呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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更新は久しぶりです
ポケポケで遊んでたら繁忙期だったりで大変でした
繁忙期はまだまだ続くので今月はあまり更新はありません


51 Get Set, Go!〜キヴォトス晄輪大祭〜①

 親父、お袋、姉ちゃん、俺は今楽しく学園生活を送れています。呪術師として高専で頑張ることは叶わなかったけども、今はキヴォトスで楽しくやっています。あまりにも混沌な日々だけどなんとかなってます。

 

 今日は──、

 

 

 

「……」

「……」

「ハァ……」

「あわわ……」

 

 楽しい楽しい晄輪大祭です。

 

 

 

 

 今、俺の目の前でデカパイねーちゃんどもが睨み合ってます。助けてくれ、チナツ。やっぱり俺も競技に出してくれ。反転術式で治せるからいいやろって言って今回も病院を脱走した罰なら別ので償います。

 

「何やってるのかしら」

 

 呆れているのは今回の主催校であるミレニアムの生徒会、セミナーから早瀬ユウカさん。実は先生が召喚した彼女を見ているが実際に会うのは今回が初めてだ。今回は青い体操服を着ている。

 

「ふ、二人ともそこまでにしませんか……?」

 

 ちょっと怯えながらも何とか仲裁しようとしてるのは伊落さんだ。前回はシスターの格好でよくわからなかったがキツネか猫のケモノ耳らしい。悲しいことに彼女の健気な訴えも二人には無力に等しい。

 

「そこまでにしましょう。天雨行政官、羽川さん。今日はゲヘナもトリニティもないでしょうに」

 

 見ていられないので俺も仲裁に入る。この二人相性悪過ぎるだろ。性格的にもゲヘナトリニティ関係なく喧嘩しそうなんだが。

 

「もう少しで選手宣誓なんですから実行委員は大人しく見守りしましょう。先生だってこんな姿見たら悲しみますよ」

「む……」

「く……」

 

 先生を引き合いに出すとピタリと止まる。あの変態はなんだかんだ言って人たらしだ。下手すると乙骨先輩以上の女たらしかもしれない。

 

「ふぅ……間に入ってくれてありがとう。確かトリニティの伊落さんとゲヘナの火野君だったかしら?」

「いえ……むしろご迷惑をおかけして申し訳ございません」

「こちらからもお詫び申し上げます」

 

 早瀬さんは機嫌良く俺達に声をかけてきた。非常に助かったようで何よりである。俺と伊落さんは頭を下げてお詫びする。

 にしても……あいつら3年だよな?高専の3年は……もっとやべえな。秤先輩とはあまり馬が合わなかったなあ。

 

「色々と準備は整ってます。競技の道具はミレニアムが用意したリストに従ってすぐに準備が出来たので選手宣誓後にすぐに出せます」

「はい!浩介さんが殆ど持ってくださって重いものも運ばなくて大丈夫ですので軽いものの運搬で済みそうです!」

 

 一先ず仕事の報告をしよう。今日は運営側としてやることをやりに来たのだ。物の準備はほとんど俺と伊落さんとスタッフの方々で終わっている。

 報告を聞いて更に機嫌が良くなったのかニッコリとした笑顔で早瀬さんは頷いていた。すいません、うちの行政官がご迷惑をおかけしました。

 

「トリニティとゲヘナにこんなにいい子達がいたのね……。ゲヘナもチナツさんといい案外……、それに引き換えウチの子達は……」

 

 なんだか勝手に落ち込んでしまっている。どうも自分の後輩と俺達と比べて愕然としているようである。少なくともゲヘナは違うんじゃないかな。トリニティはまだ理解できる。

 

 まあ、苦労しているようだ。ミレニアムで呪霊が発生した時にすんなりと入れるようにするためにも早瀬さんにはいい顔を見せておこう。こういう役に駆り出されるのは決まって組織の中でも顔役だ。

 

「さて、選手宣誓に出るのは……アビドスの奥空さんとトリニティの浦和さんか。これまた理知的なメンバーだな」

「あら、浩介は二人をご存知で?」

「直接会ったこともあるよ。色んな自治区にいったもんでね」

「あぁ……なるほど」

 

 天雨行政官は俺が選手宣誓のメンバーを知っているのを見て意外そうな顔してたが俺の説明で何となく理解したようである。呪霊退治のためにトリニティとアビドスは寄っている。他の自治区もいつかは行きたいものである。

 

 奥空さんはアビドスの1年生でメンバーの中でもサポートをメインにやっている。彼女の能力を間近で見たわけではないが精鋭揃いのアビドスに合わせられるのだから只者ではない。2年後はきっと生徒会長だろう。

 浦和さんは中々にキレ者というか曲者だ。前に会った時は補習授業部のメンバーと一緒にいたが、彼女だけ明らかに違う。中々クレイジーでクレバーだ。なんせ俺の後ろを服を脱ぎながら取るなんて離れ業をやってのけたのだ。

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 ここで俺は気づいてしまったというか思い出してしまった。二人を丁寧に振り返っていた最後に浦和さんの奇行というか痴行を掘り起こしてしまった。忘れたかったのに……。

 

「なぁ……伊落さん」

「はい、何でしょう?」

 

 いや、まだだ。まだ終わらんよ。

 

「浦和ハナコって俺の思ってる浦和ハナコじゃないよな?同姓同名の別人だよな?そうだよな?」

「きゅ、急にどうしたの?火野君?」

 

 頼むから現実逃避させてくれ。というかアビドスも1年を出してるからトリニティも1年でいいじゃないか。今すぐ伊落さんと変われ。

 早瀬さんは俺の焦りをわかってないのかアワアワしてある。知らないのであれば無理はない。最悪だった場合これから嫌でも理解するだろう。その時はきっと同志になれる。

 

「あはは……」

 

 伊落さんは少し苦笑いした後に屈託のない笑みを浮かべた。恐らくは苦笑いを誤魔化す為の行動だ。もうこれだけで答えはわかったようなものだ。

 更に伊落さんは手を結び、祈りを捧げ始める。彌虚葛籠でもするつもりか?これから起こる必中効果は多分貫通するぞ。

 

「信ずれば報われます。きっと」

 

 頼むから主に逃げないでくれ。頼むから変わってくれ。気のせいだと思うけど彼女の周りに結界のようなものが見えるし。俺は幻覚でも見てるのだろうか。あれじゃ正しく失われた奥義、彌虚葛籠じゃん。それで防げるなら俺も今すぐ簡易領域を展開するぞ。

 

「……ええ、きっと」

 

 羽川さんに至っては震えていた。もう信じてないのが丸わかりだ。少なくともこの場を主は何ともしない。多分腹抱えてるんじゃないか。

 

 

『選手一同を代表して宣誓します』

『選手一同を代表して宣誓します〜』

 

 気がつけば悪夢の時間の幕開けである。後者の声を聞いて俺は震え上がるのを感じる。どうして下手な呪霊より怖がってしまうのだろうか。呪霊相手ならイカれていられるのに浦和さん相手には恐怖で震え上がりそうだ。

 

 

『『私達は晄輪大祭に参加するものとして……』』

 

 

 あれ?思ったより普通だな。流石に考えすぎだったか。先生ですら大事な場面は決めるのだ。なんだかんだデキる側の浦和さんなら問題なかったのかもしれない。

 

『正々堂々、スポーツ精神に則って……』

 

 そうそう。こうでなくちゃな。流石は奥空さんである。

 

『ありのままの欲望に誓って……』

 

 そうそう。ありのままの欲望も大事だな!

 

 

 

 

「「「ん?」」」

 

 

 

 

 俺と天雨行政官、早瀬さんは自分の耳を疑ってしまう。聞き間違いだ。そうに違いない。そうであってくれ。

 

『ひとつひとつの競技に全力で取り組むことを……』

 

 気のせいだな!サンキュー奥空!フォーエバー奥空!

 

『身体の対話に取り組むことを……』

 

 聞き間違いだよな!?◯ァキュー浦和!ゲットアウト浦和!

 

 

 そして、ここに来て何かがおかしいと気づいた奥空さんは一旦止めて浦和さんの方に振り向く。頼むからそいつを黙らせろ。生死は問わないから。

 

『ちょっと待ってください、ハナコさん。今おっしゃったのは一体……』

 

 ちょっとも待たなくていい。問答無用で倒せ!ハリー!!!!!!!!

 

『うふふっ、先程申し上げたでしょう?他人の目線など気にせず、自分の気持ちに素直になればいい、と』

 

 浦和さんはさも良いことを言ったふうな雰囲気を出している。今言ってる言葉だけ切り抜けば確かにそうだろう。だが今は他人の目線も気にして欲しいし、素直になり過ぎないで欲しい。

 

『晄輪大祭は、様々な学園が武器を置き、お互いの素肌をぶつけ合って親交を深める友好の場……』

 

 素肌をせめて情熱とか心技体とかに置き換えてくれ。友情努力勝利とかでも良い。せめてフレッシュな感じの言葉を選んで欲しい。

 

『それはつまり…… 』

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️◾️と同じでしょう?

 

 もう誰にも止められない。浦和劇場の開幕である。俺の頬に涙が伝うのを責める人はきっといないはずだ。

 

「わぁ……ァ……」

「な、泣いちゃった!?」

「……私は夢を見ているのでしょうか?」

 

 俺が突然泣いちゃったから早瀬さんはビックリしている。天雨行政官は困惑している。この場で事情を知らないのは天雨行政官と早瀬さんのみ。これから俺と一緒に地獄を味わうのが確定している。

 二人も浦和さんの言動に驚いているが俺があまりにも酷い反応をするからかまだ冷静だった。

 

 現場では奥空さんが放心状態で佇んでいた。会場もざわついている。誰も彼も浦和劇場に取り込まれてしまっているのだ。

 

『それはどういう……ちょっ、ちょっと待ってくださいハナコさん!マイク!マイクがオンになっています!』

『お気になさらず。ここにいるのはキュウリや人参なのですから……』

 

 奥空さんは必死に止めようとしているが浦和さんは止まらない。

 

『前々から思っていたのです。お互いの素肌をぶつけ合うだなんて……晄輪大祭はなんて淫らなお祭りなんだろうって……うふふっ』

「お前は何を言ってるんだ?」

 

 もう涙は引っ込んだ。あまりにも酷くて涙は品切れになったらしい。代わりに困惑が陳列されたようだ。

 

『ですが、私はとても良い機会だと思っています。所属やちょっとした先入観で、お互いの気持ちは容易く理解できなくなってしまいますが……身体は正直ですから』

 

 誰かあいつを壇上から引き摺り下ろしてほしい。因みに俺は行きたくない。

 

『キヴォトスの全生徒が集まって仲良く◾️◾️◾️◾️する姿は、まさに泰平のキヴォトスを目指しく様であり──』

 

 気づけば"今すぐあいつを壇上から降ろせ"や"トリニティは一体何のつもりであんな生徒を……"など正論な野次が飛び交う。

 

『うふふっ……◾️◾️、◾️◾️です!みんなで◾️◾️いたしましょう!激しくお互いを求め合って!◾️◾️を!◾️◾️を!◾️◾️を──!」

 

 それでも浦和さんは止まらない。そんな野次に対して叩き込むように下ネタの濁流を流し込む。これ、生中継されてるけどどうするんだろうか。

 早瀬さんを見てみるとどこかに電話している。文字通り泣きながらである。頭も下げているし、きっとクロノスだろう。あまり意味はなさそうだが。

 

 

 

 

 取り敢えずここは浦和さんの親友である下江さんの言葉を拝借しつつ少し変えて言わせてもらう。

 

 

 

 

 

 エッチなのは駄目!有罪!没収!◯刑!!!

 




ハナコって扱い難しいよね
いろんな意味で……

更新時間はいつが良いでしょうか?

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  • 7時ごろ
  • 19時ごろ
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