ひろがるスカイ!プリキュア Sequel -ネクストステップ・ヒーローガールズ- 作:MOZO
今後もある程度ストックを書いてから上げていく形式になっていきますので良しなに。
テルルが会場に着いて間もなく試験開始時刻になり、集まった全員は五列に整列する。
受験者の誰もが「必ずや入隊してみせる」と言わんばかりの覚悟に満ちた眼差しをしていた。
重苦しい空気が滞留する中、正規の隊員数名が入室。その内の一人にソラの姿もあり、彼らが受験者たちの前に並ぶ立つと、一人の美麗な女性剣士が歩み出た。
「受験者諸君、よくぞ集まってくれた。私は『青の護衛隊』隊長のシャララだ!」
(あん人が隊長さんかぁ。えらいべっぴんさんだなぁ・・・)
煌めく長い銀髪とマントを靡かせながら隊長のシャララが受験者全員に語り掛ける。テルルは凛々しくも美しい彼女に見惚れてしまう。
「今やスカイランドは平和と言っても過言ではない。しかし、その平和がいつ
試験を乗り越え、狭き門を潜り抜けられた者だけが入隊を許される。テルルも、他の受験者たちも、厳しい現実を突き付けられて表情を一層強張らせる。
そして、命運を分けた入隊試験が始まるのだった。
* * * *
試験内容は大まかに、筆記試験、実技試験、面接の三つで執り行われる。
第一試験。別室に移動した受験者らは机の上の解答用紙とにらめっこ。鉛筆の先を走らせる。
『キュアスカイ、キュアプリズム、キュアウィング、キュアバタフライ、キュアマジェスティ。この中からスカイランド出身ではないプリキュアを答えよ』
「えーと・・・・・・。キュアスカイとキュアウィングはスカイランド生まれだけんども・・・・・・」
ごく最近の時事問題であるが、情報に乏しい田舎育ちのテルルにとっては悩ましい問題。いくらプリキュアに憧れていると言えど、詳細までは把握しきれていないようだ。
どうにか第一試験を乗り切った受験者らは次に行われる実技試験のため移動。訓練場に到着すると幾つかの班に分かれて試験を行う。
テルルが組分けされた班の試験官は奇しくも、ソラであった。
「それでは、わたしが手合わせをしますので皆さんは本気で掛かって来てください!」
受験者の身体能力と判断力を測るべく試験官と模擬試合をするという流れだ。
他の受験者が体術や武器を駆使して次々にソラへ立ち向かっていくも、
「やっぱ
ソラの圧倒的な実力差を目の当たりにしたテルルはすっかりたじろいでしまう。
試験が続く中、取り分け実力に秀でた者がいた。艶やかな栗色のミディアムヘアを
が、段々とソラの方が優勢になっていき、追い詰められた少女はソラの一撃を食らい転倒。勝敗は喫した。
「見事な立ち合いでした。正直、わたしも危ないと感じましたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ソラが右手を差し伸べ、少女を起き上がらせる。当の少女はソラに一言も介することなく、そのまま去って行ってしまった。
「それでは次の方は・・・。テルル・ポッカポッカさん!」
「さぁ、武器を使うなり、素手で来るなり、ご自由に掛かってきてください!」
眼前には憧れのソラ。しかも、あんな激しい打ち合いの後ではプレッシャーが尋常ではない。
「・・・そ、その。オラ、格闘術はやったごとねくて自信無ぇんだけんども・・・・・・」
何より、物騒とは無縁ののどかな田舎で育ったテルル。二人の弟妹たちとはよく小競り合いはするものの本格的な戦闘は未経験である。
「そうですか。でしたら、他に得意なこととかはありませんか?」
「えーと・・・、足が速いことぐらいだべか。オラの実家が牧場やってて、逃げた動物を捕めぇるために追っ掛けてたもんだから走りさは誰にも負けたことねぇだぁ」
少し自慢気に話したテルルだったが、周囲からはクスクスと
「なるほど。う~ん・・・・・・」
ソラは腕を組んで
「では、鬼ごっこをしましょう!」
「鬼・・・ごっこ?」
「わたしが5分間逃げますので、テルルさんは時間内にわたしを捕まえてみてください」
「だども、試験中に鬼ごっこなんてやって良いんだべか?」
「戦闘の技術だけが必要とは限りません。時には事態を迅速に解決する行動力と瞬発力も大事なんですよ。それに、その人の得意とするものを見極めるのが試験ですから!」
確かに、動物を捕まえる際も相手の進行方向を予想して追い立てていたことを思い出し、決心したテルルは頷いた。
二人は入念にストレッチをし、いつでも駆け出せるように脚部に力を入れ身構える。
「よーい・・・、ドン!」
ソラの合図で二人は勢い良く疾走。四方形の訓練場内を駆け回る。
持ち前の運動神経でスタートダッシュを決めるソラにテルルは全力で追走。始めこそソラとの距離が開いていたが、ジワジワと間隔が狭まっていく。
およそ3分が経過し、常人であれば疲労困憊となるところなのだが、二人は息も切らさず速度を維持したまま走り続けていた。
(なかなかやりますね。ではそろそろ、わたしも本気を出しましょうか!)
今まで実力の半分も出していなかったソラは大腿部に力を込め、猛然と加速する。さすがにこの速さでは追い付けるはずがない。
が、振り返ったソラは驚愕した。自分が持てる全力で走っているというのに、テルルはそれに食らい付いて来ているではないか。彼女の脚力はソラが想定した以上に超越したものであった。
制限時間も残り1分を切った。逃げ切らんとするソラと捕らえんとするテルル、二人のせめぎ合いは
壮絶な鬼ごっこを展開した二人に周囲は騒然とする。
「はぁ・・・はぁ・・・、勝っただぁ・・・」
「い・・・いや・・・参り・・・ました・・・。本気の・・・わたしに・・・付いて来られるなんて・・・」
互いの荒い息継ぎが全身全霊で挑んだことを言わずとも語っていた。
「お見事でした。わたしから提案したとはいえ、まさか捕まえられるだなんて思ってもみませんでした」
「こ・・・こちらこそ、プリキュアと競争できたなんて光栄だっただぁ」
実技を終え、健闘を称えて二人は固く握手を交わした。
最後に残すは面接試験のみとなった。前方の席には隊長のシャララと副隊長のアリリが椅子に腰掛ける。
ツートップが間近にいる張り詰めた空間に受験者たちの心境は穏やかではないだろう。テルルもまた、座りながら握り拳に力が入りっぱなしだ。
「次に、テルル・ポッカポッカ。君が『青の護衛隊』に入ろうとする動機を述べてくれ」
「は、はい!」
シャララに名を呼ばれ、テルルは飛び上がるように起立する。
「オラが『青の護衛隊』に入ろうとした理由は・・・、オラもプリキュアになりたいと思ったからだぁ!」
彼女の回答に、その場にいた者はポカンとした表情を浮かべる。
テルルも勢い任せに口にした発言に赤面し、訂正しようとあたふたしだす。
「あ、いや、んでねくて・・・。プリキュア
「・・・ふむ、そうか。君の率直な気持ちは十分に伝わったよ」
答えを述べ終えたテルルは着席するが、あまりにも幼稚な志望理由に「やってしまった!」と内心後悔でいっぱいだった。
* * * *
全試験が終わり、その日の夕方。
遊覧鳥に乗り帰路に着いていたテルルは、今朝の元気な姿とはガラリ代わってアホ毛を垂らして項垂れていた。
「・・・お、お嬢ちゃん元気出しや。今からそう落ち込んでもしゃあないで?」
「オラ、もうダメだぁ・・・・・・。テストは自信無ぇし、実技はオラよりもスゲェ人はいるし、面接じゃあまともに答えられねかったし、きっと不合格に決まってるだぁ・・・・・・・・・・」
「そんなん分からへんで? 合格発表は一週間も先やろ。まだ諦めるには早いって」
「んだども、合格できなかったらオラ絶対に立ち直れねぇだよぉ。せっかくソラさんさも会えたのに・・・・・・・・・・」
「こりゃアカンわ・・・・・・」
背の上で膝を抱えて更に気落ちするテルルに遊覧鳥もやれやれといった様子で、夕空を飛んでいくのだった。
試験から一週間が経ち、テルルの実家『ポッカポッカ牧場』に彼女宛てへ郵便が届く。命運を左右する『青の護衛隊』からの合否通知が来たのだ。
書類にはスカイランドの文字で━━。
『入隊試験通知書
テルル・ポッカポッカ 合格』
やっぱりオリジナルストーリーだと構想を練るのが大変ですね。
根を詰めすぎず、気楽に投稿していきます。
次回投稿もお楽しみに。