呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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タイトル通りのアイツです
直近のtormentはクリアなら出来たんだけどなあ……
かっっったいんだよ!


41 ヒエロニムス

「今のは……恐怖?いや……神秘……。どちらでもない?何かが特級呪霊となんら遜色のない力を発揮してるのか?……いや、並の特級よりも強い」

 

 湧き出る呪霊やハイレグ集団を倒したのはいいもののその直後に感じた力に不安が隠せない。どう考えても錠前さんの言う奥の手が発動したと見るべきだ。

 俺の様子がおかしいと思ったのかチナツが近寄って顔を見ていた。心配をかけたのにこんな表情をさせるのは何だか申し訳なく思う。

 

「浩介くん……?」

「チナツ、俺は先生のところに行くよ。必ず戻るから待ってて欲しい」

「……もうこの際追及しません。後で聞けるでしょうから」

「ごめんな」

 

 もう何度目か数えるのも億劫な事情説明からの逃避。曖昧な立場は人を不誠実にしてしまうらしい。今この時は黒服と組んでいることを大きく後悔しそうだ。先生や他の人に言われてもここまでなりはしない。

 チナツにここまで言わせた以上手を抜くことは許されない。全て終わらせて一切合切ゲロッちまえ。

 

 今は逃げるように先生の救援へ向かおう。嫌な予感しかしない。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「素晴らしい……」

 

 戦場の近くにある廃墟でゲマトリアの一員であるマエストロは1人呟く。興奮しているのか木が擦れる音が辺りに響く。

 彼は今、興奮と喜びの感情で溢れていた。シャーレの先生は期待以上だった。ベアトリーチェの贄とされるロイヤルブラッドのような子供ではなくただ毅然として大人の勤めを果たす彼女に品格を見たのだ。

 

「知性と品格、礼儀と信念、そして培った経験と知恵……。やはりそなたならば……私の崇高を理解してくれるに違いない!!」

 

 マエストロはこの瞬間、彼女に、先生に魅入られた。彼女にならば曝け出してもいい。挑み自身の芸術がどこまでのものか披露するのも一興だ。

 

「此度には間に合わないハズだったが……火野浩介。そなたのおかげで私のインスピレーションは掻き立てられた。そなたの力の使い方は私の芸術を明確に形にしてくれた。今は居ないが礼を言おう。お陰で……」

 

 今はこの場にいない浩介に礼を言う。黒服にとって恐怖への理解度が高まる呪力の研究は確かに他のゲマトリアメンバーにも刺激を与えていたのだ。

 本来この場ではマエストロは間に合わせられない。だが、自身で呪力という恐怖の別称の力を自在に操り、自身の能力を遺憾無く発揮する姿は良い手本となった。

 

 

「最終調整はまだだが……お出しするのに恥ずかしくない出来だ。さあ……、狂おしい(insane)宴を」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「まさかこれを使わされるとはね……」

 

 シャーレの先生は一枚のカードを持って目前の敵を見据える。山のように高く人の形こそしているが、存在が人でないことなど言われるまでもなくわかる。そんな強大な敵を目の前にしていた。

 白いローブを纏い、両手には不可思議な錫杖のようなものを持っている巨人。これはゲマトリアの傑作であろうことは考えるまでもない。

 

「すぅ……はぁ……」

 

 先生は覚悟を決める前に深く深く深呼吸する。躊躇わずに使えるとはいえ代償の大きさを考えれば勇気を振り絞る時間ぐらいは欲しい。やることは変わらない。これは儀式のようなものだった。

 

 生徒のために戦う自分を鼓舞する儀式だ。

 

 

 

 先生が覚悟を決めたと同時にカードは金色に輝き、それに連動してシッテムの箱もフル稼働する。先生の意識はシッテムの中に引き込まれる。

 

「……頼んだよ」

 

 先生は素早く6人の生徒を選ぶ。それぞれの配置、役割、戦術を素早く計算して先生が現状出せる最適解となる子たちだ。

 

 敵の攻撃を引きつけるタンクの役割として普段からお世話になるミレニアムの冷酷な算術使い、早瀬ユウカ。

 湧き出るミメシスの対処とユウカの負担軽減の為に百鬼夜行のお祭り好きな里浜ウミカ。

 回復要因兼ストライカーとして今回頑張ってくれた補習授業部の癒しそのものである下江コハル。

 攻撃要員として先生が特に信頼しているゲヘナ最強の空崎ヒナ。

 後方支援として救護騎士団の鷲見セリナとヴェリタスの音瀬コタマに控えてもらった。

 

「行くよ!」

 

 大人のカード、それは先生が対価を支払い育てた生徒達を召喚するもの。召喚そのものにも代償はあるがそれを深く知るのはシャーレの先生本人のみ。

 6人の生徒が目前の巨人に対して向かい合うように立つ。今回のラスボスとも言える存在は先生と生徒両方に緊張を走らせる。

 

「ウミカ!砲台を置いて!」

「はい!……私はあの巨人ではなく周りの人?を狙えばいいのでしょうか?」

「うん、頼める?」

「はい!お任せください!」

 

 まずはウミカに指示を飛ばす。今回は巨人だけでなくミメシスまで湧いている。攻撃の手数が多いことは容易に想像できる。デコイとして砲台を設置してもらう狙いだ。可能であれば砲台から発射される花火も火力として期待しての選出だ。

 

「ヒナ、タイミングを見て指示を出すからまとめて始末してもらえる?」

 

 今回の一番の火力源となるヒナに声をかけ、ヒナはそれにこくりと頷き先生の指示があるまで通常通りの戦闘に入る。マシンガンを乱射しミメシス、ヒエロニムスの両方にダメージが入っていく。

 

「コハル、セリナ。ユウカとウミカの回復を適宜お願いするよ」

 

 今回は生徒の生存をより重視し、回復役も2人用意している。お願いした2人は支援物資をすぐに使えるように準備を始める。

 

「先生!回復を!」

 

 すると前線で敵の攻撃を受け続けてきたユウカが救援要請を出していた。それを見てかコハルが支援物資を入れた包みを取り出しユウカに狙いをつける。

 

「待ってて!」

「ありがとう。うん、ちょうどいい量ね」

 

 コハルはユウカにアンダースローで支援物資を投げ飛ばす。かなり距離があるがユウカに問題なく届いている。彼女は片手で支援物資をキャッチし、遮蔽物に入って傷の治療を始める。

 先生はいつもコハルがするこの挙動を不思議に思っている。あまりにも強肩かつコントロールが良すぎやしないか、と。片手でキャッチするユウカというか支援を受ける生徒も中々だ。お前ら甲子園に出てしまえ、なんて言葉が出そうになる。

 

「よいしょ!補給品が届きましたよ!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 セリナの方もユウカに続いて前にいるウミカに補給品を届ける。ウミカは素早く使用して自身の傷を癒す。ウミカは狙い通りキチンとユウカにだけ負担がかからないように出来ている。その代償として砲台とウミカ本人もそれなりにダメージがあるが許容範囲だ。

 

「コタマ、支援を」

「了解。……キャッチ」

 

 あとは仕上げだ。メインアタッカーのヒナの火力を最大限引き出す為にコタマには一仕事をお願いする。先生の頼みを受けて待ってましたと言わんばかりに自身の仕事を彼女は遂行していく。

 彼女はドローンを飛ばし、青色の何かを4人の中心地に落とす。生徒の攻撃力を増すバフとしては大きいわけではないが範囲内なら誰でもという利点を活かし、アタッカー以外も満遍なく火力を上げていく。

 

「……支援を確認した」

「そろそろ行くよ。ヒナ、用意を」

 

 これで準備は整った。後はタイミングだ。最適なタイミングでミメシスもヒエロニムスも一網打尽にするのみ。先生はヒナにスキルの用意をするように指示をし、シッテムの箱を眺める。

 

「……6、7!今だ!撃て!!」

 

 タイミングを測り先生はヒナにスキルの発射をさせる。ヒナは自慢のデストロイヤーを構え、彼女の紫色の神秘は妖しく光り銃身を駆け巡る。

 

「実力行使で行く」

 

 ヒナがスキルを放つ準備が整うと羽を大きく広げ、デストロイヤーから大量の弾が放たれる。扇状に広がりミメシス諸共蜂の巣にしていく。

 

「やったか!?……いや、まだか!?」

 

 ミメシスの方は問題なく倒せるが、一番厄介なヒエロニムスの方は未だ健在。まだまだいけますと言わんばかりだ。

 

「でも、このまま削り切らせてもらうよ」

 

 それでも先生のやることは変わらない。さっきまでの動きを継続し、コンスタントにダメージを稼ぐだけだ。何度だって撃ち込んでやるつもりだ。それこそ飽きるほど。

 

(でも……)

 

 しかし、これではまだ火力不足は否めない。まだ手を打たないとジリ貧になるのはこちらだ。向こうには巨大な敵だけでなく無限の兵力だってある。優勢なのは向こうに違いない。先生は歯軋りするほかない。

 

 

 だが先生のツキはまだ尽きてなどいない。先生が生徒を助ける為に奔走するならば、生徒もまた先生を助ける為に奔走するのだ。生徒は多くのことを先生に頼るがその過程に彼女達の成長が挟まれている。その成長が今度は先生を助ける為に振るわれる。

 

 

 

 ただし、今回は少し違う。先生を助けるのは"いつか"先生が助ける存在。

 

 

 

「なんか面白いことになってるじゃん」

 

 

 聞こえてきたのは男の子の声。キヴォトスでは珍しいものだ。そして先生はその声をよく知っている。

 だからなのか先生は指揮も忘れて声がする方を振り向く。出来れば巻き込みたくはない。例え、かつて敵対していたものであろうと生徒ならば尚更だ。

 

「浩介……なんでここに?」

「あんな化け物に気づかないわけないでしょ。俺も混ぜてよ。先生」

 

 両手から火を出して今にも敵を燃やし尽くさんとする火野浩介が初めて先生に背中を見せる。これで今回は攻撃ではなく指揮を受けることになるのであった。




今回は大人のカード回ということもあって少しゲームを意識してやってます
実際のゲームだとこの動きではとても倒せませんけど……
キャラもコインや配布、低レアで別衣装でない子が中心です
いつも思うけどコタマのEXスキルで降ってくるアレはなんなんだ?
コハルのNSは野球部が羨ましがらないか?それ?なんでアンダースローでそんなカーブ描けるの?
ヒナちゃんはもっとコスト軽くして……最近固有解放したから尚更思う

ウミカちゃんは趣味です。推しです
ウミカちゃんはいいぞ
つまみモーションもよく動く
もうっ!なんて言って怒ったそぶりこそするが右のケモ耳だけを開けてチラッとこっちの様子を窺うんだ
そして結局最高の笑顔をこっちに見せてくれる
EXのムービーでは獣人モブ達と可愛く点検の様子を見せるかと思いきや、屋台のイカ焼きに目を輝かせてる姿は堪らん
Oh!ウミカちゃん祭りの点検ウォッチ!商品に目を輝かせて可愛い可愛いね!
今回はウミカちゃんのEXスキルでデコイにしたよお!
花火撃てたら超ラッキーね

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