呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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水着ヴァルキューレがやばすぎて頭の中にコハルが大量発生しちゃう
お前ら警察だよな?


5 黒服と呪術師

 便利屋と食事を済ませ、とある事務所へと足を運ぶ。

 

 やる事は今回の仕事の報告である。黒服からの依頼でカイザーが雇った便利屋の助っ人になってほしいと言われたがものの見事に失敗。言い訳出来ない物であった。

 

「黒服。すまない。失敗してしまった」

「ええ、そうみたいですね。……構いませんよ。あなたの出番は最終盤面までありませんし、それまでに彼女達を見極めてくれれば問題ありません」

 

 ひとまずおざなりな謝罪の意を述べる。本音を言えば今すぐにでもこのピータン野郎を焼いてやりたいがそうもいかない。

 黒服はそんな俺を見透かしてるのか、表情を崩すことなく淡々としていた。俺に対策委員会の面々を見せておくのが主な目的だったようで、結果はどうでもよかったのだろう。現に誰も目的の小鳥遊ホシノを追い詰められていない。

 

「小鳥遊ホシノ自体はもうなんとかする目処は立っています。後は彼女を奪い返しに来る対策委員会の皆さんを足止めしてくれればそれで問題ないのです。クックックッ……」

「随分ペラペラと喋るんだな。勝利宣言か?」

「まさか、まだ油断はしてませんよ」

 

 そして黒服は続けて自身の考えをスラスラと言い始める。その様子は勝利を確信でもしているかのようであった。油断はしてないとは言うが些か軽薄に見える。

 いや、興奮してるのか。自身の目的がもう少しで達成できそうだから。今やってる事も自身がやりたいことのためのスパイスに過ぎないのかもしれない。

 

「ただ、懸念点がありましてね。今回の件に関わるかはわかりませんが横槍してきそうなものがあります」

 

 だが、突如として黒服はスンと落ち着き出して次なる話題を持ち込む。あまりにも切り替わりが早く、不自然極まりない。

 黒服はわかりづらいがそこそこ表情があるように見える。今のこいつは困ってるというのがひしひしと感じ取られた。

 

「関係はなさそうなのに横槍が来そう?なんだそりゃ」

「先日、不思議なエネルギーを検知しました。驚く事にそれは……」

「それは?」

 

 黒服は何か言い切ろうとしてるのを見て俺は思わず固唾を飲む。事態は深刻そうである。

 そして、次に発せられた言葉で驚愕する事になる。

 

「あなたが使う呪力、とやらに酷似した異形のものが出たのです。あれはまさしく恐怖そのものですね」

 

 黒服が言うには呪力を持った異形のものが出たのだという。その言葉が意味することはよく知っている。することはなくなったであろう本業が襲いかかってきたのに驚きを禁じ得ない。

 

 

「呪霊が出たのか!?」

「それもアビドスで、です。それにしても……あなたはやはりご存知のようですね。呪霊、呪う霊とは不気味ですねえ」

「それお前が言う?」

「おや、これは手厳しい」

 

 説明からして俺が知っている物では呪霊としか考えられない。このキヴォトスでも出てくるとは思っても居なかった。驚いた俺を見て黒服はしたり顔で見つめてくる。俺の大体の反応は見透かされているらしい。

 俺が奴にできるのは少々の罵倒ぐらい。それもさらりと流されてしまう。

 

「……場所は?これから急行する」

 

 しかし事態を考えればこのまま放置するわけにはいかない。黒服に頼るのは歯痒いが場所を聞かないとどうしようもない。背に腹は変えられないのだ。

 黒服は少々お待ちを、とだけ言ってノートパソコンを弄り始める。電子機器で感知するのに凄い違和感があるが、呪力をエネルギーと言って認識してるあたり何かしらの方法でモニタリングが出来るのは明らかであった。

 

「こちらをご覧ください。今は使われていないアビドスの廃墟です。人気もなく今のところは被害が無いのでしょうね。騒ぎにはなっていません」

「廃墟か……、お誂え向きのシチュエーションだな。一般人が迷い込んだら確実に誘い込まれて食べられるぞ」

 

 しばらくしたらノートパソコンの画面をこちらに向けて場所を映し出す。どこにそんな設備と金があるのか不思議に感じるが今はそんなことは置いておくとする。

 映し出されたのは殆どが砂を被った住宅街のような場所だった。どこか哀愁漂うその場所は負の感情の行き先としてはピッタリかもしれない。

 

「ほう、人喰いなのですか。それはそれは……、穏やかじゃありませんね」

「全てってわけじゃないけど……人を食べたり、殺すのを楽しんだりして周囲に恐怖を集積させていく。それがそいつの糧になったり新たな呪霊の発生源になり得る。叩くなら今だ」

「放置すればいずれは化け物の巣窟になり得る……、と言うことですか。どのくらい増えるのかは皆目見当がつきませんが恐怖ばかりばら撒かれても邪魔になりそうですね」

 

 人喰い、というところに反応して黒服は面倒そうに呟く。あくまで神秘をあるいは神秘と恐怖の両方を研究したいであろう黒服には恐怖に塗れた光景は望むところでは無いらしい。

 呪術師として祓いたい俺と研究の邪魔になりそうだからなんとかしたい黒服。この状況は都合がよさそうである。

 

「黒服、俺が奴らを祓う。それでいいな?」

「ええ、お願いします。貴方の力を見せてください」

「お前に頼る事になるなんて癪に触る。黙ってモニタリングでもしてろ」

「おやおや、何か気に触りましたか?フフフ……何にでしょうね?」

 

 俺の提案に黒服は喜んで乗っかってくれた。裏切って切り捨てるつもりでいたが簡単にはいかないらしい。

 そんな黒服は俺を嘲笑うかのように興奮した様子で笑っている。初めから俺の"裏切り"など計算済みだろう。

 あくまで結んでいる縛りは小鳥遊ホシノと契約を結ぶまでの間に発生する戦闘行為の参加だ。兵力になれということである。

 だが、俺が負けてしまって小鳥遊ホシノが奪還されればどうだろうか。完膚無きまで計画を叩き潰し黒服が一旦でも諦めればそこで縛りは終了だ。そのタイミングでこいつを裏切ればよかった……のだが。

 

(もし、こいつ以外に呪霊を観測できないとしたら……呪霊を祓うためにもこいつとは関係を続けないといけないかもしれない)

 

 今後呪術師としてキヴォトスに存在する呪霊を祓うためには確実に協力者がいる。今の所黒服は事前に観測してしまったことから、事前に対策を施すという観点では喉から手が出るほど欲しい協力者候補になってしまっている。

 

「これはこれは……思わぬ収穫になりそうですね。では、こちらのポイントへ向かってください。よろしくお願いします。フッフッフッ……」

 

 黒服は俺の持つ端末に位置情報を送信して満面の笑みで送り出す。俺はただ黙ってその通りに動くしか無い。

 俺は黒服の事務所から出て行き、なるべく早く目的地に向かうこととする。思わぬところから黒服に結んでもいない縛りに縛られる事になってしまった。

 

(呪霊を先んじて始末できるが黒服に首根っこ掴まれるか、黒服との関わりを切る代わりに被害が出てから対処するか……どっちを取るべきか)

 

 俺に重くその二択がのしかかって来る。最悪の二択である。出来ることなら後者で済むなら後者を取りたい物である。

 

 

「だけどまずは……目前にある呪霊を祓わないとな。だって俺はーーー

 

 

 

 

 呪術師なんだから」




実際のところ崇高ってなんなんでしょうね?

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