ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか?   作:食卓の英雄

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因みに前の話でヴェルフが作った滅尽の一刀【絶】を前回のに当てはめて計算すると端数を切り捨てて13億5000万ヴァリスです。
奇しくもリヴァイアサンのドロップアイテムから作った覇竜の大壊剣と近い額になりました…!
黒龍と黒竜がほぼ同等の力としているので、ベヒーモス、リヴァイアサンはラスボスor裏ボス古龍クラスと仮定してたので、ならばそれに準じるマスターランク古龍クラスの武器の値段がほぼ同じになるってのは結構適正価格なんじゃないでしょうか。

惜しむらくはそのレベルまで鍛えられる素材がダンまち世界ではあまり取れず、それを加工する技術が発展していない…。
調べてみた所、椿・コルブランドが魔法大国アルテナの魔改精霊炉の稼働だけで13億かかってるとのことでしたが、こいつファミリアの団員一人一人に分け与えられる程度の工房でこいつを造ったんですよね。流石最強燃石炭だぁ…。

……最強燃石炭をある程度輸出するだけで10億以上費用削減できるのでは…?


層離上昇【ミノタウロス】

 

 

「ヴェルフ様、今頃しっぽりやってるんでしょうか」 

「ぶっ…!な、なんてこと言うのリリ!?」

 

 休日を満喫した僕達は、再びダンジョンへと潜っていた。とはいっても、ヴェルフの鍛冶がいつまでか分からず、そこまで踏み込むわけにもいかないため、小遣い稼ぎや、中層でのクエストを消化するために潜っているわけなんだけど…。

 

 急ぐ必要もないからのんびりと歩いていると、ふとリリがそんなことを言い出した。確かにヘファイストス様も連れて向こうの素材での鍛冶を見せるって話だったけど、そんな飛躍しなくても…。

 

「それに、あのヴェルフとヘファイストス様だよ?どっちも鍛冶一筋っぽいし…」

「いーえ。ヴェルフ様は確かに一途ですが、その一途さが向いているのは他ならないヘファイストス様。ましてや2年間も会えず、成長した今ならばと思っても不思議ではありません。それに、ヘファイストス様もああ見えてチョロそうでしたし、そんな二人があの狭い一つ屋根の下にというのは十分あり得ます」

「流石に二人の自制心を軽く見すぎじゃないかな…?」

 

 リリが言ってることも分からなくはないけど、鍛冶には本当に真摯だと思うんだ。

 

「…気付いた?」

「はい。この階層にはそれほど大型のモンスターはいない筈ですが…」

 

 そして、ふと耳をすませば重量級の足音がドスドスと近づいてくるのが分かる。

 ここは5階層。頭に入れた知識とこれまでの遭遇が嘘でなければ、ゴブリン、コボルト、ダンジョンリザード、フロッグシューターが精々。ダンジョンリザードとフロッグシューターは聞こえてくるテンポから二足歩行と分かるので除外。しかしゴブリンとコボルトはこのような音を立てるほどの肉体を持ってはいない。

 

「…とすると、本来この階層に見合わないモンスターがいる可能性がある」

「そうですね。強化種かどうかは分かりませんが、少なくとも放置していい問題では無さそうです」

 

 リリと顔を見合わせると、音の方向へと走り出した。幸いにも、音は僕たちの方へと走ってきているので何も知らない上層の冒険者が犠牲になるということはなさそうだけど…。

 

 角を走り抜け、一直線の通路を走破して、いた。

 

 この階層には相応しくない300Cの身長。毛皮に包まれた筋骨隆々の人型の猛牛の様なモンスター。

 

「…ミノタウロス!」

「本来中層域のモンスターが何故こんなところにまで…!」

「何かが中層で発生し、そこから逃げてきたか、あるいは環境の変化。もしかしたら上層に連れてきた何者かがいるのかもしれない…。何れにせよ、看過は出来なさそうだね」

「酷い興奮状態です。やはり何かあったのでは?」

「かもね。とりあえず仕留めよう。原因追及はその後でいくらでも出来る」

 

 何処か焦ったようなミノタウロスの様子に原因を予想してみるけど、ひとまずは上層の冒険者にとって脅威になる障害を除かないと。

 

 僕がミノタウロスのいる通路へと姿を現すと、ミノタウロスはニヤリと侮るような笑みを見せて、僕を踏みにじろうと襲いかかる。

 

「……あれ」

 

 そして、気づく。ミノタウロスがやってきた道から、この階層ではあり得ない程の速度で軽やかに駆けてくる二つの足音。

 

「……リリ、隠れて」

 

 そう言うと、リリは慣れた手つきでアサシンの装衣(ここはダンジョンな上に人かもしれないとなると、色も合わせておきたかった)を纏うと離れた角に姿を消した。

 ミノタウロスを追ってやってきた冒険者…。って考えるのが普通だけど、ただでさえミノタウロスは異常事態。第一この速度で駆けられる程の経験を積んだ人達がミノタウロスをこんな上層にまで逃がすとはちょっと信じがたい。

 最悪のケースとして、意図的に新人の集まる上層にミノタウロスを放り込んだ可能性も考えなくては。本当ならそうじゃないほうがいいけど、上層の冒険者にとっては死活問題。気を引き締めなきゃかもしれない。

 

 ミノタウロスが僕の目の前まで迫る。その背後に追いすがる金髪の少女が目に入る。

 その少女は、窺うでもなく、楽しむでもなく、慌てた様子でその切っ先をミノタウロスへと向けていた。

 

「じゃあトラブルかな?」

 

 その様子にほっと安堵して、腰のクロムクロスⅢを抜き放ってミノタウロスへ振るう。無駄に細切れにする必要も、遺体をあえてボロボロにする理由もない。

 

 振り抜いた二刀はミノタウロスの首を落とし、魔石のあった箇所諸共切り裂いた。

 

 ミノタウロスは抜刀もしていない僕にやられたことに、何が起きたか分からないという風な顔のまま塵へと帰っていった。

 

 立ち止まる金髪の少女に、僕は先に武器をしまって声をかけることにした。

 

「えっと…。すみません。このミノタウロスについて何か知ってることはないですか?追っているように見えたので…」

 

 僕が手を挙げてミノタウロスを指すと、敵意がないことがわかったのか、彼女も構えていた剣を腰に履き、対話に応じる姿勢を見せた。

 

 うわ、近くで見るとやっぱり可愛い…。って違う違う!

 

「……ごめんなさい」

「えっと、僕は大丈夫です。…他に被害は?上層の冒険者ではミノタウロス相手は厳しいと思いますが」

「ううん。他に被害者はいない、と思う。私達がずっと追いかけてたから、被害にあってれば、見逃さなかったと思う」

「成程……。それなら良かった。ところで、ミノタウロスがここまで上がってきてしまった原因に心当たりとかはないですか?異常が起こっているならギルドに届けようと思い…」

「それは……多分私達のせい、だと思う」

「あなた達の…?それは、どうしてですか?」

 

 どうも、目の前の金髪少女の説明によると彼女のファミリアが遠征から帰還している途中に現れたミノタウロスの群れが、どういう訳か一斉に逃走してしまったとのことらしい。

 

 殆どは仲間達と途中の階層で仕留めたらしいが、最後の数匹が上層にまで逃げ、今丁度最後の一匹が僕に倒されたということらしい。

 

「……そういうことだったんですね。それにしても、迷宮のモンスターが追い込まれたわけでもないのに逃げ回るって……。こういうことって何度かあったんですか?」

「ううん、私が覚えてる限りは、一回も…」

「そう、ですか。……何か理由があるのかな。これまでにも遠征が行われているのなら前例がないとは思えないし…。ミノタウロスという種の特性?多くの個体が集う群れが、多くの強者によって脅威に晒されることで全滅を避けるための生存戦略…?いや、迷宮産だぞ。でもこれまでに確認されてないなら今回みたいな偶発的な事例が鍵になるわけだし……」

「あ、あの…」

 

 ぶつぶつと、言葉で反芻しながら思考を巡らせていると声がかかる。

 

「あっ…と、すみません。つい前にいた所の癖で…。えと、話を戻しますけど、何か遠征の帰りやミノタウロスの数ということ以外で変わった点はありませんでしたか?…そう、例えば誰かが影響力の高い魔法を使っていた…とかミノタウロス達の様子が可笑しかった……。群れにリーダー格のようなものがいたとか」

「……ごめんなさい。わからない、です」

「ああっ、別に分からなかったらどうとかそういうのじゃないので…。こちらこそ、しつこく聞いてしまってすみません……」

 

 申し訳なさそうに俯く彼女と、やってしまったと謝る僕。奇妙な沈黙に気まずくなるが、その静寂を打ち破ったのは彼女の方からだった。

 

「貴方は…」

「はいっ?」

「貴方は、きっと、強いよね」

「えっ?……ええ?」

「…何でかな。そう、思ったから口に出してみたけど……。……えっと、ごめんなさい?」

「???………お気に、なさらず?」

 

 そうやって、またも珍妙な空気になりかけた所で、奥から一人の獣人の青年(多分狼人だと思う)が声を荒げていた。

 

「おいアイズ!何やってんだ!ミノ野郎を仕留めたんならさっさと報告に戻るぞ!」

「あ、ベートさん…」

「ってそうだ!帰還途中の話だから、解決したって伝えないといけないんじゃ……。す、すみません!僕の無駄話につき合わせてしまって…!」

「ううん、大丈夫。……それじゃあ、またね?」

「え?はぁ…。また…」

 

 そう言って、来た道を戻っていく二人。な、何だったんだろう。不思議な感じの人だったな。

 

 やがて、足音と共に気配が遠ざかっていった所でリリが戻って来る。

 

「……あれは【ロキ・ファミリア】ですね。遠征に行っているとは耳にしていましたが、まさかこのような関わり方をするとは…」

「【ロキ・ファミリア】…。都市最大派閥の一つっていう?」

「ええ、それも、ベル様が話していた方が《剣姫》アイズ・ヴァレンシュタイン。迎えに来られた方が《凶狼》ベート・ローガ。両名ともLv.5の第一級冒険者にして、ファミリアの幹部ですよ」

「第一級冒険者…!初めて見た…!」

「というより、ベル様は殆どのことが初めてでしょうに…。……ところで、今度は何をしたんですか?何やら剣姫が興味を持ってるようでしたが…」

「いやいや、僕も心当たりないって…。っていうか、今度はって何!?そんなに僕何かしたっけ?」

「ええ、それはもうお姉様方にモテモテでしたよ?」

「えっ、なにそれ僕知らない…」

「若いし丁寧で純粋ですからね。歴戦の猛者揃いの新大陸では殊更目立ったのでしょう」

 

 リリが誂うように言うも、本当に僕の落ち度は無いはず。

 

「…と、まあ巫山戯るのはこれくらいにして。大丈夫ですか?」

「大丈夫って…何が?」

「いえ、彼女って先程も申した通りにロキ・ファミリアの幹部です」

「う、うん…」

「あのように初対面で注目するような相手ともなると、彼女の派閥的にも影響があると思うのですが……。顔、ばっちり見られてましたし」

「そ、それが…?」

「いえ、ですから、彼女の派閥の団員に目をつけられたり、また出くわしてあの様な態度を取られてしまえば、妙な邪推をかけられる可能性もあるのでは?」

「えぇ…?そんなことあるかなぁ…?」

「普通初対面であれだけ言われるのって中々ないですよ?まあ、剣姫が普段から誰彼構わず言っているような不思議な方であればその限りではないでしょうけど……。まあ、ベル様が気にされないのであればリリはいいのですが…」

「うーん…。考えすぎな気もするけどなぁ…」

 

 これまでも何度か似たような感じの視線を向けられたことはあるけど、マスコット扱いだったり、保護者から離れた子どもが頼る人を見つけたみたいな感じだったし。

 

 何だろう。自分で言ってて悲しくなってきた。……僕ってそんなに幼く見えるのかな。これでもここ2年で身長も10cm近く伸びたんだけど…。そろそろ彼女くらい出来てもいいんじゃない?

 

「まあ、過ぎた話はこのくらいにして、どうします?【ロキ・ファミリア】の方々はこれから上がってくるでしょうから、下にいくなら遭遇することもあるかと思いますが」

「別にそこまで気にする必要はないとは思うけど…。でもまあ、とりあえず今日はやめとこうか。別に今しなきゃいけないことでもないし、何より今回のミノタウロスの件をギルドに伝えておかなきゃ」

「まあ、仮に今回みたいに条件が揃えば同じ行動を取る、と言われれば悪用し放題ですからね。判断材料として第三者からの視点もギルド的には欲しいでしょうし、いいんじゃないですか?」

 

 リリの確認も取れたので、僕たちはダンジョンから引き返すことにした。

 

 ……それにしても、アイズ・ヴァレンシュタインさんかぁ。よくよく考えてみれば、ヴェルフやリリを除いて同年代であれだけ強い人っていなかったんだよな。

 

 近くにいた人はみんな経験豊富で先輩って印象が強かったし、しっかりしてたから。ああいうのを天然美少女って言うんだろうか。

 

 ど、どうしよう…。何だか緊張してきた。

 

 地上に戻って神様に相談したら「え?まさか恋しちゃったのかい?ロキの奴の子供に?ダメダメ!どうせそのヴァレン某もそういう言動で誑し込んでるだけだって」と返ってきた。

 

「流石にその言い方はちょっと穿ちすぎなんじゃ…。それに、恋とかそういう話じゃなくて…」

 

 と言うと訝しげに目を細める神様。リリに助けを求めると、任せてくれとばかりの胸を叩いて言い切った。

 

「―――あれはもう完全にホの字です。ベル様との付き合いの長いリリが断言しますよ」

「何言ってんだよ!?」

 

 リリが愉快そうに笑うのを見て、ハメられたのだと気がついた。こ、この野郎…!

 そのせいで神様が荒れちゃうし、宥めるのに僕の秘蔵のフワンフワン卵を献上するはめになった。

 

 その仕返しとして、リリの初恋の相手が調査班リーダーであることをばらしておいた。人をからかうとこうなるんだよリリ。





ベル・クラネルは世界や経験が違えど、女性の好みなどは同じなので、原作程ではなくともちょっと惹かれるくらいはあります。


…はい。というわけで、地味に出会いや経験、諸々違うのでヘスティア様は原作ほどベルLOVE勢ではなくなっております。
勿論好感度が下がっているとか大事に思われていないとかではなく、普通にベルと同時にリリが入ったり、ヘファイストスからの推薦だったり、モンハン世界での前提があってのものです。

あとリリもベルLOVEではないです。こちらも環境が違い、そもそも向こうでの出会い時点でリリはファミリアから一時的に解放され優しい調査団達ばかり。ベルも冒険者じゃないのでそこまで当たりが強くなく、また貶めてから助けられる…などという悪意による被害を受けないまま共に戦い続けたことで、戦友や親友といった感情が強すぎて、逆にお互い恋愛対象に見れないのです。
なので、色々と世話焼きや距離感を大切にしながらも寄り添ってくれる調査班リーダーにじわじわ惹かれていきました。
因みに一敗。ある程度割り切ってはいるが、思うところがないわけではない。
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