呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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あともう少しで周年ですね……
ようやくチナトロも取れたことだし後は石を温存して……なんで便利屋正月ガチャが始まってるんですか?


46 砂漠の呪霊②

「小鳥遊さん、どうする?何度も助けてたらジリ貧になっていつか負けるぞ」

「おじさんがシロコちゃんと一緒に前に出るよ。浩介は炎で遠距離攻撃しつつ、うちの子達を守ってくれるかな?特に蟻地獄は抜けれないだろうからさ」

「承知した」

 

 アビドスとは敵として戦ったことは二度あるが味方として戦ったことはないようなものだ。ブラックマーケットで不良の制圧時は俺の出番なし、銀行強盗なんかは連携したとは言えないような内容だったはずだ。

 そのため長である小鳥遊さんに伺う。あの呪霊と戦って手の内を少しは知っているため、彼女の判断が一番勝率が高いだろう。呪いの知識は全くないが、実際に戦った相手を大きく見誤ることはないはずだ。

 

「というわけで3人は浩介と一緒に下がってね〜」

「前衛は私とホシノ先輩で何とかする」

 

 小鳥遊さんはいつものトーンを維持しながらも、眼前の敵から一切目を離さずに指示を飛ばす。砂狼さんも同様で、敵から目を離さない。狼のように狙った獲物は逃さない、そんな意志を感じた。

 

 そして、指示を受けた3人は無言で距離を取る。黒見さんと十六夜さんは自分の最大射程ギリギリを攻めているのか大きく離れてはいない。攻撃も遠慮なくするつもりであるのが窺える。

 奥空さんだけはタブレットを持って大きく距離を取る。戦闘に直接参加するよりも支援の方に集中するつもりらしい。

 

「まずは雑魚どもを動けなくしてやる……"圧砂塊"」

 

 呪霊の方は地面に手を当てて己の呪力を大地に流す。正確には近くにある砂を呼び寄せているようだ。砂が集まっていき、圧縮されていく。

 砂を圧縮後、それを目標の方向に手を向けて飛ばす。かなりのスピードで飛んでおり、当然ながら呪力が籠った攻撃なので威力は高いだろう。この攻撃も蟻地獄同様に小鳥遊さんが事前に言っていたものと一致する。

 

「うわっ!?あぶなっ!?」

「これは……当たったら痛いじゃ済まなさそうですね」

 

 なんだかんだ言ってアビドスはこれを避けている。蟻地獄のように対処の難しさもなく避けるだけなら何とかなるようである。問題はスピードと言ったところだ。

 ただ、呪力を纏った物体が超高速で突き抜けることの恐ろしさはよく知っている。俺の"焔"とやっていることは変わらない。呪力を込めた高速投擲あるいは撃ち出しだ。

 

「うそ……」

 

 その恐ろしさに奥空さんは砂の弾丸が通った後を見て実感したらしい。さっきの弾丸は避けられた後に廃ビルに当たっていたようで、その結果は普通なら驚くところだろう。

 

「ちょっ……、ビルを貫通したの!?先が見えるんだけど!?」

「……っ!」

 

 恐ろしい貫通力を発揮していた。黒見さんが言う通りビルを貫通して尚も勢いが衰えなかったのか貫通した先の建物を何軒か破壊していたのである。たった一発でこれだから恐ろしい。

 

「で、でも!今のは砂を集めて圧縮するという工程が必要です!そんな手間を何発も打てるわけがありません!マシンガンのように弾を事前に詰めて圧倒的手数で来るわけじゃありません!まずは確実に避け──」

 

 奥空さんは気圧されこそすれど、冷静に技を見ていたらしく自身の考察を仲間に共有する。あくまで銃社会ならではの視点だろう。

 

「え……?」

 

 その認識は甘い。……と言いたいがそれを告げる前に彼女達を守らなくてはならない。

 

 

「ぬんっ!!」

 

 やはりと言うべきか先ほどの砂の塊は同時に生成出来るらしく、数十発は超えていた。一斉射撃するであろうことは目に見えている。あの貫通力からして逃げ場など実質的にないと言える。

 

「撃たせると思う?」

「ん。私達を忘れないで」

 

 ただ、こちらは人数で圧倒的に上回っている。小鳥遊さんと砂狼さんは仲間を守るために攻撃を仕掛けにいく。

 砂狼さんが愛用のARで呪霊の腕を攻撃する。こちらもしっかりと見ていたらしい。さっきの攻撃は腕を振った先に放たれており、腕を振らせないようにすればもしかしたら撃てないかもしれない。

 小鳥遊さんも同様に砂狼さんとは反対の腕を攻撃する。ショットガンで何回か撃って弾がなくなったら、拳銃を取り出し攻撃を続けている。しかも拳銃を撃ちながらショットガンをリロードしている。何その変態挙動は。

 

「ぬぅ……我が宿敵よ!貴様は後回しだ!」

 

 呪霊は2人の攻撃を鬱陶しく思ったのか片方の腕で放つ分を、2人に向けて放つ。2人の上からあの砂の弾丸が降り注ぐ。もう片方は予定通りにこちらに向けて放たれる。

 

「ちっ……うわっ……とっとお!?くそっ!!浩介!!アヤネちゃんを守って!!」

「私……たちは……っ!!避けるので……精一杯!!ハァ……ハァ……」

 

 小鳥遊さんは回避と自前の盾を活用しながら回避と受けで捌き切っている。守りにこそいけないが後輩に向けられた攻撃を見切っているあたり流石である。

 砂狼さんは走り回りながら弾をよく見て回避コースを選定しながら走っている。弾が来るまで余裕が少しばかりあるからか多少多い程度ならギリギリ躱せるらしい。下手な呪術師なら蜂の巣になりそうなものだがこちらも中々だ。

 

「奥空さん……俺の後ろに!」

「は、はい!!」

 

 俺は小鳥遊さんの指示通り奥空さんの守護に回る。彼女は補給なども担当しているので何が何でも守らなくてはならない。呪霊がそれを理解してるのかは謎ではある。

 

「ふんっ!」

 

 呪力を全開にして弾丸を受ける。これくらい蒼パンチや夏油さんの偽物の攻撃に比べたらちょろいものである。比較対象が上すぎるが。

 

「ぐっ!?」

 

 とはいえ痛いものは痛い。流石に受けるのは最終手段にすべきだろう。今のは逃げ場がないから受けるしかないものだ。毎回はいくら何でも無理だ。

 このままただ彼女達のお守りだけをするつもりはない。攻撃するなら砂の弾丸を使い切った今が好機だ。

 

「"焔"ぁぁっ!!」

 

 拳銃を向けて発砲する。いつものように放った後に術式で弾丸を炎の噴射で加速させ、腕を狙う。少しは彼女達の攻撃でダメージを受けているはずだ。今なら──、

 

 

「なっ……!?ぐっ!!おおおおお!!!」

 

 

 ──腕の一本ぐらい飛ばせるはずだ。

 

 

「うっ……!?」

 

 少々刺激が強かったのか黒見さんは口を押さえる。銃で人を撃つことこそあってもそれで人を激しく傷つけたりするわけではない彼女達にとっては無理もない。出来れば知らないで欲しかった。

 

「黒見さん!十六夜さん!撃てっ!!」

 

 だが相手はその程度なんてことはない連中だ。躊躇っていては殺される。相対したからにはそういう相手であることを理解しなくてはならない。

 

 黒見さんと十六夜さんは遠慮なく弾幕を張り、呪霊を蜂の巣にする。遅れて砂狼さんも参加し、小鳥遊さんも合間合間のリロードを補うように攻撃をしていた。

 俺もちょくちょく呪力を込めただけの弾丸を発射し、ダメージを蓄積させていく。今のうちにダメージを蓄積させないと腕は再生されて攻撃される。今が一番のチャンスだ。

 

「ここで畳み掛ける」

 

 砂狼さんは自前のドローンを作動させて、爆弾を発射する。ドローン自体に砂狼さんの神秘が宿り、爆弾にも神秘が宿っていた。

 

(……銃以外にも神秘が宿るんだな。何の差だ?媒介は銃じゃなくてもいい?)

 

 彼女達には銃撃以外の攻撃手段はないものかと思っていた。だがそれも違うらしい。呪術師が武器に呪力を込めて威力を上げるように神秘でも似たようなことが出来るのだろうか。一番彼女達にとって効率がいいのが銃なだけなのか。

 

 ドドドドドドッ!!!

 

 爆発が呪霊を包み込みどう見ても無事には見えない光景が広がる。これが普通の人だったらそうなのだろう。ヘイロー持ちでも死にはしなくても戦闘不可になる規模だ。

 

 

 

 

 だが、今回の相手は訳が違う。

 

 

 

 

 

「貴様ら……やるじゃないか……」

 

 呪霊は爆炎から傷こそ多いものの普通に出てきた。どう見てもあの規模の爆発を受けた人がやる行動ではない。

 傷だって軽いわけではない。銃弾をしこたま撃ち込まれ所々穴も空いている。身体だって爆炎で焦げている。おまけに俺の攻撃で片腕はない。

 

「なによ!後一押しじゃない!このまま────……えっ?」

 

 俺以外の全員がこの調子なら勝てると高を括っていた。それも一瞬で終わることとなる。信じられない光景を目にしたからだ。

 

 

「う、腕が……っ!?」

「再生してるっ!?」

「身体の傷も塞がってる……」

 

 俺のような反転術式でやるような回復とは訳が違う。回復というより再生。人間のように一々反転させない呪霊に許されたチート技だ。

 

 

 それなりに呪力を使うだろうという点を除いて。

 

 

「黒見さんの言った通りだ!再生も何度だって出来やしない!奴を休ませるな!!」

 

 いくら再生するとは言っても無限ではない。相手は五条悟ではないのだ。黒見さんが言った通りもう少しのはずなんだ。どうやるかという問題はあるがどうすべきかは変わらない。

 

「"砂漠の掌"っ!」

 

 ここにきて呪霊は毛色の違う攻撃をしてくる。蟻地獄形成、砂の圧縮弾を高速発射だけでなくまだ技があるらしい。中々汎用性の高い術式だ。

 

 

 今度の攻撃は──、砂で作られた大きな手の形成。

 

 

「まずは……」

 

 新しい攻撃手段を披露した呪霊は舌なめずりしながら獲物を見定める。さながら狩人のようだ。それも下品で悪辣なやつだ。

 

「っ!!シロコちゃん!狙われてるよ!」

 

 小鳥遊さんは目線が砂狼さんに行ってるのを察して呼びかける。今、小鳥遊さんと砂狼さんは呪霊の近くにいる。残る後輩と俺は遠目の位置にいるのだから近場でかつ厄介な彼女を優先したらしい。

 

「ん。あんな変質者に捕まらない」

 

 砂狼さんも気づいていたらしく既に逃げ出していた。途中に蟻地獄もあるがそれは見事に躱している。流石に小鳥遊さんに実力を認められている人は違う。

 

「行け!!我が第三の巨掌よ!!」

 

 呪霊は砂の腕を伸ばし、砂狼さんを追わせる。速度は高くないが大きさ故にプレッシャーは半端な物ではない。蟻地獄も同時に展開出来ているので追い込み次第で簡単に捕まってしまう。

 

「させると思う?」

 

 小鳥遊さんは呪霊に攻撃して妨害に回る。少しでも奴の気を逸らして砂狼さんを守るための行動だ。

 

「邪魔できると思ったか?我が宿敵よ」

「っ!!」

 

 だが呪霊もただ無防備に砂狼さんを狙っているわけではない。小鳥遊さんの妨害を予測して弾丸が通る場所に砂の壁を展開する。嫌らしいことに小鳥遊さんの頭上に先程の砂の弾丸まで用意している。

 

「クソッ!!」

 

 慌てて小鳥遊さんは盾を展開してガードする。アレにも砂狼さんのドローン同様小鳥遊さんの神秘が宿っていて十分な防御力を発揮していた。

 

 だが、今は防御させられていると言える。

 

 このままだと……戦線が崩壊する。なんとかするには多少のリスクは覚悟すべきかもしれない。

 

 

 

「皆さん……自分の身は守れるか?」

「あの蟻地獄のことを言ってるなら心配いらない。次は避けてみせる!」

「私は……なるべく離れておこうと思います」

「私も下がってアヤネちゃんを守ります。あの蟻地獄を避ける自信が無いので……」

 

 俺の問いかけに三者三様の反応を示す。決意を漲らせる黒見さん、歯痒い顔をしながらも後ろに下がる決断を下す奥空さん、安易にいけると言わず引き下がる十六夜さんと分かれた。

 

「よし!黒見さんは自分の射程ギリギリで援護を頼む!攻撃よりも回避を!少しでも奴の意識が君に向けばそれだけで違う!」

「奴の意識を分散させるのね。……わかったわ。……で、あんたは?」

 

 意思を確認後、黒見さんにお願いをする。はっきりと言えば囮である。攻撃がほんのちょっとでも黒見さんに向けば前線の2人に掛かる負担が減る。

 黒見さんはそれを理解してるのか緊張した面持ちで同意する。その後に俺のやることが気になったのか問いかけてきた。

 

「ちょっとばかし……あいつの防御をすり抜けてくる」

「ハァっ!?」

 

 俺は素直に答えるが黒見さんは何言ってんだこいつと言わんばかりだ。

 ジト目で見ており、耳もちょっとばかし凹んでいる。多分イカ耳だ、アレ。

 

「まあ、見てなって」

 

 そう言った後に掌に呪力を集中させて炎を出し、呪霊に向かって放つ。

 

 

 

 

 俺の術式の強みは撃った後の炎を自由自在に動かせること、その真髄を見せてやる!!




蟻地獄、砂の弾丸、砂の盾、砂の手……
我愛羅かな?こいつ?

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