”……変身!”
カードをベルトに差し込むと、ベルトから音声が鳴る。
すぐさま、バックルの両サイドを押し込む。
士の周りから人型のシルエットが現れ、士の身体に重なる。
「な、なんだ?!」
「怯むな!!……撃て!!」
タタタタタタッ!
不良たちが士に向かって銃弾を放つ。
カカカカカカッ!
士の身体に当たる前に、バックルから複数の板のようなものが現れ銃弾を弾く。
ユウカ「え……銃弾を弾いた?!」
士を守った板は士の顔にくっつき、真ん中の板の先っぽが黄色く光る。
ハスミ「先生の姿が……?!」
士の身体は全身がマゼンタ・ホワイト・ブラックの三色のスーツを纏い、目元は緑色の複眼のようなものが付いていた。
「姿が変わった……?!」
「な、なんなんだお前は?!」
”……通りすがりの仮面ライダーだ。”
”今は、先生だがな。”
「先生が……ピンク色の姿に…?」
”ピンクじゃない、マゼンタだ!……お前は風紀委員の…”
チナツ「ひ…火宮チナツです。」
”いいか、ピンクはイエローが混ざっているが俺のこの姿はマゼンタ100%だ。”
ハスミ「そ、そうなのですね……」
あまりにもマゼンタ色にこだわりがあるためか、生徒たちは困惑していた。
「ふざけやがって!」
不良が再び士に銃口を向ける。
バシュバシュッ!
「グッ?!」
「ッ?!」
レーザー弾のような物が不良たちの銃にあたり、不良たちは銃を落とす。
“ふざけてなんかない、これはすごく大事なことなんだ。”
士の手にはいつの間にか、銃のような物が握られていた。
ユウカ「先生、銃なんていつの間に?!」
「…ベルトに付いていた箱のような物が銃に変形しましたね。」
“ほう、よく見てるみたいだな……お前は?”
スズミ「守月スズミです。」
ハスミ「先生、先程言っていた仮面ライダーとは……?」
”人知れず人類の敵と戦う戦士や、すべて人の自由を守る戦士やら、世界によって変わるが……簡単言えばヒーローだ……例外もあるがな。”
ユウカ「ヒーローってそんな創作物みたいな…」
”この世界ではそうなんだろうが、現にここにいるだろ。”
”まあ、俺はもう一つ言われてるものがあるがな。”
ハスミ「もう一つですか……?」
”世界の破壊者だ。”
「「「「……っ!!?」」」」
”……まあ、破壊するかは俺がさだめるがな…ここの世界はまったく破壊したいとは思わないな。”
スズミ「……つまり破壊しようと思えばできるという事ですか?」
”……どうだろうな?……今回のケースは初めてでな。”
士は何もない空間に手を掲げる。
”……どうやら、俺の力もかなり制限されてるみたいでな、今の状態じゃ破壊は無理かもな。”
チナツ「……先生、あなたは敵なのですか…味方なのですか?」
”……俺の役割は先生だ、つまり…数千の生徒の味方…っととらえてもらっていいだろう……ただ、それはあくまで俺に敵対しなければの話だが…な。”
ハスミ「……分かりました。今はその言葉を信用します。」
ユウカ「…そうね。味方ってならこれ以上ない戦力ね。」
“戦力だけじゃない…指揮もやってやろう。”
ユウカ「え、ええっ?戦術指揮をされるんですか?まあ……先生ですし。」
ハスミ「分かりました。これより先生の指揮に従います。」
チナツ「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします。」
ユウカ「よし、じゃあ行ってみましょうか!」
士は生徒たちと共に、不良たちの制圧を始める。
タタタタタタッ!
「がっ……!?」ドサッ
”ハスミカン、1時の方向だ。”
ハスミ「はい!……え、みかん?」ドンッ
”ユウカ、11時の方向に3人。”
ユウカ「はい!」タタタタタッ!
「……っ!」
不良の一人が士の視界の死角から銃を士の方に構える。
バシュッ
「グッ……?!」
”見えてるぞ。”
すぐさま士は不良の方向に向き、銃を撃ち落とす。
「コノヤロー!」ブンッ
スズミ「ッ……先生!」
近くに落ちていた鉄パイプを拾い、士に振り下ろす。
カンッ!
「なっ!?」
”とっさの判断は良いが……その程度じゃ俺は倒せない。”
士が持っていた銃が一瞬のうちに剣の形に変形し鉄パイプを受け止める。
スズミ「……はっ!」バシッ
「ぐっ……!?」
スズミがすぐに近づき不良の首元を手刀で叩き、不良を落とす。
スズミ「……その銃、剣のようにも変形できるんですね。」
”ああ、場所も取らないで便利だ。”
スズミが倒した不良でこの一帯の不良をすべて鎮圧した。
スズミ「なんだか、戦闘がいつもよりやりやすかった気がします……。」
ユウカ「……やっぱりそうよね?」
ハスミ「先生の指揮のおかげで、普段よりずっと戦いやすかったです。」
ハスミ「……ただ先ほど私の事を「ハスミカン」っと呼ばれたような気がするのですが。」
”ハスミカンも夏みかんも母音が同じだからな。つい呼んでしまったみたいだな、夏みかんは嫌いか?”
ハスミ「い、いえむしろ好きではあるんですが……って今はそんな場合ではないです!……指揮もそうですがその仮面ライダー……ですか?その力があればこちらも守りだけではなく戦闘にも集中できますね。」
ユウカ「これが先生の力……まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か……。」
”……(連邦生徒会長とやらは生徒からは能力は認められているみたいだな……だとしたら何故姿を消し、俺に引き継いだか謎だ。)
”
ハスミ「それでは次の戦闘もよろしくお願いします、先生。」
”わかった。”
そのままシャーレの部室へと向かう。
ユウカ「もうシャーレの部室は目の前よ!」
リン『先生!』
リンから通信が入る。
”どうした?”
リン『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました。』
”誰なんだ?”
リン『ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。』
”停学に矯正局に脱獄か……物騒なワードだな。”
リン『似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください。』
「……あらら。連邦生徒会は来ていないみたいですね。フフッ、まあ構いません。」
「あの建物に何があるかは存じませんが、連邦生徒会が大事にしてる物と聞いてしまうと……壊さないと気が済みませんね……。」
「ああ……久しぶりのお楽しみになりそうです、ウフフフ♡」
BLAST
”ふんっ!”
バババババシュッ!
「ぐっ!?」
「がっ!?」
「うっ!?」
アタックライド『ブラスト』のカードをベルトに差し込むと士が持っている銃が分身しビーム弾が放たれる。
その弾は複数の不良生徒が持っている銃を追尾し、撃ち落とす。
チナツ「すごいですね、そのカードを使えばホーミング弾も使えるのですね。」
ユウカ「……さっきから思ってたんですが、先生は生徒達の銃だけを狙って攻撃してますよね?」
”死なれたら困るんでな。”
ハスミ「銃自体に異常が見られないのでおそらくですが、直接生徒たちに当てても大丈夫だと思います。」
”そうか……なら次からはそうしよう。”
不良生徒達を無力化させながら先へと進む。
ハスミ「騒動の中心人物を発見!対処します!」
”あれがワカモって奴か。”
ワカモ「フフ、連保生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと。」
”さっさと片づけるか。”
SLASH
”はっ!”ダッ
「え、はや……がっ!?」ガンッ
「まるでくるまっ!?」ガンッ
物凄いスピードで走り、不良たちを切り捨てる。
ハスミ「速い!?」
ユウカ「……おそらく80キロ以上のスピードは出てるわね。」
スズミ「ですが、しっかりと峰の方で斬ってますね。」
ワカモ「あらら、あのピンクのお方かなりお強いですね。」
”ピンクじゃない、マゼンタだ!”
ワカモ「あら、これは失敬。」
”ふっ!”バシュ!
武器を剣の形から銃に変形させる。
ワカモ「おっと。かなり変わった武器をお持ちですね。」ドンッ!
ディケイドの放った弾を躱しつつ反撃する。
”……躱すか少しはやるようだな。”バシュバシュ!
ワカモ「お褒めいただき、光栄です。」ドンッドンッ!
互いに放った弾丸は相手に当たらない。
SLASH
”フンッ!”カンッ!
ワカモ「あらら、一瞬で間合いに入られてしまいましたね。」
士が放った斬撃を銃で防ぐ。
ユウカ「あの体制から防いだ!?」
”……すこしと言った事訂正しよう、かなりやるな。”カンッカンッカンッカンッ!
ワカモ「評価が上がり感謝しますわ……ほっ!」
士の斬撃を防ぎきり間合いから離れる。
ワカモ「私はここまで、後は任せます。」
”どこへ行く?”バシュッバシュッ!
ワカモ「フフッ……では。」
弾丸を躱し、ワカモはその場を後にする。
ユウカ「嘘でしょ!?あの斬撃から逃げられるなんて!追うわよ!」
ハスミ「いいえ、生半可な行動をしてはなりません。私たちの目標はあくまでも、シャーレの奪還。」
ハスミ「このままシャーレのビルまで前進するべきです。」
ユウカ「……うん、まあいいわ。あいつを追うのは私たちの役目じゃないってことね。」
チナツ「罠かもしれませんし、先生追うのはやめましょう。」
ハスミ「建物の奪還を優先で。このまま引き続き、進むとしましょう。」
”わかった。”
再び不良たちを蹴散らし、建物の入り口まで到着した。
ユウカ「よし!建物の入り口まで到着!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ユウカ「……うん?この音は……。」
”……ここの治安は最悪だな。”
士たちの前に何かが近づいてくる音が聞こえる。
チナツ「気を付けてください、巡航戦車です……!」
”銃の次は戦車か……。”
ハスミ「クルセイダー1型……!私の学園の制式戦車と同じ型です。」
”制式……今までの世界で人が住んでいる世界の中だと一番治安が最悪かもな。”
ユウカ「不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!」
ユウカ「つまりガラクタってことだから、壊しても構わないわ!!行くわよ!」
”……なるほどな。”
そう士が呟くと、持っている銃からカードを取り出す。
”じゃあ……戦車には、戦車だ。”
BUILD
鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!
”……”パッパッ!
手を払うように叩きながら、士の姿は赤、青、黒の仮面ライダービルドにカメンライドした。
ユウカ「ええ!? また姿が変わっちゃった!?」
スズミ「……赤色の部分は兎のように見えますね。」
チナツ「青色は戦車でしょうか?」
ハスミ「兎と戦車……関係ないように思えますが……?」
”俺に聞くな……さっさと破壊するぞ。”
ワカモ「あら、マゼンタの方の姿が変わってしまいました……ですが、ちょうどあの方に気を取られてる間に……ちょっとお邪魔しますね……フフフフ♡」
「な、なんだ急に姿が変わったぞ!?」
「何かヤバい気がする……早く撃て!?」
”攻撃はさせない。”
BU BU BU BULID
”はっ!”ズドンッ!
ファイナルアタックライドのカードを差し込むと士はその場で跳び、そのまま地中へと潜った。
ユウカ「あ…ええ!?地面に潜った!?」
地面に潜った瞬間両サイドからグラフのようなものが現れ、戦車を挟む。
「な、なんだ!?う、動かない!?」
ユウカ「え、えええ!!?グ、グラフじゃないの!?」
ユウカは目の前の現象にもう驚くしかない。
”ふっ……はああああ!!”
地面から出てきた士は青い方の足で蹴りの体制のままグラフを滑り台のように滑り……
”はあああ!!”
「え…うわああわ!?」ズドーンッ!
そのまま戦車に突撃し、戦車はビルドのパワーの負け爆発が起こる。
ユウカ「……目の前の出来事が信じられないんだけど……。」
チナツ「わ、私もです。」
ハスミ「……世界の破壊者……その名は偽りではなさそうですね。」
スズミ「先生が味方でホントに良かったです。」
”……ほら、行くぞ。”
戦車をも破壊し、ついにシャーレの前に着く。
ユウカ「着いた!!」
ハスミ「はい。」
リン『「シャーレ」部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう。』
”わかった。”
士はシャーレの部室の地下に向かう。
”中はあまり破壊されてないようだな。”
階段を下りながら士はそう呟いた。
ワカモ「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……。」
”ん?(あれは……たしかワカモと言う……一応生徒で良いのか?)”
ワカモ「……あら?」
”ワカモ……だったか?こんなところで何してるんだ?”
ワカモ「あら、あなたは先ほどのマゼンタの方……まさかもう来るとは思いませんでした?」
”ほう、姿は変わっているのによく分かったな?それより壊そうとしていたみたいだが?”
ワカモ「ええ、ですが……物が何なのかわからない以上壊そうにも壊せないですね……それよりもあなたは初めて見る方ですが?」
”通りすがりの仮面ライダーだ……今は先生らしいがな。”
ワカモ「仮面ライダー?……先生ですか?」
”ああ、急に言われてな……お前も俺の生徒と言う事になるみたいだが、顔を見せてくれないか?先生なら生徒の顔と名前を覚えなきゃいけないんでな。”
ワカモ「この私の事も生徒だっておもってくれるのですね……姿が変わるって事は、あなたのその姿の他にあなたの素顔が見れるでしょうか?それを見せてくれるなら見せてあげましょう。」
”そうか、それでいいならいいぞ。”
ワカモ「あら、すんなりとやってくれるのですね……約束は約束ですし私も顔をお見せしましょう。ここにはあなた以外にいらっしゃらないですから。」
士は変身を解除し、ワカモは面を外す。
ワカモ「さて、どんな姿を……。」
”……ほう、可愛らしい顔してるな。”
ワカモ「あら、あららら……。」
ワカモ「……。」
ワカモ「あ、ああ……///」
ワカモ「し、し……失礼いたしましたー!!///」
”え、おい?”
士の顔を見た瞬間ワカモは飛び跳ねるようにその場を急いで後にした。
”……どうやら俺の顔に見とれてしまったようだな。”
リン「何言ってるんですか?」
”リンか。……なに少しワカモと会ってただけだ。”
リン「え!?大丈夫だったんですか?」
”どうやら俺の顔に見とれてしまって逃げたみたいだ。”
リン「は、はあ……無事なら何よりです……。」
リン「ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。」
リンが何かを拾う。
リン「……幸い、傷一つなく無事ですね。」
リン「……受け取ってください。」
リンが拾ったものはタブレット端末のようなものだった。
”タブレット……これが生徒会長が残したものなのか?”
”はい。これが連邦生徒会長が先生に残した物。「シッテムの箱」です。”
”シッテムの箱……(初めて聞く……はずだが何故だか聞いた事ある。)”
リン「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からないものです。製造会社もOSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。」
リン「連邦生徒会長は、この「シッテムの箱」は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。」
リン「私たちでは起動すらできなかったものですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……。」
”……。”
リン「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます。」
リン「邪魔にならないよう、離れてます。」
リンがこの場から離れる。
”……。”
士は受け取った「シッテムの箱」を起動させる。
…
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システム接続パスワードをご入力ください。
”パスワードだと……。”
その時士の脳裏に文章が浮かんだ。
”……知ってるみたいだないつの間にか……記憶を失った後に初めてベルトを使った時みたいだ。”
……我々は覚えている、ジェリコの古則を。
……。
現在の接続者情報は門矢士、確認できました。
「シッテムの箱」へようこそ、門矢士先生。
生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。
ワカモ「……///」
ワカモはシャーレの部室から出た後、その場から誰も見つからないように離れていた。
ワカモ「ああ……これは困りましたね……。」
ワカモ「フフ……フフフ。」
ワカモ「……ウフフフフフ♡」
ワカモ「……あら?」
ワカモは遠くにあるものに目が移る。
ワカモ「先生……?いえ先生は先ほどの場所に……ですがあの人型ロボットようなものは先ほどの先生の姿に似てますね……。」
ワカモ「目……昆虫みたいですから複眼で良いのでしょうか?それは青くて……全身真っ黒……左肩に何か書いてますね……えっと……。」
ワカモ「G4。」