時系列って実装順なんですかね?
今日はヴェリタスという非公認の部活と活動している。先日のエンジニア部とは仲が良いらしい。呪霊の探索装置もどうやらエンジニア部とヴェリタスの合作らしい。何でもハードとソフトで分けたんだとか。
「で?これが呪いに関係ないか調べて欲しいのか?」
俺は今、ヴェリタスから頼まれてある物体を調べている。基本灰色ベースで球体に何かしらのコードが伸びている怪しげな機械だ。深海生物をモチーフにしたのだろうかと思うような風貌はなるほど確かに呪いの関与を疑いたくなる。
「そうそう!ミレニアムの郊外に落ちててさ。もしかして……と思ったの」
興奮気味に聞いてきたのはヴェリタスの小塗さんだ。これを見つけた時、本人はもしかしたら世紀の大発見かも!なんて言ってたらしいが、最近の呪霊騒動もあるので先輩二人に確認しようと言われて俺が呼ばれたという経緯だ。
「小塗さん。これは呪具じゃないと思うな」
「ふむ……となると過去のミレニアム製のロボット?ハレ、貴方はどう思います?」
「調べたけど過去にこんなロボットが作られた記録はないよ。もしミレニアムで作ったものなら違法製造された類のものの可能性は高いね」
俺が呪具じゃないと言い切ると、残る可能性として過去のミレニアム生が作ったものというもの。それも郊外に捨てられていて記録もないとなれば違法製造である可能性まで浮上する。
「え〜?電源も接続ポートも継ぎ目もないからてっきり呪い関連だと思ったのになあ……」
「あのな……これが呪具だったら今頃大惨事かもしれないんだぞ。呪術師じゃなくても使えてしまうものだったら手遅れになってたかもな」
「うっ……こっわ……」
小塗さんの発言は少し看過出来そうにないものだったので思わず厳しい言葉をかけてしまう。俺の言葉を聞いて顔を青ざめながらロボットから距離を取ったので理解してくれたと思いたい。
「壊そうにも継ぎ目がないから開けられないね」
「このまま壊すのは危険でしょうね。もし、爆弾なんてあったらたまりません」
となると処分するのも手ではある。問題は何もわからない以上、処分の方法もわからないのだ。何でもかんでも破壊してしまえば良いとは限らない。火に油を注ぐ行為かもしれない。
「調月会長や明星さんは繋がるかな?」
こうなると一番頼りになるのはこの二人だろう。白石さんも腕前を考えれば候補ではあるが、余計な遊びを入れかねない。この人が真剣に処理をし始めたらそれこそ危険性の証明だ。
「会長はすぐには繋がらないと思うな〜」
「部長は最近連絡がつきません。特異現象捜査部が忙しいのかと……私たちの部長なんですけどね」
だが、それもダメらしい。二人の能力を考えればタスク詰めであることは容易に想像がつく。そもそも二人が空いてるなら俺は今頃二人と一緒に呪霊の捜査をしているはずだ。
「じゃあ!先生に相談してみよっか!」
「そうですね。今日はシャーレにいらっしゃる事はとうちょ……確認済みですし、出られるかと」
「先生来てくれるかな?」
小塗さんはならばと言わんばかりに先生に電話をかける。先生が出てくると残りのメンバーも明らかに楽しそうにしている。こうしてみると先生って本当に人気なんだな。銀鏡先輩にあれだけセクハラかまして尚も懐かれるだけはある。
ところで音瀬さんや。とうちょ、ってなあに?
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「これが例の機械?」
「うん!そうだよ!世紀の大発見かもしれないよね!浩介に呪具じゃないって証言は貰えたしさ!」
「とはいえ危険物の可能性もあるのでシャーレにもご協力いただきたい」
結局先生はヴェリタスの様子を見に来ると言って、本当に来てくれた。お忙しいだろうにフットワークが軽いなあ。
小塗さんはウキウキ気分は抜けてないが音瀬さんは流石は3年生と言うべきか危機管理をちゃんとしようとしている。とうちょ、なんて言った人とは思えん。
「これ何なんだろうね」
「何だか深海生物みたい」
来てくれたのは先生だけではない。小塗さんとは仲が良いからなのか、ゲーム開発部の面々まで来ている。ゲームの参考になるかも、なんて言われて来たらしい。確かにネタの引き出しは多い方がいいだろうが、不用心な気がする。
「何だか不気味……」
花岡さんは例の機械を見てそうポツリと呟く。確かに見た目は呪霊などの化け物にいそうなものだ。呪いは無いとはいえ明るい理由で作られたもののようには見えない。
いっそ呪具や呪霊だと言われたら納得がいくだろう。ミドリさんの言うとおり深海生物みたいな見た目もあって、動き出したら呪霊と変わらないだろう。
「あれ?まだ他にも3つあるね」
先生は他にも同型機があるのを見つける。ここにはあの深海生物のようなロボットは4つあったようだ。
「小塗さん?何かなこれ?まだあるなんて聞いてないよ」
「先生が来るまでの間に追加で見つかったの。これから言うつもりだったんだよ」
「ハァ……」
そんな話は聞いていない。どういう事かと小塗さんを問い詰めるが本人はどこ吹く風。正体不明のものが急に4つも見つかって、それを世紀の大発見かもと思う小塗さん、怪しいと思う俺、どちらが正しいのだろうか。
「……」
各々が興味津々に見ている中、違う見方をしているであろう人がいた。黒服からマークしろと言われた天童さんだ。普段の天真爛漫な彼女の性格は鳴りを潜める。
「アリスちゃん?どうしたの?」
「アリス?具合が悪いの?」
様子がおかしいことに気づいたゲーム開発部はアリスの元へ駆け寄る。普通なら仲のいい友達を心配しているいい場面だが、黒服から色々聞いた俺には何か不穏なものを感じる。
「アリス……これを見たことがあります」
何か彼女の中で確信を掴んだのか、例のロボットの近くに歩み寄る。実際のところは違うのだろうがその足取りは時が圧縮されたのかと感じるほど緩慢なものに感じる。
(まさか……)
思わぬところから黒服の言った懸念は実現しそうになっている。もし、これが例のアレと関係あるなら今の天童さんはまずい。思わず愛銃と刀に手が伸びる。
カチッ!ボォ……。
「え!?何!?電源が入った!?」
「えっ!?」
「え?なになに!?」
天童さんがある程度近づいたら4体のロボットは起動音を発し、真ん中に紫色のランプがつく。誰がどう見てもロボットが動き出したと言うだろう。電源も継ぎ目もないロボットがたった一人の少女が近づいただけで起動するなんて普通はあり得ない。
更に不穏を確信に変える情報がもう一つ追加される。呪術師だからこそ感じられるものが今になって出て来たのだ。
それは天童さんの神秘そのもの。まだ触れてすらいないのに天童さんからロボットへと神秘の供給が行われていたのだ。こんな事ができる物が出れば正体は嫌でもわかる。
「お姉ちゃん、ゲーム機から音が出てない?」
「あれ?本当だ?今まで動かなかったのに?」
才羽姉妹は姉の持つゲーム機から異変を察知したのか、取り出して確認している。今の状況で電子機器が変な作動をしているのは嫌な予感しかしない。
「モモイさん!そのゲーム機を破壊しろ!!」
何か取り返しのつかない事が起こる、そう確信する。危害が及ばないようにするにはもう物理的手段を講じるしかない。
「……起動開始」
いつもとは違う天童さんの声。無機質で本当にロボットのようなそれに言いようもない恐怖を感じる。これではまるで黒服が言った通りの……。
そして俺は自然と刀と銃を抜いていた。本能でわかってしまったのだ。もうこれ以上はまずいと。
「浩介!?何してるの!?」
最初に気づいたのは先生だった。明らかに本気の戦闘態勢に入った俺を見て困惑していた。今の俺は先生にはどう写っているのか、怖いところだがもっと怖いものが目の前にある。
「"焔"!!」
出力最大で天童さんに向けて発砲する。出来ればこれで止まって欲しい、理想を言えば死なずに。なんて甘い思惑を乗せながら。
「ちっ!手下を盾に逸らしたか」
「AL-1S起動」
当たればタダでは済まないとわかっているのか天童さんは例のロボットを動かして盾にする事で難を逃れる。貫通してこそいるが弾の軌道をずらすには充分だったようだ。天童さんは無傷でやり過ごす。
「プロトコルATRAHASISを実行……危険分子発見。排除を優先する」
「やべっ!ここで撃つつもりか!?」
俺を倒すためにレールガンの銃口を向ける。後ろにいるゲーム開発部もろとも撃ち抜こうと構わないと言わんばかりの角度で構えている。これだけでもう今目の前にいるのは俺たちの知る天童さんではないとわかる。
チャージは既に完了している。もう防げない。
「逃げろっ!!」
せめてここにいる人達だけでも助かるよう祈りを込めて叫ぶ。そして、レールガンから無情な一撃が放たれたのはそれと同時だった。
ヴェリタスの部室は爆炎に包まれる──。
何がとは言いませんが例の曲の準備を
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