ここらへんのアリスクの話、結構好き
「……だから、もう頼れるのは先生だけしか──」
雨が降り注ぐ路地裏で、アリウススクワッドの錠前サオリは恥を忍んで先生に頭を下げていた。その行為はかつて先生を撃ち抜き危うく命を奪うところだった張本人がやるにはあまりにも図々しいと非難する者もいるだろう。
だが、今の彼女に残されたのはこれしかない。彼女一人でアリアス全土に勝つ見込みなどない。物資も体力も底をつき、あるのは先生に頼るという生徒らしい方法のみ。
「私の命を掛けて約束する。どんな指示だろうと従う。……"ヘイローを破壊する爆弾"、これも預ける。私の命を握ってもらっても構わない。だから、だから────」
彼女は思いつく限りの懇願を口にして先生に助けを求める。言葉を重ねる度に何かが擦り切れるような感覚にも襲われながら、ただひたすらに。
「アツコを……姫を……助けてくれ……」
どんな代償を払っても仲間を、家族を救い出す。ただそれだけの一心で。
「……」
先生の行動は決まりきっている。事情は聞いた。やるべきことも定まった。後は生徒の意思と思いを汲むだけだ。
彼女は雨でぬかるんだ地面にスーツが汚れるのも構うことなく膝をつける。目線をなるべくサオリに近づけた後にぎゅっと抱きしめる。
「よく……頑張ったね。こんなにボロボロになって……」
先生はサオリ達の現状を聞いて怒りと悲しみが込み上げる。確かに彼女達は取り返しのつかないことをしただろう。これからも簡単に償いきれないほどの罪を背負って生きていくのかもしれない。
だけど、裁きを受け罪を償うならまだしも、追い詰めて奪うのは違う。それは悪意そのものだ。
「先生……?」
「サオリ、一緒にアツコを助けよう。スクワッドの皆んなと一緒に」
サオリは先生の突然の抱擁に戸惑いながらも受け入れていた。サオリにとって初めてとも言える大人からの愛情は確かに彼女の心を解きほぐした。
先生はサオリに対して明確にアツコを助けることを口にする。その言葉を聞いてサオリは安堵する。
「他のスクワッドの皆んなは?」
やるからには人数が欲しい。アツコがいなくてもミサキやヒヨリはまだいるはずだ。この3人は最低でも揃えないと戦力的にスタートラインにも立てない。まずは冷静に状況をサオリに問うことにしたのだ。
「姫を連れ去られた日に散り散りになってそれきりだ。もしかしたら今もまだアリウスに追われているかもしれない」
サオリから返ってくる答えは芳しくない。だが手遅れになっていると断定できるわけではない。希望はまだある。
「よし、行こうか。まずはミサキとヒヨリを探そう」
「あ、あぁ……」
取れるだけの策を取るためにも早速出発することにする。あまりにもトントン拍子で事を進めていく先生にサオリも困惑こそしているが、目の前の大人が本気で自分達に手を差し伸べてくれたことだけはわかったのでそれ以上何もいうことはなかった。
「あ、そうだ。例の爆弾を渡して」
「っ!!……わかった」
だが不意にかかられた言葉にサオリは思わず身構えてしまう。しかし、自分からどんな指示にも従うと言った手前、断ることはできない。爆弾と起爆装置を取り出して先生はと手渡す。
「これが……ふんっ!ぬっっっ!!」
「え……?」
先生はサオリから一式を受け取ると、明らかに女性が出してはいけない声を出しながら起爆装置をへし折る。生徒を危険に晒す道具は絶許だ。
サオリは突然の行為に素っ頓狂な声を出して驚く。てっきりいつでも自分を始末できるようにするものだと思っていたがそうではないと突きつけられた。
「生徒がこんな危ない物を持ってはいけません。没収です」
「いや、没収どころか壊してる……」
「も〜う!そんなの気にしない!サオリ達の手になければ良いの!」
先生は生徒に指導する要領でサオリに言葉をかける。あくまで生徒は生徒。自分にとっては等しく指導し、叱り、見守る対象なのだ。こんなことは看過できないよ、と暗にサオリに伝える。
「さて、探しにいくんだけど……サオリはどこか心当たりはない?」
「そ、それならこっちだ。ついてきてくれ。……ふっ」
サクッと残り2人を探す方に先生は切り替えて、サオリは気圧されながらも先頭に立ち歩き出す。変わった人に頼んだのかも、とは思いつつもなんだか悪い気はしない。まずは3人揃ってからアリウスに向かうことにしようと意気込んだ。
「予定通りアリウススクワッドは先生と合流した。次は何をすればいい?黒服?」
『彼女達が使う通路は把握してます。そちらへ向かってください。間違いなく彼女達を迎撃するための待ち伏せがあるので……』
「ぶちのめせ、ってことだな?」
そんなサオリと先生を見下ろす男が1人いた。仮面をつけて再び"ホムラ"として活動する浩介がそこにいたのである。
通信先の黒服に次の指示を仰ぐ。黒服はそれを受けて次の指示を浩介に下し、彼のスマホに座標を送る。場所はトリニティの地下、カタコンベ。
「例の一定周期で構造が変わるダンジョンだよな?」
『ええ。法則はありますが私達ゲマトリア以外把握していません』
ホムラは座標を見て、カタコンベがどういったものかざっくりと黒服から聞いていたため気が滅入る。自分達の世界なら呪霊の生得領域を疑うレベルの代物だ。あの少年院のようなことはもうごめんだ、と心の中でぼやく。
「ありがとう。黒服。取り敢えず今は休んでくれ。俺の反転術式で治したとはいえあまり無茶をすれば傷が開く」
『いえいえ、礼を言うのはこちらです。どうやら他者にかける回復は自身の回復より効率がだいぶ劣るようですがそれでも助けられましたので』
彼らはあの爆発の時に浩介が術式の炎で爆炎だけは軽減し、物理的な爆風のみ喰らって何とか生きていた。ホムラよりも黒服の方がダメージは大きく、回復させるのに手間取ってしまった。
黒服は心底喜びながら礼を言っている。回復してもらった恩もあるが、何よりも呪力の反転したエネルギーをその身に流れる経験など中々ないものだ。自分にはないそれを体感し、より研究に役立てられそうで正直に言うと興奮してる。
「やるぜ。黒服。儀式を阻止して秤アツコ救出及び──」
『色彩の到来の阻止、気張っていきましょう』
ベアトリーチェ陣営(アリウス分校)
アツコを使って儀式決行予定
色彩と接触して自身をより高みへ
浩介が例の技を未習得であることはハッキングして把握済み
強くなられる前に爆弾で葬ることにした
黒服・浩介陣営
ベアトリーチェが浩介を葬るのに黒服まで巻き込んだので完全に浩介についた
黒服としてはベアトリーチェの儀式が良い方向に向かって欲しかったが
そうも言ってられなくなり、今までなんだかんだ売らなかった情報を売った
浩介はノリノリ。
先生・アリスク陣営
原作通り
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