ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか?   作:食卓の英雄

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いつの間に4ヶ月も…?
ダンまちの新刊が発売されたので続きです。モンハン要素はフレーバーテキスト並みしかないです。
それと匿名を解除致しました。だからなんだと言われればそこまでなのですが。


ファミリアの目標

 

 フィンとの対談を終えたベルは、詳しい話は後にして一旦帰宅することとなった。

 他に人がいないならともかく、あの場は大衆もいる酒場の中。加えて肝心の被害者、加害者の張本人2名が不在とあってはあれ以上に掘り下げることなどできない。

 

 故に、店側に迷惑料として色を付けた金額を支払って、こうして完全に潰れたヘスティアを背負って帰路についているのである。

 

 その最中、リリルカへと先程見たベートのネックレスの件について話した。

 

「ジンオウガの牙をベート・ローガ様が?」

「……多分。 狩猟武具としては使い道がないから分かりにくかったけど…」

「では、ベート様も私達のように?」

 

 リリルカは、自分たちのようにあちらの世界から帰ってきたのかと問いかける。

 

「それは…分からない。僕のブリゲイドαやリリのベニカガチには反応してなかったけど、地域差と言われればそれまでだし…。でも、少なくともベート・ローガさんはこの世界で僕たち以外に、あっちの世界と関わりのある人かもしれない」

「ですが、別のパターンも考えられますよ?…私としては、そちらのほうが嫌ですが…」

「うん。あっちのモンスターが、この世界に来てるかもってことでしょ」

「ええ、その可能性はあるかと。そもそも、私達は何らかの意図であちらの世界に行ったわけではなく、その行き来も自然発生したそれらを通ってきただけ。……人里離れた場所で、自然発生したそれを、モンスターが通っていないと断言は出来ません」 

「…だよね」

 

 リリルカの懸念は尤もだ。ベル自身、こちらの世界に詳しい訳では無いが、外のモンスターがダンジョン産よりも遥かに弱体化していることを知っている。

 そんな世界に、あちらの世界の捕食者が現れては生態系や人間の生息圏を著しく侵すことになるだろう。

 第一級冒険者とも呼ばれる、この世界における上澄みの力量をなんとなしに伺うことは出来たが、あれでは仮にマスターランクのモンスターが流出した場合に対応出来ないかも知れない。

 

「調査する必要があるね」

「ええ、ことあちらの世界と関わりがあるならば、リリ達も無関係ではいられません」

「うん、今度の話し合いでそれとなく尋ねてみるよ」

「ではリリも備えておきましょうかね。ヴェルフ様にも伝えなければなりませんし…」

 

 そして、夜が明けた。

 

 

●●●

 

 

「成程。確かにそれは大変だな。こっちと向こうじゃ勝手も違う。手練なら何とか出来るかもしれんが、見た目が同じだが強さの異なるモンスターとなりゃ、下手に過小評価する奴も出てきて被害も増えちまうだろうな」

 

 翌日、鍛冶を終えたヴェルフを呼んで【ヘスティア・ファミリア】のホームへと集まった三人は、先日見かけたベート・ローガが身につけていたジンオウガの素材に関しての話し合いだった。

 

「それだけではありませんよ。ダンジョン内ならまだ出くわすのは冒険者で済みますが、仮に外にいたとするならば、一大事です。ベル様はダンジョン外のモンスターが弱体化しているというのは知っていますね?」

「うん。大昔にダンジョンから出てきたモンスターが、そのまま繁殖したけど、体内の魔石は分割していく形になったから、ダンジョン内と同じ種類でもかなり弱くなってるって」

「…その逆が起きちまうってわけか」

 

 そう言葉を繋ぐのはヴェルフ。

 

「はい。外で活動していた冒険者がダンジョン内の同種の強さに驚いたという話はよく聞きます。それも、こちらにとっては未知のモンスターです。戦って確かめる他はありませんし、弱いモンスターに慣れきっている外の方々には、大型モンスターは手に負えないかもしれません」

 

 当たり前だが、オラリオ外にも強者はいる。しかしそれはごく一握りであり、仮に上位やマスターランクの大型モンスターと当たってしまえば、全滅は免れない程度には差があるだろう。

 

「何より一番の問題は…」

「……うん。こっちの生態系や生活が破壊されるってことだよね」

 

 そう。あちらのモンスターは本来この世界にいない異物。ましてやモンスターの定義や生態、環境が大きく異なる今の世界の外に現れてしまえば、それは生態系そのものを脅かしかねない存在も多いのだ。

 

「はい。ダンジョン内ならば、人々の生活を脅かすことはありませんし、無限に現れるモンスターを倒すなり、食糧庫(バントリー)やら迷宮産の食料やらで生きながらえれば与える影響は少なく済むでしょうが……」

 

 外ではその限りがないということになる。

 

 これはハンターとしては無視できない問題である。例えば、住処から離れただけであるならば、その住処へより強大なモンスターが現れたり、食料を求めて現れたりと、多少の差異こそあれ、自然とバランスは取れていくものだ。

 

 だがしかし、現れた時点で、本来の生態系を逸脱してしまうことに変わりはない。

 

 少し沈んだ空気を見て、ヴェルフが切り替えるように声を上げた。

 

「あー、だが、何も必ずしもそうってわけじゃねえんだ。もしかしたら、ジンオウガの牙ってのも見間違いかもしれねえし、もしかしたら牙だけこっちにってのもあり得る」

「ですが……」

「リリ助、そうは言っても事実は分からねえんだ。それが珍しい現象なのか、本当にジンオウガがいたのかもまだハッキリしてねえ。加えて、もし本当にあっちの世界から来てたんなら、俺達に出来ることは、現れたモンスターを退治するくらいしかねえんだ。……正しい情報を手に入れるためにも、今はとにかくファミリアのランクを上げて、ギルドやらの信用を得る。今悩んでも仕方ないなら、やれることを最大限やって備えることが重要だ。そうだろ?」

 

 その言葉に二人はハッとさせられる。

 

 アステラにいた時だってそうだった。ハンターとしてそれなりの経験を積んでいても、調査が難航したり、力量不足で参加できないクエストがあったりと、足止めを食らったことは何度だってある。

 

「……そうだね。あっちで強くなったからって、終わりじゃないんだ。…何より、僕たちはこっちでは駆け出し冒険者。信用を経ないと集まる情報も集まらない、だよね」

 

 実際、あえてクエストや情報を出さずに、対処可能だと信用しているハンターにしかクエストが依頼されないことだってある。

 

「…初心忘れるべからず、ですね。ありがとうございますヴェルフ様」

「いいってことよ。……ま、無視できないってのは事実だしな。ヘファイストス様にも伝えて素材の面でも探ってみるさ」

「ありがとうヴェルフ!」

 

 そうして、臨時会議は終了。そんな彼らへとヘスティアの声が届いた。

 

「おや、もう終わったのかい?ミルクティーを淹れたから一息つくといい」

 

 機を見計らって現れたヘスティアが差し出したのはアイスミルクティーである。

 

 香りを嗅いでみれば、何だかセレブな香りの茶葉特有の匂いに加えて、まろやかな甘みのミルクの匂いが鼻腔に広がる。

 

「「「美味(うま)っ!」」」

 

 予想外の美味しさに思わず声をあげる三人に何やら自慢げな様子のヘスティア。

 

「ふっふっふ。どうだい?中々上手なもんだろ?」

「は、はい。……もしかして、こちらはセレブリティーとミラクルミルクですか?」

 

 リリルカは使用されている茶葉とミルクに気がついたようだ。かつてユクモ村で飲んで、観光のお土産に貰ったものである。

 

「ありゃ。まあ、君たちが持ってきたものだからバレるか…」

「いえ、でも、ただ混ぜただけじゃこの美味しさは出ないですよ…」

 

 ベルが問いただせば、少しはにかみながらヘスティアは笑う。

 

「いやなに、ボクはファミリアの主神としては素人もいいとこだし、君たちももう随分と育ってるからね。……それでも最初の眷属と、ヘファイストスのところの子供で友達ってことは変わらないんだ。してあげれることってなんだろうって思ってね。お茶とかに詳しい友神に教えてもらったんだよ。素人にしては美味しいだろう?」

「か、神様…!」

 

 ヘスティアは、自分にできることで彼らの主神たらんとしていたのだ。

 勝手に放っておいても生活は出来るし、何より厄介事を持ち込んでいるにも関わらず、だ。そうして眷属(子供)のためになろうとするその姿勢こそが、ヘファイストスから紹介された理由に他ならないのだろう。

 

「話は聞かせてもらったけど、中々大変なことになってるかもしれないみたいだね」

「はい。…そのためにも、今できることをしようって」

「そうかい。まあ、良かったじゃないか」

「良かった…?」

 

 理由を尋ねれば、前向きにヘスティアは言う。

 

「だって、目的が出来たわけだろう?そりゃ、生活するために冒険者をやってる子もいるだろうけど、今の君たちならそれくらいは楽勝だろ?だからさ。目的が出来れば、その分だけ意欲や気もしっかり保てるってことだしね」

「確かに…。目的意識がないよりはあった方が明確な区切りがつきますし」

「それにね、君達がこの世界に帰ってきてくれたから、その事態にも気づけたんだろう?……なら、きっと何とかなるはずさ。なんたって、君達は冒険者である前に、ハンターなんだろう?」

 

 そのどこか挑発的な視線に、ベルたちは顔を見合わせた。

 

「「はい!」」「おう!」

「うんうん。いい返事だね。…それじゃあ、【ヘスティア・ファミリア】の当面の目的はダンジョンを踏破して、信用を上げて情報を集める。あっちの世界からの素材やモンスターがいるなら、可能な限り対処する…。…うん、これで決まりだね!後々のことは状況に応じて臨機応変に、だね!」

 

 ヘスティアの音頭に「おおー!」と三人で声を上げるのであった。

 

「………ヴェルフ様は違いますよね?」

「…別にいいだろ?」

 

 なんとも締まらない始まりであった。

 

 さて、そんなこんなで目的が決まったことで心機一転、早速ダンジョンに潜る―――とはいかない。

 

 単純に、今以上を目指すのであれば、ダンジョン自体の知識も必要だからだ。数日こもるための遠征の準備も必要だ。そうそうあちらでの素材が使えない以上、こっちの世界での道具なんかも揃えていきたいところ、ということだった。

 

「じゃあ、暫くはダンジョンの知識を学んでいくってことになるのかな…」

「そうですね。幸い、エイナ様の勉強はかなり細かいところまでしっかりしていますし、その帰りに冒険者用の探索グッズや保存食なんかも見ていきましょうか」

「そっちは任せる。俺は…そうだな。こっちでの素材も溜まってるし、用途なんかを確かめるついでに、ちょっくらこっちの冒険者向けの装備でも造って見るか」

 

 そうして、二組に分かれてファミリアの本拠(ホーム)を後にするのであった。

 

「……そういえば、名声を上げるって言っても、まだ一ヶ月も経ってない僕らがどんどん行っても疑われないかな?こっちにはギルドカードとかもないし…」

「……………まあ、外で活躍されている方にも実力者はいますし、二年で強くなったのは事実ですので、異世界とかをぼかせば大丈夫なのでは?」

「でもギルドにはレベルとかの申告も必要でしょ?」

「そこはこう、外で色々あってバグってしまったと言うしかないのではないでしょうか?この都市や冒険者にとっても一大事な為、黙っていて欲しいと言えば問題は無いと思いますが。実際に、嘘は言ってませんし」

「そういうものかなぁ…?」

「そういうものです。最悪の場合、スキル欄などを隠してステイタスでも見せれば納得するでしょう。あの方はギルド職員ですし、性格的にも漏らすようなことはないでしょう。……最悪、事情を話して巻き込んでしまいましょう」  

「ええ…。流石にそれはちょっと…」

 

 とことん相手の良心や性格を利用しようとする辺り、リリの小賢しさというか、狡猾さは出会った頃から変わらないようである。




特に目的のないエンジョイ勢に目標が…!

尚、名声やギルドからのランクを考えるならエイナよりもウラノスに言ったほうがいいが、この場の全員全く考えついておりません。
ベル達は新大陸というギルド本部から離れた土地でハンターとして義務教育〜マスターランクまで終えたため。ヘスティアは下界、それもファミリアの運営に慣れていないためです。
まとも枠の筈のリリも向こうの世界に毒されてます。
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