呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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キサキ実装!キサキ実装!
天井です……

呪術廻戦はどういう最終回迎えるのかドキドキする


28 補習授業部との邂逅①

 早速だが黒服との話から得た情報を元に休日にトリニティへ観光に行くことにした。元いた世界ではイギリスが雰囲気的に近いだろう自治区だ。紅茶とスイーツの香りが充満しており、五条先生の好きそうな甘い物がいっぱいあった。

 

「すごいな……。ゲヘナとはまた違った感じだ」

 

 正直に言うと目的そっちのけで観光している。実際のところいきなり補習授業部と接触なんて出来るわけがない。今日のところは少しでも多くトリニティの地理を頭に叩き込むのが精一杯だ。せめて阿慈谷さんぐらいはモモトークを交換出来ていれば近道だったというのが悔やまれる。

 故にまずはこの地を楽しむことにした。やっぱり地理を覚えようとしたら楽しいことや衝撃的な事とセットになるのが一番だ。結びつきやすい。

 

 しかし、問題がある。

 

「ねえ、あの人って……」

「ええ、ゲヘナの生徒ね」

「噂のゲヘナの放火魔?街中で凄い閃光を放つ炎を放ったとか……」

「いや、私が聞いたのはターボゲヘナって言われてたわ」

「いやいや、塩顔DV野郎とも……」

「どれにしても野蛮ですわ……」

 

 この噂話の有様だ。放火魔呼ばわりは術式の関係上言われるのは仕方ないかもしれない。ただ、ターボゲヘナとか塩顔DV野郎ってなんだ。後者に至ってはブラックマーケットでスケバンに言われたやつだ。ターボゲヘナは……なんで?

 トリニティは噂話が好きなのだろうか。ある意味女子らしい一面ではある。いい気分はこれっぽちもしない。

 

「エデン条約が近いうちにあるのにこの有様とは先が思いやられるねえ……」

 

 俺の感想はこの一言に尽きる。歴史的に争いや対立が絶えないゲヘナとトリニティが互いの自治区の問題の解決に戦力を出し合うなんて夢のまた夢だ。そもそも事件がゲヘナの方に偏りそうで申し訳ない。

 皮肉にも嫌な思いをした場所も覚えやすい。ある意味目的は達しているとも言える。今日はある程度覚えたら帰ろうか。

 

 

 

 そうして歩いていたら人通りが少なくなり、もう自分以外いないんじゃないかと思えるような道に出る。住民からは近道として扱われそうなそんな細い道だった。多分迷ってしまった。

 

 

 

「あれ?浩介くんですか?」

「ヒフミ。知り合いか?」

「前に助けてくれたんです。第二次試験の時は敵だったけども……あれは向こうからしたら私達が悪いだろうから仕方ないよね。あはは……」

「そうか。お礼もお詫びもしないとな」

 

 どうしたものかと考え込んでいると聞き覚えのある声が聞こえてきた。向こうは俺に気づいているらしい。隣には綺麗なデコレーションをした白い羽の生徒がおり、仲は良さそうだ。

 

「ん?阿慈谷さんか?その様子だと試験は無事に合格したみたいだな。よかった」

「はい!浩介くんも元気そうでよかったです!」

「……」

 

 阿慈谷さんはニッコリといい笑顔で返事してくれる。天使ってこういう子の事を言うのだろう。前は戦闘になったが今となっては笑い話かもしれない。というかもっとやばいことをやってるから前の戦闘なんかで尾はひけない。

 隣の綺麗な羽の子はこちらをジッと見つめている。警戒なのか人見知りなのかは判別はできない。強い敵意はなさそうではある。何かに驚愕しているようにも見える。

 

「アズサちゃん?」

「……あ、すまない。私は白洲アズサ。ヒフミの友達だ。よろしく」

「よろしく。白洲さん」

 

 言い淀みこそしたがしっかりと自己紹介をしてくれた。最後には笑みを浮かべていた。

 

「もしかして……その子も補習授業部の?」

 

 俺はここで探りを入れる。成績不良という補習授業部の結成経緯からして、聞くのは失礼かもしれないが手掛かりを得るためには確認していかなくてはいけない。

 

「あぁ。……凄く楽しい日々だった。ヒフミと……いや、皆んなとも友達になれたし、勉強の楽しさを知れた」

 

 返ってきた内容はとても前向きなものだった。結成する時はどんな感じだったのかは気になるが必要なこと以外は聞くのは野暮だろう。少なくとも良いひとときを彼女は過ごせたようだ。

 俺は微笑ましく思っていたら、視界にこちらへ向かってくる女の子2名を捉えた。どちらもピンク髪の子だ。内一人はコハルさんのようだ。

 

「あらあら。今はお邪魔でしょうか」

「あぅ……」

 

 白洲さんの言葉を聞いていたのか2人は嬉しそうにしながら近寄ってきた。コハルさんは恥ずかしいのかもう1人の子に隠れた。懐いているのかな。

 

「いや、そんなことない」

「ふふ、そうですか。……ところでこちらの方は?」

「火野浩介です。どうも」

「……」

 

 最後の名前が不明な子に物珍しそうな目で尋ねられる。トリニティ生らしく上品な立ち振る舞いのように見える。庶民な俺にはよくわからないが。

 ただ、名前を聞いた時に目つきが変わり真剣な様子を見せる。さっきの噂といい俺はトリニティでも名が通っているのだろうか。来たのは今日が初めてなのに不思議なことだ。

 

 

「……貴方がヒフミちゃんをお姫様抱っこしたあの?」

「うぇっ!?」

「ぶふっ!?」

「ふふ、その反応は本当みたいですね♡お二人はどんな関係なんでしょう?」

「はぅぅぅ……」

 

 違った。この人はただ友達を揶揄ってくる愉快な人だ。その証拠に各自の反応は様々で見てて面白い。

 コハルさんはしけえ!!とか言ってその人の後ろから離れない。白洲さんはちょっと困惑してる。阿慈谷さんは……その……なんか……すいません。

 

「あ、申し遅れました。私、浦和ハナコって言います。今後ともよろしくお願いします」

 

 あ、じゃないよ。このタイミングで自己紹介を切り出すな。よろしくお願いします。

 

「あ、あの時は名乗ってなかったからわ、私も。下江コハル……です」

 

 今回初めて名前を知れたコハルさんもとい下江さんの自己紹介が凄く癒しに見える。メンバーの中でも一番幼そうな感じもするし。

 

「よ、よろしく。浦和さんに下江さん……」

 

 もう押されっぱなしだ。これ以上を出されたらショートしてしまいそうだ。先生はこんな濃い連中を指導してたの?なんだかんだ言って教師としてのレベルは高いんだろうな。

 そんな事を思いながら補習授業部の面々を見てると、浦和さんが今度こそ真面目な表情でこちらを見ていた。今度こそ真面目だよな?だよな?

 

「浩介くん。先日はコハルちゃんとヒフミちゃんを守ってくださりありがとうございます」

「ちょっと身構えちゃったよ……どういたしまして」

「あら、これは本心ですよ。浩介くんは一体ナニを想像されたのでしょうか?」

「ちょっ!?ハナコ!!雰囲気がダメ!禁固刑!!」

 

 めちゃくちゃなんだけど。話すだけでカロリー持ってかれるやないかい。

 前の半魚人呪霊の時は美食研究会、愛清先輩に補習授業部に先生、チナツさんといったかなりの人数が居たから大変だったなあ。

 

「あはは……近頃ああいう異形が増えてるから近寄らないようにね。本当に危ないから」

 

 一先ず釘を刺すことにする。呪霊の相手をさせるのはなるべく避けたい。守りきれないしな。

 

 

(さて……、誰が元アリウスだ?)

 

 

 忠告の後に再び全員を見渡す。今でこそ全員がトリニティの制服を着ているが、この中の誰かが元アリウス生だ。裏切って完全にトリニティ生として生きていくようだが、まだ日も浅い。仕草などから推察は出来るかもしれない。

 

「はい。気をつけます。ああいう怖いのではなくペロロ様に会いたいなあ」

 

 阿慈谷さんは違うだろう。ブラックマーケットに行って俺やアビドスと一緒に銀行強盗こそしたが、根は明る過ぎる。環境が酷そうなアリウスで育つことはないだろう。

 ……このペロロキチぶりには目を瞑ろう。

 

「次あんなのが出たらや、やっつけてやるんだから!みんなを守らないと!」

 

 下江さんは震えながら言い切っている。無理しないで逃げて欲しいな。この子は馬鹿っぽいけど根は正義感に溢れてそうだ。流石正義実現委員会所属といったところか。

 

「……そうか噂の……。わかってる。呪霊には近寄らないようにする」

 

 白洲さんは神妙な顔で俯き、何かを覚悟したのかキリッとした表情でこちらを見ていた。まだ俺は"呪霊"という単語を出してないのに知っているということは、この子が元アリウス生だろうか。

 

 

 そうなると残る浦和さんは揶揄い好きな女子高生と言ったところか。こうして4人で仲良くしているのを見ると友達を大切にするいい人なのだろう。水着を綺麗に着こなし、成績は微妙でも普通に青春を謳歌しているようだ。一般的な女子高生として──、

 

 

 

 

 ──水着?制服ではなく?

 

 

 

 

「はっ!?」

 

 思わず俺は浦和さんの方へ勢いよく振り向く。そこには制服を綺麗に着こなす浦和さんがいた。どうやら幻覚だったらしい。

 

「あ、あわわ……」

 

 いや、幻覚じゃなさそうだな。下江さんが顔真っ赤にして猫みたいな目をして口をパクパクさせている。どう考えても俺と同じものを見ただろこれ。

 

「あらら?どうしました?ふ・た・り・と・も・♡」

 

 浦和さんは白々しく言葉を投げかけてくる。こいつ確信犯だ。流石に洒落にならないぞ。勉学の補習じゃなくて違う補修が必要そうなんだけど。

 

「どうしたんだ?」

「あのー……大丈夫ですか?」

 

 白洲さんと阿慈谷さんは不思議そうにこちらを見ていた。どうやら2人は気づいていないらしい。キョトンという擬音が聞こえそうなほど不思議そうにしている。よりにもよってこの2人が気付いてないのがタチの悪さを加速させていた。

 

 そんな2人の真後ろに水着を着た浦和さんが出現する──。

 

「っ!?」

 

 俺は思わず構えた。何か恐ろしいものを見たような気がしたのだ。実際は助平なだるまさんが転んだだけども。

 だが既に俺の視界には彼女の姿はない。煙のように消えていた。まるでそこには初めからいなかったと言わんばかりだ。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「あはは……いや疲れてるのかもな。浦和さんが変な格好をしてるように見えてさ。……そう言えばどこに行ったんだ?彼女は?」

「いるじゃないか。そこに」

「え?」

 

 

「浩介の後ろにいるじゃないか」

 

 

 気づいていない2人と会話をしてると、白洲さんが俺の方を指さして方向を教えてくれた。彼女曰く、後ろに浦和さんがいるとのこと。

 

 あり得ない。その一言に尽きる。彼女は露出プレイをしながら俺の背後を取ったとでも言うのか。

 

 そんな恐怖を抱きながら恐る恐る後ろに振り向く。彼女がいるわけない、そう思いながら。

 

 

 

 振り向いた先に俺の視界に入ったものは水着を着た浦和さんが立っていた──。

 

「だるまさんがころんだ♡ふふっ」

 

 彼女はまるで俺の思考を読み切ったかのような言葉を放ち微笑む。全てお見通しだぞ、って言ってそうな感じがした。

 

 

 

「うわぁあぁあぁあぁっ!?」

 

 

 

 

 

 多分この時の俺は怖かったんだと思う。俺は後に先生にそう語った。*1

*1
先生は話を聞いた後ハナコを叱った




Q:あなたにとって浦和ハナコは?
A:
先生「とっても聡くて頼りになる子。だからこそ誰かが見ててあげないとね。もう自分を追い込ませないように。そこは私の役目かな」
ヒフミ「とっても頼りになります!時々……その……驚かされますけど」
アズサ「ハナコの教え方がわかりやすくて助かってる。これからも友達でいたい」

コハル、浩介
「エッチなのはダメ!!!死刑!!!」

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