呪いは廻り、神秘は透き通る   作:ソックス

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ビナー君が思ったよりも弱かった……
それはそれとして鋼鉄大陸編お疲れ様でした。
順当に章を重ねてここまで書けるブルアカ二次創作はあるんですかね?


91 アビ・エシュフ起動①

「ネル、浩介。そっちはどうだったの?」

「あー……追い詰められたんだけど逃げられちゃいまして」

「先生、やっぱりこいつまでうちらのところに送るのは失敗だろ。ぶっちゃっけいらなかったぞ」

 

 飛鳥馬さんに逃げられた後、逃げた先であろう建物に向かっていたら先生と合流できた。戦力を飛鳥馬さん捕獲のために偏らせたのだから本来ならここに拘束した飛鳥馬さんを見せられればよかったのだが。

 

「あの子を相手にそこまでやれたなら充分だよ。こっちは浩介まで向かわせたのをちょっと後悔したけど……」

「でも突破出来たんでしょ?……ん?そういやエンジニア部の人達は?」

「ウタハ達は戦闘で大分消耗したから休んでもらってるよ。いやあ……強かったなあ……アバンギャルド君……」

 

 アバンギャルド君?前衛的って意味になるけど、先生があれだけの数の生徒を指揮して強かったと言わせるということはかなり強かったようだな。大方、AMASの強化機体とかだろう。

 

「でも、これで残る戦力はトキ1人!それも追い詰められたってことは勝機は充分にあるよね!?……奥の手とかがない限りだけど」

「お姉ちゃん、それってフラグにならない?」

「うぅ……ちょっと怖くなってきた」

 

 ゲーム開発部は相変わらずといったところだ。エンジニア部がリタイアしたというがこっちは残ってるのか。もしやこの人達思ったより強い?

 特にモモイさんとミドリさんの双子は気になる。呪術では一卵性双生児の双子は同一人物として扱われ、片方が強くなろうとしてももう片方がその意思がないと足を引っ張り合ってしまう。それ故に御三家では双子は凶兆なんて言われているらしい。それだけで言われるとは思えないからまだ秘密はありそうだけど。

 ただ、この双子の方向性は同じだ。真希先輩と真依先輩とは違う。神秘故にそもそも前提が違う可能性もあるが、意外と強力かもしれない。

 

 花岡さん?……わからん。

 

 

 

「そのフラグは早速回収されることになりますよ」

 

 色々と考え込んでいたら聞き覚えのある声が聞こえてきた。最後の難関がもう来たようだ。やはり1人しかいないことから彼女がラスボスらしい。

 

「来たか。その言い分だと第二形態でもあんの?飛鳥馬さんや」

「ゲーム的に言えばそうでしょうね。ただし……セーブポイントもネットに転がるような攻略情報もない理不尽そのものです」

 

 そう言って飛鳥馬さんはメイド服を脱ぎ始めた。……え?

 

「ちょっ!?おまっ!?」

「あー!浩介、手で隠そうとしてる割には指の隙間から覗いてる!」

「浩介も男の子だね」

「緊張感がないぞ皆んな……」

 

 モモイさんは俺を揶揄うし、先生は呑気にしてるし、角楯さんは呆れている。他のC&Cのメンバーは笑う者、苦笑いする者、敵から目を離さない者と多様だった。美甘さん、角楯さんごめん。

 パサパサと脱いでいき、黒いインナーだけになったら上空を見ていた。空から何か来るのか?

 

「……なんだありゃ?」

 

 飛鳥馬さんが見ている方向から何かが降ってきているのはわかった。かなりの速度だ。落下地点はおそらく飛鳥馬さんのすぐ近く。

 

 ドカンとそれが落下したら中央に人がすっぽり入るほどの窪みがあった。飛鳥馬さんはすぐさまそこに乗り込み、装備を装着する。全て装着した後にガチャンガチャンと音を立てて、飛鳥馬さんにロボットがそのまま装着されたかのような見た目になる。

 

「アビ・エシュフ起動」

 

 バイザーをつけ、パワードスーツを纏った飛鳥馬さんがそこにはいた。なるほど確かに第二形態といえばそうだ。

 

「先輩方、火野さん、先生……どうぞ。纏めて相手します」

 

 飛鳥馬さんは相当自信があるのか纏めて相手すると宣言する。普通に考えれば調月会長の最高傑作といったところか。

 さっきの先生の感じからしてアバンギャルドという戦力に先生は苦戦してゲーム開発部以外残っていない。戦力のレベルとしてはエンジニア部と大きな違いは感じないが先生が指揮してそこまで被害を追うとなれば油断ならない。それに今回はそもそも強い飛鳥馬さんをフル強化したようなものだ。

 

 ハッタリではないのは確かだ。

 

「ハッ!テメェがそこまで自信を持つのは勝手だけどよ……後で大口叩いたことを後悔するなよ!!」

 

 美甘先輩はそういって駆け出す。それに続いてC&Cの面々も飛鳥馬さんに襲いかかる。

 

「アハっ!凄い格好だね!」

 

 最初に仕掛けたのは一之瀬さんだ。挨拶がわりに発砲する。が……。

 

「あら?避けた?重そうなのにすっごく素早い?……じゃない感じ……あっ」

「流石ですね、アスナ先輩」

 

 飛鳥馬さんはそれを難なく躱し、銃口を一之瀬さんに向ける。あまりにも流麗でまるでわかっていたかのようにその一連が行われていたので一之瀬さんは違和感を抱く。

 

 アビ・エシュフの機関銃は火を吹き一之瀬さんを蜂の巣にする。いきなりの事なので俺もゲーム開発部のメンバーも驚く。

 

「トキさん、アスナ先輩にばかり構ってはいけませんよ」

「何度も同じ手を使われて何も出来ないとでも?」

 

 攻撃を止めさせるために室笠さんは爆弾を投げつける。またしても飛鳥馬さんはまるでわかっていたかのように避ける。これに関しては先程も散々やったのでわからなくはないが、どうも反応が早く見える。

 

「でしょうね。当たるとは思ってません」

 

 だが、流石はエージェントと言うべきか手は変えてきていた。飛鳥馬さんに当てにいったのではなく爆風がキモらしい。

 

 爆発によって発生した煙は飛鳥馬さんを覆い視界を悪くしていた。目隠しが目的か。

 

「ふふっ、接近戦はお好きですか?」

「意外ですね。アカネ先輩がネル先輩みたいに戦うなんて……ですが!」

 

 室笠さんは煙の中に突っ込んでいき、拳銃を発砲。機関銃相手に距離を取らず、詰め寄った戦いを仕掛けた。小回りのきく拳銃なら確かにそうなるだろう。

 

 バンッ!バンッ!

 

 室笠さんの拳銃の発砲音が響く。ガキンと音がしないので恐らく当たっていない。全て避けられている。

 

「ぐっ!」

 

 やがて煙から室笠さんが吹っ飛ばされてきた。爆発音などがないことから、あの重厚な装備で殴りつけられたのだろう。痛そうにしている。

 

「次は誰ですか?一人一人でやっても勝ち目はないと思いますが……おっと」

 

 爆煙からゆっくりと飛鳥馬さんが出てきてこちらを一瞥する。余裕そうな表情は崩すことなく角楯さんの狙撃を避ける。いくら何でもおかしいレベルの反射神経だ。

 俺なら簡易領域を張っていれば弾くぐらいなら出来る。事前に準備してようやく可能だと言うのに、アビ・エシュフとやらをつけてからの飛鳥馬さんは恐ろしい精度で先読み回避している。

 

「カリン先輩を放置するわけにはいきません」

 

 飛鳥馬さんはそういって両手のガトリングを乱射する。あれでは狙撃もクソもない。

 

「おいおい、あたしがまだだろ?」

 

 角楯さんがダウンさせられるのを防ぐために美甘先輩が攻撃を仕掛ける。今度は攻撃中だったのもあって少し遅れて避ける。被弾は少々といったところだ。

 

「忘れてなどいません。……少々被弾してしまいましたがカリン先輩は仕留めました」

「チッ……止められなかったか」

 

 そもそも遅れたのも角楯さんの処理を優先したかららしい。頬には少しばかり血が流れていた。これは思ったよりもやばそうだ。

 

「カリン、アスナ……お前らは無理すんな。チビどもはアカネを介抱してやれ」

 

 美甘先輩は彼女達を見る事なくささっと指示を飛ばす。部員の状態は何となく察しがついているらしい。

 ……C&Cの皆さんにおまかせしようと思ったけどそうもいかない。

 

「悪いが俺も参戦させてもらうわ。天童さんの生死がかかってるんでね」

 

 まずは格闘で様子を見させてもらう。美甘先輩は1人でやりたいだろうが、今回は許してほしい。今回の相手は……。

 

「当たらなければ意味がないですよ」

 

 あまりにもおかしな挙動をしている。飛鳥馬さんは俺の連打を全く慌てることなく避けている。美甘先輩のように攻撃してる時にカウンターしなければまるで当たらない。そんな気がする。

 

「あっ!?てめえ!手を出すんじゃ……ねえ!!」

 

 俺が参戦したのを見て怒りを露わにしながら、美甘先輩も攻撃に加わる。最低限、俺が美甘先輩の攻撃に被弾しないように立ち回ることとなる。

 

 それでも中々の攻撃の密度だ。一度撃たれてしまえば嵐のように降り注ぐ弾丸と俺のラッシュも飛鳥馬さんは難なく避けている。美甘先輩、俺、美甘先輩……といったように間隔をなくすようにしているにも関わらずに。

 

「なんだこれ……。本当に予知でもしてるというのか!?神秘を意図的に操ることも出来ないというのに!?」

 

 思わずそう愚痴をこぼしてしまう。飛鳥馬さんはそれだけ正確に避け切っている。どう考えてもあの装備にタネがあるのだが、それがまるでわからない。

 

「あ、あわわ……三人とも速すぎ!」

「目で追えない。先生は見えますか?」

「私のタブレットの方は捉えてるみたいだけど肝心の私自身が全く反応出来ないね」

 

 こればかりは仕方ないと言うべきか、ゲーム開発部の人達では全く手が出せない。一級術師でも上位レベルの攻防となんら遜色はないだろう。それを捉えてるシッテムの箱は恐ろしいけども。

 

「見えるけど……私の身体がついていけません……」

「え?見えるの?ユズ?」

「はい……これがゲームなら何とか食いつけると思うんですけど実戦だと流石に無理ですぅ」

 

 ここに化け物がいたわ。俺も結構ギリギリなんだけど。もうここまで来ると何かの術式じゃないかな、アレ。

 

「やあああああっ!!!」

 

 ここにきて回避ばかりだった飛鳥馬さんも漸く攻勢へと転じる。両手の機関銃で俺と美甘先輩をしっかりと狙い、今度はこちらが回避に専念するしかなくなった。

 

「チッ、開けた場所で戦っても埒が明かねえ」

「ならこうしませんか?──────って感じで」

「あたしに指図すんな、って言いたいが……目的はチビの救出だ。それでいく」

 

 何とか遮蔽に入った美甘先輩と俺は軽く作戦会議を開く。この遮蔽も建物の壊れた部分を何とか利用しているもので、長く持ちそうにない。

 

「行きましょう!美甘先輩!ハァっ!!」

 

 意を決した俺と美甘先輩は遮蔽から出てそれぞれ動く。俺は術式で炎を出して飛鳥馬さんの視界を炎で埋め尽くす。別に彼女を燃やしたりしなくても使い道はいくらでもある。

 

「くっ!炎で視界を覆えば私に隙が出来るとでも!?」

 

 飛鳥馬さんは自分が焼かれないように装備でガードする。別に燃やすつもりはない。相手が勘違いしてくれればそれでいい。

 

「……私を全く燃やさない?っ!!しまった!お二人の目的は────」

 

 ただ、思ったよりも早く気づいたのか飛鳥馬さんはすぐさま自身の主人が控えているタワーの方に目を向ける。そこは当然、天童さんが捕えられている場所だ。

 

 飛鳥馬さんが見ている方向には俺と美甘先輩がいる。炎はあくまで俺達が飛鳥馬さんを抜き去るための囮だ。本当はもう少し遅れて欲しかったがそれは贅沢か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あばよ〜トキっつあん!!」

「遊んでねえで走れや!!」

 




リオの霊圧が……消えた!?

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