呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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フェス前に投稿
ティファレト97に四苦八苦してたら遅くなりました
今回はカエデちゃんだと大変ね


74 お揃いの羽②

「またハズレか……」

 

 呪霊を焼き払いながらため息をつく。ここ最近はずっとこうである。最近はゲヘナとトリニティ以外も呪霊がウジのように湧いている。

 百鬼夜行、レッドウインターに行った時は大変だった。強さに関しては問題ないが長距離移動してまた長距離移動になるのが辛い。

 

「浩介、休みなさい」

 

 俺がヘトヘトなのに気づいているのは先生とチナツだ。今声をかけてきた先生に至ってはちょっと怒っているように見受けられる。先生にしては珍しい。

 

「真面目に授業に出て放課後に呪霊狩り、休みの日は長距離移動……そんなことしてたら身体を壊すよ」

「スケジュール表埋め尽くしてる人に言われたくないね」

「うぐっ……で、でも浩介は再生があるからって物理的なダメージも沢山負ってるから負担は私より大きいよね」

「むぅ……。流石に今日は帰って寝る」

 

 先生は本気で心配している。その気持ちは嬉しいが先生のスケジュールを見たらそんな思いは吹っ飛ぶ。前に当番になった時にパソコンに表示されたスケジュール表がびっしり埋まっててドン引きしたことがある。実は仕事が多過ぎる五条先生といい勝負してるのだ。

 正直な話、先生にだけは言われたくない。とはいえ正論ではある。長時間労働の先生と学校・呪霊狩り・反転術式ありとは言えそれなりの怪我を負う俺とでは消耗の早さが違う。特に反転術式は脳を酷使するからか、授業に悪影響を感じる。

 

「帰って……シャワー浴びて……着替えて……ね……」

 

 言われた手前しっかりと休みを取るために帰路につく。普段のルーティーンを思い出しながら歩いていれば段々と視界が霞む。明らかに疲れが溜まっている。

 

「ハァ……七海さんの気持ちがわかるようになってきたかも」

 

 今はもう会えない知人を思い出しながらふらついた足取りで家に向かう。今週末からはミレニアムで呪霊退治の依頼もある。もう多少のことならば任せるしかない。よほどの呪霊が出ない限りは休もうかな……。

 

 

 

 気づけば風呂に入る気力もなくベッドに倒れ込んでしまうのであった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜次の日、風紀委員会事務所にて。

 

 

 

「例の羽や角持ち生徒を襲う呪霊について浩介の見解を聞きたかったのだけど……」

「彼は40度の熱を出して自宅療養中です」

 

 ヒナはチナツを連れてD.U.に来ていた。ゲヘナとトリニティに接する場所が呪霊の出現場所となっているのでパトロールに来たのである。

 本来ならここに浩介を誘いたかったが、チナツから休みであることを聞いたヒナは仕方なくチナツだけを連れてここに来たのである。アコやイオリにはいつも通りの業務を任せている。

 

「彼に聞いた呪霊の印象からして今回の個体は明らかにおかしい」

「ええ、今回の個体は嗜好があるように見えます。それも最低の」

「羽や角を切って痛がっている子を弄んでいる。殺して捕食するというよりも悦楽を目的としている……?そのせいか同一犯と思われる事件では被害者がトリニティとゲヘナしかいない」

「考えたくもありませんが、悪意の塊のような存在ならあり得る話かと」

 

 ヒナとチナツは今回の呪霊がどういう存在かは粗方検討はついていた。浩介からは呪霊は負の感情の集まりであることは聞いていた。力を振るうだけの者もいれば、強くなってある程度の知恵を持つ者もいるという。今回はどう考えても後者でそれも上澄みだ。

 

「事件のあったポイントへ向かいましょう。……あ」

「どうしたの?チナツ。……なるほど」

 

 痕跡を探ろうと事件のあったポイントに向かおうとするが、チナツがあるものを見つける。ヒナはそれが何なのか気になってチナツの視線の先を見れば思い当たるものを見つける。

 

 黒い長髪、細いががっしりとした黒い翼、黒いセーラー服を着ており猫背気味の生徒がいた。風紀委員会にとって忘れるわけがない存在がそこにはいた。

 

「あ、ありがとうございます!ツルギさん!」

「私の我儘に付き合ってくださりありがとうございます。委員長に来ていただけるとは……」

「気にするな。今回は危険だから私が出ただけだ」

 

 剣先ツルギ、その人である。彼女はギンコ、ヒロコと一緒に事件現場に来ていた。ヒロコが呪霊に襲われた現場に向かう最中であった。

 ツルギが出た理由として今回は生徒に欠損という甚大な被害をもたらし、高い残虐性から対応できるのはツルギのみと判断されたためである。

 

「万が一の時は私が守る。私を置いてすぐに逃げること。いいな?」

「「はい!」」

「いい子だ……」

 

 ツルギは凶悪な笑みを浮かべてこそいるが、本心で言っている。部活こそ違うし衝突もある部活の子達だが、何よりも2人とも可愛い1年生である。ちゃんと守ろうと誓っている。

 

「……邪魔にならないように行きましょう。チナツももしもの時は逃げなさい」

「そうはいきません。彼女達とは違って私は治安維持を担当する風紀委員ですから」

「そう……。ふふっ、頼りにしてるわ」

 

 ヒナはツルギの胸中を理解したのか微笑みながら、遠回りの道を行く。チナツに逃げていいと促すが、チナツは風紀委員としての矜持を示す。

 ヒナはそれが嬉しくて堪らなかった。それと同時にこういう子を守りたいものだと強く思っていた。

 

 それぞれの事件現場へと向かう。トリニティとゲヘナで複数件あるため向かう方角は真反対だった。それぞれの確認をしてそれぞれの情報を得てそれぞれが動くことになる。トリニティとゲヘナそういうものだ。

 

 

 

 

 

 

 そういうもの、の筈だった。

 

 

 

 

 

 

「「……」」

((何故……?))

 

 ツルギとヒナが対面する。反対方向に向かったはずなのに、目的地に着けば何故かいるのである。2人とも不思議に思っていた。

 

 

(トリニティに気を遣って遠回りしたら鉢合わせになったわ。目的地が同じだったのね)

(ゲヘナに気を遣って遠回りしたら鉢合わせ……。こんな事があるものなのか)

 

 

 お互いに気付いていたのである。何かと因縁深い両校の治安維持部隊のトップ同士、無闇な接触を避けるために遠回りしたのだ。その結果として目的地が同じだったため、無駄に10分ほど時間を使っただけに終わった。

 

(気まずいなあ……)

(気まずいですわ……)

(気まずいですね……)

 

 ついてきていた1年生達は微妙な顔をするしかない。どよんとした空気が漂う。先日の病院の一件で1年生達は顔見知りであることが幸いか。

 

「……目的は同じよね?」

「……だな」

 

 ヒナとツルギはそう言って歩み寄る。2人とも相手から目を離さず警戒している。互いに学校のトップを背負うものとして相手に舐められてはならない。

 

 だけど今は……。

 

「なっ!?」

「うぇっ!?」

「……そこまでやるとは」

 

 1年生達はトップの行動に面食らう。ゲヘナとトリニティという枠組みで考えればあり得ない光景がそこにあった。

 

 

 ヒナとツルギは握手を交わす。文字通りの光景がそこにはあった。

 

 

「よろしく」

「……よろしく」

 

 

 自分の後輩や同級生にも危害が及ぶ恐怖は一時的に2人の最強を固く結ぶのであった。




2人を組ませる敵です
……上手く書けるかな

更新時間はいつが良いでしょうか?

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  • 19時ごろ
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