸いだ。

 そう思いながら作業台に着くと、羽沼議長は着いて来ていたのか俺の後ろにいた。不機嫌というわけではないがかといって穏やかな感じではない。どちらかと言えばロクでもないことを言いそうな雰囲気だ。

 

「作業をやりながら聞いてくれ」

 

 どうやら俺の作業を見ながら話すらしい。あまり変なの言われると仕事をミスりそうで嫌だが、指示は指示なので従う。

 

「お前も万魔殿議員にならないか?」

「ならない」

「な、なにぃ!?」

 

 何をいうかと思えば勧誘だった。あっさりとした口調で断れば凄く仰々しく驚いていた。な、なにぃ!?じゃないんだが。さっきの元宮先輩とのやり取りを見てなかったのだろうか。仕事に集中していて見てないのかもしれないが。

 

「お前の戦闘能力と私の知謀が合わさればゲヘナを完全に掌握出来るのだぞ!?」

「支配に興味はないっすね」

「ぐぬぬ……」

 

 どうも目的は俺の戦闘能力らしい。なんのために必要なのかを考えれば浮かび上がる答えは1つ。空崎風紀委員長に対抗するためだろう。そこまで買ってくれるのは嬉しい。

 

 だが、気になる点もある。

 

 

(……俺をそこまで高く買うほど見てるのか?生徒で直接見たのは火宮さんぐらいだぞ)

 

 ゲヘナで呪霊を祓ったのは初等部でのカマキリのみ。他にもちょくちょくやってはいたがいずれもゲヘナ外だ。

 

「キキキっ!私の情報網を甘く見るなよ!お前の炎の超能力は確認済みだ!」

 

 どうしたものかと考えているところにスラスラと喋ってくれた。どうも把握しているらしい。炎の超能力、とまで言い切っているので本当に何かしらの手段で見ているようだ。流石は生徒会長と言ったところか。黙っていて交渉カードにでも使えば良さそうなのに喋るのは感心しないけど。

 

「そうですか。あ……、取り敢えず見終わったので確認お願いします」

「むっ、うぐぐ……思ったよりも軽い返事だ」

 

 俺があっさりとした感じで返事をするからか羽沼議長は困惑していた。俺が少しでも焦ってくれれば、といった腹積もりだったのだろう。見事に外れている。

 

 そんな羽沼議長を見ていたら、今度はピンク色の髪で、角の大部分が宝石のように赤く光沢を持っている生徒が近寄ってきた。棗先輩でも元宮先輩でも丹花ちゃんでもない。議会の中で一番ナイスバディな京極サツキさんだ。

 

「マコトちゃん。ここは私に任せてもらおうかしら。超能力には科学で対抗よ」

「な、なにっ!?どうするつもりだ!?サツキ!?」

 

 何やら科学で対抗すると言っているがどういう事だろうか。この話の流れでどんな科学を用いるというのか。この愉快な集団がヤバいものを出す姿がどうしても想像できない。

 

「ふふふ、これを見てちょうだい」

 

 視線が自分に向いたのを見計らって、何かを取り出す。糸で吊るされたもので真ん中に穴が開いた硬貨と思われる物だ。

 形状からして有名な催眠術の道具だ。呪術師なら驚異的だが、キヴォトスの生徒がやる分だと可愛い出し物にしかならないだろう。

 

「貴方は段々万魔殿に忠誠を誓いたくなーる……誓いたくなーる……」

 

 ゆっくりと揺らしており、それっぽい言葉を呟いているだけだ。こんな古典物を見られるとは思いもしなかった。呪術師にそんなもの見せつけるなんて甘いにもほどがある。彼女達はそんなことなんて知らんだろうが。一応、超能力者という認識ではいるのか。催眠術もそもそも科学じゃなかったな……。

 

「……これから給食部の手伝いもあるから失礼します」

「くっ!修行不足のようね!」

 

 なんの修行をしているというのだろうか。何の力も感じなかったぞ。

 

「ハァ……行ってらっしゃい。それはそれとして入会の方は前向きに検討してください。仕事が出来そうなので私がサボれます」

「せめて本音は隠せ」

 

 一番良識的な棗先輩もこれだ。そうは言いつつもやる事はやるんだろうが。

 

 

「お兄ちゃんバイバーイ!手伝ってくれてありがとうございます♪」

「今度は遊ぼうね〜」

「うん!楽しみにしてるよ!」

 

 そんな中、丹花ちゃんの見送りは凄く癒しだった。今日はそこまででもないが普段は万魔殿の皆んなに可愛がられるのもよくわかる。これで本人なりに努力もしようとするから無制限に甘やかしたくなる。

 

 なんだかんだ言って仕事を終えて、現状がどうなっているのか確認のためにモモトークを開く。牛牧さんは調理以外の作業をこなしているので俺の手伝いの話も彼女経由でやり取りをすることになっている。

 見てみれば彼女から何件か通知が来ていた。表示されている通知を見ようとトークを開く。開く前に見えていた文字は『助けてください』であり、それだけ忙しいのかと覚悟して見たのだが……。

 

「は?」

 

 訳がわからない事が書いてあった。

 

『フウカ先輩が美食研究会の方に攫われました……。給食部の車も奪って現在それで逃走中です』

 

 唖然。その言葉が何よりも俺の気持ちを表していた。

 

 少しして助けに行くと通知を飛ばし、スマホを仕舞う。愛銃の点検を簡易ながら実行し、使える状態か確認もする。

 問題ないことを確認したらホルスターに戻し深呼吸。気持ちを落ち着かせる。

 

 

「覚悟しろよ。美食研究会……!」




美食研究会、フウカ、フウカー……
次回はどういう展開かわかる方は多分いる

更新時間はいつが良いでしょうか?

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  • 19時ごろ
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