何で等倍tormentで活躍するんだよ
どうなってるんだよ君は
「先生……アツコを助けに行ったんじゃ……」
「二人が心配でさ、二人に無理言って来ちゃった」
「ごめん、リーダー。止めたんだけどね」
「えへへ、でもよかったです……」
先生の抱擁から解放された後、サオリは先生がここに来た事を不思議に思った。儀式まで時間がない事を考えれば先に行った方がいいのは間違いない。それでもここに来てくれたことをサオリは嬉しくは思っていた。
ミサキはハァ、とため息をつくも表情はどこか穏やか。ヒヨリは無事収まったのを見て安堵していた。
「サオリ……た、立てる?」
一足先に立ち上がっていたミカはサオリに手を差し伸べる。初対面の時ほど天真爛漫ではないが、あの時に持っていた優しさを今はサオリも感じ取れる。
「あぁ、すまない」
サオリは少しだけ微笑んでミカが差し伸べた手を取る。その後にミカはゆっくりとサオリを立たせ、今度は座った目線ではなく立った目線が合う。
お互いにごめんなさいなどとは言えない。今は些細な行動で示す以外にない。初めに二人が望んだアリウスとトリニティの和解は二人の代で叶うかはわからない。それでも望まなければ始まらない。この手は二人にとって大事な一歩となる。
『茶番はそこまでにしてもらいましょう』
突如として響く女性の声。ミカは初めてだが、ここまで来たスクワッドと先生にとっては忌々しい声。
『折角のいい見せ物だと思ってましたが……興醒めですね。もっとお互いに呪い合えば傑作でしたのに』
「ベアトリーチェ。口が過ぎるぞ」
またもや通信装置が転がっており、そこからベアトリーチェの声がしていた。不愉快な言動に先生は静かに怒っていた。
「待ってろ。私達がすぐそこにいく。お前を止めてやるからな」
『止める?そこで殺すが出てこないとは甘いですね先生』
「私は教育者だ。教育に悪い事なんて生徒にさせられないよ。あなたにはキチンと裁きを受けてもらう」
『フフフッ……出来るものならどうぞ』
先生とベアトリーチェは互いに言葉の槍を投げ合い、直接対面でもしていれば殴り合いになりかねないほど一触即発な雰囲気。先生の顔は決して生徒には向けないものだった。
『ああ……それと言い忘れました』
「?」
『儀式はつい先程始めました』
「なっ!?」
笑い終わった後にベアトリーチェは冷淡な声で儀式の始まりを告げる。それはアツコに残された時間がないことを意味する。彼女の神秘でベアトリーチェは崇高へと辿り着こうとしている。他のゲマトリアが得られなかった神秘を獲得しようとしている。
「なっ、そんな!?まだ時間はあるはずでは!?」
「急がないとアツコが……姉さん!!!」
当然慌てるヒヨリとミサキ。家族に迫る明確な危機を前にして二人は穏やかではいられない。
「……っ!!行くぞ!!」
サオリは悲鳴をあげる身体に鞭を打ってバシリカへ向かおうとする。最悪の場合、アツコを助けても自分が死んでしまうかもしれない。その覚悟を胸に刻み歩み出す。
「何としても儀式完遂前に辿り着くよ!今になって焦って前倒ししたんだ。相応にリスクがあるはずだ!!完遂前に辿り着いてしまえば隙だらけのあの女を蜂の巣に出来る!」
先生は先程抜けた道へ向けて走り出す。もっと良いルートもあるが探す時間はない。兎に角走るしかないのだ。アツコを助けるのは時間の勝負となった今、サオリには悪いが無理をしてもらう他ない。
「先生っ!前にミメシス!」
「あわわっ!やっぱり黙って行かせてくれませんよね……」
「くそっ!こんな時に……」
だがベアトリーチェが黙って行かせるわけがない。当然の如くミメシスが立ちはだかる。一人一人がそれなりの手練。この場にいる誰も浩介のように一斉に倒せるわけではない。
「ここは……」
先生は走りながら大人のカードを取り出す。使いどきは間違いなく今だ。これならいくらミメシスでも押し切れない。様々な可能性の生徒達なら退けるのは簡単だ。
そんな先生の思惑とは裏腹に誰かが猛スピードで先生を横切る。
それは──、
「やっほー⭐︎」
聖園ミカだ。
「ミカ!?何するつもり!?」
先生はミカの突然の行動に驚き、冷や汗をかく。彼女が何をしようとしているかはわかっているからだ。彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない。
「行きなよ。サオリ。私に構って失った時間分の働きはするからさ。アツコを助けてあげて」
ミカは精一杯の笑みを浮かべてミメシスへと攻撃する。少しでも先生達が通れる道を作ろうとしている。
「〜っ!!!」
先生は迷っていた。確かにミカに殿をしてもらい、ベアトリーチェに集中するのは作戦としてアリだ。しかしそれではミカを見捨てて命の危険に晒すのと同義。
「先生、私を信じて。こんなのに負けないからさ」
ミカはそう言って微笑んだ後、前を塞いでいるミメシスを倒していく。順調に空きが出来ており、このまま抜けるのは容易なのは明らかだった。
もう腹を括るしかない。まずは時間制限のあるアツコから救い、ミカも救う。
「ミカっ!!必ず助けに行くからね!!頼んだよ!!」
「おっけー!待ってる」
ミカの意思を汲み取り先を急ぐことにする。彼女を思うならアツコを速やかに救い、最速で戻るしかない。
先生が先に抜けてスクワッドの面々も次々とミカが作った道を通っていく。最後尾は一番消耗しているサオリだ。傷だらけでもなお彼女の気力は尽きていない。寧ろ燃え盛っている。
「ミカ──、ありがとう」
「どういたしまして」
一言お礼を言ってミカを通り過ぎる。ミカも一言で返し、ミメシスの軍団に銃口を向ける。
これ以上の言葉は彼女達にはもう不要となった。今はお互いの背中を守る。それだけである。
「さて、始めようか。……あら?」
ミカは先生達が通り過ぎた後、改めて気合いを入れてミメシス達を見ると異様な存在が2つあるのを確認した。他のミメシスとは明らかに違う上位個体とも言える存在だ。
内一つはエデン条約時でも猛威を奮ったアンブロジウス。化け物の風貌でわかりやすく異質だ。
もう一つはそんな化け物とは違い、人の形を保っていた。両手に機関銃のようなものを装備し、のそのそと近づいていた。いくらキヴォトス人でもやらないであろう馬鹿げた装備をしている。
「っ!!!」
その馬鹿げた装備から夥しいほどの弾幕が発射される。反動などまるで感じないほど安定したフォームでミカへと撃たれる。
ミカは慌てることなく弾幕を躱していく。確かに凄い攻撃だが、永遠に続くわけではない。必ず止まる攻撃なのだ。その隙を狙い、今は回避に専念することにする。
やがて弾幕は止む。
「ここっ!!」
ミカは距離を詰めるために駆ける。重量級の武器であれば弾が切れた瞬間に間合いに入れば取り回しの悪さから有利になるのはミカだ。あくまでミカは冷静だ。
しかし、そんなミカの思惑とは裏腹に異質なミメシスはもう射撃態勢に入っていた。
「嘘っ!?その頻度はおかしくない!?」
ミカはそれを見て慌てて遮蔽へと入る。いや、入らされた。
「痛っ!……スナイパーも居るのか」
他のミメシスがさせまいと一斉にミカへと射撃する。逃げ場など与えるつもりはないと言わんばかりの猛攻だ。確実にミカを倒そうとしている。
もう一つの上位個体は無慈悲に弾幕を張る。圧倒的な手数でミカを葬らんと無慈悲にかつ大胆に攻め立てる。
彼女の名はバルバラ、かつてユスティナ聖徒会で最も偉大と謳われた聖女。今はミカの命を刈り取らんとしていた──。
浩介の霊圧が……消えた……!?
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