ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか? 作:食卓の英雄
【ロキ・ファミリア】首脳陣でも平均一億くらいだし…。
とか思ってたら、調べれば【フレイヤ・ファミリア】の幹部陣はもっといってる…。
多分、遠征の多さとかでの損耗とか、人員への補給とかを頻繁にやってるからってことなんだろうな…。
レフィーヤが物語開始時点で使っていた「森のティアードロップ」は第2等級魔装で3780万ヴァリスですし…。
ラウルの貯金は何と1688万8000ヴァリス。
………これなら防具分ければ全然買えるな。100万くらい残しても武器も余裕だな…。
そもそも第2等級武装ってLv.3辺りからの装備なんだな…。Lv.5くらいから第1級武装か…。
ってことで、ラウル達【ロキ・ファミリア】基準から見れば驚くほどの価格でもなかったので値上げします。
アロイα
旧 300万ヴァリス
修正後 500万ヴァリス
精鋭調査隊盾斧ⅲ
旧 800万ヴァリス
修正後 1500万ヴァリス
蒼い鎧姿の店主。ヴェルフと名乗った若い男の言葉に乗ったラウルは、アロイαと呼ばれた鎧に身を包んでいた。
「おお…!」
冒険者としては、新しい装備というのはいつになっても心躍るものだ。それがいい性能であるなら尚更に。着心地を確かめるように腕を回したり身体を捻るが、全身鎧にも関わらず、その動きやすさは軽装鎧と比べても遜色ない。
その覚めるような薄青い輝きは、ともすれば美術品にも錯覚してしまうほど。それでいて、華美な装飾や無駄なものはなく、それが戦うために作られたものであることを実感させる。
顔全体を覆うヘルムだけは、視界を確保したいために装着しなかった。おかげでその分の節約にはなるだろう。
チャージアックスという武器も、盾がそのまま剣を納める鞘にもなるようで、その大きさに反してスペースは取らない。
そんな機能で耐久性は大丈夫なのかと疑問を呈したものの、特に問題になったことはないらしい。
本当なのかと疑ったものの、更に上等そうな装備に身を包むヴェルフに既に数年以上に渡って実証済みだと言われれば、使用者に過ぎないラウルは飲み込む他ない。
「中々様になってるな。…つっても、Lv.4じゃ嬉しくないかもしれねえが…」
「いやっ、そんなことは…」
慌てて否定するラウル。着心地も申し分なく、上等な鎧に浮足立つ気持ちは、いつだって変わらないものだ。
言葉を紡ごうとしたラウルは、ヴェルフの担いだ奇妙な大剣に目を奪われた。
いや、それを大剣と言ってもいいのだろうか。中腹までは、ソードブレイカーや、鰭のような刃が並んでいるが、その先端。ただでさえ重量級の刃であるにも関わらず、そこから更に大きく湾曲した刃が、持ち手と逆方向に剣呑に構えられていた。
その大剣の先端に鎌が付いたような奇妙な外見に気圧されたものの、次の瞬間にはそれに使われている金属の上等さと、恐ろしく高い鍛造技術に目を奪われる。
興奮とも緊張ともつかぬ息が口から漏れ、これを平然と持ち出す目の前の男は一体何者なのかと疑問が尽きない。
ヴェルフが担いでいるのはクロームデスサイズⅢ。彼らのいた調査団においては普遍的な金属大剣を極限まで強化したもの。
最終強化以外は採掘のみで強化が可能ということから、ヴェルフがマスターランクに上がってから暫くの間世話になっていた一振りだ。
ガシャンッという音と共に先端が収納され、背負っても幅を取らない程の大きさに纏っていた。
「それで、検証ってのは何をするんですか?」
「使用感だけならここでもいいかもしれねえが、性能と
「いっ!?今からっすか!?」
今日のラウルは完全に休日気分で出かけてきたので、ダンジョンアタックに必要なアイテム――それこそポーションや諸々など持っているはずもない。
曲がりなりにもLv.4。確かにそこら辺の階層ならば特に準備もなく潜れはするが、いつもは準備を怠らないからこそ何も持っていないという状況に不安を覚える。
「まあ気にすんなって。そこは俺持ちで用意してやるからよ」
「そ、そういうことなら…」
「あ、一応先に言っとくが、こいつは独自の製法で作ってるから、ちっとばかし味や効果が違うかもしれんが、そこは我慢してくれ」
「あ、はいっす」
中を見てみれば、よく使う試験管タイプの容器ではなく、薬瓶型の容器が複数入っており、緑や黄色の液体が入っている。紙に包まれた固形物はどうやら携帯食料とのこと。
有り難かったのが、防具そのものにこういった道具の収納スペースがあったことだろう。大抵は別のポーチなんかをつけるものだが、最初からそれも含めたデザインなのだろう。実用性も高いようで更に好印象になる。
取り敢えず渡されたそれらを仕舞い、早速とばかりに歩きだしたヴェルフの後を追いかける。
同業者からの視線を受けつつ、迷うことなくダンジョンへ。
通路を抜け、たどり着いた広いフロア。正方形の空間にて立ち止まると腰を据えた。
「じゃあ、まずはチャージアックスにおける基本を説明するぞ。実践するからちょいと貸してくれ」
「は、はいっす」
ラウルがヴェルフにチャージアックスを渡す。迷宮内で武器をなくすというのは自殺行為だが、仮にもLv.4。この程度の階層では例え非武装でも敵はいない。
「まず、チャージアックスには今構えてる剣と盾の剣モードと、盾と剣を合体させた斧モードの二つが存在する。これを適宜入れ替えた連携が要だな」
ヴェルフが慣れた手つきで長剣を大盾へと差し込み、軽く振るうと盾が中央から展開し、身の丈を大きく超える巨大な大戦斧へと変形した。
そのガシャガシャとした変形機構は、ラウルの目から見ても何とも浪漫に溢れているように見え、男心を擽られる。
「見ての通り、剣と盾が素早くバランスのいいモードで、斧は大火力を求めるときに使う。モードチェンジはその時の状況判断が求められる。変形はどんな時でもスムーズに行えるように身体に覚え込ませたほうがいいな」
「おお…!」
そのまま何度か斧モードと剣モードを繰り返し移行させる姿に思わず声が漏れる。
「ほれ、やってみろ。最初は結構むずいぞ」
「はいっす。……ええっと、これをこうして…」
見様見真似で剣を盾へと突き刺し、ゆっくりとだがひっかかることもなく斧モードへと変形させる。
「おっ、中々スジがいいな。それじゃ、いったん戻してくれ」
「今度は、こうっすね」
「そうそう。…んじゃ、剣モードの説明だな。まあ、扱い方は見ての通りだが、チャージアックスには特殊な加工が成されている。……試しに、そこらの壁を斬りつけてみろ」
「わ、分かりました」
言われるがまま、ラウルなりに剣を振るっていく。流石はLv.4と言うべきか、武器の扱い方は手に馴染んでいるようで、変な癖も見当たらない。
「……な、何か剣の方に何かがあるような…?」
「柄を見てみろ」
「うわっ、何か黄色に光ってる!?何すかこれ!?」
「剣撃エネルギーが溜まったんだ」
「剣撃エネルギー…っすか?」
ヴェルフが再びチャージアックスを手に取ると、斧モードへの変形と似た仕草で何かをすると、ガキンッという音と共に何かが盾へと装填される。
「この剣撃エネルギーは、剣や盾で攻撃するか、ガードをすることでビンに少しずつ溜まっていく。これが重要だな。……ただ、注意点がある。こいつをチャージせずに振ってみな」
「黄色になっても攻撃すればいいんすね」
言われた通り、先ほど同様に壁を斬りつけ、今度は黄色になっても振るい続けた。程なくして柄が赤く発光したかと思えば、先ほどまでは難なく振るわれていた攻撃が弾かれたのである。
「んなっ!?」
今までの切れ味は何だったのかと言わんばかりの拒絶に、再び振って確かめても、結果は同じ。
「な、何すかこれ…。全然手応えが違う…」
「そう。そいつが注意点だ。赤い発光は剣撃エネルギーが最大まで溜まった状態を表す。だが、溜まった剣撃エネルギーを盾にチャージしないとオーバーヒートしてな。剣での攻撃が弾かれちまうんだ」
「な、成程…。だからこまめなチャージが必要と…。……何か、不便じゃないっすか……?」
「まあ今の段階ならそうだな。だが安心しろ。そいつの使い道はちゃんとある。じゃあ、早速盾にチャージしてくれ。コツは変形時に引っかかりのある部分で、盾をスライドしてやれば自然に溜まるようになってる」
やはり基礎はしっかりしているのか、一回見たのと説明だけで実践出来たようだ。
「因みに、黄色の段階なら3本、最大まで溜めたなら最大までビンが溜まる。それ以上は盾にチャージしようとしても意味ないからな。因みに普通ならチャージ出来るビンの数は5本。これも覚えておけ」
「は、はい」
「その溜めたビンの使い道だが、まずは斧モードに変えてくれ。……よし、それじゃあただ振るうんじゃなくて、チャージした時と同じ要領で柄側を動かしながら振ってみてくれ」
慣れない操作に戸惑いながら言われたとおりに壁に振るえば、斧全体が
「い、今のって、エンチャントっすか!?」
「いいや、違うな。さっき剣モードで溜めたエネルギーを炸裂させたんだ。溜めたエネルギーの分だけ、そいつを放つことができる。剣でエネルギーを溜めて、斧でエネルギーを解放する。変形が重要ってのはそういうことだ。……更に、こいつには大技がある」
「大技っすか…!」
「おっ、食いついてきたな?」
大技。ラウルはLv.4でありながら、スキルや魔法の類が一切ない。別に不満があるわけではないものの、偉大なる先達の象徴ともなる一撃であったり、活躍目覚ましい後輩達の鮮烈な一撃に憧れがないといえば嘘になる。
「ビンが溜まってる状態で、こうして、背後で斧部分をスライドさせて、エネルギーを纏わせてから………一気に振り下ろす!!!」
武器全体に雷光が纏わりつき、振り下ろしとともに斧の姿へと戻り振り下ろされた一撃。
強烈な斧での斬断の後、エネルギーが振り下ろされた部位へと残留し、一拍遅れて爆裂。先の一撃よりも強力な炸裂が3度続けて解放された。
まるで魔法の様な威力を放つそれに、ラウルは開いた口が塞がらない。
「こいつが、高出力属性解放斬りだ。…使うビンの数はさっきのでもこっちでも1本だからな。隙があればこっちのが強力だが…まあ、そこは立ち回り次第だな」
「高出力属性解放斬り…!」
最早、ラウルの心は完全にチャージアックスに奪われてしまったと言ってもいいだろう。
長剣と盾から大戦斧へ交互に切り替えなければ真価を発揮しないという扱いづらさも、器用貧乏を極めたラウルにとっては、さしたる差はない。その上、何のスキルも魔法もなくとも、あのような一撃を放つことができるというのも心惹かれたのである。
「この他にも、溜めたエネルギーの使い方はある。それらの切り替えと管理が出来たら、初心者脱出だ。…やることが多く、複雑、注意点も多いが、その分使いこなしたときの強さは保証する。……まだまだお試しは終わってないぜ?一通り覚えたら、次は実戦だ。今のうちに身体に叩き込んでおけよ?」
「…はいっ!」
●●●
斧強化や剣強化、超高出力属性解放斬りなど、チャージアックスとしての立ち回りなどを一通り教えた所で、一旦小休止を挟むこととなった。
壁は練習で絶えず傷つけられたことから、新たに傷をつけてモンスターの発生を抑制する必要もない。
安心して考え事をしたり、教えられた内容を反復する余裕もあった。
その最中、軽く装備のことについて聞いていた時のことだった。
「い、今、この鎧がスキルを持つって…!?」
「あ、ああ。札と一緒に書いてあったと思うんだが……。まさか、読んでなかったのか?」
そんなの分かるわけがない。普通、商品の値札は値段だけがザラ。偶に製作者であったり、ファミリアの名前が共に刻まれることはあっても、基本的には見たままが全て。
何らかの特殊な補助や効果のある武装は
「じゃ、じゃあもしかして今、自分って全身に
「特殊武装、あー。特殊武装な。確かにそんな感じか。………そう考えると滅茶苦茶豪華だな…」
「ちょっ、何で他人事なんすかぁ!?」
「あー、いや、悪い。こっちの話だ」
あちらの防具には大抵何かしらのスキルが複数付いていたため、そう考えれば、ほぼすべてのハンターが素人玄人問わずに全身を特殊武装に包んでいたという、こちらの世界から考えれば異常な光景が広がっていたことだろう。
「ま、知らなかったんなら、今から説明するが、いいか?」
「お願いするっす…」
「何か引っかかったとこがあっても、最後に言ってくれよ?」
そう言って、ヴェルフはアロイαシリーズについての詳細を述べていく。
◆アロイメイルα
水耐性 Lv2 スロットーーー
◆アロイアームα
防御 Lv1
砥石使用高速化 Lv1 スロットーーー
◆アロイコイルα
毒耐性 Lv1
水耐性 Lv1 スロットーーー
◆アロイグリーヴα
砥石使用高速化 Lv2 スロットーーー
「……とまあ、こんな感じだな。何か質問はあるか?」
「いくつかあるんすけどいいですか?」
「応、そこも鍛冶師の仕事に入ってるからな」
自信を持って語るヴェルフへと、ラウルは質問を投げかけていく。
「まず、何となく名前から内容が想像できるのはあるっすけど、レベルがついてるのは何なんすか?」
「冒険者のステイタスみたいなもんだ。スキルによって上限は異なるが、レベルが上ならより効果が大きいってことだ。因みに、この効果は全身に効果があるから、アロイメイルαの水耐性レベル2とアロイコイルαの水耐性レベル1は、全身で足してレベル3の効果になるって訳だな」
「…成程。確かにそう考えればスキルとか発展アビリティに近いかもっすね…。……じゃあ、スロットってのは何すか?今身に着けてるのだと、武器にしかないっすけど…」
「そっちは今は何ともいえねえな。ちゃんと付き合ってくれて、お買い上げになったら教えてやるよ」
「そう言われたら、余計に気になっちゃうんすけど……」
やや気がかりそうに呟くが、それも直ぐに気を取り直したのか、新たにスキルの説明を促した。
「ええっと、それでそれぞれ詳しい効果とかはどんな風に?水耐性ってのは、そのまんま水に強くなるって感じっすか?」
「ま、そうだな。文字通り水を纏った攻撃に対して強くなるって効果だ。最大レベルは3で、レベル3からは、追加で防御力も上がる」
「防御力までっすか?」
「ああ、上昇幅は少ないがな。……そうだな、大体その防具の1部位の3割いかないくらいか?」
「でも、ないよりはいいっすよね。防御もおんなじ感じで?」
「ああ。つっても、レベル1だから効果は低いがな。水耐性分と合わせても、1部位の4割くらいが上乗せされるって思ってくれればいい」
「それでも下手な防具選ぶよりは効果が高そうっすけど……。じゃあ、毒耐性は発展アビリティの耐異常の毒版って感じっすか?」
ラウルは己自身にも刻まれている発展アビリティ『耐異常』を引き合いに出す。
この耐異常は一定以上状態異常に侵されたことのある冒険者がランクアップした際に発現する最もポピュラーで、単純ゆえに攻略では有用な発展アビリティだ。
ダンジョンという環境で状態異常を蓄積するのは中々骨が折れるので、それならばいいのかと考えたが、ヴェルフは少し悩ましげに答えた。
「あー……。いや、ちょっと違うな。毒限定ってのはあってるが、それだって少し語弊がある」
「語弊…?」
「まず、こいつが機能するのは痛みや出血を伴う毒だけだ。体の自由を奪うだけの麻痺毒や、睡眠毒なんかには効果はない。そして、耐異常は状態異常の効果そのものに耐性がつくって感じだが、この毒耐性は毒の症状が出てから発動する。治る時間は変わらないが、レベル1なら、大体3割くらいの痛みを軽減してくれる」
「確かに耐異常とはちょっと違うか……」
「レベル3なら毒を無効化してくれるんだけどな」
「む、無効化ぁ!?」
耐異常のランクが高くなれば、相応に耐性が付き、低レベルの毒は耐性が上回るが、やはり摂取量が多くなれば多少の症状は出る。
特に、上級冒険者の耐異常をも貫通する
「じゃ、じゃあ最後の、砥石使用高速化っていうのはどういう効果なんですか?いや、流石に文字通りに受け取るとちょっと……。砥石を早く使っても、しっかり研げるんですか?」
「あー、そこは言葉の綾だな。実際は研ぐ回数が少なくても十分な砥ぎ方になるって感じだな。伝わりやすく言うなら、武器の研磨時に速度と効果に補正がかかるって感じか?刃にもなる盾でガードしたり、何かと切れ味消費の激しいチャージアックスにはおすすめのスキルだ。……ほら、砥石やるから研いでみろ」
「えっ…!?いや、確かに武器の手入れくらいは出来るっすけど、そんな…」
「いいから研いでみろって。効果量は目に見えて違うぞ?」
「そんなにっすか…?」
そう言われては、試してみる他ない。受け取った砥石を損耗した刃へと滑らせる。
するとどうだろう。たった1回しか研いでいないというのに、そこには新品同然の刃がそこにあった。
「す、凄い…!これがあれば、遠征時や小休憩なんかの短縮も楽になるっすよ…!」
「だろ?レベル3だと、一回でも十分な砥ぎになるんだよ。それこそ、戦闘中でも少し受け持ってもらえりゃ、その時間で研いでまた前線に出れるくらいにはな」
アロイαシリーズについているのはどれも補助的な要素が強いが、どれも有用な効果である。むしろ、変に使用感の変わらない方が慣れない内は向いていると言えよう。
「うし、休憩もこのくらいでいいだろ。後は一連の動作をスムーズに出来るようになったら、本格的に試していくからな」
「…望むところっすよ!」
殆どチャアクとスキルの説明会。お試しは次回に。
ダンまちの世界にも武器や防具とかに特殊効果やステイタスの補助効果のある物は
一応魔道具とか、特殊効果持ちの装身具とかは登場していますが、ラウルが驚いたのは、そのままでも十分に強力な防具に、いくつも効果がついていて、しかも全身がそれってことですね。
まあそれ系って大体めっちゃ高いんですけど…。