呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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クリスマスなので特別編を投稿します
チナツとのイチャラブではありません
がっつり呪術廻戦です


幕間②
幕間 五条先生と乙骨先輩


 一体僕は何を見ているのだろう?僕の視界には高専の制服を着た人と小学生になるかどうかぐらいの男の子が写っていた。

 男の子は高専生に何かを強請っており、高専生は苦笑いしながら困っていた。その光景は兄弟のようでなんだか微笑ましい。

 

「傑、いいじゃん。やってあげなよ」

「あのね悟。いくらなんでもそれは……」

 

 どこからか声がする。その声の人物は"記憶"に写らない。聞き慣れない声だが雰囲気で誰のものかはよくわかる。

 

 

 声の主はこの"記憶"を持っている人だ。自分の声は録音されたものと自分に響く声は違って聞こえると言う。恐らくはそれだ。

 

 

「夏油兄ちゃん……だめ……?」

「〜〜〜っ!!!……氷夏にはナイショだぞ」

「よっ!夏油兄ちゃん!やるぅ〜!」

 

 男の子は上目遣いで夏油兄ちゃんもとい今は亡き先生の親友にお願いする。甘えられたのに我慢できず夏油さんは男の子の頭を撫でて、術式を起動して龍のような呪霊を出す。五条先生は煽るのをやめてあげてください。

 

「うぅ〜!ゴー!ゴー!無限の彼方へさあ行くぞ!!」

「ちょっ……バ、バズライ⚪︎イヤーって!4歳児が何で知ってんの!あはははは!!」

 

 男の子は呪霊に乗って上機嫌だ。男の子はふんすと鼻息を吹いてからドヤ顔で決め台詞を言っていた。可愛い。あと五条先生はそろそろ黙って。

 

 

「何を楽しそうにしてるのかしら?浩くん?それに……せ・ん・ぱ・い?♡」

 

 

 そんなこんなで遊んでいる2人に顔が笑ってない女性がゆっくりと寄ってきていた。黒髪のミディアムの女性だ。どことなく浩介君に似ている。

 

 それを見た瞬間視界が一気に空の風景に変わり誰も写ってない状態になる。どこかの家の屋根の上に着地した。そのまま夏油さん達を見下ろしている。恐らくは逃げたのだ。

 

「いや、どうしてもせがまれてさ……なあ、さと──あれ?」

 

 すいません、五条先生は逃げました。

 

「お二人にはよお〜く話さないといけませんね?……返事は?」

「「はい……」」

 

 そこには完全に尻に敷かれた夏油さんと幼い浩介君がしょぼくれた顔で立っていた。なんとも哀愁漂う姿だ。

 

 

 

 

 

 …… …… ……!

 

 

 

 どこからか声がする。この声は──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「はっ!?」

「おっ、やっと起きたか」

 

 ここで僕は目が覚める。まず目に写ったのは奇妙な事だが、自分の顔だった。だが今はこれが正常だ。意図してやっている最中なのだから。

 

「僕と入れ替わって組み手してみた感想はどう?」

「手足が変に長くてやりづらいです」

「……憂太って時々毒舌だよね」

「?」

 

 今は1ヶ月しか猶予のない対宿儺および対羂索に備えたズルい修行中だ。憂憂くんの術式を使った魂の入れ替えによるものだ。入れ替わった先で異なる魂の誰かが自分の体を使ってその経験値を身体に蓄積するというもの。今は僕の身体に五条先生が入って色々とやってくれている。

 

「……少し聞きたいことがあります」

「ん?どうしたの?」

 

 色々と気になることがあるので質問することにした。この修行方法なら対話よりも実践をひたすらやるべきだろうが、どうしても気になることが今できたのだ。

 

「さっき夢を見まして……というより五条先生の記憶かな?高専生の姿の夏油さんと幼い浩介君らしき男の子、それに浩介君に似た高専生を見まして……勝手に見てしまってすいません」

「あぁ、いいよ。別に。しっかしこれまた懐かしいやつが来たね〜。み〜んな居なくなってるじゃん」

 

 質問をする前に何を見たのかを話す。事故とはいえ勝手に見てしまったことをお詫びするが五条先生はサラッと流す。ただ、その後に言った台詞が気になる。

 

「浩介君の事で聞きたくて……彼の術式や思いを。背負って戦いたいんです」

「……その感じだと浩介の術式をコピーしたけど上手く扱えなかったんだね?」

「はい。初めて使った時は手が焦げそうになりました」

「初めてで"焦げた"じゃなくて"焦げそう"なだけまだいいじゃない」

 

 僕が聞きたいことは浩介君のこと。彼は虎杖君が来る前は伏黒君と2人で任務に励んでた。優秀で呪力効率や操作の面ですごく参考になる子だった。

 彼が羂索に殺されたと知ったため、彼の術式を背負って戦いに望もうとコピーさせてもらった。そこまではよかったが上手く扱えなかった。自分は彼の術式をただ炎を出して操る程度の認識しかなかったのだ。

 

 思えば、彼とはそこまで過ごせていなかった。それなのにわかった気になって術式をコピーして上手くいかなかったのだ。そんな自分が悔しくて知りたくなったのだ。

 

 背負うというならば彼の思いを。

 

 

「……浩介はさ。昔も亡くなる前も生意気でさ。僕より傑の方に憧れてたの」

「……確かにすごく懐いてましたね」

「でしょ?兄のように思ってたんだろうね。傑の術師は非術師を守るためにある、って理念を子供ながらにヒーローとして見てたんだよ」

「それは……わかるかも。幼い時にそんなヒーロー然とした人が実際にいたらそうなるかも」

 

 休憩代わりに五条先生は話し出した。まずは浩介君のパーソナルなところからだ。その内容はかなり意外で興味が湧く。

 夏油さんは確かに先生と一時期は親友として一緒に任務に励んでいた。その時期の彼ならば確かに憧れるだろう。ヒーローとかが好きになる年頃にあれは劇薬かもしれない。

 

「でも、傑は憂太も知っての通り……」

「非術師の殲滅を掲げた、ということは……」

 

 わかっていたことだがムゴい。幼い時に情緒を無茶苦茶にされたことは想像に難くない。

 

「裏切られた、って思ったんだろうね。憧れが一転して怒りや憎しみに変わっていったんだよ」

 

 五条先生は淡々と語る。彼に何があったのか、あくまで五条先生の視点ではあるが。今の僕にとってはこれだけが全てだ。

 

「傑が裏切って1〜2年後に彼の姉、火野氷夏は殺されたんだよ。小学生になりたてだったかな?その近くには傑がいたそうだ」

「ぇ……」

 

 絶句。それってつまり──。

 

「あ、氷夏を殺したのは傑じゃないらしいよ」

「こんな話で紛らわしい言い方をしないでくださいよ……」

 

 五条先生は僕が思った事に気づいてかすぐに訂正を入れる。まだ全部話した訳ではないので僕の早とちりではあるが、それにしても紛らわしい。

 

「何があったかは知らないけど……それから傑は浩介に自分の仲間になれと誘い続けたらしい。浩介は死ぬほど反発したけどね」

 

 ただ詳細は五条先生も知らないらしい。特級術師としてよほどのことじゃない限り簡単に調べられそうな立場にいるにも関わらず。恐らくは浩介君から聞いたのだろう。つまり浩介君が言った以上の情報はないということになる。

 

「それからの浩介は荒れたね。呪術にひたすら打ち込んでさ。いきなりシン陰流に入門したかと思えば小学生の時点で4級を勝手に祓うわ……。僕が新任の先生になったばかりの頃だよ。直接受け持った生徒ではないけども流石に叱ったな」

「五条先生も振り回すって……」

 

 意外だった。浩介君は無茶苦茶やるわけではない印象だった。伏黒君ほど規律良くやるタイプではないが自由人ではない。良くも悪くも普通の印象だ。

 

「はぁ……色々と凄かったなあ。傑と何かあったのか、アイツを探すために高専の上層部とつるみ出して、アイツの一派の呪詛士を中学生の時に殺し回ってたりしてたんだ」

 

 尚も五条先生はため息をつきながら話す。相当頭を悩ませたらしい。浩介君、何やってるのさ。

 

「終いには効率よく人を殺すために銃火器までに手を出したんだよ。呪霊化を防ぐために弾丸にたっぷり自分の呪力を込める徹底ぶり。上層部はさぞ扱いやすかっただろうね」

 

 呪術師はどうしても直面するものがある。呪詛士と対峙した際に場合によっては殺害することだ。実際に僕も死滅回遊で受肉したプレイヤーを殺めている。それでも進んでするものじゃない。

 

「最終的に憂太が傑を倒して、浩介君は高専入学時には燃え尽き症候群になりましたとさ」

「えぇ!?それって僕が会った時もそんな感じだったんですか!?」

「そうだよー」

 

 ここまで色々と話を聞けたがオチがそれとは思わなかった。高専入学してからは燃え尽き症候群だったというならば、僕はその頃にしか会ってないのではないだろうか。

 

「ただ、若人の特権、つまりは青春が彼をまた奮い立たせたのだ!」

 

 あれ?まだ続きがあるの?

 

「恵達、つまり同級生に刺激されてまた火がついたのだ!恵は不完全だけど領域展開、悠仁と野薔薇には黒閃で先を越されたからだろうね」

「おぉ!」

 

 なんだかいい傾向になってきた。虎杖君達とは仲が良かったらしいからそれも彼を支えてくれたのだろう。

 

「火がついた浩介はある時こう言ってさ」

 

 故人の話ではあるが五条先生はどこか嬉しそうに話す。浩介君を幼い頃から見ていたからこそ感慨深いのだろう。

 

「"非術師を守るために戦います。例えそれを否定するのがかつての憧れでもです。それが俺のやりたい事になれたから。1人じゃなくアイツらと一緒に"──ってさ。もちろん上手く行くとは限らないけど自分なりに吹っ切れたから期待してたんだ」

 

 五条先生は嬉しそうに話すが締め括りは過去形となる。これも呪術師の定めなんだろうか。

 

「なら僕は彼の理念も一緒に背負って戦います。彼に先輩と言われたからには頑張らないと」

 

 改めて彼の事を知れて気合いが引き締まる。絶対に負けられない闘いが待っている。勝った先にも苦難はあるのだ。ならば彼の思いを自分が体現してあげたい。

 五条先生は優しい顔で僕を見ていた。その後、伸びをして"さて"と言った後に呪力が迸る。

 

 

「さて、じゃあ次は術式の使い方の方だけどこれはひとえに憂太の呪力操作が雑なのが悪いね」

「え?」

 

 引き締めた気合いが空回りしそうになる。手痛い指摘に面を食らってしまった。あの流れでこうなるとは予想だにしていなかった。

 

「あいつは自分を燃やさないために肌を薄く呪力で保護しつつ余剰の呪力を炎に変換して出してる。炎が肌に触れる面積を極限まで小さくしてるし、自分の呪力でやるから身体自体にもある程度耐性がある。当然保護と術式の使用は同時でやってるよ」

「え!?」

 

 思わぬ話が飛んできたものである。普通に術式を使用するだけでもここまで難しいとは思わなかった。

 

「だから言ったでしょ。もう少し雑な呪力をなんとかしろ、ってさ。コピーした術式次第では自爆するよ」

 

 なんか上手い事、指導に繋げてきている。それを改善するためにも入れ替え修行をしているとはいえ耳が痛い。

 

「と、言うわけで今から憂太向けの使い方を思いついたから試そうか。んじゃあ……領域展開」

「え!?ちょっ!?待ってください!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 何を思ったのか五条先生は荼枳尼天印を結び、僕の領域を展開する。この後散々扱かれたのは言うまでもない。




本当は1000文字程度の予定がかなり盛られてた
五条先生から見て浩介は手のかかる弟分であり生徒
伏黒ほどでは無いが特に目をかけてた
理念の話もそう上手くはいかないとは思いつつも同級生との青春を見せつけられニッコリ

因みに五条先生はあの刀ガチャで浩介のものを引き当てたら、刀を敵に突き刺し"火柱"を使うように指示
刀も自分の呪力なので直接手からではなく刀を介して発動するイメージ
術式で燃やした後は自分が火傷する前に刀が霧散するのでダメージを受けずに次にいける
リカとの接続時には自爆の可能性があるのでやめろと言われてます

更新時間はいつが良いでしょうか?

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