キャラが揃ってると充分クリア可能だと思いますので皆さんも挑戦してみましょう
エアライダーたのちい
現在、ミレニアムでは呪霊が発生している。既に2級が出るほどになっており、この自治区も呪霊ホットスポットと言えるだろう。三大校の一つだからなのか人口も多い。そうなれば呪霊の発生源になる負の感情も相応に多い。
とにかく今は目の前のことに集中しなくてはならない。考察は後回しだ。天童さんや呪霊のこともあるが今俺の目の前では大変なことになっている。
「た、助けてください〜っ!!!」
「豊見さん……いくら何でも呪霊に近づきすぎだって」
「コトリ!撃ち方やめ!浩介の元へ急いで!」
「データはまた後で取ればいいから今はコトリの安全第一だよ」
エンジニア部の豊見さんは泣きながら呪霊に攻撃している。ミニガンの反動を抑えられずにいることからそこまで戦闘が得意ではないらしい。アビドスの十六夜さんも同じミニガンを使うが、違いとしては全くフォームがブレていないことだ。改めてアビドスが強いチームだとよくわかる。
彼女が危ないので取り敢えず、保護を優先に動くことにする。データを集めるという目的があるから近いほうがいいとは言え、無茶しすぎである。
「捕まれ!」
「えっ!?わわっ!!と、飛んでる〜!!??」
空を飛ぶ俺に抱きつき、豊見さんは窮地を脱する。急に空を飛んだせいか驚きながらガクガク震えていた。ごめんよ。
他のエンジニア部の面々がいるところまで運び、部長である白石さんは涙目な豊見さんをなだめる。
「うーむ……困ったね。何とか完成させた呪霊観測マシンは近づかないと何も出来ない。かといって……私たちでは呪霊にとっては良い餌でしかない」
「どうしよう。部長。私達にはこれ以上策はないよ」
「やはりC&Cの誰か1人だけでも連れてこないと何も出来ません……。私達には呪霊観測マシンを作ることしかできないのでしょうか!?」
などと言っているが充分凄いことをしている。多少の欠点など余裕で許容出来るほどの偉業を成してるのを彼女達は知らない。今まで黒服以外にそういった事は出来ないとばかり思っていたが、そんな事はないと言う希望が見えたのは大きい。
「どうしても感知範囲を広げられないから代わりとして呪霊に襲われた時用の自爆機能や……」
「データをやり取りするためのBluetooth機能を入れたり……」
「銃への変形機能を入れましたが使えそうにありません」
「それらの機能入れる余裕があるなら戦う人の邪魔にならないように取り付ける構造にすればよかったんじゃ……」
「「「それだ!!」」」
ただ、ちょっとおかしい。彼女達はロマンだのなんだの言っているが無駄な機能をつけ過ぎだ。生死が分かれるような場面なんだぞ。
終いには俺が言った戦闘する人に取り付ける案に食いつき、次はこうしようああしようと議論を始める。確かにそれも大事なことなんだけど後にしてくれ。
いや、よく考えたらこのバカな天才達でも苦悩する機能をポンっとお出しした黒服がおかしいな。
「は、はは……。取り敢えず……倒すから見ててください」
結果として、その時の呪霊はあっさりと焼き払われる。ボウっと呪霊が燃え上がる様は意外と神秘的だ。
エンジニア部の皆さんは燃えている呪霊が動けないことを確認し、急いでデータを収集する。しかしこれでは少量しか集められず有意義な結果は得られなかったようだ。
後日、エンジニア部が俺の言った取り付け機能を作りリベンジに燃えていたがその結果はあまり芳しくない。
「浩介の呪力反応がデカ過ぎて呪霊と区別出来ません!!」
このマシンの完成はまだまだ先のことだ。
*********
『どうです?あれから天童さんに変化は?ゲームの感想とかは無しでお願いします』
「特に問題はないな。天童さんはゲーム開発部以外にも絡みがあるみたいで、校内でも人気者っぽいな。トレーニング部とか、ヴェリタスとかその他色んな部活の人と楽しそうにしている。所謂、学園の人気マスコット的扱いだよ」
黒服とは今でも天童さんの件でやり取りをしている。ゲーム以外の事は何かないかと聞いてくるので、可能な限り天童さんと絡んでみたが今言った通りだ。
天童さんの天真爛漫な性格はミレニアムでは強火だったのか、みんな可愛がっている。2年生や3年生の一部は妹みたいな可愛がり方をしている。とても魔王になるような子には見えない、というのが俺の見解だ。
呪術師的に見れば、天童さんは特級術師相当の危険度だ。文字通り単独での国家転覆が可能なポテンシャルを秘めているらしい。夜蛾先生や夏油傑と似たような理由でそう判断してもいいはずだ。
『ふむ……精神面に問題はなさそうですね。しかし、パンドラの箱であることに変わりはない』
「箱を開ける鍵でもない限りは大丈夫じゃねえの?」
『……浩介さん、その鍵ならあるのですよ。他ならぬ天童アリスの中にです』
「? どういうこっちゃ?」
黒服は天童さんの現状をパンドラの箱などと言っている。友人を悪く言われるとあまりいい気はしない。虎杖君に降りかかる逆境を思い出して不愉快だ。
更に黒服はパンドラの箱を開ける鍵なる存在がいることもわかっているようだ。それも天童さんの中にあるとはどういうことなのか?
『天童アリスの中には王女を補佐するためのAIが搭載されています』
「それが鍵ってこと?搭載されてるなら何故起動しない?」
『起動してすぐに何かしらがあって今の性格になってしまったのでしょうね。故に現状必要のない鍵は使わない、あるいは認識していないといったところでしょう。本来なら……』
「今頃鍵を開けて爆発してた、と?」
黒服としてはキヴォトスの崩壊など望んではいない。本人達はどう思ってるかは知らないが己の探究に必要な非道は働いても破滅は御免被る、というのがゲマトリアという集団に見える。
『貴方はだったら問題ない、と思うでしょうが存在する以上いつかは起こります。ですのでもしもの場合は……』
「消せってか?ふざけんな」
『貴方はそれを選択肢に入れられる人間でしょう?私が言う前にすんなりと察しているではないですか』
言い返せなかった。確かに黒服はもしもの場合何をして欲しいなんてまだ言っていない。文脈から察するは出来ても淀みなくすんなりと思い付くのはその手の人だろう。
虎杖君と会う前は処刑に賛成していた側でもある。総監部とは付き合いがあったので両面宿儺の危険性だけを聞かされてその気になっていた苦い思い出だ。
『あぁ……それと一つ確認を。今、ミレニアムのエンジニア部と呪霊観測のマシンの製作に協力してますね』
「いきなりなんだ。悪いか?」
続け様に黒服は現在何をしているか筒抜けなんだぞって牽制が飛んでくる。分かってはいた事だがこいつは俺の動きを監視している。最も承知の上で協力しているのだが。
『いえ、悪いとは言いませんが……とても現状は使い物にならないのでは?』
「そうだな。そもそも俺がお前に協力する理由は何だ?」
『呪術師として呪霊を倒す為でしょう?代価として偶にお手伝いをお願いしてますよね?』
多分黒服の言いたい事は乗り換えとかするなよ、という事だろう。確かにエンジニア部が完成させてしまったら黒服に頼る理由はないように見えるだろう。
「別にお前から乗り換えるつもりはない。あくまで先生に感知手段を持って欲しいと思っているから協力している」
『ほう?』
それに対して俺の答えは利用するようで悪いが先生が理由だと話す。黒服は随分と先生にご執心なのはわかっている。こう言われれば取り敢えず食いついてくれる。
「シッテムの箱、といったか。あれは先生を守る術式を持った呪具に相当する物という認識でいいか?」
『貴方から見たらそう見えるでしょうね』
シッテムの箱、先生が持つタブレット状の呪具あるいは神器とも呼べる代物。あれの詳細は何もわからないが機能を発揮してる時の神秘の起こりが物凄く大きい。あれだけ戦場に近づきながら指揮しているのに攻撃が当たってないのは明らかにアレのお陰だ。
「ほぼ万能の防御を誇るシッテムの箱でも防げない攻撃がある」
『成程、領域展開の必中効果ですか』
「そうだ。前に領域に巻き込まれた時は頑張って中和してたようだが押し合いになって苦しそうにしていたんだ。お前だってどこぞのクソ呪霊に先生の首が取られるなんて面白くないだろ」
『……』
お?これはいけそうか?やはり先生か?先生に弱いなコイツ。
『ですが、それなら初めから私のシステムを先生に渡せばいいのでは?』
「言い難い事なんだが……受け取ってくれると思う?お前が作ったシステムって知ったら絶対拒否するだろ」
このまま先生でゴリ押ししてやる。俺は別に完成後、黒服を頼らない訳ではない。関係性は変わらないのだから黒服から攻められる謂れはない。
「最終的には呪霊の等級がどのくらいなのか呪力を感知出来ない先生でも判断出来るようにしたい。何よりも生徒から貰えたらあの人は喜んで常用するはずだ」
『先生の身を守る為、ですか……。最終的に貴方はエンジニア部製を利用するつもりはないと』
「お前の技術を超えられるとは思えないからな。テーマに対する積み重ねの段階で違う。強いて言えばもしもの時の予備だな」
これでも食らえ!誉め殺しじゃ!本当に技術が高いのだから嘘は言ってないぞ!それにエンジニア部は性能が良くても余計な自爆機能つけてきそうで怖い。
『わかりました。では、今日のところはこれでお開きにしましょう。最後に忠告です。頷いたり振り向いたりせずに聞いてください』
納得してくれたのか話を切り上げてくれた。のだが、まだ忠告したいことがあるらしい。お開きというからあまり長話にはならないだろうが嫌な予感しかしない。
『先生の時のように聞かせるつもりはないので、今回は盗聴対策をしっかりしていますけど人の目はどうにも出来ません』
人はどうにも出来ない、つまり直接の監視ということだろうか。今もこうして見られているぞ、だから気をつけろと言いたいのだろう。
確かにミレニアムから見て今の俺は怪しさ満点だ。今回のことも受け入れたというより内に入れて見極めたいのかもしれない。
「わかった。気をつける」
『ご理解いただけたようで助かります。では、ご武運を』
これにて黒服との長話は終わった。天童さん、呪霊観測装置、尾行……要素てんこ盛りで考えるだけで嫌な感じだ。気づけばミレニアムでも厄介ごとに巻き込まれている。
「今日は戻ってチナツに連絡でもするか」
そう言って俺は宿泊地点までの道を歩き始める。その道中に1人の金髪のミレニアム生徒がさり気なくこちらを見ていたのであった。恐らくは黒服の言う俺を尾行しているミレニアムのエージェント。何と思われようと俺はやりたいようにやらせて貰う。
だが今は優先すべきことがある。ぐう、と腹の虫が鳴り響く。
「まずは半額の唐揚げ弁当を狙わないとな」
「……まさか彼に取られるとはね」
「御飯ぐらい私を頼ってくださいと言ってますよね?」
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