呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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遅くなってしまい申し訳ございません
仕事をしてブルアカしてアニメ見てたら時間がねえ!


3 対決!アビドス高等学校!

「ほらほら、学校を明け渡しちゃいなよ!!あははっ!!」

 

 浅黄さんの声が校舎の前で響く。ここはアビドス高等学校前、絶賛戦闘中である。自慢のMGを眼前の敵にお見舞いする浅黄さんに続くように傭兵生徒達もARを乱射する。人数に物を言わせた掃射である。

 対する相手はアビドス高等学校の生徒たち5人。黒服のお目当ての小鳥遊ホシノを筆頭にこの絶望的な状況でも激しく抵抗を続けていた。遮蔽を利用して今はなんとかやり過ごしている。

 だが、それでも便利屋達は止まらない。始まる前は恩を仇で返すなんて、と黒髪の生徒に罵声を浴びせられていた。それで申し訳なさそうにしてる陸八魔社長を見て不安になるも、すぐに切り替えてこれである。

 

(これは貰ったな……!後は一人一人確実に落としていくだけだ!)

 

 俺は勝利を確信し、自慢のHGをタイミングを見て発砲する。狙ったタイミングはこちらの連射の勢いが収まり、リロードのタイミングで奴らの誰かが顔を出す時である。

 抜けなく攻撃を差し込む事で相手に対して圧をかけていく。攻撃はさせない。一方的にこちらのターンを続けて完全勝利を狙うのみ。

 

「さて、そろそろその遮蔽もなくしてやろう」

 

ピンッ!

 

 頃合いと見て俺は手榴弾を抜き、思いっきり投げ込む。狙いは当然彼女達の遮蔽の先、セーフゾーンを蹂躙するだけだ。

 

「皆んな!後ろに下がって!」

 

 対するアビドスは女性の声がするやいなやそれに従い、手榴弾の爆破範囲から逃れる。判断が早く全員がダメージを受けずに済む。

 しかし、その代償は大きく先程まで彼女達の生命線だった遮蔽はおよそ役に立つような状態では無くなった。

 

「陸八魔社長、今だ!」

「……ええ。申し訳ないけどここで決めさせてもらうわ!」

 

バンッ!バンッ!

 

 つまりはこちらの大将、陸八魔アルの狙撃を凌ぐ手段がなくなると言う事だ。すぐさま社長に声をかけて攻撃を促す。

 社長は少し悲しそうな顔をするが、切り替えて狙撃体勢に入る。それからすぐに2発発射し、狙いはピンク色の長髪の女の子だった。

 

(狙いは……例の生徒か!!さあ……、どうする?小鳥遊ホシノ!!)

 

 狙われたのがすぐに小鳥遊ホシノだとわかると俺は追撃するよりも結果を注目してしまう。本当なら爆弾や銃弾の一つでも放てばいいのだが、黒服からの仕事は小鳥遊ホシノを手に入れるための戦いに参加する事である。今回の戦いは目的こそ聞かされていないが、恐らくは俺に彼女を見せる事だと推測される。

 爆弾で乱された後に容赦なしの狙撃弾はキヴォトス外の戦いなら致命的だろう。だが大したダメージにならない、なんてことは無いはずである。はずで……、

 

カンッ!

ドッ!!!

 

「「は?」」

 

 

 はずであった。

 

 

「うへ〜……やるねえ。ちょっと危なかったかも」

 

 

「な、なんで頭に一発直撃を受けても効かないのよ!?あれじゃあヒナみたいじゃない!?」

「ふらつくぐらいならともかく何にも堪えてないだと!?」

 

 社長と俺はただただ驚く他ない。俺たちだけじゃない。他の人も驚きは隠せずにいる。少しだけ攻撃が緩んでしまっていた。

 

 

「おっ、ラッキー」

「ホシノ!そのまま敵陣に突っ込んで!!」

 

 その隙を見逃さない者がアビドス側で"2人"いた。1人は当然小鳥遊ホシノだ。もう1人は黒いロングヘアの女性である。

 

「了解、先生〜」

 

 指示を受けて返事すると同時に小鳥遊ホシノは駆け出していた。その様はまるで獲物を捕える猛獣のように鋭く、非常に圧のあるものであった。

 

「い、行かせません!!!アル様をお守りします!!」

「う、撃て!!!!」

 

 だが、こちらにも猛獣はいた。誰かが指示を出すよりも早く身体を動かす者がいたのだ。小鳥遊ホシノと同じくショットガンを構えながら猛進する。

 それにつられて傭兵も自分の仕事を再開する。極力伊草さんに当てないようにし、小鳥遊ホシノを誘導しようとしていた。銃弾の雨を何も気にせず素通りまでは出来ないだろうし、しないはずだからだ。

 

「うあああああっ!!!!」

 

 伊草さんはある程度距離が近づくと自慢のショットガンを乱射し、眼前の敵に迫っていく。奇しくもパーティのショットガン持ち前衛の一騎打ちとなる。

 

「今だ!ホシノ!!」

「はいはい〜♩盾だよ皆んな集まって〜」

 

 それに対して相手が取った行動は先程の猛進とは打って変わって盾をどっしりと構えた重厚な前進である。受けて立つという意思が感じられる。

 同時にショットガンも適宜発砲しており、奇しくも伊草さんと似たような動きをしていた。違うところをあげるとすれば伊草さんはショットガンと己の身だけの乱暴な突貫、小鳥遊ホシノは盾を構えつつゆっくりと戦車のように前進しているところだ。

 

「あっ、ぐうぅぅっ!!」

 

 結果はこちらの惨敗だった。伊草さんは完全に押されている。盾にほぼ全ての攻撃はシャットアウトされ、敵の攻撃だけは通っていた。

 こちら側に進ませないための突貫なので我武者羅なのはよかったが、こればかりは相手が悪かった。

 

カチャ……!

「っ!!!!!」

 

 そして、無情にもゲームセットを告げる銃口が伊草さんの腹に当てられる。

 

「お〜しまい」

 

バンッ!バンッ!

 

 小鳥遊ホシノは気の抜けた声を出しながらも容赦なく引き金を引く。2発の弾丸が当たってから、追撃の蹴りをいれる。

 小柄ながらもパワフルな伊草さんは蹴りの後に吹っ飛ばされていた。

 

「ハルカちゃん!!!……っと、大丈夫?」

「は、はい……」

 

 吹っ飛ばされた伊草さんは浅黄さんにキャッチされる。心配して声をかけるが伊草さんはかなりのダメージを負っていることが見てとれた。

 このままでは確実に押し返される。これでは何のために伊草さんが突っ込んで敵を止めようとしたのかわからなくなる。今俺がやるべきなのは彼女に報いることだ。

 

「ここで止める……!」

 

 やると決めたからにはあとは行動あるのみ。リロードを済ませ、呪力を回す。望むは敵の大将との一騎打ち。

 向こうも迫り来る俺を見て銃を構える。もし、あの銃撃たれて当たりどころが悪ければ死ぬかもしれない。しかし、死と隣り合わせなんて慣れっこだ。恐怖こそすれどそれで足は止めない。

 

「君を止めればおじさん達の勝ちかな?」

 

 そして、小鳥遊ホシノは引き金を引く。確実に敵を止めるために。

 

 一方で俺は引き金を引く前に回避行動を始めていた。散弾の特性上全ては躱せないが、致命傷を受けないようにするのは可能だ。

 

「お?」

「隙ありだ」

 

 最小限の動きで回避したのを見て、小鳥遊ホシノはようやく驚愕の表情を見せる。対して俺は拳を握り締めて勢いよく振りかざす。

 

「ぐえっ!?」

 

 拳は彼女の顔に直撃し、後ろに倒れそうになる。尤も今のパンチは普通の人間なら思いっきり後ろに吹き飛んでいるところである。

 それほど強力なフィジカルなら容赦は要らない。術式を使用して追い討ちをかけるだけだ。

 

「弾けろ……」

 

 ハンドガンを構え、狙いをつける。このままもっと後ろへ押し込むつもりで呪力をハンドガンに集中させる。正確には予め呪力を込めた弾丸に。

 

「焔」

 

 弾丸を放ちすぐさま術式を使用する。放たれた弾丸は途中の段階で発火し、不自然な加速を生み出す。

 弾丸そのものにジェットの推進力を加える。呪力を込めて投げたもの打ったものに炎の推進力を加えて威力を向上させるものである。いわば極小のミサイルである。

 

「くっ……!!」

 

 押し込むには十分な威力だ。倒せないのは色々と驚くが大事なのは小鳥遊ホシノを押し戻す事である。

 

「これ以上好きにさせない……っ!」

 

 だが、向こうの仲間も当然黙っているわけがない。妨害の妨害は当然のように襲い来る。

 来たのはドローンからのミサイル攻撃。銃弾に比べれば避けるのは容易い。本命は俺を下がらせる事だろう。俺は難なく後ろにステップして爆撃から逃れる。

 

「お仕置きの時間ですよ〜っ!」

 

 それを見計らったのか今度はミニガンでの掃射をしようと一人の生徒が今にも撃ちそうになっていた。小鳥遊ホシノにリソースを注ぎすぎたのが仇となり、他の生徒が続々と攻撃を仕掛けてきていた。

 

「そいつは……やべえな」

 

 実のところミニガンのような弾丸の掃射の方がキツい。軌道を読んで避けるのとは訳が違う。逃げ場がないのがあまりにもキツい。

 どうしようかと思案していると、ミニガン持ちに接近する1人の女性の姿を目にする。

 

「悪いけどさせない」

 

 飛び出していたのは鬼方課長だった。相手が撃つよりも先にハンドガンを抜き、相手の手元に弾丸を放っていた。

 

「くっ……」

 

 向こうも中断せざるを得ないのか、ミニガンを振り回して弾丸を弾く。これで掃射は防がれる。

 

「そこっ!」

 

 そして、重いものを振り回して隙が出来たのを鬼方課長は見逃さなかった。すかさず蹴りを入れて小鳥遊ホシノ同様に後ろへと押し込む。

 これで再び相手を固めることが出来た。後は浅黄さんの爆弾で蹴散らすだけだ。

 

「クフフ……♪」

 

 無言で通じ合っているのか既に浅黄さんは爆弾を詰めたカバンを手に持って今にも投げようとしていた。

 

「させない!!」

『セリカちゃん!支援するよ!』

 

 それを止めようと最後に突撃してきたのは猫耳の少女とドローン。ドローンは大量の小型爆弾をつかまされており、猫耳少女の行く手を阻む傭兵達に向かって投下される。

 次々と爆撃され傭兵達は猫耳少女を阻むことが出来ずにいた。その後ろでは小鳥遊ホシノとミニガンの女性が後を追っていた。

 

「ふふ、後はあのラーメン屋のバイトちゃんを止めればお終いね」

 

 陸八魔社長は上機嫌にスナイパーライフルを構えて狙い澄ます。少し押されてきたが以前有利なのは変わらない。

 

「ん、させない」

ズダダン!

 

「痛たたたたたたっ!!!う、後ろから!?」

 

 しかし、それも状況が一変する。陸八魔社長が後ろから撃たれたのだ。何故、と見てみるとドローンから爆弾を撃ってきた生徒がいつの間にか後ろに回り込んでいたのである。

 

「そうか!この為の囮か!?」

「社長!!」

「あ、貴方達は前をなんとかして!!」

 

 鬼方さんと共に助けに入ろうとするが、それも止められる。前だって敵がいるのだ。挟み撃ちにされてはいるが後ろは1人、陸八魔社長が抑えている。抑えられているとも言うが、ここまで来れば敵からしてスナイパーの放置はまず無いので後ろは社長を信じて任せる他ない。

 意を決して2人で相手を止めようと頷いてコンタクトを取り、ハンドガンを構える。

 

「させませんよ〜っ!」

 

 邪魔の邪魔が次から次へと入っていく。ミニガンの弾が俺と鬼方さんを狙って撃たれる。威嚇の意味合いが強いのか簡単に避けれるのだが、猫耳少女の妨害に手を回せなくなってしまう。

 これでは完全に浅黄さんがフリーになってしまう。彼女は今爆弾を投げる為に銃を置いている。抵抗は難しい状態だ。

 

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない……!」

「こ、この!離れなさいっ!!」

 

 しかし、最後にはこちら側に天秤は傾く。ダウンしたと思われた伊草さんが猫耳少女の手首を掴んでいた。

 銃の内側に入られた上に手首を握られ、銃での反撃はほぼ不可能となる。伊草さんは完全に素手で取っ組み合っており、圧倒的な暴威で押さえ込んでいた。

 そのまま腹を殴り、猫耳少女はふらつく。すかさず回し蹴りをしてこれで何度目かの後ろへと突き飛ばしを実行。猫耳少女はミニガンの女性の方へ飛ばされ、受け止めざるを得なくなる。

 

「今だっ!!……焔!」

 

 俺はそれを好機と見て再び術式使用の弾丸を放つ。狙いは今二人で固まっているところだ。

 

「セリカちゃん!!ノノミちゃん!!」

 

 その威力を身体で理解している小鳥遊ホシノは当然後輩を庇いに入る。盾を構えてどっしりと。それが好都合なのだ。

 

「クフフ……♪くらえーっ!ぽーんっ!!」

 

 何故ならば当初の目的通り爆弾で一網打尽にするために固まることは出来ているからだ。目的通り爆弾を投擲する。

 爆弾は彼女達の足元に到達し、爆発する。戦闘不能にするぐらいなら十分な威力だと思われる。

 

「あははっ!気持ちいい〜!!」

 

 浅黄さんは勝利を確信し、無邪気な笑みを浮かべる。今の彼女は小悪魔と呼ぶのが相応しいだろう。

 爆発に巻き込まれた傭兵たちも起き上がってその様子を見て同様に確信していた。仕事達成だと。

 

 

 

 

 

 

「まだだよ」

 

 予想外の声が全員の耳に響く。次第に爆煙が晴れ、何が起こっているのかは全員の目に嫌でも焼きつく。

 青いハニカムが組み合わさったものが広がっているのである。

 

「その盾はシールド機能持ちだったか」

「うへ〜、危なかったよぉ」

 

 次第にシールドは薄くなっていき完全に消失する。完全な展開では無かったのかそこまで持続はしないらしい。

 

「総員、撃ちなさい!!奴らはまだ固まってるわ!!!う、うわっ!!」

「させないと言ったらさせない」

 

 それを見てか陸八魔社長から大きな声で指示が飛ばされる。確かに今なら掃射で小鳥遊ホシノ以外なら仕留められる。故にやる価値は高い。

 

 キーンコーンカーンコーン!

 

 その指示に従い傭兵達が銃を構えた瞬間、学校でよく聞くチャイムが鳴り響く。時間帯で言えば終業のものに近い。このチャイムは一部の仕事で終業の合図になっていることもある。例えば……、

 

「……あ、定時だ」

「今日の日当だとここまでね。後は自分達でなんとかして。みんな、帰るわよ」

「は、はあ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!」

 

 今雇ってる傭兵の定時だったりする。

 

「終わったってさ」

「帰りにそば屋でも寄ってく?」

「こらー!!ちょっ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!」

「……」

 

 傭兵達は一仕事終えたと言わんばかりにそれぞれの帰路につきはじめる。仲間と食事に行こうかなんて言い出すものまで現れる始末だ。金で雇い、そのために色々と契約を交わすのでその内容次第ではこういったトラブルは起こるのだろう。

 そんな傭兵を引き止めようと社長は声を出すが無情にも傭兵たちは帰っていく。後ろに回り込んだ狼耳の生徒はそれを困惑した表情で見つめていた。

 

「……ハァ」

 

 その様子を見て鬼方さんは大きくため息をつく。やりきれない感情が表に出ているのが見てとれた。

 折角いい感じだったのに最後がこのオチなのは堪えるものがある。無理もない。

 

「こりゃヤバいね。まさかこの時間まで決着がつかないなんて……アルちゃん?どうする?逃げる?」

「一応俺はやるというなら最後まで付き合うぞ」

 

 浅黄さんは諦め半分に社長に指示を仰ぐ。俺も一応とつけて手伝う意思を示す。

 現実問題、ここから勝つのは厳しいだろう。人数差があっても押しきれなかったのにその利点が消え去ったのであれば勝ち目なんてない。

 

(これ以上やるとなったら本気で術式を使わんと俺が殺されかねん……)

 

 正直に言うと今回は撤退したい。なりふり構わずならば何とか出来るが、それはやりたくない。俺の術式は火力が強すぎるのだ。

 そんなこんなで決断を委ねられた陸八魔社長はしばらく悔しそうにぐぬぬと唸り声をあげる。彼女は状況を理解出来ない馬鹿ではない。アビドスがあまりにも強かったのが予想外だった。

 

「……」

 

 しばし沈黙が流れる。その沈黙は答えを言っているようなものであった。

 

 

 

 

「あ……うぅ……!こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!!」

「あはは、アルちゃん。完全に三流悪役の台詞じゃんそれ」

「うるさい!逃げ……じゃなくて、撤退するわよ!」

「あいあいさー」

 

 

 結果として俺たちは三流悪役のように逃げるのであった……。




この話では出てないけど今の主人公は仮で焔と名乗ってます。
浩介という名前はちょっと伏せるんじゃ。

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