バカと酒と召喚獣   作:有頂天皇帝

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まえがき
とりあえず昔書いたところだけ投稿し、続きはほかの小説を書いている合間に進めていこうと思います。


第一問 宣戦布告

 

問 以下の意味を持つことわざを答えなさい。

『(1)得意なことでも失敗してしまうこと』

『(2)悪いことがあった上に更に悪いことが起きる喩え』

 

藍原統夜の答え

『(1)弘法も筆の誤り』

『(2)泣きっ面に蜂』

 

教師のコメント

『正解です。他にも(1)なら『河童の川流れ』や『猿も木から落ちる』、(2)なら『踏んだり蹴ったり』や『弱り目に祟り目』などがありますね』

 

土屋康太の答え

『(1)弘法の川流れ』

 

教師のコメント

『シュールな光景ですね』

 

北原伊織の答え

『(2)二日酔いにPAB式オトーリ』

 

教師のコメント

『PAB式は普通の状態でも危険です。普通の人は決して真似しないでくださいね』

 

◆◆◆◆◆◆

 

side統夜

 

Aクラスへの宣戦布告。普通に考えれば無謀な提案だろう。

 

「勝てるわけが無い」

 

「これ以上設備が落ちるのは嫌だ」

 

「姫路さんがいるならもう何も望まない」

 

「木下さえいれば良い」

 

案の定クラスメイトからは否定の言葉が出てくる。一部のラブコールは全く関係無いが。

しかしまぁ、クラスの連中が諦めムードになるのも仕方がないことだ。Fクラスが最底辺の集まりなのに対してAクラスは学年のトップを筆頭に優秀な生徒たちの集まりで、単純な戦力差でAクラスの生徒1人を倒すのにFクラスの生徒7、8人がかりでようやくと言ったところだ。

 

しかしそんなことは雄二も分かりきっているはずだからきっと何か考えがあってのAクラスへの宣戦布告だろう。現に雄二は今も不敵な笑みを崩さないでいた。

 

「そんなことはない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」

 

「何をバカな事を」

 

「根拠もないのに無茶を言うなよ」

 

「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素が揃っている」

 

そう言って雄二は、ある生徒に話しかける。

 

「おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いていないで前に来い」

 

「……!!(ブンブン)」

 

「は、はわわっ!」

 

康太は必死になって手を振り、否定のポーズを取りながら顔についた畳の跡を隠しながら前に出る。堂々とスカートを覗かれた姫路は焦りの表情を浮かべている。

 

「土屋康太。こいつがあのムッツリーニだ。こいつは保健体育だけは学年一位の実力を持っている」

 

「……!!(ブンブン)」

 

寡黙なる性職者はカッコ良さげな二つ名だが、実際は単なるムッツリスケベのことだ。

 

『ムッツリーニだと・・・?』

 

『馬鹿な、奴がそうだというのか・・・?』

 

『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠をいまだに隠そうとしているぞ』

 

『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ』

 

ムッツリーニ、学年中の男子からは尊敬と畏怖を以って、女子からは軽蔑を以って呼ばれる二つ名だ。知らない生徒は学年に殆どいないだろう。

畳の跡を隠そうとするムッツリーニは未だに誤魔化せると本気で思っているんだろう。まあ、自分をスケベって認めてないだけで最早隠そうとはしていないから、ムッツリかどうかさえ怪しいのだが・・・

 

「???」

 

姫路の頭には疑問符が3つ程浮かんでいるが、おそらくムッツリーニの意味がわからなかったのだろう。

 

「次に姫路だ。姫路のことは説明する必要も無いだろう。みんなだってその力はよく知っているはずだ」

 

「えっ?わ、私ですかっ?」

 

「ああ2人ともうちの主戦力だ。期待している」

 

姫路は学年でも成績が2番目に高い。姫路がいるだけでもFクラスの戦力が大幅に上がる。

 

『そうだ。俺達には姫路さんがいるんだった』

 

『姫路さんならAクラスにも引けを取らない』

 

『ああ。彼女さえいれば何もいらない』

 

誰だどさくさ紛れに姫路にラブコールを送ってる奴は。あっ、姫路にラブコールを送ったらしき生徒が後ろに連れてかれてリンチされた。

 

「それに木下秀吉だっている。コイツの演劇の才能は騙し討ちにはもってこいだ」

 

「ワシもか・・・?まあ、よろしく頼むのぉ」

 

秀吉は成績はムッツリーニや善逸のようにどれかの教科が特化しているという訳では無いが、演劇部のホープと呼ばれるほどであり雄二の言う通り使い方次第では強力な武器として試験召喚戦争で役に立つだろう。

 

『おお・・・・・・』

 

『ああ。アイツ確か木下優子の・・・』

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

『確か坂本って昔神童と呼ばれていたよな・・・行ける、行けるぞ!!』

 

雄二の言葉にさっきまで目を死んでいた連中は次々と目を輝かしていた。なるほどな、こうして士気をあげていくのか

 

「それに、吉井明久と藍原統夜、北原伊織、今村耕平もいる」

 

シーーーーン

 

そして俺たちの名前が上がった瞬間、最高に上がっていた士気か冷水をぶっかけられたように一気に静まり返った。

 

「おい雄二。オチ担当は明久だけで十分だろ」

 

「誰がオチ担当さ!? 雄二、どうしてくれるの!?この空気!?」

 

「というか何故俺も呼ばれるんだ!?呼ぶならこのバカだけで十分だろう!?」

 

「貴様にバカ呼ばわりされる謂れはないぞ北原!!」

 

明久がわめいているが、仕方ない。これはオチ要因として使われたのだからな。あと後ろで取っ組み合いをしている伊織と耕平のことは知らん。

 

「知らないなら教えよう、明久はあの《観察処分者》だ!」

 

「観察処分者ってあの?」

 

「ち、ちがうよ!ちょっとお茶目な生徒につけられる愛称で……「いかにもバカの代名詞だ」雄二、きさまああ!!?」

 

明久が誤魔化そうとするが残念ながら誤魔化すことも出来ず全員にバレてしまった。まぁどうせすぐにバレることなんだから誤魔化そうとした明久の行動は完全に無駄なんだがな。

 

「あの、それってどういうものなんですか?」

 

「まあ簡単に言えば召喚獣を使った教師の雑用係だ。普通召喚獣は物には触れられないが観察処分者ならば触れることができる」

 

「そうなんですか? それって凄いですね。召喚獣はって見た目と違って力持ちって聞きましたから、そんなことができるなら便利ですね」

 

「あはは。そんな大したものじゃないんだよ」

 

姫路はキラキラした目で明久を見るが明久はそれを手を振って否定する。だが姫路の言うことには俺も賛成する。いくら教師の雑用係とはいえ、物理的干渉が可能ということは戦いにおいてはかなり有利となる。物を使った攻撃が可能になるし、壁を破壊して退路を作る事だって出来る。つまり観察処分者という肩書きを持つ明久の召喚獣は戦況によっては重要な役目を補うかも知れない

 

「それに、僕の召喚獣は何故か受けたダメージや疲労の何割かがフィードバックされちゃうんだ。しかも教師の許可が無いと呼び出すことは出来ないからね。だからそんなに僕に対してのメリットは無いんだよ」

 

「だからこその《観察処分者》だ。生徒はコイツを見てああはならない様にしないとという戒めの役目もあるってこった」

 

『おいおい。《観察処分者》ってことは、試召戦争で召喚獣がやられると本人も苦しいってことだろ?』

 

『だよな。それならおいそれと召喚できない奴が一人いるってことになるよな』

 

「気にするな。どうせ、いてもいなくても同じような雑魚だ」

 

「雄二、そこは僕をフォローする台詞を言うべきところだよね?」

 

「とにかく、俺達の力の証明としてまずはDクラスに仕掛けようと思う」

 

雄二にスルーされて項垂れる明久。諦めろ明久、雄二がお前に対してそんな優しい言葉をかけることがあるわけないだろ。

 

「この境遇は大いに不満だろう?」

 

『当然だ!!』

 

「ならば全員ペンを執って出陣の準備だ!」

 

『おおーーっ!!』

 

「最頂点のAクラスに、俺達Fクラスの真の実力を見せてやろうぜ!」

 

『うおおおーーっ!!』

 

「お、おー・・・!」

 

雄二の声によって下がっていたクラスの士気は一気に最高潮へと達しそれに釣られて姫路も小さく手を上げる。

 

「伊織にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう」

 

「待て雄二、下位勢力の宣戦布告の使者って大抵酷い目に合うよな?」

 

「心配するな大丈夫だ。やつらがお前に危害を加えることはない、騙されたと思って行ってみろ」

 

「本当か?」

 

「もちろんだ。俺を誰だと思っている」

 

雄二は伊織にそう力強く断言するが俺はそれが嘘だと知っている。しかしそれを言って代わりに俺が行くのは嫌なので伊織には悪いが犠牲になってもらおう。

 

そして伊織はクラスメイトたちからの歓声と拍手によって送り出されながらDクラスへと歩いていった。

 

────しばらくしてDクラスの方から伊織の絶叫がFクラスの教室にまで響き渡ったのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「騙されたあっ!」

 

伊織の絶叫が聞こえてから数分後、ボロボロになった伊織が教室に転がり込んできた。どうやら見事なまでにリンチされてしまったようだ。

 

「やはりそうきたか・・・」

 

「やはりってなんだ!やっぱり俺がこうなることのは予想通りだったのか!」

 

「当然だ。そんなことも予想できないで代表が務まるか」

 

「少しは悪びれろ!」

 

「草」

 

「統夜も草生やすな!?」

 

ボロボロのパンイチ姿の伊織が雄二に文句を言うがこうなる事を予想していた雄二は当然伊織に謝ることなどない。そして伊織の状態を心配したのか島田が寄ってきた。

 

「伊織、大丈夫?」

 

「あ、あぁ。ほとんどか擦り傷だから大丈夫だ」

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「平気だ。心配してくれてありがとうな」

 

「そう・・・よかった。まだウチが殴る余裕あるなんて」

 

「あぁ、もうダメ!?死にそう!!」

 

まぁ島田も流石に今のボロボロの伊織をさらに痛めつけることは無いだろうから冗談だろうが、伊織は島田の言葉を本気に捉えたらしい。

 

「そんなことはどうでもいい。それより今から屋上でミーティングを行うぞ」

 

雄二がそう言うと扉を空けて教室を出た。そして俺と明久、ムッツリーニ、秀吉、伊織、耕平、吉原、姫路、島田は雄二の後を着いていき屋上で作戦会議をすることになった。

 

「それで伊織宣戦布告はしてきたな?」

 

「あぁ。一応言われた通りの宣戦布告したぞ」

 

雄二がフェンスにもたれて伊織に聞くと、伊織もさすがの回復力で受け答えをしっかりしていた

 

「となると、宣戦布告通りなら昼休み終えた直後に戦争なのね」

 

「そういうことだ。そんなわけで、明久・・・今日のお昼くらいはしっかり食べろよ」

 

「そう思うならパンでもおごってくれると嬉しいんだけど?」

 

「えっ、吉井君ってお昼食べない人ですか?」

 

姫路が驚いたように明久に聞いていたが、まぁ確かに何も知らない人が聞いたら最初はそう思うだろう

 

「いや。一応食べてるよ」

 

「明久、アレは食べてるとは言えないだろ」

 

「何が言いたいのさ」

 

「だってお前の主食って───水と塩だろう?」

 

「失礼な!きちんと砂糖だって食べているさ!」

 

俺と雄二は明久を哀れむような目で見ていると明久は否定するように声を上げるが余計惨めに感じさせる答えが返ってきた。

 

「それ食べるって言わないでしょうが!!」

 

「正確には舐めるが正解・・・」

 

吉原とムッツリーニがキッパリと言う。少なくとも調味料が主食だと言うのは明久以外俺は知らない。

 

「し、仕送りが少ないのが悪いんだ!!」

 

「いやお前そこそこ仕送り貰ってるし喫茶店でバイトだってしてるだろ」

 

「その殆どをゲームや漫画に使っておるから食費の分が残ってないからのう」

 

「明久の自業自得だな」

 

明久は一人暮らしなので親からの仕送りと両親の知人が経営している喫茶店でバイトしてるから生活するのに十分なお金があるのにその殆どを趣味に費やしてるからそんな食生活を送ってるんだよな・・・

 

「ふっ、やはりバカだな明久は」

 

「失敬な!!グッズ買いすぎて主食がウエハースかラムネになることのある耕平には言われたくないやい!!」

 

「どっちもどっちじゃないかしら・・・」

 

明久と耕平は互いの食事に関して色々と言い合っているが島田の言う通りこの2人の争いはどんぐりの背比べとしか言いようがない。流石は学園一のバカとオタクだ。

すると姫路がとんでもないことを言い始めた。

 

「あの、良かったら私がお弁当を作ってきましょうか?」

 

「ゑ?」

 

「明久、現実に戻るのじゃ」

 

「はっ!?ほ、本当にいいの?」

 

「はい!明日のお昼で良かったらですが・・・」

 

姫路は明久のために弁当を作ってやるとは本当に噂に違わず優しいな。これは姫路が明久に惚れている疑惑が出てきたな。

 

「その、よかったら他の皆さんの分も作りますね」

 

姫路チキったな。せっかく明久の好感度を上げるチャンスだったのに・・・

 

「さて話を戻すぞ。試召戦争の話に戻そう」

 

「雄二、どうしてAでもEでもなくDクラスなのじゃ?」

 

確かに、本来の目的を果たすならAクラスだし練習相手とするならばEクラスだ。

 

「Eクラスは今の状態ならば戦うまでもない。明久、よく周りを見てみろ」

 

「えーっと・・・美少女3人とケバ子と馬鹿が4人とオタクとムッツリが1人ずついるね」

 

「誰が美少女だと!?」

 

「ええっ!?雄二が美少女に反応するの!?」

 

「明久、流石に美少女扱いされるのは嫌なんだが・・・」

 

「統夜も!?なんで真っ先に反応するのがそれなのさ!?」

 

「・・・・・・(ポッ)」

 

「ムッツリーニまで!? どうしよう、僕だけじゃツッコミ切れない!」

 

「まぁまぁ。落ち着くのじゃ、代表にムッツリーニに統夜」

 

「そ、そうだな」

 

「うむ」

 

「・・・焦った」

 

秀吉が話を切り上げてくれたので話を戻すことが出来た。

 

「まあ要するに内には幸運にも姫路という最高戦力がいる。姫路が問題ない今、Eクラスには正攻法でも勝てる。Aクラスが目標である以上はEクラスなんかと戦っても意味が無いということだ」

 

「わざわざ分かりきってる勝負を敢えて避けることで、無駄な労力を使わなくて済むって事か」

 

「?それならDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」

 

「ああ。確実に勝てるとは言えない。そこで姫路の出番という事だ」

 

ふむ‥‥姫路をどう使うことでDクラスへの切り札とするか‥‥‥確かにクラス替えをしてまだ一日目だ。クラスの情報なんて出回ってる可能性は限りなく低いし、あの姫路がFクラスなんてのは誰も思わないだろう。

馬鹿ばかりと油断しきっている所に姫路をぶつけて確実に仕留める。シンプルだがいい作戦だ。

 

「それなら最初から目標のAクラスに挑んでも良かったんじゃないの?」

 

「初陣だからな。派手にやって今後の景気づけにしたいだろ?それにこれも打倒Aクラスの作戦に必要なプロセスだしな」

 

吉原の疑問に対して雄二はそう答える。雄二の顔からしてかなり自信のある作戦みたいだな。

 

「俺達なら勝てる。いいか、お前ら。ウチのクラスはーーーー最強だ」

 

雄二の言葉には、根拠が無いにも関わらず、何故かその気にさせる力があった。

何か‥‥いける気がする!

 

「いいわね。面白そうじゃない!」

 

「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」

 

「‥‥‥‥(コクッ)」

 

「が、頑張りますっ」

 

「ふっ、俺の真の実力を見せる時が来たみたいだな」

 

「暴れまくってやろうじゃないか!!」

 

「な、なんかこれって青春っぽいかもっ・・・!!」

 

打倒Aクラスという荒唐無稽に等しい目標。だが人生というのは何が起こるか分からない。俺が文月に編入出来たように、この世には不可能に近いことはあっても不可能なんざありはしない。

 

今ここに、俺達の戦いが幕を開けたのだった。

 

 

「そうか。それじゃあ今から作戦を説明するぞ」

 




あとがき
次回はDクラス戦になります。バカテスト問題好きだから書いてみたいけど珍回答や元の問題が思いつかない・・・誰か参考になりそうなの教えてクレメンス・・・
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