呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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ケセド君今回はトマト食いいっぱい居ますね……
自分も人に頼らずクリア出来たから冗談抜きでクリア者2万人超えそう

デカグラマトンもいつか出させたいですね
自分はゲブラーが好きです


37 成果の横取りをする者はろくでなし

「フフフ……いい気味ね」

 

 ベアトリーチェはかつてないほど興奮していた。我ながら大人気ないとは思うがそれだけ火野浩介は目に余る存在だった。今の自分よりも強く自分のやり方を快く思わない男だ。そんな男の遺体が今、黒服の所有物を見させてもらうという名目で自分の目の前に来ていた。

 暴力と恐怖によりアリウスを支配している自分が負ける存在などあってはならない。そんなものが出てしまえば自身の支配だって揺らぐ。

 彼が自分を倒そうと画策しているのは知っていた。ならばエデン条約での騒動の時にドサクサに紛れて処理すれば良い。黒服の研究データを盗み作成した呪霊の封も彼の動揺に一役買ったようだ。

 

「ハァ……私としてはもっと彼と研究がしたかったのですが……残念です」

「私も同感だ。彼にはスランピアのミメシス達を見てどう解釈して表現をするのか見たかったものだ」

「これ以上の観測も出来ないので私から言えることはありませんね」

 

 だというのに自分の同僚たちはこの少年の死を悼んでいる。自身の研究にとって良いものたり得るかも知らないからだろうが、ベアトリーチェからすれば甘いと言わざるを得ない。

 彼はあくまで呪霊という存在を効率よく狩れると思って黒服とつるんでいる存在。考え方としては先生側に近い。彼の言う縛りを結ばせられなければ言うことを聞かないジャジャ馬でしかない。

 

「先生と同様に我々ゲマトリアに迎え入れたかったのですがね」

「ほう、黒服はそこまで気に入っているのか」

 

 黒服に至っては仲間にしたかったなどと言うのでベアトリーチェは理解に苦しむ。どうしても邪魔をする存在を許せるというのか。あくまで我々はお互いのやり方で崇高を目指すのではなかったのか、と失望すらしている。

 

「愚かで怠惰な考えですね。火野浩介もシャーレの先生も排除すべき敵でしょう。迎え入れるなど理解に苦しみます」

「「「……」」」

 

 ベアトリーチェはそんな自分の同僚達の思想を真正面から切り伏せる。その言葉を皮切りに全員が沈黙し、ベアトリーチェを見つめる。まるで理解できないのはこちらだ言わんばかり。

 

(チッ……堕ちるところまで堕ちたと言うべきでしょうか。まあ今は彼に勝利したことを喜びましょうか)

 

 ベアトリーチェは心の中で悪態をつき、今度は浩介の遺体を覗き込む。綺麗な状態でここにいるが黒服が死んだと確認している。心停止しているのを確認してからすぐに外させてここにいるのだ。間違いない。

 

 シャーレの先生もしばらくは動けないだろう。邪魔者は殺した。これ以上ない戦果だ。そう思い、あなたの無様な顔を見れなくて残念ですと遺体を煽ろうと、顔を更に近づける。

 

 

 

「クックック……しかしあなたの無様な顔が見れなくてざんね──」

 

「ハァイ!ジョー⚪︎ィ!!」

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 ベアトリーチェは突如、目の前の死体が謎の台詞を吐いたのを見て固まる。先程の同僚の世迷言よりも訳のわからない事態だ。

 

「ふー!」

「があぁぁぁぁっ!ぐっ……あぁ……」

 

 浩介は口から火を噴き、ベアトリーチェを燃やす。突然の出来事にベアトリーチェは悶え苦しみ後ろに倒れる。全身に火が広がり、地獄の苦しみを味わうこととなる。

 ベアトリーチェが悶え苦しむのを確認した後、起き上がり黒服の方を見る。顎に手を当ててうーむと言いながら何かを考えていた。

 

「とりあえず消してやるか。ほら」

 

 まずは、と言わんばかりに指を鳴らしてベアトリーチェを燃やしていた炎を消す。その行動は優しさではなく彼なりの打算があってのものである。

 火が消えたらベアトリーチェは怒りを露わにしながら立ち上がる。目つきは恐ろしく今にも化け物になりそうなほど鋭い。

 

「術を解くなんて甘い事を……今ここで私を殺さなかったことを後悔すぶっ!?

 

 ベアトリーチェは浩介の行動に甘さを指摘し、反撃をしようとするがすぐさま顔面に痛みが襲いかかる。正体は呪力を込めたただの蹴り。先程から浩介に言うこと全てがその通りにならず、手も出せなかった。

 蹴りの威力は高く彼女の身体が床を跳ねる。なんども打ち付けられかなりのダメージを負ってしまったことは想像に難くない。

 

「てめぇには聞きたいことがあったが……むかつくから蹴っちゃった」

「えぇ……」

 

 浩介が火を止めた意図は情報を得るためだ。殺しておしまいにしていいのか彼にはまだ判断がつかない。それ故にある程度痛めつけてから聞き出すつもりだが、思ったよりも元気なので蹴った次第だ。黒服はドン引きしている。

 

「なんと!?このようなことがあるというのか!?」

「まさか復活するとは……黒服?」

「マジか……」

 

 他のゲマトリアの面々はそれぞれ違った驚きをしながらも、目の前の事実を目に焼き付ける。黒服に至っては天を仰ぎ、引いている。

 

 

「……よし!黒服が知ってそうだし聞こうかな?」

「ハァ……私ですか?先に言いますが今回の騒動に私は呪霊関連のデータをベアトリーチェに提供してませんよ。御しきれないであろう不確定要素ですので」

「ふーん……。じゃあ、あの呪霊を封じたやつはクソババア単独でやったこと?」

「そうですね。重ねて言いますがそもそも私は前の顔合わせの時以上のことは皆さんに話していません」

 

 浩介は掌を黒服に向けて問い詰める。半端なことを言うなら燃やすと言わんばかりに。呪術師としてそれなりにプライドのある浩介は呪霊を悪戯に扱うのを許せなかった。その一端を担ったであろう黒服も許すつもりはない。

 返ってきた答えはベアトリーチェがやったというもの。体の良い押し付けか真実かこれだけではわかりかねる。有り得なくはない話ではある。アリウス自治区は呪霊が最も増えているからサンプル自体は多い。研究を盛んにしているなら出来なくはないかもと浩介は考える。

 

 しかし、黒服のいう前の顔合わせの時にベアトリーチェはその被害に辟易してる。理由としては今回の騒動の準備中に呪霊の被害が出たから。つまり、呪霊の研究をして何かしらの成果を完成させるなど無理なはずなのだ。この中で一番研究が進んでいる黒服が一番怪しいはずなのだ。

 

「……私の呪霊の観察結果に誰かしらの不正アクセスがありましてね」

「へぇ……?」

 

 ただ、浩介にとっては思わぬ形で情報が転がり込む。黒服の研究データに不正アクセスしたものがいるというもの。それが本当なら話は大きく変わる。

 

「後でベアトリーチェにはたっぷりと聞かないとな。……俺は出るよ」

「どちらへ?」

「先生のところ。俺はお前らの横には立たねえよ」

「そうですか……。仕方ありませんね。マダムで止められないなら我々はこれ以上手出しはしません。お好きにどうぞ」

 

 浩介は踵を返し、建物の外へと向かう。彼にとっては今はまだ戦っているであろう先生達への助太刀が最優先だからだ。誰もゲマトリアの野望の巻き添えをくらうことはあってはならない。

 

「……最後に一つだけ。浩介さん、あなたから神秘のような力を感じますがそれは一体……」

 

 黒服はこれから出ていく浩介を引き止めるように疑問を投げかける。自身の興味本位からだ。それを抜きでも疑問が尽きないのもある。

 浩介は振り返り、ニタリと笑う。黒服はこんなに酷い笑みをする浩介を見るのは初めてだった。その顔は彼の呪いの力そのものを感じさせるような悪どそうなものだった。

 

「これからいやでもわかるさ。正直興奮が止まらないよ。今まで出来なかった事が出来ることがこんなにも嬉しいんだなっていう実感が堪らないんだ。見てなよ、黒服。ほんの少しだが──

 

 

 

 

 

 

 ────呪力の核心を掴んだこの俺を!!」




浩介はそれなりに強化されてます

ところでチナツの霊圧が……消えた!?

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