完全行き当たりばったりだから内容はともかく設定だけを掬って見てくれてもいいよ
「ゾロフ! ゾロフ起きろ、朝だぞ」
この必要以上にやかましい声で野宿中の俺を起こすのはエンサンタ・サンティクリスマン。
俺の魔術学院時代からの親友で神を信じる聖職者、改造された聖典を排除し神の声を聞こうとする神聖原理主義者。
「うるさいのう、なんじゃあ?」
このジジイみてぇな男はゴブリンの魔術師、ジャラガ・デラダ・ダズィーナ。
不老不死になれるという賢者の石を求めている。
で俺はゾロフ・ボンソン、この同級生二人と旅をしている。
各々が求める物を手に入れるために。
エンサンタは世界に散らばる聖遺物を集めるため。
ジャラガはさっき言った通り賢者の石を。
俺は何処かにある黄金郷を目指して。
黄金郷、それは冒険者なら皆一度は憧れされども誰も求めぬ夢の国。
噂によれば家、木々、地面に至るまで全てが純金で出来ているという。
まさに夢のような国だ!
存在しないという愚か者どもがいるが、俺は目指さずにはいられない。
黄金郷を手に入れ、俺は世界一の大金持ちになってやる!
母との約束の為にも――
「おお! ゾロフ丁度いい、このポーションを飲んでみろい」
「昨日遅くまで作ってたやつか? 安全だろうな」
「もちろん! 安全だとも、たぶん。さぁ! 目が覚めてシャッキリするぞ!」
「どれ」
俺は手渡されたポーションを飲んだ。
「まぁ、お前なら仮に爆発しても死にはせんだろうしのぉ」
「えっ」
「あっ光りだしたな逃げろ! 爆発するぞ!!」
「またか」
「おいふざけんな!!」
「近寄ってくるんじゃないあっちいけ!!」
か、体が……爆ぜるっ!
「………………ふう、危ない危ない」
「ジャラガーー! 死んだらどうする気だーっ!」
「フォッフォッフォッ! 死んでないからセーフじゃセーフ!」
「まぁ、人を爆発させてはいけませんという法も無い」
「神は許さねぇだろ人を爆発させるとか」
「お前は信徒じゃないだろう?」
「まぁまぁワシの蜂蜜蝋燭をやるから、なっ!」
言った通り、蜂蜜蝋燭を3本ほどもらった。
蜂蜜蝋燭ははちみつを蝋燭状に固めたおやつだ。
優しい甘さとちょっと硬めの食感が絶妙な王国では大人から子供にまで大人気だ。
何より学院時代によく食べた思い出の品。
「あー、美味い美味い」
「酒はいらんかえ?」
「おう寄越せ!」
「さて、このまま南進して行く方向で良かったか?」
「ああ」
「だがこの先はかなりの危険地帯だぞ」
「フォフォフォ、コイツがそれで止めるような男かえ?」
「ん? 俺?」
「それもそうだな」
昨日狩った大猪の残りを食べ尽くして、いざ出発。
「見ろ! 珍しい野鳥だ、可愛いぞ」
「ほーう、なかなか綺麗じゃないか?」
「珍しい薬草も生えとるわい、果物も」
「じゃあ何かをジュースを絞ってくれ、干し肉の塩気が辛くなってきた所だ」
「おうおう、作るとも」
「俺にも寄越せ!」
「ほいほい」
赤紫のそのジュースは、少しの渋みと大いなる甘みがとてもうまく、俺もエンサンタもおかわりを要した。
そんな中、何か音が聞こえる。
何の音だ?
「何か音が聞こえねぇか?」
「木が揺れる音だろう、やけに風が強いからな」
「いや、違うぞコレは」
「ガアアァァァァァァ!!」
「飛竜だっ!」
おおまさに今、巨大な飛竜がこちらに目をつけ滑空の体当たりを仕掛けてきている!
先程の異常な風はコイツによるものだったのか!
「おいおいおい、止まりやがれ!」
真っ向から突進を受け止めてやる!
徐々に速度は低下し、そして飛竜の足がつき完全に停止した。
「エンサンタ! 雷を打てぇ!」
「おう」
聖職者のみ使える神の力、雷。
特にエンサンタのような信仰心の高い聖職者の投げる雷は、例え飛竜の鱗だろうと簡単に貫通する!
「くらえ」
「ギャオオオオオッ!!」
「苦しいか飛竜! 決めた、今晩の飯はお前だあ!!」
「肝はワシにおくれよ、ポーションのいい材料になるから」
ジャラガは青い雲を杖より展開!
これお得意の魔術の雨よ。
「グオオオオオオオッ」
何十もの魔法弾が飛竜の体に降りかかる、苦しかろう辛かろういい気味だ!
確実に弱り始めている。
「餌にできるとでも思ったか!?」
飛竜の顔面を殴りつける、何発も何発も。
途中炎のブレスを吐かれたが、そんなもの俺に効きはしない。
「ギィアアアッ」
「おい逃げる気だぞ!」
「逃がすものかえ!」
ジャラガは今まさに飛び立とうとする飛竜に重力魔法を使う、飛竜はもはや高くは飛べず低空を飛行するのみ。
「るああっ!」
そんな飛竜の尻尾を掴んだ。
「逃げてんじゃねーぞ!」
そのまま地面へ叩きつける!
「大人しく飯になれやおい!」
さらに往復し叩きつける!
エンサンタは引き抜いた大木に雷を纏い、狙うは飛竜の頭!
「やれええ!!」
「たあっ」
巨大な杭のように打ちつける!
「ウギャァアアアアアアア!!!」
飛竜はしばらくのたうち回ったが、やがて力尽き動かなくなった。
「あはぁ! やったやった! 解体だ!」
「いつになく嬉しそうだのぉ」
「飛竜の肉は美味いからな」
「あぐっ、かはっあうあっ」
「直で食うなよ」
「じゅるるる、はあっ血までうまいぜ飛竜」
なんというかシビれる味だ。
刺激的!
「今日は好きなだけ食べれるな」
「うわはは、うめぇうめぇ」
翌日、さらに南へ進む。
「うわーっ! なんなんだここから先一面砂だらけじゃねえか。もしかしてここが」
「うむ砂漠のようじゃのお」
「迂回するか?」
「ハハハッ、いらんいらん真っ直ぐ進むぞ!」
「じゃろうな」
進むがしかし砂漠という所は非常に熱い!
とにかく熱すぎる。
「ハァ水くれ」
「ホイ」
「おう、んごっんごっ」
「サボテンがあるぞ」
「おおこれが、図鑑でしか見たことのない。味が気になってたんだ。あがぶっがぶしゅっ」
手刀で切り落として食べる。
味薄。
というかなんの味もしない。
「食感はゼリーのようだな」
「水分たっぷり、砂漠で歩く冒険者には嬉しいじゃろうな」
「ま、俺達ぁジャラガの水魔法があるけどな」
「フォフォフォ、照れるわ」
「…………なんか、揺れてないか?」
「確かに、揺れてんな。地震か」
「地震にしては弱いし長すぎないか?」
そしたら、少し離れた所に巨大な口を持った筒のような生物が砂から顔をだした。
「なにあれ」
「巨大ミミズじゃないかの?」
「いやミミズはあんなふうに口ついてないだろ」
「でも見た限り砂の中を泳いでいたぞ、やっぱりミミズじゃないかえ?」
「いや絶対ミミズじゃねぇって、第一デカすぎるだろ」
「…………なんか引っ張られてないか? アレに」
確かに引っ張られてるような。
「おい見ろサソリだ、ミミズの方に飛ばされてんぞ」
「口に吸い込まれたな」
「だのぉ」
「じゃあコイツはそうやって食事してるって事か」
「ちょっと魔法を撃ったらどうなるか気にならんか? 吸い込まれるのか?」
「確かに、ちょっと撃ってみろよ!」
浮遊する魔法弾を撃つと筒状の生き物の口に吸い込まれ、むせ返ったような仕草を見せた。
「ハハハッ! マヌケだぜコイツ」
「ん? 逃げたな」
筒状の生き物は砂に潜っていってしまった。
「ま」